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イカナゴのクギ煮


 今年も神戸に春がめぐってまいりました。神戸の春は、港町にふさわしく海からもたらされます。神戸の春の海のめぐみイカナゴです、イカナゴ漁が解禁されました。イカナゴの新仔の生を買ってクギ煮を炊きました。まだキロ1000円を超えていますが、これからだんだんと求めやすいお値段になります。
 もう少し安くなってからにしようと思ったのですが、やっぱり春を少しでも早く感じたいので、早々にクギ煮を炊いたわけです。
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とつぜんSFノート 第40回

「本の雑誌」3月号は大森望特集である。最初見たときびっくりした。なんで大森望なんだ。確かに小生たちSFもんのギョーカイでは無視できない人物である。数多のアンソロジーを編み、「このミス大賞」の審査員をやり、あちこちのイベントで司会をし、翻訳をこなし、ブックレビューをする。まさに八面六臂の大活躍。今の日本のSF界で最も活動的な人物だろう。今はあんまりそんなことをいわなくなったが、SFファンダムでいうビッグネームファンにふさわしい人物だ。とはいいつつも大森は作家ではない。SFとミステリーといったエンタティメント本の世界の人物である。かような人物の特集を組んで「本の雑誌」は大丈夫かいなと思っていたら、聞くところによると、けっこう売れているとのこと。特異な人物のことは、知らない人が読んでも面白いのだな。
 小生は大森氏とは直接の面識はない。イベントなどで出会えば目礼を交わす程度だ。そんな小生も大森氏とはこの程度の関わりがある。小生程度のSFもんとでもこれだから、大森望の交友範囲は想像を絶する。
 この大森氏は京都大学SF研究会出身。京大SF研といえば、SNEの安田均氏、中西印刷専務で小松左京研究会会長の中西秀彦氏、この中西氏の後輩がアボくんとこと大森望。そのアボくんの後輩が東京創元社の小浜徹也氏。だから、大森氏は大学時代は関西で活動していたのだ。
「本の雑誌」にも書いていたが、彼は関西時代、海外SF研究会(KSFA)に所属していた。小生は星群の会同人であって、このKSFAの会員だったことはないが、この会のメンバーには友人知人が多い。KSFAは確か、同志社大SF研創設者の桐山芳男氏が創設者だった。 
 大森望がアボくんだったころ、KSFAは、大阪は梅田の「れい」という喫茶店で例会をやっていた。関西のタレント大久保怜という人のお店。小生も時々のぞきに行った。日曜日にこの店に行くと、2階の階段を上がった所で、いつも連中がたむろしていた。「れい」のあとは確か、今はなき旭屋本店の喫茶店、その前は旭屋大阪駅前店の喫茶店だと記憶する。今はどこでやっているか知らない。
 このKSFAの例会は、毎週日曜日。週1回例会をしている。驚くべき頻度である。星群の例会は月に1回だ。それが毎週!さらに驚くべきは、それに皆勤している人がいる。水鏡子なんて人は毎週欠かさず出席しているとのこと。阪神大震災があった時も出たらしい。確か彼は加古川だったはず。その加古川から動いている鉄道を乗り継いで、ぐるっと遠回りして大阪は梅田までやってきたとか。なんとも熱心なことである。
 星群の例会は毎月第1日曜。それ以外の日曜で、梅田に出れば必ずSFもんと出会える。彼らKSFAの存在は実に心強い存在であった。
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TPP。消費者にとってどうなんだ

