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意地でも黒髪にさせるぞ

 大阪の某公立高校が、地毛が茶色の女子生徒に、毛髪を黒く染めるように強要。彼女はたび重なる染毛のためひどい肌荒れになったとか。学校は当該女子生徒を修学旅行にも連れて行かず学校の行事にも参加させなかった。とうとうその子は登校拒否になってしまった。保護者もさすがにこれは看過できないと訴訟を起こした。なんでも、その学校は、例え留学生でも髪を黒く染めさせるとか。
 報道で知る限りで判断すれば、これはひどい話である。この公立高校は、人権侵害の上に人種差別、さらにはその女子生徒が肌荒れを起こしているのなら、傷害罪にもなるのではないか。これは、もう学校全体のいじめである。その子が登校拒否になったのが不幸中の幸い、最悪、自殺というおそれもあっただろう。
 どうも、この学校、感情的になって、意地でも生徒の髪を黒くさせるぞ。と、固い決意を持っているようだ。生徒に黒髪を強要するのなら、生徒に範を垂れるべき先生はどうなんだ。白髪の先生は一人もいないのか。ハゲで毛のない先生はどうしてるのだ。
 なぜ、茶髪はダメなのか。茶髪な生徒には確かにできそこないの不良生徒も多いだろう。だから学校は不良生徒とそうでない生徒を見分ける、一つの目安として生徒の髪の毛の色で判断しているのだろう。
 本末転倒とはこのこと。茶髪だから不良なのではなく、不良だから茶髪なのだ。黒い髪の毛でも不良もいるだろう。茶髪でも優等生もいるだろう。その生徒がいかなる生徒なのか。それを見抜くのがプロの教師としての能力なのではないのか。そいう眼力がないから目で見て判る髪の色で判別しようとするのだ。くだんの女子生徒は眼力のない先生たちの犠牲者だ。その女子生徒が裁判で勝つよう応援する。
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彼らが本気で編むときは、


監督 荻上直子
出演 生田斗真、桐谷健太、柿原りんか、ミムラ、小池栄子、りりィ

レンタネコ」以来、久しぶりの荻上監督の映画である。今回は少々、重いテーマを内包している映画といえるかもしれないが、そこはそれ、荻上映画らしく、ほどよいユーモアと爽やかな印象を持つ映画にしあがっているから、後味は良い。最後に少し涙をさそうが、さすが、荻上監督。ベタな愁嘆場なんかには絶対にしない。テーマを具象化する演出、ワンシーンワンシーンの映像表現はあいかわらずうまい。
 小学生の女の子トモの母親はろくでもない母親。育児放棄してしょっちゅういなくなる。トモは散らかり放題の部屋で一人さみしくコンビニのおにぎりを食べる。ゴミ箱はコンビニおにぎりの包装紙でいっぱい。
 こまったトモは叔父のマキオの所へ行って世話になる。マキオには同居しているパートナーがいた。介護士のリンコがマキオの恋人。リンコはトランスジェンダー。男の身体を持って生まれてきたが、心は女。いまは手術して身も心も女になった。トモはリンコになつく。リンコもトモをたいへんにかわいがる。
 リンコはトモをぎゅっと抱きしめてくれる。キャラ弁を作ってくれる。編み物を教えてくれる。髪の毛を直してくれる。お母さんがやってくれないことを、み~んなやってくれる。リンコはマキオと結婚してトモを養子にしたい。マキオも賛成する。
 トモは強い女の子。へんな人といっしょに暮らしていると、学校でイジメにあうが、負けない。リンコは限りない愛情でトモを包んでくれる。この二人をマキオはやさしく見守る。トモはリンコとマキオ、二人の大人に今まで経験したことのない大きな愛情をもらう。
 ともかくトモをやった子役柿原がものすごくうまい。生田の女形もいい。荻上直子の新境地ともいえる佳作である。
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トマトラーメン


