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1月31日(木) ある朝礼

 ある会社が朝礼をしております。社長が社員を集めて訓示を垂れておりました。社員の中に一人、人の心が読める人がおります。で、社長の心の中を読んでもらいました。
  
えー、本日は1月31日です。1月はいぬ、2月は逃げる、3月は去る、4月は死ぬ、と申しまして、月日の経つのは誠に早いモノがあります。ついこのあいだお正月だといっていたのが、もう2月です。
 さて、わが凸凹電機も今年で創立50周年。思えば私の父である会長がこの地に小さな配電盤の組立工場を作ったのが、わが社の始りでした。父がある程度育てた会社を、社長の息子というだけで、私は社長になりました。創業者の息子だから当然のことです。それから会社はどんどん大きくなりました。これはひとえに私が有能だからです。
 私の方針に異をとなえる者もいましたが、この会社は私のものです。そのような者は辞めてもらいました。私のいう通りしておれば間違いないのです。
 会社は大きな利益を上げておりますが、この利益はすべて私のものです。私と、株主の家族、親戚で山分けすべきです。私の会社ですから当然でしょう。
 従業員どもは組合なんぞを作って、利益を労働者にも配分せよなんぞとバカなことをいっておりますが、雇ってやっているだけで有難いと思わねばなりません。恩知らずもはなはだしいです。
 かような連中はみんなリストラでクビです、私のいうことだけを聞く忠実な従業員だけを正社員とします。この連中でさえ残業代を出せなんぞといっていますが、連中は全員管理職にしてやります。なんせ管理職には残業代を出さなくてもいいんですから。管理職といっても名ばかりです。
 で、一般従業員は全員、派遣社員と契約社員に切り替えます。このような人たちは使い捨てだからクビにしたり雇ったり自由です。それにものすごく安く使えるからロボットを入れるより安あがりです。
 この会社は私の持ち物。私さえ儲かればいいのです。文句のある人は会社から出て行ってください。

 こんな会社、日本にあるかな? こんな社長、日本にいるかな? いませんね。社長なんだから、なにせ会社で一番偉い人だから、人格高潔な人ばかりです。自分のことよりも従業員の幸福を最優先で考える人なのですから。
 あ、そこの社長、別に胸に手を当てて考えなくてもいいですよ。 


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1月30日(水) にんじんの葉


 にんじんの葉を大根の葉と同じようにした。小さな葉っぱがかわいい。
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光の帝国 常野物語


恩田陸            集英社

 アメリカのSF作家ゼナ・ヘンダースンの「ピープル」シリーズを本歌とする連作短編集。本歌の「ピープル」シリーズも、あとがきで恩田さんもいっているが、穏やかで品の良い連作だ。アメリカSFというと小難しいハードSFやら能天気なスペースオペラばっかりと思っている人にお勧め。確かハヤカワ文庫の青背で出ているはず。表紙のイラストは小生の好きな新井苑子さんで、この作品のイメージにぴったり。
 で、この「光の帝国」だが、「ピープル」シリーズに負けず良い連作集だ。いや、小生は「光の帝国」の方が好きだな。
「常野」という所をルーツとする人々がいる。この人たちは様々な超能力を持っているが、その力を世の中に知られることを恐れ、ひっそりと暮らしている。しかし、この力は決して彼らに幸をもたらしはしなかった。
 10篇の短編が収録されているが表題作の「光の帝国」と「黒い塔」がいい。
まず「光の帝国」戦前の昭和時代。東北の山奥。ここに「ツル先生」という老人がいる。昔、昔、大昔から教師をしている。信じられない昔から、「ツル先生」は教師をしていたらしい。
「ツル先生」が学校をこしらえた。不思議な能力を持つ子供たちと、不思議な先生たち。この山奥でひっそり暮らす彼らにも暗雲がたれこめる。彼らの不思議な能力に目をつけた軍が、戦争に協力させようとやって来る。そして大きな悲劇が。「能力」を持つがゆえに不幸になった教え子と先生たち。あまりにも悲しいラスト。涙を誘う。
「黒い塔」時代は現代。平凡なOL亜希子は最近、自分に不思議な力があることに気付く。なにげない拍子に物が壊れたりする。それと同時に身の回りに不吉な予言めいたことをする人物が。
 父親の病気が悪化。亜希子は深夜バスに乗って故郷の秋田に帰る。その道中にバスが事故。
 亜希子も「能力」を持つがゆえに思い悩む。そしてある大きな流れに呑み込まれて行く。バスの事故のシーンが迫力。臨場感がある。このバスの事故がこの物語のキーとなる。
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1月29日(火) 働いた分は支払え