 野田内閣のことから、交渉参加する、しないで、賛成反対がなかなかまとまらなかったTPPについて、安倍首相は、参加の時期、タイミングは私に任せて欲しいといった。自民党内でも、安倍さんに一任することで話がまとまったそうだ。無条件ですべての品目の関税を撤廃しないことは確認されたとのこと。
 21世紀の今、関税なるモノは必要悪と考える。なければそれにこした事はない。前世紀のように、一国ですべてが完結できる時代ならばいざ知らず、21世紀の今、経済、産業、文化、すべてが一国で完結できる国はない。地球上の国は有機的にからまり、「風が吹けば桶屋がもうかる」的に、こっちの出来事が、思わぬところに影響を及ぼす。他国の不利益は自国の不利益となり、自国の利益は他国の利益となるのだ。
 今、世界の人口は70億を超している。とても地球1個で養える人口ではない。この地球を合理的効率的に使わなければいけない。それが関税などと自国の産業を守り他国の産業を排斥するようなモノは不都合だろう。農業の得意な国は農業を、工業の得意な国は工業に専心すればいいのではないか。国際的な分業化をいっそう進めることが必要だ。地球1個がひとつの国と考えることが肝要である。各国のエゴの張り合いは人類絶滅の近道だ。
 ところで、TPPについて、大切な要素が議論から抜けていないか。農業者反対、製造業者賛成。生産者にとって、益となるか害となるかばかりが議論されている。消費者生活者にとってどうなのかが、まったく議論されていない。安い農産物が輸入されるようになる。生産者にとっては脅威だろう。しかし、消費者にとってはどうなのか。大量の安い農産物が出回ることは、表面的に見れば消費者にとっては益だろう。しかし、本当にそれが消費者にとって良いことなのか。消費者目線に立った議論も必要だと考える。
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


監督 吉田大八
出演 佐藤江梨子、佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美

 緑豊かな山間の家。両親が不慮の事故で死んだ。東京で女優をやっているスミカが帰って来た。スミカは携帯電話も使えない田舎の実家に留まる。彼女は妹のキヨミ、兄のシンジ、兄嫁のマチコと同居するようになった。
 スミカは女優といっても、殺され役でちょっとドラマに出た程度の女優。才能はない。努力もしない。しかし本人は大女優のつもり。態度はでかく、高飛車で、思いっきり思い上がっている。借金を作って東京から逃げ帰って来たのだ。4年前、スミカが女優になるといって家を出たときひともんちゃく。刃傷沙汰を起こしている。その様子を観察した妹キヨミは、姉をモデルにホラー漫画を描いて投稿入選漫画雑誌に掲載される。
 スミカはキヨミを虐待する。自分が女優になれないのは、あんたがおかしげな漫画を描いたからだ。キヨミ耐える。兄シンジは血のつながらないスミカと近親相姦。しかし嫁マチコとは夫婦の営みはない。
 このなんともバチ当たりでおかしな家族のまん中でニコニコと笑って見守る、孤児育ちのマチコ。そしてすべてを観察し創作する漫画家キヨミ。
 なんとも抱腹絶倒パワフルなホラーコメディ。美人で抜群のスタイルだがものすごく性格の悪いスミカ。観察し、親の事故も姉の刃傷も、家族の不幸でもなんでも漫画のネタにする創作者キヨミ。いつもニコニコ何を考えているのか判らないマチコ。3人の異様な女に囲まれてどんどん衰弱するただ一人の男シンジ。
 高びーなスミカはこれはこれでかわいく人間的な所があって理解できる。マチコはこれは、もう人間ではない妖怪だ。よく平気でこんな家におれるな。ニコニコしているが、彼女が趣味で人形を作っている。その人形がなんとも異様な気持ちの悪い人形。マチコのこころが現れているのか。
 そしてこの映画の本当に主人公にして、原作者本谷有希子の分身だと思われるのが妹キヨミ。彼女は観察者で創作者だ。どんなモノでも、それが自分に対するイジメでも、客観的に観察してホラー漫画として表現する。彼女にとって姉スミカは最高の漫画のネタなのだ。
 佐藤はスタイルはいいが上手な女優さんではない。だから、この役はまさにはまり役。永作はやっぱり上手い。ニコニコ顔でぞっとする怖さが表現できる女優だ。永作博美、大竹しのぶ化してきた。
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ラザニア


