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お父さんのバックドロップ


監督 李闘士男
出演 宇梶剛士、神木隆之介、南方英二、南果歩、生瀬勝久 、中島らも
 
 おしい、感涙を誘う父と子の感動のドラマに、そして、小生の大好きな男の復権ドラマになったかもしれない。ところがシナリオにぜい肉が多く、演出も微妙にズレがあった。プロレスラーが主人公の映画では、ミッキー・ロークの「レスラー」があったが、本作からは残念ながら「レスラー」の感動は得られなかった。
 一雄はお父さんが嫌いだ。お父さんはプロレスラーだ。それも盛りを過ぎた中年のプロレスラー。そのためベビーフェイスからヒール転向して、奇態なかっこうしてリングに上がる。ぼくのお父さんはプロレスラーだなんて、絶対に友だちにはいえない。
 お父さんは、ぼくよりも、死んだお母さんよりもプロレスが好きなんだ。授業参観に来てくれたこともないし、お母さんが病気の時も来なかった。お母さんが死んだ時でさえ、プロレスをやっていた。そんなお父さんは大嫌い。
 ドサ周りの弱小団体の中年プロレスラー、下田牛之助は息子一雄との絆を取り戻すため、空手の世界チャンピオンに異種格闘技戦を挑む。もちろんガチンコのセメントだ。
 純粋にドラマを、牛之助と一雄だけに絞ったストーリーにした方がよかった。一雄の友だちや、学校での出来事は余分だった。牛之助は確かにプロレスは好きだが、息子を育てているのだから、プロレスは生活のためでもある。そこのところをもう少し強調した方が良かった。
 ラストは予想される通りのベタなものだが、これはこれで良かった。ただ、牛之助と空手家の試合がしつこった。確かにすぐ決着をつけるのはもの足らない。ある程度の執拗な描写が必要だが、いつまで続くんだ、と思わせてはいけない。そのあたりの兼ね合いが難しい。その兼ね合いに失敗している。
 牛之助の団体「新世界プロレス」は弱小の団体。客が少ないドサ周りをやっているのだが、この興業のうらさびれ具合がいい。
 牛之助の父親役のチャンバラトリオのかしらが面白い。かしらの出演によって、この映画の大阪度がだいぶん上がった。
 なんといっても、一番笑えたのは散髪屋役のらもさん。そこにいてしゃべっているだけで面白い。らもさんはやっぱり、ものすごくキャラの立ったご仁だった。
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投手踊れど打線踊らず

 今日は休日出勤なり。ご苦労さん。ちゅうわけで阪神の試合観れんかった。引き分けだそうで。結局、9連戦の最初のカード、1勝もできんかったな。それにしても打てんな。昨日の岩田も、今日のメッセンジャーもようがんばっとうのにな。
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鯛の白ワイン蒸しグリーンピース添え

 
春の魚といえば鯛が思いつきます。あら炊き鯛めし、昆布蒸し、鯛茶漬けなど和食の素材にすることが多いですが、今回は西洋料理にしましょう。
 まず、グリーンピースですが、さやから出してゆでます。グリーンピースは必ずさや入りを求めましょう。むいてあるのも売ってますが、あれは鮮度が落ちていて味がよくありません。ゆでたグリーンピースは冷水に入れます。きれいな緑色です。鯛の切り身は皮めをパリッと焼いておきます。中まで火を通さないように。
 テフロンのフライパンにオリーブオイルを少々取って、玉ねぎ、トマト、マッシュルーム、イタリアンパセリのみじん切りを入れ、軽く塩こしょうします。その上に鯛を置き、白ワインをふりかけてアルミ箔をかぶせて加熱します。沸騰したら火から外し、200度のオーブンにフライパンごと入れて5分加熱します。鯛を取り除き、塩こしょうして汁を煮つめます。この時は弱火です。
 お皿にグリーンピースをしいて、その上に鯛を乗せてソースをかけて、レモン汁、エキストラバージンオリーブオイル(もこみちじゃないんだから少々でいいですよ)を少々かけます。イタリアンパセリの葉っぱをちょっと乗せます。
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城島が大ブレーキ。岩田見殺し。

 ええ天気やけど、なんともイライラする試合やった。せっかく岩田がええピッチングしとんのに見殺しやないの。けっして打ってへんわけやない。阪神の安打数は8、巨人は7.巨人の得点もタイムリーは加治前1本だけ。あとは8回の榎田の自滅の1点の2点だけ。
 ブレーキは城島やな。せっかく金本おじさんが作ったチャンスをことごとく併殺打でつぶしとう。スタメンをブラゼルやのうて城島にしたんが失敗やったな。
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ゾンビ巨人生き返る。これでちょっとはセリーグがおもろなるやんけ