 マクドナルドの直営店の店長が、管理職とみなされて残業代を払わないのは違法だとして、日本マクドナルドを訴えていた。
 28日東京地裁で判決が出た。原告側の店長の訴えが認められて、裁判所は日本マクドナルドに過去2年分の残業代750万円の支払いを命じた。
 この店長、管理職とは名ばかりで、仕事上の権限はほとんどなく、待遇面でも管理職として遇されていなかった。以上のことを裁判所は考慮して、店長は「管理職」に当たらないと判断して、この判決をだした。
 この判決に対して日本マクドナルドは「控訴する方向で考える」とのコメントを出した。
 東京地裁はしごく真っ当な判決を出した。店長とはいいながら、営業時間、店のメニュー、店員の採用、出勤時間などの裁量権はなく、待遇面でも部下の平均収入より下回っていたとのこと。これでは誰が見ても「管理職」とはいえない。同店長はあきらかにタダ働きをさせられていた。労働基準法違反。人件費抑圧の方便としか思えない。
 未払いの残業代を支払うのはもちろんだが、店長に精神的な苦痛を与えたわけだから、慰謝料を支払うべきだ。それなのに「控訴」するとはもってのほかだ。いったい日本マクドナルドは何を考えているのか理解に苦しむ。この「控訴」するというアホなコメントを出した人。この人がこの店長と同じ立場に立って同じ仕事をした上で、かようなアホなコメントが出せられるか聞いてみたい。
 労働基準法ほど、ザルな法律はない。今の日本では採用する企業と、採用される労働者では、圧倒的に企業側が有利。特にリストラされた中高年は、どんな企業でどんな待遇でも採用してやっただけありがたいと思えということ。
 人を採用する時は年齢を選考基準にしてはいけないことになっている。確かにハローワークでの求人票は「年齢不問」となっているが、実際は年齢が一番大きな採用基準となっている。このあたりのことも、もっと法律の適正な運用をして、罰則を設けるべきだ。例えば、違反した企業の求人はハローワークで扱わないとか。
 小生はリストラ後5社を渡り歩いた。6社目の今の会社では法定どおりの残業手当をもらっているが、それ以前の5社はどこも残業手当は出さなかった。労働者は労働力を売って収入を得て生活している。その労働力を買った企業はその代金を支払うのは当然である。社員に残業させているのに残業代を出さない企業は労働力を盗んでいるのである。窃盗犯だ。このような窃盗犯は労働基準法だけではなく、刑法でも罰すべき。労働者から窃盗行為をしているのだから。
 ともかく「女工哀史」や「カニ工船」の時代よりましになったとはいえ、労働者は弱い立場だ。この労働者が頼るべき存在は労働組合と労働基準法。組織されていない非正社員の労働者、さらには求職活動中の人にとっては何も頼るべきものはない。企業の好き放題される。
 企業に正義はない。あるのは存続することと利潤を上げることだけ。企業の好き勝手を決して許してはいけない。企業と労働者。この両者は本来対等の立場であるべきだ。
 働いたら働いた分は給料を支払う。このしごくあたり前のことができない企業が多すぎる。
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1月28日(月) 占いは嫌いだ