 きょうはイタリア気分だからパスタを食べよう。パスタといっても、いつものスパゲッティじゃおもしろくない。たまには違うパスタを食べたいな。なにがいいかな。うん。ラザニアがいいな。ラザニアを食べよう。
 2種類のソースを作らなくては。まず、ミートソース。にんにく、玉ねぎのみじん切りをたっぷりのオリーブオイルで炒める。合びき肉を入れて、肉の色が変わったら、赤ワインを入れて、強火で炒める。
 ホールトマトとトマトジュース、コンソメスープの素を加えて、弱火で煮込む。香りづけにローリエも入れておこう。
 ミートソースを煮こんでいるあいだに、ホワイトソースも作るぞ。電子レンジを使えば簡単にできる。ガラス容器にバターを小麦粉を入れて電子レンジでチン。バターが溶けたら、牛乳を入れて、かき混ぜて再びチン。これでホワイトソースもできた。
 ラザニアをゆでる。オーブンを予熱する。耐熱容器の底にバターを塗ってゆでたラザニアを敷く。その上にホワイトソースをかける。その上にラザニア。さらにホワイトソース。ラザニアとホワイトソースを交互に重ねる。一番上をミートソースでおおって、チーズを乗っけて、200度のオーブンで15分焼いたらできあがり。
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フィッシュ・アンド・チップス


 フィッシュ・アンド・チップスである。イギリスの料理である。イギリスも古い国だ。かっては世界に覇を唱えた大英帝国である。
 イタリア、フランス、トルコ、中国、日本、古い国で、独自の伝統と文化を持っている国には、必ずその国独自の料理文化を持っている。ところがイギリス料理なるものは寡聞にして、あまり知らない。私が知ってるイギリス料理といえば、ローストビーフ、プディング、このフィッシュ・アンド・チップスぐらいだ。なぜだろう。他国を侵略し、海賊を跋扈させ、植民地を増やすのに忙しくて、食べ物のことまで考える余裕が無かったのかな。
 私のSF関係の古い友人で、若い頃イギリスに留学していた男がいる。その人の話によれば、そもそもイギリスには料理は存在しない。素材を焼いただけ、煮ただけ。それをテーブルの上にドンと置いて、塩、こしょうなど調味料を並べ、かってに味をつけてかってに食え、といったものだそうだ。なんでも、その男フィッシュ・アンド・チップスばかり食っていたとのこと。
 そのフィッシュ・アンド・チップスを食べよう。材料はじゃがいもと魚。魚は白身の魚がいい。タラを使おう。
 まず衣を作る。小麦粉を黒ビールで溶いて卵を割り入れ、よくかき混ぜて、30分ほど寝かせておく。
 じゃがいもは皮つきのまま、くし型に切って、素揚げをして塩を振る。タラの身に衣をまとわせて、170度ぐらいの温度で揚げる。天ぷらとよく似ているが天ぷらほど繊細な料理ではない。今回はタルタルソースで食べる。
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本を読まない人

 小生も本読みだが、小生の交友関係には本読みが多い。長年、SFもんをやっているから、友人知人はにSFもんが多い。彼らは食べる、寝る、排泄するなどの生理的現象と同じレベルで本を読む。
 SFもん同士で結婚することも多々ある。そういう場合は、夫婦とも本読みだから別に問題はない。とはいいつつも、本の置き場所で困っている夫婦もいると聞く。夫婦双方が同じジャンルの好みなら、蔵書もダブっていることが多いから、ダブりを処分すればいい。夫婦の好みが違えばちと困る。奥方がスペオペが好きで、ダンナがにゅーうぇーぶ好きなら、本はダブらないから、同じジャンル好きカップルの倍の蔵書量になってしまう。新居の本の置き場所に困るわけ。本を置くスペースをめぐって夫婦喧嘩したりして。
 昔、古くからの友人の結婚式に出席した時のことである。新郎はSFもん。ところが新婦はシロウトさんだった。新郎は小生のお仲間でSFもんだから本読みである。ところが新婦さんはあまり本を読まない人だと聞いた。これを聞いたその場にいた、お仲間たちは、「嫁はん本読まないんやて」という話になり、「本を一切読まない人」になり、「本が読めない人」になって、最後には「あいつの嫁はん文盲やて」となった。小生のギョーカイでは、字は読めても、本を読まないと文盲あつかいされるのだ。
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阪急 門戸厄神


