バスはいつの間にか海辺を走っていました。 (へへ・・つい居眠りを)
小さなどこか懐かしい漁港をいくつか過ぎ、入り組んだリアス式海岸の美しさに見とれているうちに八幡浜市真穴(正確には、真網代 小網代 穴井の3地区)に着きました。
座敷雛は、ここで生まれた長女の初節句を祝って座敷いっぱいに風景を形作り、その中にひな人形を配して飾るというもの。 毎年4月2日、3日の二日間だけ一般公開されています。 今年公開されているのは3軒です。
バス一台がやっと通れる狭い道を、何台もの大型バスが来ていました。
「3時を目安にバスに帰ってきてください。」と添乗員さん。 3時までにではなく、目安で良いんです。長年見たい見たいと思っていた座敷雛についにお目にかかれます。 本場の座敷雛ですよ。
さっそく一軒目のおうちに向かいます。 みんながぞろぞろ歩いているのでついていくと、
まあ!
入り口は黒山の人だかり。
それでものろのろと人の波が動いて家の中に入ることができました。 もう何十年も前に見た上野のパンダ舎を思い出しました。 あのとき警備の人が「立ち止まらないでください、ゆっくり進んでください。」と繰り返していましたっけ。
薄暗い室内に目にも鮮やかな雛飾りが広がります。
「雅」と題がつけられていました。
遠く海の向こうから朝日が昇っています。 本当に赤い明かりをともしていました。
左には棚田。 かやぶき屋根には翁と媼が住んでいるようです。 手前にはお供えのごちそうがずらっと並んでいました。 松の木には小鳥がとまっているという緻密さ。そして全体の雄大さ。 すばらしいおひな様でした。
もう人が多くて思うように写真は撮れません。
土間の隅にはこんな小さな庭がつくられ、本物のたけのこが埋められていました。
5分も歩かないうちに2番目のおうちに着きました。
こちらのおひな様は、「小川の里の春」だったかな?
中央やや右寄りにおひな様。 なんと、石垣の段の上に座っています。 お庭には小さな飛び石も。
穴の開いた奇岩を岩山に見立て、そこから蕩々と水が流れてきています。 遥か遠くには富士山がちょこっと頭を見せてー。
ここではしかし、お供え物に注目。
お供えするものはどの家もほぼ同じだったと思います。 ここの鯛の大きいこと。 50センチはゆうにあるでしょう。 ちょっと見たことのない大きさでした。
そして隣にある伊勢エビがまたすごい!美しく水引で飾られた、超巨大伊勢エビ。
菱餅や紅白餅も何もかもがでかかったです。
3軒目のおうちはさらに5分ほど歩いたところにありました。
おひな様を挟んで
西に都の三重の塔
東に富士山、という設定かな? 題は「富士山なんとか」 人だかりでよく読めなかったのです。
遠く富士山は輝いていました。 他のうちでもですが、お供えのお菓子や寿司がとてもカラフルでかわいかったです。
どのおうちでも、初節句を迎えた赤ちゃんの写真がたくさん飾ってありました。 一緒に写っているお父さんやお母さん、その他の家族の皆さん、みんな笑顔がいっぱいで、この家に赤ちゃんがもたらした幸せを感じることができました。
こんなにも待ち望まれて大切にされてここの子どもは大きくなっていくのです。 でもお金がかかるだろうなあ。 あのお供えだけでも・・・・・ ついつい費用の試算をしてしまう、ビンボー性のわたしでした。