「探偵ナイトスクープ」の前局長上岡竜太郎氏は、占いとかオカルトとかいうもんが大嫌いな人だ。番組中に探偵のだれかがこの手の話をすると本気で怒ったことがある。小生も上岡氏と同じ。オカルトは多少興味がないでもないが、占いは大嫌い。生まれてから一度も見てもらったことがない。
 あのようなええかげんなものを本気で信じる人がいるとはまことにもって不思議。もし占いが信じるに足るものならば科学的に証明されるはず。星占いなんぞは、なぜ天体の運行が人の運勢に影響するのか理解できない。
 占いの範疇に入れていいかどうか知らないが、血液型性格診断というのがある。あれもどうもうさんくさい。A型はこういう性格。B型はこういう性格というが、では、A型の人は、その人をA型の性格にする因子を体内に持っているはず。で、A型の人は100パーセントこの因子を持っていて、その因子とはなにか、どういう物質なのか解明されなければならない。他の血液型も同じで、A型因子とB型因子ではどう違うのか。それらの因子が人間の性格にどう影響するのか、だれでも納得のいく形で説明してもらいたい。それが科学的というのも。
 占い師の話術に客が惑わされている側面もあるのでは。例えば「あなたの近所に川がありますね」と、占い師にいわれた客は、ハッとして「確かにウチの近くに川がある。この占い師よう当てるな」となって、あとは占い師の話術に巻き込まれてしまう。
 だれの近所にも川ぐらいある。ようは近所とはどのへんまでを近所というか。家のすぐ前も近所だし、電車で一駅でも近所といえる。川もそう。家の横のどぶ川でも川で、アマゾン川でも川だ。それをしかつめらしい顔をしてズバリといわれると「当たった」となる。
 占いは、その人が後天的に持った特質を、さも生まれつきのように、前世の因縁のようにいう。
 例えば干支。丑年の人はコッテリ。子年はチョコマカ。亥年は猪突猛進。あれは原因と結果が逆では。丑年生まれだから、コッテリした性格になるのではない。丑年に生まれた人は幼少のころより「あんたは丑年生まれ」といわれて育ってきたから、そのような性格になってしまうのでは。
 手相も同じ。手相は手のシワを見るわけだろう。ペンしか持ったことがないモノ書きと山で木を切る木こりでは当然、手のシワのでき方も違うだろう。
 手は人間の器官で最もよく使うところ。だから人それぞれ、生まれてから育って、生活していくうちに従って手の使い方も千差万別。手のシワも千差万別。
だから、こういうシワの人はこういう運命になるのではなくて、こういう運命の人がこういうシワになるのだろう。
 ともかく小生は占いが大嫌い。
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黄昏


監督 マーク・ライデル
出演 ヘンリー・フォンダ キャサリン・ヘップバーン ジェーン・フォンダ

 長い間不仲だった父と娘が和解する。父は80歳の心臓を病む老人になっていた。この役を実際に不仲だったヘンリーとジェーンのフォンダ親子が演ずる。
 老人となった名優ヘンリー・フォンダが実に結構な老人ぶりを見せてくれる。
ボケているのかまともなのかよく分からないまだらボケで、妻や娘、娘の再婚相手の連れ子を相手にイヤミや皮肉をいう。偏屈で決して好々爺ではない。このまだらボケの皮肉屋の夫をしっかり受け止める老妻のキャサリン・ヘップバーンも見事。老境に入ったアメリカを代表する名優と名女優の演技が見ものである。またアメリカを代表する美女ジェーン・フォンダもしっかり肉体美を見せてくれる。歳は取ったがなかなかのナイスボディ。
 父と娘、夫と妻、老人と少年など様々な人間模様がゆったりと描かれている。父と娘の関係はギクシャクしているが、娘の誤解と見受けられる。登場人物はみんなゆったりとしいて生活に余裕がありそう。お金には困っていない人たちなのだろう。しっとりとした名画といえよう。
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1月27日(日)その2 ダイコンと大根


 これは大根である。これがダイコンならば大阪で開催される日本SF大会のこと。SF大会は第N回日本SF大会というのが正式名称だが、各大会には愛称がつく。大阪の場合は大の字のダイと、コンベンションの略をあわせてダイコンとなる。今年は岸和田で、7回目の大阪での日本SF大会が開催される。愛称はダイコン7。東京ならトーコン。横浜ならハマコン。神戸ならシンコン。また現在の地名を略したのを使わず、京都ならミヤコン、北海道の場合はエゾコン。地名をそのまま略したのを使わず、小倉の大会は思いっきり飲もう、ということでコクラノミコン、島根の玉造温泉の時は、ゆっくり温泉につかりながらSFを語ろうということでゆーコンといった。
 日本SF大会ではないが、神戸でSFフェスティバルをやった時は、その時たまたま神戸でユニバーシアードが開かれていたので、ユニコンと呼んだ。
 それはそれとして、これはダイコンではなく大根である。大根ほど融通無碍な食材はない。大根を単独で食べる料理として、風呂吹き大根などは冬には必ず食べたい。おかずがない時は、大根おろしに、ちりめんじゃこ、のり、醤油とレモン汁をちょっとたらして、熱々ご飯にのせて食うとうまい。
 かんとだきでも大根は欠かせない。他の素材のうまみをたっぷりと吸った熱々の大根。箸ですっと切れて、はふほふ食って熱燗をグイッ。た~まりませんな。スペアリブといっしょに煮ても、牛すじ、鶏手羽なんかとも相性はいい。でも、この時期なのでブリといっしょに煮た。冬のおかずの定番である。元々、ブリがよく獲れる富山、新潟の郷土料理らしい。
 ブリのアラに塩してしばらくおく。熱湯をくぐらせ冷水に入れて、下ゆでした大根といっしょに煮る。煮物はさめる段階で味がしみるので、晩御飯に食べるのならば昼から煮ておこう。
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1月27日(日) ゆずのジャム