 門戸の厄神さんにお参りする時はこの駅を使う。門戸の厄神さん。門戸厄神東光寺のこと。厄払いのお寺だ。人間には厄年というものがある。男25歳42歳61歳、女19歳33歳37歳。この歳になると災難が降りかかりやすいとか。小生は、あんまりかようなモンは気にしないが、厄神さんにはよくお参りに行く。拝殿へ行く階段が、女厄坂と男厄坂の二つあって、女坂が女の厄年と同じ数字の33段、男坂が42段だ。小生も25歳や42歳のお参りしたが、そんなことは気にしなくて、どっちの坂で登ったのか覚えていない。
 毎年1月19日には厄除大祭があって、阪神間の人間にとっては1月10日のえべっさんとともに冬の大きなイベントである。小生はえべっさんは毎年欠かさずお参りするが、厄神さんは最近ごぶさたぎみである。また厄神さんにもお参りに行くとしよう。
 この門戸厄神駅のすぐ近くを国道171号線が通る。阪神大震災のとき、国道の橋が阪急の線路に落下したことがあった。阪神大震災の象徴的な写真として、神戸市東灘区深江の阪神高速の横倒しの写真がよく使われるが、西宮市でも、大きな揺れがあった。
 関西のお嬢様学校として有名な神戸女学院の最寄の駅がこの駅である。名前に神戸がついているが、神戸女学院は西宮にある。
 なお、この駅は東と西に改札がある。東にはキップ売り場がない。カードと定期専用の改札である。キップは踏切を越えて西まで行かなくてはならない。不便なことである。初めてこの駅を使う人はお気をつけあそばせ。
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手鏡

「鏑木、ワシ決めた」
 矢本が角のロックをひと口飲んで、ポツッといった。グラスの中で氷が涼しい音を立てる。
「やっぱり店を閉めるのか」
「うん」
 矢本は、このバー海神がある商店街で文房具店をやっている。昭和30年代に矢本の父親がはじめた店だ。地元の高校を卒業した矢本は、店と取引がある大阪の文具卸商に就職した。矢本が25歳の時父親が交通事故で急死。このS市に帰郷して店を継いだ。矢本文具店の店主となってすぐ高校の同級生だった加代子と結婚した。それから40年。夫婦二人で小さな文具店を営んできた。
「さみしくなるな」
「しかたないよ。鏑木。もう1本だけ角を入れてくれないか」
 海神は今は原則として新たなボトルキープは受け付けないことにしている。長年の常連である矢本はそんなことは知っているはず。
「その1本を開けたら、ワシ、この街から引っ越すよ」
 矢本は決まって木曜の夜にやって来て、サントリーの角瓶のロックを2杯飲んで帰る。2ヶ月に1本のペースだ。あと2ヶ月で矢本はS市から出て行くといったわけだ。
「加代子さんは・・・」
 鏑木にとっても、加代子は高校の同級生だった。鏑木、矢本、加代子の3人は高校3年生の時同じクラスだった。男二人はS市の中学を卒業したが、加代子は高校3年生の春に尾道からS市に引っ越してきた。
「今日、主治医にいわれたよ。あと2ヶ月もつかもたないかだって」
「本人は」
「告知はしてない」
 矢本文具店の売上げのほとんどは、地元のS市立小学校の生徒たちが買う、鉛筆や消しゴム、ノート、書道用具、絵の具だった。子供のいない矢本夫婦が食べて、商品を仕入れ、店を維持していく、ぎりぎりの売上げはあった。
 少子化で売上げが大幅に減った。先代の遺産が少しあったので、なんとか店を続けてきた。
「オレ、文房具屋やるしか生きる術を知らないんだ」
 そういった矢本の手のグラスは空だ。鏑木が新しい角瓶を出した。
「おかわりしようか」
「うん」
「その文房具屋をやめてどうする」
「どうしようかねえ」
 鏑木がグラスにウィスキーを注いだ。新しい氷を入れる。琥珀色の液体が少しゆれた。
「加代子さんは、退院して、またお前と店をやりたんじゃないのか」
「だったらワシは店を閉めない」
「加代子さんの帰ってくる所が無くてもいいのか。何をはげみに彼女は闘病すればいいんだ」
「どうした鏑木、なにムキになってる」
「今夜はオレも飲む」
 鏑木は奥からワイルドターキーを出した。
「もう一杯どうだ。これはオレのおごりだ」
 新しいグラスを矢本の前に置いてワイルドターキーを入れた。鏑木も自分が持っているグラスになみなみとワイルドターキーを入れて一気に飲んだ。矢本は角を飲み干し、ワイルドターキーを飲んだ。
 二人でワイルドターキーを半分近く開けた。したたかに酔った。二人は海神のマスターと客ではない。幼なじみの男どうしだ。
「憶えてるか矢本」
「なんだ」
「お前らの結婚式の時、オレは友人代表でスピーチしたな」
「憶えてるよ。絶対幸せになれといったろ」
「あれはオレの本音だ。加代子を幸せにしてくれということだ」
「判ってるよ」
 そういうと男二人カウンターをはさんでにらみあった。
「加代子は自分の病状を知っている」
「なぜ判る」
「これだ」
 矢本は小さな手鏡をカウンターに置いた。
「今日、病室で加代子に手渡された」
 鏑木は手鏡を手にとった。
「もう手鏡は要らないんだとさ。女が鏡を手放すということは・・・」
 矢本はそのまま泣き崩れた。
「尾道の墓に入りたいといった」
「お前はずっと加代子さんのそばにいるつもりか」
「うん」
「オレの願いを全うしてくれてありがとう」