開幕以来死んどった巨人打線を、こないだDeNAが鹿児島ですっかり生きかえらせおって。ゾンビ巨人が生きかえりおったやないの。
 ええやんか。これでセリーグがおもろなるやんけ。やっぱ巨人が強ようないとセリーグがおもろない。巨人はやっぱり阪神よりちょっと上の首位におってもらわなあかん。阪神はちょっと下の2位で、秋風が吹き始めるころ、スコッと阪神が首位に立ってそのまま優勝。くやしがる草深い武蔵野のアズマエビスどもの巨人ファンにベロベロバーすんのんがおもろいんや。
 阪神は幸先ようアニキのタイムリーで先制したんやけど、それが呼び水になったみたいに巨人の枯れ井戸からどんどん点が湧いて出よる。ま、能見の自滅ともいえるけどな。
 やっぱ杉内は打てんな。巨人そのあと山口、最後は、SFホラーの職人マシスン(なんのこちゃ。判る人には判る)9連戦の初戦を落とす。
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とり天

 
 鶏肉の揚げ物といえば、まず、パッと思いつくのは唐揚げだろう。ところが、これは唐揚げではない。天ぷらである。大分の郷土料理と聞く。
 鶏はもも肉を使った。食べやすい大きさに切って、すりにんにく、すりしょうが、酒、醤油で下味をつける。
 小麦粉、水、卵で衣を作り、170度ぐらいの油温で揚げる。ポン酢に辛子を付けて食べる。衣がサクッとして、中がジューシーでおいしい。唐揚げなら少し食べ過ぎると胸やけがするが、とり天ならいくらでも食べられそう。ご飯のおかずにもビールのお供にもあう。唐揚げばかりではなく、とりの天ぷらもおいしいぞ。
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とつぜんSFノート 第30回