 ラーメンを食したく存じます。スープならきのう、カレー汁ビーフンを作った時のスープがまだ1回分残っております。このスープにいかなる味付けをほどこすのかが問題でございます。ふつうのラーメンではおもしろくありません。そうですね。どのようなラーメンにいたしましょうか。
 う~む。ちょっと待ってください。最近はわたくしもトシのせいでございましょうか、なかなか考えがまとまりません。ん、そうですね。トマト味のラーメンなどはいかがでしょう。イタリア風のラーメンです。
 はい。買い物から帰ってまいりました。買ってきたものは次の通りでございます。まず、中華麺。真っ直ぐで細目のものです。以前、ラーメンをしようと買い物に行ったはいいが、豚肉や卵、ほうれん草、鶏ガラ、長ネギといったモノを買いましたが、肝心の麺を買い忘れたことがありました。まぬけなことでございます。
 あとは、豚バラ肉のかたまり。もやし、バジル、パルミジャーノレッジャーノを買いました。豚肉は味醂と醤油で煮こみます。焼豚用ですが、ほんとは煮豚です。前日に煮こんでおいて、翌日グリルで表面に軽く焦げ目をつけるのでございます。
 さて、スープです。カットトマトの水煮缶を使いました。味付けはあとは塩とこしょうで調整するだけで、トマト味のスープにしたてました。
 ゆでた麺を鉢に入れ、トマト味のスープをそそぎます。焼豚をのっけます。少し厚めに切りました。炒めたもやしを乗せて、バジルを添えました。あとはパルミジャーノレッジャーノを散らせばできあがりでございます。イタリア風トマトラーメンです。おいしゅうございます。
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カレー汁ビーフン


 ビーフンである。ワシは焼きビーフンが好きだ。でも、気温が下がってくると、温かい汁のビーフンも捨てがたい。ビーフンはソバとは違う魅力がある。
 きょうは、カレー味の汁ビーフンを食う。スープは鶏ガラでちゃんととっておいた。創味シャンタンや味覇を使えば簡単だが、鶏ガラを煮出してとったスープは自然にうまい。
 ビーフンは熱湯につけてもどしておく。少しかために戻す方がいいだろう。さて、具だ。牛肉とキャベツを用意した。牛肉はコマ切れ肉。炒めて、酒、醤油、しょうが、塩こしょうで味をつけおく。キャベツは千切り。それに忘れてならないのが香菜。
 スープに味付けをするぞ。ナンプラーとカレー粉で味付けだ。カレー粉はワシはインデアンのカレー粉を使っている。あと、コリアンダーとクローブは粒のモノをゴリゴリした。
 さて、鉢にビーフンを入れ、スープをそそぐ。牛肉とキャベツをのっけ、香菜をトッピング。ゴマもふってゴマかそう。あとは食うだけ。
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とつぜんSFノート 第94回