 季節のものだからゆずでジャムを作る。ゆずを細切りにして、水にさらして一度水からゆでて、砂糖、ゆずの汁、水で20分ほど煮る。木べらでかき混ぜ、鍋底が一瞬見えるぐらいのトロみがでたらできあがり。
 甘くて、ちょとだけにがくて、ゆずのいい香り。おいしい。紅茶に入れたり、ホットウィスキーに入れてもよさそう。

追伸
 ホットウィスキーに入れて飲みました。ゆずの良い香りが際立って最高。おいしいです。甘くて、暖まるし、ぜひお勧め。
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1月26日(土) スパゲッティカルボナーラ


「美味しんぼ」でスパゲッティ対決のエピソードがあった。イタリア料理人が海原雄山にアドバイスを求めた。雄山は試しにスパゲッティカルボナーラを作らせる。雄山は一目見ただけで食べもせず、料理人を失格と断定した。
 山岡士郎が同じようにカルボナーラを作って、料理人のものと比べる。あきらかに違う。何が違うか。山岡はソースに卵黄だけを使った。料理人は全卵を使った。この料理人、イタリアまで修業に行ったプロの料理人ということになっている。
 この設定は明らかに不自然だ。プロのイタリア料理人がカルボナーラのソースの作り方を知らないはずがない。そんなことは素人の小生でも知っている。野球マンガで、プロの打者がヒットを打って、打席から三塁に走って、その間違いを指摘するようなものだ。
 と、いうわけでスパゲッティカルモナーラを作ろう。まずスパゲッティを茹でる湯を沸かす。鍋にオリーブ油をいれてベーコンを炒める。ベーコンは塊を自分で切った方がいい。ボールに熱湯を入れて温めておく。スパゲッティを茹でる。茹で上がったら鍋に入れてベーコンとからめる。
 熱くなったボールに卵黄と生クリームを入れる。そこにベーコンとスパゲッティのからまったものを入れて和える。パルミジャーノレッジャーノを削って皿に盛る。荒挽きの黒こしょうを振って食べる。
 ポイントは冒頭でいったように卵は黄身だけを使う。卵と生クリームを入れるボールは熱くしておく。ボールが冷たいと卵が固まらず、ソースがねっとりとしない。チーズは緑色の筒のアメリカK社のパルメザンチーズではなく、塊のパルミジャーノレッジャーノを削って使おう。香りが全然違う。 
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1月25日(金) 立つワニ

 こんどは立つワニだとさ。今日1月25日付の朝日の1面。広島県の宮島水族館のワニが立ったというんで人気を呼んでいるとのこと。ワニが立つとカワイイらしい。ワニはあまりカワイイといわれたことのない動物。動物園には色々な動物がいるが、ワニはどっちかというと地味目の動物で人気者になるというタイプではない。それが立つとカワイイと人気に。立てばかわいいのなら、獣脚類の恐竜、例えばティラノザウルスやヴェロキラプトルも2本足で立っているのだが。
 ちょっと前は立つレッサーパンダ、また頭を抱えて悩むクマも人気。これらの動物はなぜ人気者になったのか。立つ、あるいは頭を抱えて悩む、これらの動作は動物はあまりしない。人間がする動作である。その人間がする動作を動物がする。
わ、見て見て、あのクマ、まるで人間みたい。キャー、カワイイ。と、いうことなのだろう。これってものすごい人間の思い上がりではないだろうか。人間が上、動物は下、という固定観念があって、下の動物があたかも上の人間のようにふるまう。で、カワイイということなのだろう。
人間も動物も本来平等なものだ。同じ地球の住民、たまたま今は人間が文明を築きデカイ顔をしているが、この文明もずっと続くわけがない。そのことを忘れ、人類は万物の霊長なんぞというアホなことをいっているから、地球の生態系を狂わし、ひいてはそれが自らの首を締めているのだ。
動物は野生の状態が一番美しい。地を走る獣、海を泳ぐ魚、空を飛ぶ鳥が美しいのだ。ワニは元々の生息地の沼地や川でゆったりと生きている状態を見るのが一番美しい。水族館で立つワニは痛々しいだけだ。 
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1月24日(木) 半導体の仕入れ