 S市駅前商店街の店がまた1軒閉じた。矢本から転居の知らせが届いて、1ヵ月後加代子の訃報が届いた。矢本は鏑木との約束を守った。
 
 
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時々はヒヤリとした方がいいのでは

 日本は災害の多い国だ。突然、大地が揺れる地震、海が襲いかかってくる津波、南方から毎年やって来る台風。それに加えて、頭上にも脅威が存在することが判った。
 青天霹靂とはこういうことをいうのだろう。ロシアの隕石である。杞憂という言葉があるが、天が落ちてこないか心配する人のことだが、杞憂は杞憂でないことが判った。多くのケガ人がでたが死人が出なかったのはなによりである。
 死人が出るほどの被害が出るようでは困るが、こういうことが時々、起こってくれたほうが人類のためにいいのではないかと思う。
 地球に接近する小惑星がないかと、常時見張っている人たちがいる。ご苦労さまと頭が下がる。つい先日も、かすめて飛んで行った小惑星もあった。今のところ、被害をもたらすような小惑星はないとのこと。とりあえず安心だ。
 本当に地球に衝突して被害が出れば困るが、時々は急接近して、ヒヤリとすることがあってもいいのではないか。この狭い地球の中で、、テロとの戦いだ、領有権だ、解放闘争だ、核実験だ、なんだかんだと、バカなことでいがみ合っていると、小惑星が接近して人類滅亡の危機。全人類がひとつにまとまって、総力を上げなければ危機回避は不可能。こういうことになれば、いかにバカな連中も武器を捨てて知恵を絞るだろう。で、世界平和が実現するわけ。絶滅してしまっては困るが、絶滅の危機はたまにあった方がいいように思う。
 