 そういうわけで、第9回星群祭は、星群創立10周年ということで、拡大バージョン2日間にわたって行われた。会期が2日の星群祭は、この時だけである。
 第9回星群祭は、1982年7月24日25日に行われた。24日の夜はオープン制の合宿が行われた。
 京都の夏は暑い。夏はどこも暑いのだが、京都は盆地だから、ねばりつくような底意地の悪い暑さである。1982年7月24日。この日の京都も暑かったと記憶する。毎年吉例、真夏のSFのお勉強会星群祭である。
 会場は鴨川近くの京大会館。テーマは「書くことの意義」SFに限らず、モノを書いている人にとっては根源的な問いかけだ。
 ゲストは新井素子・荒巻義雄・風見潤・桐山芳男・柴野拓美・高井信・巽孝之・谷甲州・豊田有恒・堀晃・眉村卓・安田均・横田順彌の13人の諸氏。例年になく多人数かつ豪華である。
 さて、そうこうしているうちに、定刻となり第9回星群祭が始った。まず、実行委員長高橋正則氏の開会宣言。ファンライターは作家予備軍か?同人誌やファンジンになぜ書くか?と、いう問いかけをする。
 続いて、基調講演を村上栄次星群本誌編集長が行った。書くことの意義について問いかける。創作活動は自己満足だけで終わってはいけない。発表してこそその創作活動は完結する。
 ゲスト講演の最初は柴野拓美氏。日本最古のSF同人誌「宇宙塵」を主催され、日本SF界を支える人材を輩出してきた。最近、SFの本質について、何度目かの考え直しをし始めている。
 ゲスト講演二人目。桐山芳男氏。古参の関西ファンダムのBNFで、関西海外SF研究会の元代表。私は創作はやらない。SFファン活動はSFをより楽しむためのモノ。時間もかかるし、金もかかる。しんどいこともある。でも、なぜファン活動をするか?楽しいから。
 横田順彌氏。ファンからプロへ。横田氏も古参のSFファンである。なぜファンからプロになったのか。自分を楽しませてくれたSFに対する恩返し。
 堀晃氏。なぜSFか?SFが好きだから。堀氏は会社員と作家の二足のワラジ。会社の仕事が作品に影響を与えることもある。
 これで1日目のゲスト講演は終わり。1日目最後のプログラムは巽孝之氏と村上栄次氏の対談。「科学魔界」と「星群」SF同人誌を編集する二人の対談である。また、巽氏はこのころSFアドベンチャー誌で同人月評を担当しておられた。ファンジン、同人誌は商業誌がやらないことをやるべきだ。商業誌にないもの。新しいSFが誕生する母体が同人誌なのだ。
 これで、第9回星群祭第1日目は終わり。さあ、疾風怒濤、酒池肉林、馬食鯨飲のオープン制合宿へなだれこむ。ビールの雨とウィスキーの吹雪が吹き荒れ、チーズたらと亀田の柿の種。ポテチにぼんち揚げが乱れ飛ぶ。
 酔眼朦朧。千鳥歩行の身体にムチ打ち、合宿所の旅館「きのえ」から京大会館へ身体をむりやり運ぶ。
 2日トップバッターは谷甲州氏。「CB-8越冬隊は汗をかきながら書いた」あの極寒小説を書いた時のエピソード。はるか文明社会から離れてもくもくと書いていた。電卓の電池が切れて計算尺を使いながら書いた。最近、何をやってもSFに結びつく。
 風見潤氏。創作と翻訳の違い。翻訳は難しい原文がハッと判った時が楽しい。創作は自分で開拓してゆく楽しみ。結局、翻訳も創作の一体化したもんだ。
 高井信氏。東京から名古屋へ戻って腰をすえて長編に取り組んでいる。
 新井素子氏。結局、書くことが楽しみなんだわ。原稿用紙を買うのが楽しい。それに字を書くのが楽しい。作品が完成するのが楽しい。本になって出版されるのが楽しい。みんな楽しい。
 安田均氏。SFゲームの第一人者。ゲームとSFがドッキングして、SFがゲーム化され、ゲームをもとにSFが書かれている。アメリカではプロデビューは作品の持ちこみコンテスト応募が主体。ファンジン同人誌に創作が載ることは少ない。
 豊田有恒氏。コケの一念でSFを書いてきた。豊田氏は日本のアニメの創世記シナリオを書いてこられた。シナリオは協同作業の一部。アニメーターたちとのギャップが生じることもある。翻訳は原作を変えたくなる。結局、小説を書くことが残った。趣味が高じてプロになった。才能のあるなしはプロになってからの問題。
 これで、2日目午前の部が終了。午後の部の最初は荒巻義雄氏。荒巻氏は巽氏の前にSFアドベンチャー誌で同人誌月評を担当されていた。新人発掘には非常に熱心。どんなジャンルでも新人が出ることは大切。もちろんSFでも。出でよ大いなる新人。
 そして第9回星群祭最後のゲスト講演は眉村卓氏。「書く」ということは内部から出てくる。内部衝動の問題で教えられるものではない。この内部衝動をいかに育てるかが大切。
 これでゲスト講演はすべて終わり。次なるプログラムは星群祭名物「地獄」の星群ノベルズ批評。テキスト用に用意された星群ノベルズの7編の作品にゲスト諸氏から忌憚のない批評が加えられる。
 第9回星群祭。最後のまとめはパネルディスカッション。書くことは内部衝動のなせるワザ。それは感性によって育てられる。感性は各自が吸収していくべきもの。われわれの場合、SFに対する思い入れから発する。時間を使い金を使い本を読みそして原稿を書く。なぜか。SFが好きだから。