 リストラされるまで27年いた会社は、財閥系の某電機メーカーの下請けで、通信機器を主に製作している会社だった。光通信、衛星通信、ITV.防災無線などを手がけていた。
 小生はこの会社で資材部に所属して、購買仕入れ、在庫管理、外注管理、生産管理などの業務を担当した。この中で購買仕入れが一番長かった。
 電子部品の購買をやった。半導体、抵抗、コンデンサー、コネクター、リレー、スイッチ、などのパーツを主に扱った。メインは半導体だった。LSI,IC,トランジスター、ダイオード、LEDなど。いまはどうか知らないが、小生が購買をしているころは半導体は農産物と同じだった。つまり、半導体市場は供給過多か供給不足かどちらかの状態が多く、需要と供給のバランスが取れている時の方が少なかった。こちらは買う方だから供給過多の時はいい。困るのは供給不足の時。設計者が指定したICを入手するのに困難を極める。こういう時こそプロの購買担当者の腕のみせどころ。
 昔、なんのゲームだったか忘れたが、あるアーケードゲームが流行った時、テキサスのSN74LS175NというゲートアレイのICがこのゲームで多く使われた。このICは小生の会社でも多く使う。何社かの取引先の電子部品専門商社から情報を得ていたので大量に仕入れて在庫していたが、在庫も無くなってきた。取引先も最大限努力して納品してくれたが限界がある。こういう半導体は投機の対象になり大量に買い占めている者がいて、それがさらに品不足に拍車をかけている。この手のゲートアレイは他の半導体メーカーでもコンパチがあるが、各社の74LS175という型名のICはいずれも不足。
 代替えのICで設計変更して本チャン用はなんとかしのげそうだが、実験用にどうしても74LS175が数個必要になった。それほど親しくはないが、時々半導体を仕入れているパーツ屋が日本橋にある。そこに買いに行った。
「まいど」
「あ、久しぶりでんな」
「74LS175はあるか」
「おまへん」
「そうか。凸凹無線にやったらあったで」
「そうでっか」
「うちな、設計変更してこのIC次のオーダーから使わへんねん。かわりにモトローラのIC使うねん。凸凹無線に見積もりだそ思てんねん」
「ちょっと待っておくんなはれ。確か倉庫の奥に74LS175があったかもしれまへん」
「あったあった。何個いりまんねん」
「50個や。モトローラのICあんたとこにも見積もり出すわ」
 実はこの店のショーケースの中にテキサスのSN74LS175Nは数個並べてある。価格は小生がいつも仕入れている価格の10倍。素人の客ならその値で売るのだろう。ところが小生はプロ。そんなICは有っても無いのと同じ。相手も小生にそんな価格で売ろうとはしない。で、ショーケースの中のICを無視しつつ上記の商談となった。