 コピーライター時代、某クレジット会社のPR誌の仕事で、取材旅行したことがあった。取材旅行といっても「旅の特集ページ」の取材だから、観光地巡りである。最初は四国一周だった。2回目は中国地方一周である。
 このPR誌、自動車会社のマツダが協賛企業となっている。新幹線で広島まで行き、マツダの本社へ行く。マツダのエライさんにあいさつのあと。取材に使う車を借りる。車はマツダ・コスモ。UFOのような平べったいコスモ・スポーツは初代だが、その真っ赤2代目コスモAPが今回の旅のパートナー。風景写真をとる時は必ずコスモを入れるという条件だ。
 カメラマンと二人旅だが、運転は小生が行う。新発売されたばかりのピカピカの新車である。広島の町に走り出すと、さすがに目立って少々恥ずかしい。借り物の車である。絶対事故は起せない。落輪、接触、といった小事故もダメ。安全慎重運転である。あんな気を使って運転したのはあの時が一番だ。
 実は、小生、ロータリーエンジン車は初体験ではない。ファミリア・ロータリークーペに乗っていたこともあった。コスモはさすがにファミリアとは比べ物にならない良い車だった。馬力はコスモはファミリアより20馬力ほど高かったのではないか。静かで安定していて、そして速かった。コスモもファミリア同様、乗っていて速いとは感じなかった。他の車が遅いだけ。ロータリーエンジンはそれだけ、静かで振動が少なく滑らかに回るということだ。ただガソリンはよく食った。取材旅行中、毎日のようにガソリンを入れていたと記憶する。また、ガソリンを入れるたびに洗車していた。写真撮影しなければならないため、汚れていてはいけない。
 原爆ドームなど広島市内を撮影取材。宮島へ渡る。狭い島内には鹿がたくさんいた。厳島神社の撮影に行くが干潮であった。あの大鳥居、満潮の時は、鳥居の足もとが海の中にかくれていてきれいだが、干潮の時は、足もとが出て、カキやらなんやらいっぱい付いて、非常に汚い。旅行最終日にまた広島にコスモを返しにこなくてはならないから、その時にもう一度撮影する。それでもダメなら、借りネガという手がある。いろんな写真のネガを持っていて、それを貸す商売がある。もちろん著作権などの手続きは済んでいる写真だ。そこから厳島神社の写真を借りてきて誌面に使う。もちろん、現地で撮影した写真を使うのがベストである。極力、借りネガはさけたい。ただ、天候の都合などで、現地で撮影した写真が使えない場合がある。一ヶ所で何泊もして天候待ちしてじっくり撮影できるほど潤沢な予算はない。
 広島市内のビジネスホテルに泊まる。次の日は岩国で錦帯橋を撮影。そのまま山口市まで走って、市内を撮影取材。山口はかっては大内氏が治めていて「西の京」といわれている。山口で宿泊。
 早朝出発。秋吉台に向かう。まず、秋芳洞に入る。秋芳洞をひとめぐりして、秋吉台のドライブウェイにコスモを向ける。この秋吉台のドライブウェイが素晴らしかった。秋芳洞入り口付近の土産物屋が並んでいる道を過ぎ、カーブを曲がると、パーとカルスト大地が広がっている。羊の群のような石灰岩が点在する中を走る道は実に気持ちよかった。
 萩に到着後、日のあるうちに撮影。指月公園で萩城を撮影。隣の菊ヶ浜の海岸で海をバックにコスモの撮影をする。
 この時、コスモの横に女性を二人ほど立たせたいとカメラマンがいった。どっかでモデルになってくれる女の子を探してくれという。しかたがないので、小生が、そのへんを歩いている二人連れで、できるだけきれいな子に声をかける。
「お嬢さん、モデルになっていただけませんか」とても小生のキャラとは考えられない、非常に古典的なナンパ言葉を二人連れに声をかける。これが意外なことに「いいですよ」と快諾。コスモの前や後ろ、横に立ってもらって何枚か撮影。考えてみれば、このコスモ、ナンパするのは適した車だ。かっこいいし、静かだし。こっちは男二人、相手は女二人。小生はコピーライターの肩書きの名刺を渡してあるし、カメラの機材はプロ用だから、本物のPR誌の編集だと思うだろう。なんせ本物なんだから。コスモは5人乗りだから、もうちょっと撮影におつきあい、といってホテルにでも連れ込んでけしからん写真を撮ろうなんて、これぽっちも思わなかったのである。第一時間がない。このあと料理の撮影をしなくてはならない。撮影終了後住所を聞く。もちろん、できあがった雑誌は彼女たちに送った。横浜から来た女子大生だったと記憶する。
 この時、彼女たちにモデルを頼んだのは小生だが。小生、カメラマンなる人種と何度かペアで仕事したことがあったが、彼らはシャッターを押すこと以外はなにもしない。前回もそうだったが、運転はずっと小生。カメラマンは助手席で寝てる。旅行中の会計から、その他事務仕事、取材対象との折衝、時間管理、そしてモデルの調達まで、何から何まで全部コピーライターがやらなければならない。
 翌日、萩を出て津和野へ向かう。萩から津和野までの道が大変に快適だった。津和野を撮影取材のあと、一路広島へ。厳島神社の撮影をして、マツダ本社でコスモを返し、大阪へ帰る。


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花のズボラ飯


久住昌之:原作 水沢悦子:作画  秋田書店

 駒沢花は30歳。夫は単身赴任。子供はいない。だらしく、めんどうぐさがり。本屋でアルバイトしてるが、散らかり放題の家に帰って来て、腹は減っているが料理するのはめんどう。そのへんのモノでちゃちゃと作って「んまいー」感動する。それだけの漫画である。
 主人公の花は感動しているが、とてもこんな食いもん、うまいとは思えない。素材を鍋に入れて水を入れて、顆粒のダシの素をパラパラ。そんなもんより、ちゃんと昆布と鰹節で出汁取った方がうまいに決まっている。
 絵がきたなく、食いもん漫画ではあるが、とてもうまそうには見えない。だらしない主婦が一人でどんなモノ食っているのかを、のぞき見るという、あまり上品ではない興味だけが、ウリの漫画と見る。少なくとも小生は、本作の中の料理(料理ともいえん)は食いたいとも思えない。駒沢花とも、あまりお近づきになりたくない。
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大きな1勝やな