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2017年の阪神タイガースをふりかえる

 金本監督2年目である。結論からいう。金本よくやった。その手腕は賞賛に値する。
「超変革」をスローガンに臨んだ、金本阪神1年目の昨年2016年の阪神タイガースの成績は4位借金12というモノであった。「挑む!」の今年2017年は2位貯金17。スポーツは結果がすべて。数字が金本の評価を表現している。花丸つきの合格である。
金本が見出した選手が活躍している。昨年は高山、原口が大ブレークした。残念ながら、この二人は今年は不調であったが、今年は金本がドラフト1位で取った大山が順調に成長してきた。そして長年2軍でくすぶっていた桑原を拾い上げ、1軍の中継ぎに抜擢、マテオとともにセリーグの最優秀中継ぎ投手にまでなった。
ということで、ことしの阪神タイガースを振り返りたい。まず、第一は12球団最強ともいえるリリーフ陣である。その主役のマテオ、桑原、ドリスの3人。この3人は、かってのJFK=ウィリアムス、藤川、久保田に勝るとも劣らない勝利の方程式を形成した。リリーフ陣の脇役、JFKの時は橋本、江草、桟原の3人がいたが、今年は高橋、岩崎、藤川、石崎と4人がその任を担った。他球団からみたらうらやましいリリーフ陣である。その阪神の今年のリリーフ陣にとって藤川の存在は大きかったのではないだろうか。かっての絶対的守護神といわれた男が、敗戦処理のような仕事から、先発が早々にこけたときのロングリリーフ、大差で勝ってる時も負けてる時も、緊迫した状況でも投げる。藤川の存在は阪神リリーフ陣の精神的支柱ではなかっただろうか。
充実したリリーフ陣に比べ、先発投手たちはいささかこころもとなかった。計算のできる投手はメッセンジャー、秋山の二人だけ。そのメッセンジャーがケガで離脱。後半は秋山一人が頼りであった。
いちおう、メッセンジャー、秋山、能見の3人を軸にローテーションを回したが、能見はさすがに往年の力はない。この後に続く先発投手として、藤浪、岩貞、岩田がはまるべきだが、藤浪はノーコン病、岩田は6回まで病、岩貞は去年の疲れが今年も残っているらしい。あと、青柳、それに新人の小野が先発投手を務めたが、二人とも意あって力足らず。先発投手の整備は来年までに解決すべき課題だ。
野手に目を向けよう。まず、守備の要たる捕手。梅野、坂本の二人が併用されたが、梅野の盗塁阻止率は捨てがたい魅力もあり、バッティング面も考えて、小生は梅野を正捕手として育てるべきと考える。
1塁。主に原口、中谷、大山、キャンベル、ロジャースたちが守った。外国人二人は来年は阪神にはいないだろう。と、なると原口、中谷、大山のうちだれかが、1塁手として定着することとなるだろう。もし、来年、新しい外国人を入れるとなれば、守備位置は1塁だろう。だったらこのポジションはけっこうな守備位置争いの場となる。このことはチームにとっては良いことではないか。最終的には日本人3人のうち不動の4番打者として成長してくれればいい。この中の中谷は今年、浜中以来久しぶりに20本のホームランを打った日本人バッター。中谷は外野も守れるが、阪神の外野はいまのところ定員満員。彼には打力で1塁定位置を取ってもらいたい。大山も大切な4番候補で、実際今年4番を務めた経験を持つ。中谷のライバルは原口と見なされていたが、今は大山が強力なライバルとなるであろう。原口の奮起も望む。本人は捕手に未練があるようだが、梅野、坂本をさしおいて原口を正捕手にする根拠がない。
2塁は上本が務めたが、勝ち越して中盤以降になると、森越が守備固めで出る。上本が正二塁手となるには9回まで2塁を守って欲しい。上本は打撃はいい。なかなかアウトにならないし、ねちっこくファールで粘る。相手投手にとっては実にイヤなバッターだ。それにときどき思い出したようにホームランを打つ。ただ守備でヘタするのが玉にキズ。上本には守備をみがきスタミナをつけてもらいたい。
3塁は鳥谷がずっとスタメンで出た。今年の鳥谷は昨年とうって変わってよく打った。3塁に固定され、6番という打順を務めたことも今年の阪神の好調の一つの要因だろう。将来的にはここに大山が座るべきと考える。大山3番サード、中谷4番ファーストというのが近い将来の阪神の形だと思うのだが。
さて、遊撃。北條、糸原が守っていたが、北條は不調で、糸原はケガで離脱。それ以降は大和が守っていた。大和。守備は今の日本プロ野球界屈指の名手。バッティングもスイッチバッターに取り組み、その試みは成功といえよう。ただ大和はFAで阪神を出て行く可能性がある。球団は全力で引き止めて欲しいが、もし大和不在ということになれば糸原、北條では心もとない。万が一の事態となれば、鳥谷を遊撃に戻し大山を3塁というのもアリだと思う。
外野である。福留、糸井は来年も固定だろう。あとの一つをどうするか。高山、俊介、中谷たちが、この席を争ったが、後半になって俊介が取った。ただ、俊介は大和同様FAで来年阪神にいない可能性がある。大和と同じく残留を強く望む。高山は不調で2軍落ちしていたが、かれには捲土重来を期してもらいたい。バッティング技術はうまいのだから、守備をみがけばいい。

2017年阪神タイガースMVP

投手 桑原謙太郎
 困ったら桑原。なんでも桑原。ことしの阪神の好調の原動力。来年も今年ほどの仕事ができるのか心配。
次点 秋山拓巳
 長い眠りから今年目覚めた。四球の少なさは特筆に価する。