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死刑台のエレベーター


監督 ルイ・マル
出演 モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー、リノ・バンチュラ

 古いフランス映画である。白黒映画である。殺人事件が2件ある映画だが、ミステリーではない。犯人は最初から判っている。どんでん返しもない。ラストは落ち着くべきところに落ち着くし、因果応報の結末となる。それでも面白く、最後まで見せられた。
 フロランスは社長夫人。社員のジュリアンと不倫している。ジュリアンは邪魔な社長を自殺に見せかけて殺害する。そのあと、フロランスと逢引する予定だった。ところがジュリアンは忘れ物を取りに殺害現場に。エレベーターに乗ったが途中で止まって、エレベーターに閉じ込められる。
 路上駐車してあるジュリアンの車を、花屋の女店員のベロニクと不良の彼氏のルイが盗む。
 フロランスはジュリアンを探して夜の街をさまよう。そしてジュリアンの車とそれに乗った若い娘ベロニクを目撃する。
 ベロニクとルネはポルシェに乗ったドイツ人夫婦と知り合う。ポルシェを盗もうとしたルネは現場を見られて夫婦を殺害。そのあと若い二人は心中を計る。
 ジュリアンは社長殺害とドイツ人殺害。どちらかの殺害容疑になるわけだ。社長殺害は真犯人だが、ドイツ人殺害は無実。そして彼はフロランスと会えるのか。
 どういう結末に持って行くのか興味深い。中年の不倫男女と、若い車泥棒の男女。二組の男女と2件の殺人事件。
 夜の街をさまよう、ジャンヌ・モローの背後に流れるマイルス・デイビスの音楽がいい。
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きんちゃく鍋


 きんちゃく鍋です。見ただけでは何が入ってるのかわかりません。とりあえず食べましょう。食べたら中がわかります。別に闇鍋にしなくても、面白い鍋パーティーになります。食べたらびっくり。とんでもないものが入ってたらウケますね。例えば、マシュマロとか、イチゴとか、ペネロピとか、スウェーデンのシュールストレミングとか、長崎名産ちりとてちんとか。ま、そういうウケねらいは別の機会にするとして、今回はまっとうなきんちゃく鍋にしました。
 汁はカツオ昆布出汁に味醂と醤油で味をつけました。さて、きんちゃく袋ですが、あぶらあげとかんぴょうが必要です。一枚のあぶらあげを二枚に切って開いてきんちゃくとしました。肝心の中の具ですが、今回は5通り用意しました。なんでもいいんですが、さすがにシュールストレミングやちりとてちんは少々過激でしょう、ですから、次の具としました。
 もち+チーズ
 大根+豚肉
 合びき肉+玉ねぎ(ようするにロールキャベツの具)
 ごぼう+鶏肉
 えび+はんぺん
 これをあぶらあげのきんちゃくに入れて、かんぴょうで口をしばります。あとは鍋に入れて煮えたら食べましょう。みどりの野菜も欲しいですね。水菜もいっしょにいただきます。
 
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うらがえしオムライス


 オムライスが好きだ。おりにふれて作って食べている。オムライス、チキンライスをうす焼き卵で包んだもの。たいていのモノは卵がからむとおいしくなる。卵のアレルギーの人は別として、卵が嫌いで食べられないという人は寡聞にして知らない。
 卵は物価の優等生といわれ安価で、しかも料理の素材としても何とでも相性がよく、おいしい。しかし、卵は優しそうな表情からは、うかがい知ることはできないが、実は大変に厳しい素材なのだ。だれが調理しても卵はそれなりに食べられる料理になる。ゆで卵は、だれがゆでてもゆで卵になる。どんな料理初心者でも目玉焼きはできる。卵料理は簡単なのだ。しかし、卵料理ほどアマチュアとプロの差が出る料理はないだろう。
 卵料理は簡単だといったが、本当は卵料理ほど難しい料理はない。小生は料理を趣味として20年ほどになるが、まだ満足の行く卵料理をしたことがない。
 で、オムライスだ。今日はいつもとちょっと違うオムライスにしよう。卵が裏がえしのオムライスだ。うす焼き卵でチキンライスを包むのではなく、チキンライスの上に、半熟のオムレツを乗っけて、まん中で切って開いて、チキンライスでおおう。上手く作るには卵液が多いほうが作りやすいだろう。一人前3個の卵を使った。とにもかくにも、半熟のオムレツをちゃんと作れるかが勝負だ。
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64


