先日、8月2日午前、山下貴司法務大臣は二名の男性に対して死刑を執行しました。「令和」の時代初の死刑執行です。GGIは暑さでぼんやりしていてこのニュースに気づいたのは午後1時前のBSの短いニュースによってでした(NHKのお昼のニュースで伝えていたのではないかと思うのですが、GGIはおそらく聞き逃したのでありませう)
BSニュースで女性アナウンサーが「今日午前、死刑が・・・」とごく簡単に報じるのを聞いてわが耳を疑いました
今年は改元や新天皇即位に関連した慶事がいろいろあり、次いで来年はいよいよ東京オリンピック、このためオリンピックが終わるまでは法務省は死刑執行を控えるのではないか、というのが関係者(つまり死刑に反対する法律家、市民団体や様々な市民)の大方の見方であったからです。
今年の改元を控えて、昨年は7月には急いでオウム関係者13名を一挙に処刑、さらに12月末にも駆け込み処刑を行っていましたので、オリンピックが終わるまで当面死刑執行はないであろうと安心していたのでした。
日本国憲法は残虐な刑罰を絶対的に禁止しています
「第三十六条:公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」
常識的に考えれば日本で行われている死刑(絞首刑)が残虐な刑罰であることは誰の目にも明らかです。死刑制度は必要と考える人でも絞首刑が残虐でないとは考えないでありませう。ですから、憲法のこの条項は死刑禁止条項とも言うべきものです。
日本国憲法において「絶対に禁ずる」とされているのはこの条項だけです。それにもかかわらず日本では未だに死刑が執行されています。これは明らかに憲法違反です。ですから憲法を遵守することが大切と考える国民のひとりとしてGGIは強く死刑制度に反対しています。
この憲法の絶対的禁止規定があるにもかかわらず未だに死刑が執行されているのは1951年に最高裁が「死刑(絞首刑)は残虐な刑罰ではない」という前代未聞の誰も思いつかないような超屁理屈を強引にこねたためです。その判決がいまだに、70年を経たいまでも生きているのです。
ですから死刑制度に反対することは何も過激な行為ではありませぬ。決して犯罪者に味方しているわけではありません。GGIは憲法を守ることを求めているに過ぎません。
このたびの死刑執行は「元号がかわり、新天皇が即位し、新しい時代になっても、栄えある誇り高きわが日本は、先進国で唯一の死刑存置国になっても、死刑制度を断固死守するぞ」という日本政府・法務省の高らかな宣言であるとGGIは理解しました。この意味でこのたびの死刑執行は看過するわけにはいきません。
しかしながら、日本政府がいくら張り切ってもいまや世界の3分の2の国、およそ140カ国で死刑は法律上あるいは事実上廃止されており、先進国で死刑制度が未だにあるのは米国と日本だけに過ぎないというのが世界の現実です(米国の場合は20の州と首都ワシントンでですでに死刑が廃止されており、今後も死刑を廃止する州が増えていくものと推測されます)。このように多くの国が死刑を廃止するに至っているのは、執行の方法がいかなるものであれ、死刑そのものが残虐な刑罰であるからに他なりません。
このたびの死刑執行を予想することができなかったのは死刑に反対する市民らの見方が甘かったからにすぎませぬ。法務省はもっともっとリアルだったのです。
法務省は以前から、死刑制度を確実に維持することを目的に、できる限り毎年(できれば半年に1回、年に2回)、計数名の死刑確定者を処刑することを方針としています。また、ある死刑執行から次の執行までの期間が長すぎたりしないよう常に注意しており、このため毎回慎重に執行時期を選んでいます。この期間が長くなれば長くなるほど、死刑執行の停止を求める様々な動きが強くなりかねず、放置すると死刑執行の一時停止という事態につながりかねないからです。
ですから、昨年12月末の執行後、天皇家の慶事があるため今年一年間、さらに来年東京オリンピックが終了するまでの計20カ月間にもわたり死刑を執行しないとなると、法務省にとってはきわめて好ましからぬ事態、大ピンチということになります。このピンチの出現をできる限り回避するために、法務省は「今年は新天皇の即位したものの、まだ即位に関連した慶事が続く。しかし、思い切っていまのうちに死刑を執行してしまえ、そうすれば死刑が執行されない期間をかなり短縮することができる」と判断したのです。この判断がこのたびの死刑執行につながったというのがGGIの推測です。
予想が外れたのはとても残念でありますが、残念がっているだけでは意味がありませぬ。かようなしだいで、8月2日の午後、とりあえず、ネットに流れている死刑執行のニュースの内容を参考に、安倍首相と山下貴司法相に宛てた抗議文を大急ぎで作り、夕方に官邸と法務省にファックスで送り、ついでにマスコミ各社の湖都の支局にも送っておきました。
一息ついて近くのスーパーで夕餉の材料を調達しておりましたら、某地方新聞の記者さんが電話してきてあれこれ聞きました。死刑執行のたびに抗議文を送ったことを各社に知らせるのですが大半の場合は無視されますので、取材してくれるだけでも有難き限りであり、いろいろ説明しておきました。