 きょうの1勝は大きい。引き分けを覚悟しとったけど、総合力で勝ちをもぎ取ったな。
 まず、先発安藤のがんばり。特に9回。2本ヒットを打たれた後、ニック、廣瀬を連続三振。しびれたな。安藤、完全復活やな。元エースの元を取ってもええんとちゃうか。
 5回は点にはならんかったけど、金本おじさんの激走。広島のキャッチャー白濱をぶっ倒す。
 ベンチの采配もよかったんとちゃうか。マートンの代走俊介、先に藤川を出したこと。その藤川、きょうは「絶対的守護神」やったな。
 あきらかに広島の野村さんはは引き分け狙い、和田さんは勝ちに行った。チーム全体で、引き分けを拒否、勝ちにいった成果が出た。
 ところで4番のアライさんのカゲがうすいな。いつ打点をあげとんねやろ。
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ミュータント狩り(第4回)

                                  ミュータント狩り(第3回)

 森の中から5人の男がやってきた。ザックに声をかけたのは、その中で一番小柄な男だ。
「おっと、その物騒なものは早くしまってくれ。俺たちは味方だ」
 男は顔の横で両手をヒラヒラさせながら、ニヤニヤと笑った。ザックは一目で彼らが同業者であることを見抜いた。
「何か用か」
 5人ともザック同様の、埃まみれの薄汚い服装。声をかけた男はレーザーガンだが、他の4人は火薬式の大型拳銃を腰にぶら下げている。
 それぐらいの大型拳銃なら、身体のどこに弾をくらっても強烈なショックで即死する。火薬式の銃を愛用するミュータント・ハンターの数は多い。むしろザックのようなレーザーガン愛用者の方が少数派だ。サーベル撃ちに習熟していない者は、火薬式の銃の方が必殺を期せる。
「俺たちにも手伝わせてくれねえか」
「何をだ」
「とぼけちゃいかん。バン・ザックさん。あんたが ビッグ・ホワイトから請負った仕事を知ってるぜ。ホワイトの娘をミュータントどもから救出するのだろう」
「あんたらにゃ関係ないことだ」 
ザックは馬に乗ろうとした。
「ところが関係あるんだな。これを見ろ」
 男は10枚の写真を手渡した。写真1枚に一人のミュータントが写っていた。
 4本腕のスパダ
 一つ眼の巨人サイクロップス
 白い凶人アルビン
 液体人間エイツオ
 円盤人間ソー
 鳥人ブーパー
 半人半馬ズム
 槍男ドップ
 弾丸小僧グレムリン
 王子ゼオ
 10人が10人ともあらゆるミュータント・ハンター垂涎の的である。そして恐怖の対象でもある。いずれもトップクラスの高額賞金首。人類文明の復興を阻止している運動の強力な推進者であり、非常に優秀なゲリラ戦士でもある。
「あんたが追っているのはゼオ一人ではない。その10人があんたの相手だ」
 ザックは少なからずショックを受けた。むろん、彼とてこの誘拐事件をゼオの単独犯とは考えていない。
 相手は20人ほど。手強いのはゼオを含めて5人程度。今までのザックの経験から推測すると、困難ではあるが彼一人でできる仕事だと思っていた。それが相手がこの10人となると・・・・。
 男はニッと笑って手を伸ばした、ザックは写真の束を返す。
「どうだ。ビッグ・トロフィーがこれだけ揃うと、なかなか壮観だろう」
 男の懐で電話が鳴った。
「はい。俺だ」
 男は電話をザックに手渡した。
「ミスター・ホワイトがあんたに話があるそうだ」
 電話の小さな画面に、全体の豪華さがうかがえる部屋の一部分が映る。画面がスーと横に動き、口も鼻も身体つきも大づくりな初老の男が現れた。
「あいさつは抜きだ。ザック。こいつを見てくれ」
 ホワイトの映像はバストショットにズームアップされた。切断された生首を見せた。生前かなりの拷問が加えられたらしく、目鼻も判らないくらい傷んでいた。
「こいつはだれか知っておるな」
 それは高額賞金首の一人、ヨシダだ。
「こやつは.今、あんたの横にいるキャノンが生け捕りにしてワシのところに連れてきた。キャノンはどこで知ったのか知らんが、エリカ誘拐のことを知り、情報を持っておるヨシダを連れてきたわけだ。
 犯人はキャノンが見せた写真の10人だ。奴らの恐ろしさはワシもよく知っておる。ザックよ。この仕事はキャノンら5人と組んでやって欲しい。もちろん、それによってあんたの報酬が減ることはない。あんたもプロとしての面子もあるだろう。だがワシはなんとしてエリカを取り戻したい。そこのところをよく理解してくれ。たのむ」
 ビッグ・ホワイトは頼みごとをするのは、いささか尊大すぎる態度で話した。電話の画面が消えた。見てくれは尊大だが、内心はザックに取りすがらんばかりに懇願しているのが、ザックにもよく判った。
 キャノンの名前は以前から知っていた。ザックとともに、この地方で回転サーベル撃ちができる数少ない男だ。
 ザックはプロである。プロにとって最も大切なことは、仕事を遂行すること。結果が良いか悪いか。それだけがプロの評価を決める。自己のクールに客観視して、自己の能力の限界を的確に知っておくのもプロの資格だ。面子や、結果にいたる過程にこだわるのはアマチュアだ。
 ザック一人で、あの10人のミュータントを相手にするとなると、成功の確率は低い。今、キャノンら5人の手を借りてでも、成功を期せとの依頼主(クライアント)の要請があった。当然、その通りにした方が確立は高い。依頼された仕事の遂行を第一に考えるべき、奴(キャノン)との何らかの対立が生じれば、仕事が終わってから決着をつけても遅くはない。
「ま、そういうわけだ」
 キャノンはザックに右手を差し出した。二人は握手した。
「フィリップ・キャノンだ」
 キャノンは自己紹介の後、4人の仲間を紹介し始めた。
「ジン・カザマだ。第1期文明時代のニッポンという国の古武道ケンドーの使い手だ。刃物を持った挌闘では、こいつにかなう者はいないだろう」
 小柄で目つきの鋭い男が会釈した。
「ガデム。今まで素手で30人以上のミュータントの首を素手で引っこ抜いている。その上、とんでもない得物の使い手だ」
 身長は2mを越えている。黒光りするスキンヘッドの大入道が、ギョロリと目だけこちらに向けた。長さ1メートル50cm、直径15cmほどの巨大な筒を背中に背負っている。
「チャン・スー。こいつは肉体そのものが武器だ」
 あまり肉付きが良いとはいえない男が、目を細め口元をほころばせて挨拶をした。一行の中でキャノンの次に愛想の良い男らしい。
「最後にジョン・スミス。火薬式拳銃の取り扱いがめっぽううまい。俺はこいつより速く銃を撃てる男は知らない」
 テンガロンハットの下から金髪をのぞかせている。一行で一番若いが、底知れぬ殺気を感じさせる。
「バン・ザックだ」
 ザックはそれだけいうと馬に乗った。キャノンたちも乗馬する。
「ザック、どこへ行く気だ」
「ミノタニ村だ」
「そんな所で聞き込みするより、俺に任せた方が良いと思うがな」
 キャノンはいわくありげな微笑をザックに向けた。ピンときた。キャノンめ、何かたくらんでいるな。奴はヨシダから、犯行に加わったミュータントたちの正体を聞き出した。当然、連中のアジトの場所も聞き出しているだろう。それをザックにいわないのは、ザックに抜け駆けされるのを恐れているからだろう。
「わかった。お前にまかせる」
 キャノンがみんなに合図した。
「行くぞ」