野手 福留孝介
 休めば翌日ホームラン。お年寄りだからしかたないか。
次点
 うんと考えて、大和。その守備力とスイッチヒッター挑戦を評価して。
 
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BARで飲みたい31の名酒


古谷三敏 古谷陸  双葉社

 BARレモン・ハート。バーを舞台とした漫画である。マスターは武骨な中年男。昔、パラパラと読んだことがある。お酒のうんちく漫画だ。拙作海神シリーズの師匠すじといってもいい漫画だが、海神とレモン・ハートは少しコンセプトが違うようだ。
 その漫画レモン・ハートが連載30年。作者古谷三敏が80歳。それを記念して出版された本だ。
 古谷は手塚治虫、赤塚不二夫という二人の天才にアシスタントとして師事し、薫陶を受けた。この二人の師匠とのエピソードや、仲間の漫画家たちとのエピソードといったベテランの漫画家としてもエッセイと、酒飲みになって50年という酒の達人としてのうんちくが楽しい。
 古谷は実際に東京でBARレモン・ハートを持っているBARのオーナーだ。マスターが孫の古谷陸。古谷は真に漫画と酒を愛しているのだ。その古谷が想い入れのある酒として上げたのは次ぎの31の銘酒。

グレングラント38年
ハイランドパーク25年
グレンフィディック
ザ・グレンリベット12年
グレングラント12年
ワイルドターキー8年
ワイルドターキー(スキットル型)
アーリータイムズ
オールドグランダッド114
エヴァン・ウィリアムス23年
ジョンベック・ブルーキャップ
紹興香雪酒
どぶろく(秩父櫻)
トリス
キリンラガービール
シャトー・ラトゥール
レミーマルタン
ジョニーウォーカースウィング
八海山
ロマネコンティ
ニッカ キングスランド ポットスチル型
カシスフィズ
バカルディ
ブラッディメアリー
ラッテ・ディ・スゥォチェラ
レモンハート151
モヒート
ダイキリ
クロヴァジェVSOP
ランバノグ
ワイルドターキートリビュート15年

 小生の知ってる酒もあるし知らない酒もある。ものすごく高価なスコッチもあるしトリスもある。酒の種類も多彩。ウィスキーはスコッチにバーボン。ビールにブランデー、日本酒、どぶろくからヤシ酒まである。さすが酒のウンチク漫画の作者である。酒好きには、実に楽しい本だ。
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水鏡子、本の雑誌に出る


 本の雑誌今月号で、水鏡子の書庫が紹介された。巻頭のカラーページ「本棚が見たい!」にご本人の写真とともに書庫の全景と内部の本棚の写真が出ていた。この号の特集は「書庫を建てよう!」だから、実際に書庫を建てた水鏡子はうってつけの素材。特集企画では、「本の雑誌おじさん二人組」が加古川の水鏡子宅まで取材に行ったルポを掲載している。
「水鏡子の書庫が本の雑誌で紹介されるぞ」「この前取材に来たんやて」と、先日の京都SFフェスティバルでは、もっぱらのウワサであった。実は書庫を建てる前から、水鏡子の蔵書は尋常でないことはファンダムでは有名。なんせ本を買うスピードが異常なんだから。
 水鏡子。小生はそんなに親しいわけではないが、お互い長年のSFもん。イベントで顔をあわせればあいさつを交わす。彼を知ったのはずいぶん大昔。彼が神戸大SF研究会で神大四天王といわれてたころからだから、かれこれ40年になろうか。四天王の一人岡本俊弥を介して水鏡子を知ったわけ。
 ともかくSFファン活動に熱心な男。水鏡子や大森望が所属していた関西海外SF研究会。この連中も熱心な連中で、毎週日曜日に大阪は梅田で例会をやっていた。普通は月に1回である。だから、日曜日、大阪へ出て、なんぞSFの集まりに顔出したいなと思えば、連中の会合に出ればいいわけで、関西のSFもんのお救い会合だったわけ。水鏡子は毎週皆勤で出ていたとのこと。阪神大震災で関西の鉄道がズタズタになった時も、なんとか動いている鉄道を乗り継いで加古川から大阪までやってきたとか。
 本の雑誌の記事を読むと、水鏡子はラノベ愛好家と思われるかも知れない。確かにラノベもお好きらしいが、彼は1950年代アメリカSFの紹介評論では第一人者。だいたいが、水鏡子というペンネームも、そのころの作家ウォルター・ミラー・ジュニアからきてる。ともかくSFもんがSF道を歩いて行って、一つの到達点が水鏡子だろう。 
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龍三と七人の子分たち