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とつぜんリストラ風雪記 2

とつぜんリストラ風雪記 1 


第2章 M電機とK電気の関係

 2002年9月27日の朝の常務の話。
「ご存知の通りわが社は今、大変に苦しい経営状態です。親会社のM電機からの受注が大幅に減少しています。M電機自身もNEC、富士通、日立や東芝との受注競争で苦戦をしいられていて、コスト削減のため内作の占める割合が大きくなり、私たち協力会社への外注が大幅に減っております。そこで、46歳以上の正社員を対象に早期退職希望者を募ることになりました」
 電電公社の電話機修理業者としてスタートしたK電気も、電電がNTTとなり、電話の仕事から完全撤退。M電機の仕事100%となっていた。資本こそ入っていないが、M電機退職者の受け皿となっていた。幹部クラスの社員から、課長係長クラスまでかなりの数のM電機退職者がいた。M電機で不要となった社員の捨て場所だった。いわばK電気は、M電機のゴミ捨て場だった。
 K電気の場合、不要品の捨て場がない。K電気にも協力会社がある。それらのK電気の協力会社、ようするに下請けはこの時点で半数以上がK電気と縁を切っていた。そのうちの多数は廃業。優秀な技術を持ち、向こう先の見える会社は早々にK電気に見切りをつけて他社の仕事を始めていた。
 関西でM電機の協力会社で主要な会社は3社。そのうちK電気が、M電機からの受注量も会社の規模もトップだった。ところが他の2社はM電機以外の仕事をしたり、自社ブランドの商品を持っていた。K電気だけがM電機の仕事100%だった。M電機が風邪をひけばK電気が肺炎をおこす。頭から小便をかけられても、それがM電機の小便なら喜んでかかっている。K電気はそんな会社だった。
 小生は1993年にK電気労働組合の副執行委員長を務めていた。労使委員会や団交などの機会に、組合はM電機におんぶにだっこのK電気の状態にたびたび危機感を表明していた。NTTの仕事から完全に撤退したが、もう一度NTTに営業活動をする気はないか、と会社に問うた。会社の回答はM電機の仕事で手一杯でそんな余裕はないとの回答だった。そういう会社の体質でありながら2000年には本社工場を新築している。
 早期退職の募集期限は10月いっぱい。1ヶ月の考慮期間が与えられた。最初の個人面談が10月9日に行われた。そこで早期退職の具体的な条件が提示された。退職の方法は2種類ありどっちか選択できる。

A 11月15日を持って退職。退職金はある程度割増。
B 2年間はK電気に籍だけあり。出社の必要なし。2年の間は60パーセン
の月給を出す。アルバイト程度ならしてもいい。他社に正社員として雇用さ
れば、その時点でK電気を退職。

 この時点では小生は退職するつもりはなかった。K電気に残るムネを表明し
て席をたった。あとで同僚のM氏に聞くと彼は退職を決心したとのこと。M氏
は小生より二つ年上。
 小生は社内で情報収集に努めた。元副委員長なので、その時の組合幹部に顔
が聞く。その筋から得た情報では、今回はとりあえずのリストラで、来年にな
ればもっと大規模な第2次の募集がある。そして最終的には指名解雇となる。
と、いったものだった。
 それから一週間後、常務が話しかけてきた。「君はどうする」「私は残るつもりです」この時常務は指名解雇の可能性を口にした。常務の態度から小生はこの時、事実上の肩たたきだったと判断した。
 様々な情報を元に判断すると、指名解雇は確実に実行される。そうなると退職金の割増も、条件Bの特典もない。夜遅くまで家族とも相談してK電気を去る決心をした。
  

                               つづく
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1月23日(水) ケータイで怒るおばさん

 今日、帰りの電車を降り、改札を出たところで、おばさんが携帯電話をかけていた。顔が真っ赤。なにやらえらい怒っている様子。横を通るとき聞こえたのだが、「あんた、なんべん私をだましたらわかるんや」と、いうようなことをいっていた。通り過ぎても気になるからチラッと見ると、うんうんと首を振っていた。どうやら相手がなにやらいいわけをいっているのだろうか。ひととおり聞くと、さらに怒りだした。
 携帯電話をかけながら、あんなに怒っている人は初めて見た。相手はだれだろう。ダンナ、友だち、恋人、不倫の相手?
 

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2007年に観た映画ベスト5

 小生が2007年に観た映画ベスト5は次の通り。これはあくまで小生が昨年にはじめて観た映画であって、2007年公開の作品ではない。また「ワイルド・バンチ」「スティング」「大脱走」などの名作も、この「とつぜん映画館」で取り上げているが、これらの作品は何度目かの鑑賞なのでこのベスト5には入れない。では、

1位 ゆれる
   監督 西川美和
   出演 オダギリ・ジョー 香川照之 伊武雅刀
 ゆれる。ゆれる。つり橋がゆれる。人の心がゆれる。兄弟仲がゆれる。そして真実がゆれる。

2位 阿弥陀堂だより
   監督 小泉堯史
   出演 樋口可南子 寺尾聡 北林谷栄
 大人のトトロ。都会の生活に疲れた夫婦が自然豊かな田舎に越してくる。美しい自然には癒されるが、そこにも生と死が。

3位 フラガール   監督 李相日
   出演 蒼井優 松雪康子 豊川悦司 岸辺一徳
 みんなでコトを成し遂げる。友情、反目、和解、紆余曲折があるが、最後はみんなの心は一つに。定番のストーリーだがやっぱり感動する。