   横山秀夫 文藝春秋

 警察小説の名手横山秀夫の7年ぶりの新作。600ページを超える大作である。そして傑作だ。面白さに引きつられて一気に読まされた。
 昭和64年D県で誘拐事件。7歳の少女が誘拐された。身代金は奪われ少女は死体で発見された。D県警が初めて手がけた誘拐殺人事件だ。それから14年。犯人は未だに捕まっていない。この事件はロクヨンと呼ばれてD県警の警察官たちのトラウマとなっている。
 主人公はD県警の広報官三上警視。公私ともに悩みごと多し。家では一人娘が家出。妻は外出できない症候群。警察では記者クラブと、事件当事者の名前を匿名にするか実名を公表するかで対立。そうこうしていたら、警察庁長官がD県を視察するとのこと。ロクヨンの専従捜査班の激励と遺族の慰問、殺害現場への花束献花が目的。なんでいまごろ。警察はあの事件を忘れていないぞとのPRだと思われるが。はたしてどうだろう。
 組織内が舞台の小説である。組織内における個人対個人の対立と葛藤のさまを見て楽しむ小説だ。かような組織内闘争の最終的な解決方法は組織を抜けることだ。白土三平の忍者なら、組織を抜ければカムイのごとく追っ手に追われ、下手すりゃ命を取られる。ところがこの小説の場合、悩める主人公三上広報官は、そんなに苦しいんなら警察を辞めればいい。警察は別に刺客を差し向けないから命に別状はない。
 デカの面目を守りたい刑事部と東京の本庁の意向を気にする警務部の対立。警察の沽券を守りたいのか、できるだけ情報を出したくない警察。警察はなんで本当のこといわないんだと不信感をつのらせ取材ボイコットする記者クラブ。
 納税者、新聞読者とすれば、おまえらアホか。警察は犯罪を防ぎ犯罪者を取り締まることが本分だろう。本庁の顔色をうかがい、警務と刑事が意地の張り合うことが仕事じゃないだろう。そんなことで税金払ってるんではない。新聞記者は真実を報道するのが仕事だろ。警察の鼻を開かすことではないだろ。そんなんのために新聞代はってない。
 と、こういうことを読者に思わせてダメだ。そんなことを思わせないで勢いでもって、グイグイ物語の中に引きずり込んで、いったん引きずり込んだら、余計なこと考えさせないで、三上をはじめとする登場人物に感情移入させなくてはならない。そのことはおおむね成功している。おおむねね。
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老母を施設に入れる

