春の県展が始まりました。
今年の作品はこれです。
真っ白な牛革にモノトーンで描いています。 真っ白な牛革ーそんなのあるのか? あるんですよ。多少染料がむらになりやすいのが難点ですが、クリアな色彩が得られます。 その「むら」も今回は単調な色彩に変化をつけることになって、かえって良かったんではないかと思います。
今回はろうけつ染めの部分はほんの少しで、絵を描くように染めていきました。 写真では分かりにくいですが、手前の直線から下の部分や、青いしずくはスタイロフォームを入れて立体的に仕上げてあります。 中央にろう散らしを入れたくらいで、技術的にはさほど凝っていません。
さて、題の「CURRENTーながれー」ですが、
元になっているのは、こんな風景
ええ~? なんでこれがこうなるの?
すみませんねえ。
ここから水は川下に向かって流れ町の人々の生命を支えています。 ここから人々は山を下り、町は栄えて山里は過疎になりました。 でも、まだまだ古里の棚田を守る人がいて、ていねいに植え込まれた稲が美しい曲線を描いています。 ここには遠い昔から変わらぬ風景があり、行く手には近代化されたビルの都市があります。
真ん中を貫く三つの曲線は、川の流れであり、人や物の流れであり、時間の流れです。山から町へ、自然から文明へ、過去から未来へと続く、様々なながれを表してみました。
というのはぜんぶこじつけです。
最初はね、写真の中から気に入ったラインだけを適当に描いていっただけなの。 変化をつけるために直線を入れてラインをずらしてみたり、しずく型の森を入れてみたり、曲線に対する直線のかたまりを入れてみたら、都会みたいになった・・・・・
題が決まらないというと、下の娘が
「そもそも、最初の意図は何なん? ねらいがはっきりしとったら題は決まるじゃろ?」
うう・・
参考までにいろいろな人に感想を求めました。
ぶじこは「三途の川か?」と言いました。
そのほか、見た人の言葉
「銀河?」
「たどり着いたさきはどこなんでしょう?」
「未来都市みたい」
「宇宙ですか?」
「鉄腕アトムをとばしたらいいんじゃない?」
挙げ句の果てに 「どういう心境の変化?」
はいはい、もう、どうとでも。
やはり頭の隅にあったのは、山里こそ今の繁栄の源ではないかという想いでした。 遠い昔の人々の、勤勉な過酷な暮らしから発展してきた今の文明、命を支える源流。 未来都市にふさわしく、時間や水、風潮など諸々の流れを意味するCURRENTという言葉を使ってみたのですが・・・
この英語の使い方、合っているでしょうか? だれか教えてくださ~い。
でも、間違っててももう訂正できません。 だって19日から展示ですから。 春期県展は無審査なので出品した作品はすべて展示されます。
振り返ってみれば難点はあるものの、でもまあ、おおむね好評でした。 そして、見た人全員が、(辛口2人娘ですら)ほめてくれた部分。 それは
手作りの額縁! でした。 このカーブ、土台作りも革張りも苦労したのよ~。 ていうか、中身をほめてほしい。
あ、中身は自分ががんばらないとほめてくれないのですね。