監督 北野武
出演 藤竜也、近藤正臣、中尾彬、小野寺昭、下條アトム、ビートたけし

 龍三は元ヤクザ。年はとっているが、まだまだ血気さかん。背中には見事な龍の彫りもん。息子はカタギの会社員。カタギの息子はヤクザ気分が抜けないオヤジをうっとうしがる。息子の家に居ずらくなった龍三は昔の兄弟分まさの部屋に居候。龍三、オレオレ詐欺にひっかかる。昔の仲間モキチが街のヨタもんにからまれている。
 龍三を詐欺にかけたのもモキチを脅したのも半グレ集団「京浜連合」あいつらゆるせん。昔のオレたちのシマで勝手しおって。
 そういうわけで、龍三たちは昔のヤクザ仲間を集めて、新しい組「一龍会」を作る。平均年齢70歳以上。後期高齢者のじいさんばかりの組である。で、最後は一龍会のじいさんたちが京浜連合に殴り込みをかけるわけ。
 さすが北野武。正義の味方映画なんかは創らない。一龍会のじいさんたち「元」ヤクザではない。今も現役のヤクザである。ただトシを取っているからヤクザができないだけ。だから、この映画、足を洗って改心して身も心もカタギになった元ヤクザが半グレの悪もんをやっつける話ではない。龍三たちじいさんたちは、足なんか洗ってないし改心なんかこれぽっちもしてない。半グレが悪いからやっつけるのではない、自分たちがコケにされ、シマで勝手されているからやっつけるのである。ある意味、年寄り応援歌といえる映画である。
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バッファロートレースを飲む


  そうだバーボンを飲もう。荒々しい西部の風が吹いてくるようなバーボンがいい。
 ダンブルウィードが転がっている道を通って町に着いた。老人がロッキングチェアで酔いつぶれている。酒場がある。ヤツはここにいるはずだ。スィングドアを開ける。中にいる男たちがジロリとこちらを見る。近くまで牛を運んできたカウボーイたちだ。
 カウンターに歩み寄る。中にいる大男に声をかける。「ウィスキー」大男はショットグラスに濃い茶色の液体を入れて前に置いた。クイッとひと息に飲む。ヤツは向こうのテーブル席でポーカーに興じている。
 空になったショットグラスとコインを置いて、立ち上がる。生死にかかわらず1万ドル。それがヤツにかけられた賞金だ。ヤツの肩に手を置く。
 と、まあ、こんなバーボンが飲みたい。で、いま、飲んでるバーボンがこのバッファロートレース。バッファローのラベルが手でちぎったようにボトルに張り付けてある。
 ティスティンググラスにそそぐ。濃い茶色。けっこうアルコール臭が強い。口にふくむ。45度とバーボンとしては度数はあまり強くない。ワイルドターキーやノブクリークよりもあたりはやわらかい。飲みやすいバーボンといえる。
 バッファロートレース。バッファローの通り道。このバーボンの蒸留所近くをケンタッキー川が流れる。このあたりを昔、バッファローの群れが移動していた。1775年からバーボンを造ってきたというから、アメリカ最古の蒸留所の一つ。天下の悪法禁酒法時代も、医薬用アルコールということでバーボンの製造を許可されていた。荒々しい西部の気風をしのばれるバーボンである。ジョン・ウェインの映画でも観ながら飲もう。
 
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酢豚丼


 麻婆豆腐、八宝菜、エビチリソースなど、おなじみの中華料理は、たいてい白いご飯にようあう。これらの料理は、うまい丼もんになるわけ。
 そういうことで、お昼は代表的な中華料理の酢豚の丼にした。豚肉はロース肉のかたまり。原則として、肉はなんでもかたまりがええ。かたまりで買って来て、適宜、自分で薄切りやサイコロ状に切ればいい。今回は豚ロース肉をサイコロ状に切った。野菜はナスときゅうり。よくパイナップルがはいっとう酢豚があるけど、ワシはもひとつ好かん。かわりにキュウリをよう入れる。ナスは食べやすい大きさに切って油とおししておく。キュウリは切ってそのまま。
 さて、肉の下ごしらえや。酒、醤油、塩、こしょう、しょうが汁で下味をつけておく。これに溶き卵をつける。
 あんもつくらなあかん。スープに砂糖、醤油、酒、酢で味付け。ワシはこれにケチャップ、ねり梅、イチゴジャムをちょっと入れた。ええ味になるで。
 さあ、準備はでけた仕上げにかかろか。下味がついて溶き卵をまとった肉に片栗粉と小麦粉をまぶす。それを高温の油で揚げる。ここからはスピードやで。揚げたら、油ならししてカンカンに熱くした鍋に肉を入れる。ナスとキュウを入れる。あんを入れてからめる。水溶き片栗粉でとろみをつけ、仕上げにごま油をふる。
 丼によそった、ホカホカごはんにのっければできあがり。中華料理は準備とスピード、だんどりが大切。肉や野菜は切って、下処理をしておく。あんはあじつけして完成品にしておく。肉を揚げる鍋と炒め合わせる鍋。中華鍋は二つ用意しておく。ごはんはよそっておく。とちゅうでもたもたしたらうまいもんがでけへんで。
 

