実はわたしは、しめなわを作るのは上手なんです。 というのは、このあたりの学校では、老人クラブの皆さんが子どもたちにしめなわ作りを教えてくれることが多く、わたしも一緒に作っていたからなのです。
わたしの父もしめなわ作りは上手でした。 中予地方独特のしめなわの他に自分で工夫した豪華な玄関用を作っていました。しめなわは男が作る物と決まっており、女のわたしは見るだけでした。
今では、男子も女子もしめなわを作ります。 ある学校では、男子はおじいさんたちからしめなわ作りを習い、女子はおばあさんからお手玉作りを習っていました。 今の時代にもそんなことが・・・とびっくりしてしまいました。 そこで男子にもお手玉を、女子にもしめなわを作らせて欲しいとお願いしたところ、あっさりOKされました。 ただ今までそうしてきたからという理由で男女別々の物を作っていたらしいのです。
そして、学校では「しめなわ」と言わず「しめかざり」と言うことが多いです。「しめなわ」には元来宗教的な意味があります。 でも、宗教的な意味よりも、お正月の飾りとして親しんで欲しいという事だと思います。
初めて老人クラブからしめなわを習ったとき、わたしは、子どもの頃から見なれた中予地方のしめなわを作ろうとしていました。
1 わらを揃えて持ち縄をない始める場所をわらでしばります。
わたしがわらの真ん中あたりをしばっていたら、
「先生、そりゃ下すぎるぞな、もっと上の方をしばらんと。」「ええ? そうなんですか~。」(ちょっと不満なんだけど)
2 縛ったところから上をなっていきます。 途中、わらを1本、3本、5本と足して垂らします。
「先生、わらを足すのがおそいわい。 もうちょっと早よう足さんと。」「ええ? そんなにしたら形がゆがんでしまいますよ~。」
「それでええんじゃがね。 熨斗(のし)の形になるじゃろ?」
裏から見たところ。 のしの反対になっていますね。
なるほど、それで見本がどれもこれもゆがんでたのね。 中予地方のしめなわは、垂らしたわらがほぼ中央にくるのできれいな円になるのです。
3 最後まで縄をない、垂らしたわらと一緒にまとめて縛ります。 さらに紫と金の紙を巻き、水引で縛ります。
4 山草(うらじろ)をつけます。 玄関用の大きいしめなわには、うらじろの他にだいだい、ゆずり葉をつけます。
こちらでは裏口などに飾る小さいしめなわにはうらじろとゆずり葉しかつけません。 でも、中予では小さい葉つきみかんをつけます。わたしは子どもの頃からこの葉つきみかんが好きで、しめなわにつけた残りを食べるのが楽しみでした。 結婚してから、わたしが当然のように葉つきみかんを買って帰ったら、義母がえらく不機嫌になりました。 こちらではみかんは巳正月(新仏さんの正月ー12月の巳の日にする)につけるので縁起が悪いのだとか。 全く正反対の習慣に唖然。
そして、ゆずり葉。 こちらでは「わかば」といって欠かせない物ですが、生家ではつけませんでした。 年に一度、それも数枚の葉を使うためだけに我が家ではこんなに大きな木を植えています。
こんなふうに峠ひとつ隔てたあちらとこちらではしめなわに違いがあるのです。 でも、ここ2,3年異変が・・・・
産直市場などで中予型のしめなわが売られるようになったのです。 遠く松山あたりからもお客さんが来るからでしょうか。 「新居浜はこれじゃないんよ。」などと言いながらしめなわを見ている人もいましたから、新居浜市のしめなわもまたちがうのでしょうね。
ネットショップのしめなわを見てみると、こちらはわらで作ったリースがいっぱい。 これこそ「しめ飾り」ですね。 デザインも豊富できれい。でもお高い!
わたしも、しめなわのあまりのわらでミニ飾りを作ってみました。
今年も残りわずかですね。 ブログを始めて半年、つたない文章を読んでくださった皆様、コメントを寄せてくださった皆様、ありがとうございました。 来年も変わらずおつきあいくださいませ。
では、よいお年をお迎え下さい。