UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

残暑御見舞い・・・肋骨のあいだを涼風が吹き抜ける・・・

2015-08-25 00:36:31 | 日記

                                    

820日はわがファザーの命日でありましたが、この日の朝日新聞に猛暑お見舞いともいうべき一文が掲載されておりました

 田中貴子さんという日本中世文学史を専門とする甲南大の先生の「円山応挙の《座禅する骸骨》」と題されて一文です

 この先生によりますと江戸時代の京都画壇を代表する絵師、円山応挙は一般的に正統的な写実画の名手として知られているものの、ときにはヘンなものも描いており、そのひとつに「波上白骨座禅図」という画があるそうです

 今日の写真はこの一文に付されていた写真を借用したものです、写真に示されているのは円山応挙の手になるものと伝えられる「波上白骨座禅図」ですが、これとほとんど同じ構図の応挙真筆とされる図が兵庫県の大乗寺にあるそうです、クリックしてご覧くださいませ

 繊細な線で描かれている骸骨、現代の医学知識からみてもかなり正確なのだそうでありますが、田中先生、いったい応挙さんどういうつもりでこの画を描いたのか、蘭学の知識の基づいて骸骨を写実的に描いたのはわかるが、なぜ骸骨を座禅させる必要があるのかと疑問を呈しておられます

 そして田中先生、この画は人間の死体が腐敗して白骨化していく様を描いた「九相図」と関係しているのではないかと推論されています。「九相図」というのは死体が九つの段階を経て変化していく様を描いたものであり、近世には数多くの「九相図」が作らているそうです、人間が不浄であり、人は誰でも死ぬという無常を説く仏教絵画とされています

 「九相図」を描いた版本(木版画の本)の中には座禅する骸骨を描いたものが数多くあり、江戸時代の人はこのような画を良く知っていたことからすると、応挙は「九相図」にヒントを得て、版本にはない解剖学的な正確さで蘭学の本などを手本に描いたのではないかというのが田中先生の推測・・・ちなみに、先生はここ数年「九相画」の研究しておられるそうです

 でも、現代社会では遺体はすぐに焼却されて灰にされてしまいますから、人間の「九相」なるものをなかなか実際に確かめるわけにはいきませぬ・・・

 先生、最後に「応挙の骸骨の前に立つと、肋骨を吹き抜ける涼風が感じられる、筆の力、おそるべし」などとおっしゃっています

 GGIは応挙さんの骸骨図を眺めていて、図柄は違うものの、似たような骸骨の絵を見たことがあるような気がするなあ・・・・またしてもデジャヴュ(既視感)であります・・・そうです、いつであったかこのブログで紹介いたしました、明治の過激ジャーナリスト宮武外骨が自分の発行する雑誌に掲載して、不敬罪か何かで牢屋にぶち込まれたという絵です

  大日本帝国憲法の発布を皮肉ったイラストです。このイラストに描かれている骸骨(=外骨)が明治天皇を連想させるとして発禁処分を受け、彼は二年余り獄中生活を強いられることになりました(http://blog.goo.ne.jp/ugugggi/d/20150212

 この外骨氏が掲載した当時のイラストレーターによる骸骨も応挙さんほどではないにしても正確に描かれています、外骨さん、ひょっとしたら応挙さんの名作「波上白骨座禅図」にヒントを得て、「そうだオレは外骨だ、だから応挙の骸骨で行こうと!」思ったのはないか、というのがGGIによる根拠なき推測であります

 いかがでしたか、いくらかあなたの肋骨のあいだを涼風が吹きぬけていきましたでせうか?

 グッドナイト・グッドラック!