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利息を払え

 四年だ。四年たてば月がなくなる。夜、空を見上げれば、必ずそこにあった、あの地球の弟ともいうべき月だ。
 二十三億年前になされた契約である。地球のだれがそんな契約をしたのか、判るはずもない。だいたいが、そのころは人類はまだ影も形もない。
 しかし、契約は契約だ。だれがそんな契約書にサインしたのかだれも知らない。ただ、契約事項を四ヵ月後に実行されるだけ。
 選択肢はある。絶望的な選択肢ではあるが。月を手放したくなかったら、借りたモノを返せばいい。
                          
 いつごろから「声」が聞こえているのか判らない。ものごころついた時からだ。還暦をすぎて、今までの人生より、これからの人生のほうが少ない年齢になった。
 遠い記憶をたどってみれば、小学生のころ、夏休み、家族と海水浴に行った時、「声」が聞こえた。
「君を連絡人に指名する」確か、こんなことをいったと記憶する。なんのことだか判らなかった。波の音のまぎれたそら耳だと思った。
 二回目は大学生になったころだ。クラブの新入生歓迎コンパの席。なれない酒を飲まされ、意識を半分失いかけた時、「利息を払え」こういう声が聞こえた。私たちのグループ以外にも、何組ものグループがコンパをやっている。周囲は喧騒の渦の中。そんな時の、こんな声が聞こえてきても、気にも留めないのが普通だ。しかし、私は、なぜかそのことが気になって頭の片隅に残った。二十代のことだ、あれから四十年たった今も、そのことを覚えている。「利息を払え」

 日本国の首相が目の前にいる。きのう、首相の次席補佐官という男がとつぜんやって来た。
私は、大学卒業後、電機会社の購買を四十年やってきて、このたび退職した。子供は独立し、妻とふたりで小さな楽しみをみつけて日々を過ごしている。こんな男に一国の首相がなんの用だ。
「きのうクライトン大統領から電話がありました」
 首相はこう切り出した。アメリカの大統領?ますます縁のない話だ。
「アメリカの土星探査船が土星の衛星エンケラドス近傍の空間で不思議な電波を傍受しました。なにか意味があるような電波です。それを解読すると、二つの数字のかたまりと図形だと判りました」
 数字のかたまりは地球の緯度と経度をあらしている。一つは私の住所。もう一つは南太平洋の無人島。図形は酸素の元素記号。そういうことが判明した。
 アメリカはオスプレイをその無人島に飛ばし、海兵隊に観測にあたらした。無人島、酸素。これが何を意味するのは判らない。何が起こるのか。ともかく海兵隊を駐留させた。
 全滅。アメリカの海兵隊一個分隊十二人の兵士が全員死んだ。無人島である。敵はいない。致死性の病原体も発見されない。死因は窒息。全員酸素不足で窒息死。その島の酸素濃度は大幅に低下していた。
 私の住所は東京の杉並。杉並で、無人島で起こった事と同じことが起これば、大惨事である。
 拉致されるように、ここに連れて来られたというわけだ。
 実は、きのう三度めのメッセージが来た。
「私たちの力は確認できただろう。二十三億年分の利息を払え。払えないのなら質草として衛星を持っていく」
 昨夜、午後十一時ごろ、布団に入って、寝入る前に聞こえて来た。今度は静かな環境でのことだ。はっきりと判った。それは音ではない。私の頭の中に直接届いたのだ。
「利息は全地球の酸素の四パーセント。猶予は四年。利息が払えないのなら月を持っていく」

 地球にはもともと酸素はなかった。二十三億年まえシアノバクテリアが出現。光合成を行い、二酸化炭素を吸って酸素を出す。こうして地球に酸素が豊富に存在するようになった。
 地球上から酸素が四パーセント無くなれば、月がなくなれば、どうなるかをこれから人類の英知をかけて四年のあいだに研究する必要がある。