 老母を介護老人保健施設に入れる。小生同様、介護を必要とする老人をかかえた方もおられよう。そのような方々の参考になればと思い、事の顛末を記す。
 老母は90を超して県営住宅で一人暮らしをしていた。高齢とはいえ、本人もいたって元気で、小生宅も近く、ご近所の方々にも仲良くしてもらって、高齢の一人暮らしが可能であった。
 数年前からデイケアセンターからヘルパーさんが来てくれて世話をしてもらっていた。月に一度小生が顔を見に行くぐらいで、なんとか一人で暮らしていた。ところが、半年ほど前から、夜、一人で寝るのが不安。泊りに来てとの要請があるようになった。小生や弟が時々泊りに行っていた。この頻度がだんだん多くなった。とうとう小生と弟が交代で毎晩泊りに行くようになった。
 そのうち体調不良を訴えるようになった。頭がクラクラする。血圧が高いような気がする。計ると正常。それでもクラクラする。なぜか休日にいう。昨年の暮れ、タクシーで病院の救急外来に2度連れて行った。診察を受けると異常なし。頭のMRIもやってもらった。やはり異常なし。
 そして、昨年の大晦日。今度は心臓がドキドキすると訴える。あわてて行くと布団の中でぐったりしている。救急車を呼んだ。R病院に入院。心臓異常なし。ほかも異常なし。「結局なんなんですか?」と主治医に聞く。主治医の答え。「ひとことでいって老衰です」
 病院のトイレに行けない。ベッドの脇に携帯トイレを置いてもらって用を足している。テレビも見ずにずっとベッドに寝ている。老衰は病気ではない。病人ではない者をいつまでも病院に置いてくれないだろう。せめて歩けるようになるまで入院させてくれと病院に頼む。小生も弟も職業を持つ身、自宅で面倒を見ることは不可能。病院のソーシャルワーカーに相談した。ソーシャルワーカーはしかるべき施設を当たって見ます。とのこと。
 これと並行して、弟は老母を面倒見ていたデイケアセンターのケアマネージャーと接触。ケアマネージャーが色々さがしてくれる。老母を入居させるについての条件は、費用が老母の年金でまかなえること。そうでないと小生も弟も経済的に非常に厳しい。
 この時点で老母は、介護認定は要支援2であった。判ったことだが、要支援2では、老母の年金内で収まる所はほとんどない。あっても神戸市中心部から遠く離れた場所。これが要介護1となると、費用も安くなるし選択肢も広がる。弟と連絡を取り、早急に神戸市に介護認定を要請した。
 この時点で1月も半ばを過ぎていた。このR病院もいつまでも置いてくれない。自宅で面倒を見ることもできない。転院先として、老母がかかっている近所のIクリニックを考えた。そこは入院施設もある。小生はI院長に頼みに行った。I院長は快諾してくれた。1月17日にR病院からIクリニックに転院と決まった。
 問題はどこで介護認定を受けるかだ。R病院入院中か、Iクリニックに移ってからか、その時だけ自宅に連れて来るか。神戸市の担当者がいつ来るかがなかなか連絡がない。受ける環境で認定の結果に影響するとのこと。
 1月16日に認定を受けることになった。転院前日である。綱渡りだ。結果は1ヶ月ぐらいで出る。とにもかくにも要介護認定1に認定されることが大前提となった。
 Iクリニックに転院した。老母は遠い施設に行くのは嫌だとI院長に泣いた。このI院長、クリニックとは別にAという介護老人保健施設を経営している。実は小生はAに入れたらいいと考えていた。Aは神戸市内で小生宅からも、老母宅からも、弟宅からも近い。ところが老母の年金では費用が足らない。
I院長は「お母さんとは長年のつきあいだし、私が最後まで面倒を見てあげます」とおっしゃってくれた。I院長の見立てによれば、認知症も重症化しているし、要介護1はまず間違いない。万が一、要支援なら、ウチでもう一度認定を受ければいい。私が書類を書く。
 要介護1ならば、Aに格安で入居できる。そして2月7日、神戸市から認定の結果が来た。要介護2。神戸市は小生が考えていたより重症と判断した。その結果を持って、すぐI院長に報告。院長、良かったなと、心から喜んでくれて、ただちにAへの入居を段取りするといってくれた。
 2月12日、老母、Aの担当の介護士さんと看護師さんの面談を受ける。そして昨日2月13日、明後日15日Aに入居決定。
 老母は、内科、肛門科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、胃腸科、6種類の薬を服用している。その6種類の薬を最低1ヶ月A入居時に持参させてくれとのこと。施設に入居すると薬は施設で出す。外部の薬は保険が効かない。二日間で六つの医院を回らなくてはならない。非常にタイトなことである。なんとか家人の手も借り薬をそろえた。
 明日、弟が付き添って老母は、IクリニックからAに移動する。小生は老母の生活の後始末をする。県営住宅の撤退、各種公共料金の停止、年金の振込先の銀行の住所変更届け、老母転居のお知らせの作成、ご近所へのあいさつ、老母宅の物品の整理。その他いろいろ。
 大晦日に入院して、2月15日に施設に入居。自分では非常にスムーズに事が運んだと思っている。I院長をはじめ、R病院の主治医、ソーシャルワーカー、デイケアセンターのケアマネージャー、多くの方のお世話になった。この場を借りてお礼申し上げる。
 この一文が、介護を必要とする老人を抱えている人の参考になれば幸いである。 
 
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