問題の究明求め6氏が発言
魚沼市議会では、復興基金水源確保事業の目的外使用等の問題について市民の意見を聞く「復興基金水源確保事業について市民の意見を聞く会」を10月28日に広神コミュニティセンター3階講堂で開催、意見発表を申し出た6人の市民が同問題についての自らの意見を述べた。
「市民の意見を聞く会」は、中越地震復興基金水源確保事業の目的外使用などの問題を究明するため市議会が意見を述べたい市民を募って開いたもので、会場には約50人の市民らが傍聴に訪れた。
会は星謙一議長が「小さな自治体では首長の権限が強く、議会がそれを打ち破ることは難しい。今日の会を打ち破る手立てとし、問題を一刻も早く究明したい」とあいさつした後、意見の発表が行なわれた。
発表を行なったのは大島文勇さん(干溝)、和田正敏さん(新保)、神保昭一さん(大浦)、渡辺正徳さん(田戸)、今村均さん(青島)、平間茂さん(干溝)の6人。
意見の発表では「問題は、なぜこのようなことが発生したのか、原因はどこにあったのか。申請者、市職員に誰かの有形、無形の力が働いたということも考えられる。その点も調査して市民に知らせて欲しい」、「この問題に何らかの犯罪があるとすれば、市長は告発をして欲しい。また、議会は十分な調査をするために百条調査をして欲しい」、「申請者、工事施工業者に証言を求める、或いは参考人招致によって議場において証言の機会を設けること、市役所の事務処理について議会証言を求め、政治的影響力の介入があったか無かったかの調査を議会に求める」など問題究明のための市や市議会への要望が多く出されたほか、「なぜ井戸だけに100%補助が行なわれたのか、復興基金の事業はどうしても復興基金でやらなければならない事業なのか、事業そのものに何か問題があったのではないかなど、公開されている資料だけからも想像できる」と復興基金についての疑問点を指摘する意見もあった。
基金事業目的外使用問題
事務手続き不適切だった
魚沼市が調査結果を報告
県中越地震復興基金による農業用水等水源確保支援事業で新設された井戸の目的外使用などの問題で、魚沼市は10月22日、同市議会復興基金事業調査特別委員会に「現時点で刑事事件に発展するような悪質な行為は確認できないものの、市職員の職務の怠慢などから事務手続きが適切に行なわれなかったことは明らか」とする市の調査結果を報告した。
同基金の農業用水等水源確保支援事業は、中越地震により使えなくなった農業用、養鯉池用の井戸の再建を目的としたもの。魚沼市では177件の申請が出されているが、今月16日には、井戸をもともと農業用に使っていなかったなど補助要件に該当しないものが8件、消雪など一部目的外利用を行なっている又は行ないうる状況にあるものが95件とするなど復興基金事務局の調査結果が発表された。
この日の特別委員会では、まず大平悦子市長が「市民や関係者に多大なるご迷惑をかけたことを衷心よりお詫びします。これを厳粛に受け止め再発防止、綱紀粛正に職員全員で努めていきます」と謝罪、市の調査チーム会議及び綱紀粛正委員会の調査結果が報告された。
調査報告では、「制度要件が広義に解釈され、審査に厳格さを欠いた」「市職員が申請書類を代行して作成」「複数業者の見積もり合わせによるものを1社で可とする判断があった」「完成検査など現地確認を行なわなかった」など行き過ぎた便宜供与があったことを明らかにするとともに、「安易な決済が行なわれた」とも指摘した。
特別委員会の後に開かれた会見で大平市長は、自身を含む職員の処分について「もう少し明らかになった時点で対応したい。業務に対する責任は住民にきちんと示したい」と述べ、行政として告発する意志があるかについて中川太一副市長は「基金事務局は刑事告発を考えていないので、市もそれに従う。市職員にも刑事事件の事件性は確認できなかった」と答えた。