高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、45年の歴史をもつ共同購入の会です。

若い人々から勇気をもらいました

2019-10-13 09:00:00 | 日記
若い人々から勇気をもらいました! -大学の授業で話をして- 

                                       
 この7月に担当の先生から依頼を受け、高知県立大学の地域学概論の講座で「食の安全と土といのち」のテーマ
で話をしました。「地学共生」の教養科目で外部講師14人による授業のうちのひとつです。対象は、看護学部、
管理栄養学部、社会福祉学部の学生201名で、一学期最後の授業でした。

 この授業を依頼された時に一番考えたことは、今の若い人達に自分のこととして食の問題を捉えてもらうため
にはどうしたらよいかです。そこで、最初にコンビニで買ったサンドイッチ、おにぎり、カップラーメン、飲料
など7種類を持って行き、教室の前列から回しながら、食品添加物のお話しをすることにしました。
 

 次に農薬に関しては、2家族が10日間オーガニック生活に変えた後で尿の農薬成分が減ったという調査結果を
グリーンピースが監修した動画を映すことに。最後に土といのちの40数年にわたる活動を紹介するというシナリオ
を作り、パワーポイントにまとめて話をしました。

 話をするまでは、今の学生がどんな風に話を聞いてくれるのか不安でしたが、授業では実物の品物を裏返して
見ながら、こちらの話を聞いてくれる学生が大勢いました。1ヶ月後、18人もの学生がこの講義のことが一番印
象深かったと選んでくれ、そのレポートが送られてきました。それぞれの文章を読むと、一人ひとりが講義の内
容の細かいところまでしっかり聴いてくれており、しかもこちらの意図も受け止めてくれていたことが分かり、
とても感激しました。「そうか、若い人は学校では全くこういった情報に接する機会が無いために、単に知らな
いだけ。興味を引くように情報を提供したら、ちゃんと考えることができるんだ」と勇気をもらいました。

 レポートのごく一部を紹介すると、食品添加物に関しては、「実際にサンドイッチやおにぎりは普段からコン
ビニなどで手軽に購入できるため頻繁に食べる機会が多い。しかし、身体に良くない食品添加物が多く含まれて
いると聞いた時は、これからの食生活に気をつけようと思った」、「1回の食事における食品添加物の摂取量が少
なかったとしても、何年も何十年もとり続けることによって様々な病気きを引き起こしてしまうんだろうなと感
じました」などと、これまで知らなかったことに素直に驚いて、考え始めています。

農薬に関しては、「今まで私は、国内産の野菜は安全という先入観を持っていたが、日本は実は農薬大国で農
薬に対する規制も緩和されているということを知って衝撃をうけた」、「(尿中の農薬が減る結果に)1週間食事に
気をつけただけでもこんなに変化があるんだなと思った。農薬は早産や流産、発達障害、中枢神経にも大きく関
わっている事が分かった。日本は人間の体に害を及ぼすことについては厳しく調査されると思っていたが、そう
ではないと聞いて、自分で自身の健康について考えながら食事をすることが大切だと思った」、「自分がいかに農
薬を意識せず摂取していたかを思い知りました。農薬を使うことによって「便利」は増えますが、「健康」は損
なわれてしまいます。「効率重視」ではなく「安心重視」の国になって欲しいと感じました」。また農薬に関して、
印象的だったのは、自然の中で育ったり、自分で野菜を育てている学生は非常に関心が高かったことです。

地域における連携についても、食の安全の延長線上の問題として「顔の見える関係」の大事さや,料理教室な
どを通じて、地域でつくられたものを料理して食べることの意味、地産地消などについて何人もが言及していて、
これまでの土といのちの活動を良く理解してくれていました。看護、栄養、福祉とそれぞれ自分の分野を視野に
入れて、食と病気、健康そして地域とのつながりなどを具体的に考え始めた学生も何人もいました。

最後に、「以前の私は、気を止めていませんでしたが、この講義を受けて、家族の健康のために無添加の食品
やオーガニック食品を使って料理するという母の心がけの素晴らしさに気付きました」と、母親のこれまでの食
への配慮に気付いた学生も複数いました。土といのちの会員のお母様方のこれまでの努力も決して無駄ではなく、
しっかり受け継いで行かれる可能性があると感じました。これも嬉しいことのひとつでした。 

                                            丸井 美恵子

※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知せ』2019年10月号より転載しました。
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