「ただで酸素をもらっていたと思っているのか」 

                      

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とつぜん上方落語 第17回 猿後家


 べんちゃら。関西弁でんな。おべっか、ゴマすりのことでおます。そういや、植木等の歌でゴマスリ行進曲ちゅうのんがおましたな。
 この、「猿後家」という噺には、べんちゃらで食ってる男が出てきます。さる大店の後家はん(あ、しもた。ゆうてもたワシあかんわ)、ダンナを亡くしたあと、お家はんとしてお店を切り盛りしてます。これがごっつい有能なお家はんで、お店は繁盛してます。
 この、お家はん。ごっついべっぴんです。うしろから見たら。で、前に回ったら、このお家はん、猿みたいな顔してるんですな。本人もそれをえらく気にしてます。
 このお家はんのお店へ出入りしとる男がおるんですな。こいつがお家はんにべんちゃらいうんです。小野小町かてるての姫か、はたまたクレオパトラか楊貴妃か。うんとこさべんちゃらゆうて、お家はんのご機嫌を取る。そうなるとお家はんも気分ええさかい、なんぼか包んで渡す。このおっさん、それで生活しとるわけでんな。で、あるとき、ついうっかり「サル」とゆうてもた。お家はん怒らしてしもて出入り禁止。なんせ、お家はん、「サル」といわれるのんをごっつい気にしてる。「サル」とつく言葉は禁句なんです。そやからワシは冒頭で「さる大店の」ゆうたんはあかんのや。ワシも出入り禁止や。「さるすべり」とか「村田巨人をさる」もあかん。「このぐんにゃりした時計だれの絵や」「ダリや」「え、だりや」「だれや、やろ下手なしゃれゆうな。さるバドール・ダリや」こえもアウト。
 で、この男反省して、こんどは充分気をつけて、伊勢参りした時の話しをお家はんにした。お伊勢さんだけの話をすりゃええもんを、奈良に立ち寄った話しをしおった。これがあかん。この写真の池のことをいいおった。猿沢の池。
 しかし、まあ、なんですな。やっかいなお家はんですな。この家はんにべんちゃらゆうときの、ええ参考書がおます。筒井康隆はんの「残像に口紅を」や。あれは一つづつ文字が消えていき、その文字を含む存在そのものが世界から消えていくという話やった。
 このお家はんにべんちゃらゆうとき「さ」「る」を消してゆうたらええねん。すると「猿」はこの世に存在しないわけ。で、「猿」から進化した人類も消えるわけで、みいいんないのなったとさ。めでたしめでたし。




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いっとかなあかん神戸


 江弘毅    140B

「いっとかなあかん神戸」である。「いっとなかあかん神戸のお店」ではない。分類すれば、いわゆるグルメのガイドブックである。おいしそうなお店がいっぱい紹介されている。どのお店もたいへんに魅力的で、一度は行きたいと思わせるし、小生(雫石)が行ったことのあるお店も何軒かこの本に載っている。
 そのへんになんぼでもある凡百のガイドブックはデジタルでお店を紹介している。味A、接客C、店内インテリアB、というぐあい。この本はお店の紹介がアナログでなされている。だから立体的にそのお店が判る。
 たんなるグルメガイドではなく、書名からも判るように神戸という街そのものの紹介にもなっている。こういうお店が神戸にあるよ。と、いうのではなく、こういうお店がある街が神戸だよ。と、いうことである。
 著者は神戸大学出身者。だから学生時代は神戸にいた。卒業後も神戸に在住。だから、出てくるお店の多くは、この本のために取材したお店ではなく、昔から著者が個人的に好きで通っているお店。だから、それぞれのお店に対する著者の想い入れが読み取れる。
 グルメガイドでありつつも、エッセイ集としても読める。おいしいもん好き、神戸好きな人におすすめ。
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トラキチ酒場せんべろ屋 第65回

「終わりましたな」
「そやな」
「1回で勝負がついたな」
「うん。引き分けでも、中止でも蛇足シリーズどんづまり進出やゆうのに、進出でけへん。ここらが阪神らしいな」
「でも、ま、こないな蛇足なシリーズ早々に終わってよかったやん。ケガせえへんし、はよ休めるやん」
「ほな、また来年の3月までな」
「うん。来年の3月、阪神ファンが集まる新しいお店がもう1軒開店するらしいで」
「ほう、どこにや」
「なんでも阪急の夙川駅近くらしいで」
「いかなあかんな」
「あ、大将、おもやん、もちろん、せんべろ屋にも来るで」
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