4位 カポーティ   監督 ベネット・ミラー
   出演 フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー
 出色のドキュメンタリー・ノベル「冷血」の作者トルーマン・カポーティが「冷血」を書くに当たって、殺人事件の犯人を取材する過程が綿密に描かれている。はたして「冷血」とは犯人かカポーティか。

5位 トランスフォーマー
   監督 マイケル・ベイ
   出演 シャイア・ラブーフ ミーガン・フォックス
 理屈抜き。映画は見せもんだ。げっぷがでるほどドンドンパチパチ。SFが判っていないくせにSF映画を作りたがるスピルバーグがバックにつき、あの大雑把映画のマイケル・ベイが開き直ってサービス精神全開のアクションてんこ盛り。げっぷ。
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1月22日(火) 公務員の仕事の目的

 昨夜、NHKの半井さんの天気予報を観た後(小生は明日のお天気に関心があるのだ。半井さんに関心があるとの誤解もあるようだが、お天気を知ることは大切なのだ。誤解なきよう)「クローズアップ現代」を観る。いつもの才媛のおばさんではなく、ニュースをやっているおじさんが出てきた。
 昨日のテーマは「国民健康保険加入者で亡くなる人が少なからずいる」というもの。国民健康保険に加入しているが、保険料が払えず病気になっても治療を受けられず死ぬ人がいるというもの。
 国民健康保険は自営業者、自由業、無職の人が加入しているが、この多くの人が低収入の人たちだ。小生も会社を辞め無職の時は国民健康保険に加入していた。
このような人たちにとって少ない収入から保険料を捻出するのは、大きな負担となる。その上、病気なれば収入は大幅に減少。それでなくても少ないのにさらに少なくなるわけだ。とても保険料など支払えない。保険を使った医療が受けられなくなる。医療費を100%自己負担しなければならず、風邪をひいただけで1万円ほど必要になる。
 病気になっても病院に行かず/行けず、なんとか少ない収入をやりくりして市販薬を服用して自分で治そうとする。
 癌に罹っても病院に行けず、治療をうけられないまま亡くなった人もいる。こういう人は一人暮らしがほとんど。たった一人で、頼る人もいない。お金もない。身体はどんどん悪くなる。癌末期の激痛に苦しみながら、一切の治療を受けられず、たった一人でさみしく死んで行く。
 まじめに保険料を払っている人にいわせれば、払っていない人の医療負担をする必要はない、というだろう。しかし、払えたくとも払えない人まで、死ねとはいえないだろう。
 実は手続きをすれば、特段の理由のある人は、保険料を払っていない人でも、保険を使って医療を受ける制度がある。病気で働けない、というのはここでいう特段の理由に当たるということ。ところが、小生が番組を観た印象では、こういう制度があることを行政は積極的にPRしようとはしていない。払えない人を救おうというより、いかに多くの人に払わそうという方に力を入れている。払えるのにズルをして払わない人は決して許してはいけない。そんな人には厳しく払わせるべきだ。しかし、上記のような憂慮すべき状況の人に対しては救いの手を差し伸べる必要がある。
 こういう人たちを救う方策を考えている自治体もある。大阪府堺市と滋賀県野洲市の例を紹介していた。堺市の場合は調査員が保険料滞納者の家を訪問して情報を集め、必要と判断すれば暫定的に保険を使って医療を受けてもらうという方法。野洲市の場合は市役所の各課で得た市民に関する情報を市民課に集約、市民課から保険年金課に連絡して救いの手を差し伸べるというもの。
 堺市の場合は人員を増やさなくてはいけないので予算をともなうが、野洲市の例は人員を増やす必要はない。いかにも結構なように見えるが、これってあたりまえではないのか。
 公務員の仕事の目的は何か。自分たちの保身を計り予算を獲得するのが目的ではないだろう。公務員の仕事の目的は、住民が平安に暮らせるように尽力するのが目的だろう。だから、ことさらこのような方策を取らなくても、自分の仕事とは何かを認識していれば、困っている住民がいればどうするべきかわかっているはずだ。

日本国憲法第3章第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。

 憲法はあらゆる法律の基盤となっている法。公務員だから、もちろん自分の国の憲法を知っているだろう。病気になりたった一人で苦しんでいる人がいればどうすべきか判るはず。公務員は公僕であるということを今一度思い起こすべきだ。
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