ところで、このたびの死刑執行、予想外であったことは残念無念でありますけれども、おなじぐらいに残念であったと申しますか、きわめて遺憾であったのは、この死刑執行に関するメディアの扱いでありました。
朝日新聞は、いつもは、死刑執行のニュースは必ず第一面で扱っていました。ところが、このたびは(夕刊)
社会面の片隅で簡単に報じていたに過ぎません。つまり、この死刑執行のニュースはいわゆる三面記事扱いだったのです(翌3日の朝刊でも小さな扱いで報じられていました)。これはいったいどうしたわけでありませう。第一面に掲載する気があればどのようにでも工夫のしようはあったとおもうのですが・・・・天下の朝日さん、もう死刑執行なんかたいしてニュースバリューはない、でも、まったく載せないわけにはいかないから社会面の端っこにテキトーに掲載しておけば十分とでも思ったのでありませうか・・・
GGIは、死刑問題は社会的問題であると同時に優れて重要な政治的問題でもあるため第一面で扱うに値すると思うのですが、朝日さんにとっては、オウムのような大事件は別として、そこら辺の月並みな事件で死刑が確定していた人物に対する死刑執行なんで、もうたいしたニュースではないということなのでありませうか・・・
しかしながら天下のNHKさんの扱いは朝日の扱い以上に徹底したものでありました。(8月2日の)正午のニュースでは一応伝えていたのでしょうけれど、夕方から夜にかけての主なニュース番組での扱いは、さすが「公共放送」NHKさんはここまでやるかと言いたくなるぐらい見事なものでありました。
夕方から夜にかけての全国向けのNHKの主なニュース番組は19時~19時30分の「ニュース7」と21時~22時の「ニュースウオッチ9」です。
まず、「ニュース7」です。雑事をこなしながら何となく横目で眺めていたのですがいつまでたっても死刑執行のニュースは報じられません。いったいどうなっているのだと思っておりましたら7時26分過ぎになってなってやっと1分間ほどごく簡単に「本日2名の死刑確定者に対して死刑が執行されました云々」とアナウンサーが原稿を読み上げました。そのあとINF失効に関するごく簡単なニュース、次いで簡単にプロ野球ニュースと天気予報があって7時半番組終了というわけです・・・
これでは、死刑執行のニュースはもう完全にその他の雑多なニュース扱いであります、ついでに報じておきますという感じです・・・GGI呆れはててしまいました。もうこれでは朝日新聞以上の不見識ぶりであります。同じ短いニュースであっても番組のトップにもってくればもっと視聴者への訴求力があったものと思われるのですが、番組の最後にチョコッと伝えるようではほとんど注目されず、「NHKは死刑執行も報道しましたよ」というアリバイ作りに過ぎません。
さらに驚くべきことに、21時からの「ニュースウオッチ9」では死刑執行のニュースは一時間番組であるのにまったく報じられていませんでした!もう死刑執行のニュースは完全に無視というわけです。GGIは絶句いたしました・・・民放と異なりコマーシャルなしの1時間番組ですから報道する気さえあれば、多少の時間を割いて報じることはたいして難しくはなかったはずです
メディはいまや一面の荒野と化しています・・・
一方、「ニュースウオッチ9」では、依然として例の「京都アニメ」の関係者やファンたちの嘆きの声などをたっぷりと報じていました。死刑執行なんかよりはこのような話題性のあるニュースの方が人目を引くのだ、だから何度でも時間を割いて報じるのだ!というわけでありませうか・・・これでは娯楽番組の発想と大差ありません・・・
まことにメディアの現状は惨憺たるものです。メディアはもう死刑執行のニュースなんかどうでもいいやとその他のニュース扱い、三面記事扱いにするのであれば、政府・法務省の思うつぼでありませう。死刑執行がほとんどまともに報じられなくなれば、市民にとって死刑問題はまったくの他人事になっていくでありませう。その結果、あらたなる天皇の御世においても、その次の御世においても、死刑は国体と同様延々と護持されることになります。このままではいずれは先進国で唯一の栄えある死刑存置国となることは間違いないでありませう・・・
このたびは朝日さんとNHKさんの悪口を書きましたが、これはもちろん他のマスコミ各社にもあてはまることであります・・・
NHKさん、朝日さんをはじめとする大メディアのみなさん、あなたたちも知っているはずですが、日本政府はこれまでに何度も何度も国連から死刑廃止を視野に入れた死刑執行停止のための具体的な法的措置を講じるよう勧告されているのですよ、それでも死刑問題はもう三面記事扱いされるような、ついでに報じておけばいいと言う程度のどうでもいい問題なのですか?
以前からメディアは一望の荒野でありましたが、ここにきて目に入るのは荒野だけであります。ですから、マスコミ諸氏や市民の多くは荒野であること自体に気が付いていないというべきなのでありませう・・・
今日の写真は8月2日付の朝日新聞夕刊、第12面の片隅で報じられていた死刑執行の記事を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!