                                    次回更新予定5月2日
       
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おや、江草くん久しぶり。どないしたんや、えらい赤なって

 相手のピッチャーが変わるとこないに違うもんか。きのう、マエケンに黙らせれた阪神打線。1回裏、いきなりチャンス。で、ブラゼル、アニキの連続タイムリーで2点先制。5回には3点加点して5点取る。こっちの先発久保快投。そのあと榎田、鄭凱文とつないで、結局、完封勝ち。
 ところで、久しぶりに甲子園で投げる江草を観た。どないしたんや。赤こうなって。ま、きょうは快勝やな。
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集団登下校を考える必要があるのではないか

 また痛ましい事故が起きた。登校中の小学生の列に、無免許の少年が運転する軽自動車が突っ込み、児童一人、引率の保護者が亡くなった。この保護者は妊婦で、胎内の胎児も亡くなった。亡くなった方のご冥福をお祈りし、負傷された方の1日も早い快復をお祈りする。また、加害者の少年には、厳罰を加えるべきだと思う。
 今まで、集団登下校中の子供たちに暴走車が突っ込んで、複数の被害者が出たことが何度かあった。昨年は栃木県でクレーン車が突っ込み、6人の小学生の命を奪った。
 この、集団登校という方法は再考を要するのではないか。歩道車道の区別がない道の端を、小学生が集団で歩いている。その横を車がスピードを緩めず走り抜ける。見ていてヒヤヒヤする。また、歩道車道が完全に分離されていても、運転者のコントロールを失った暴走車なら、惨事の可能性がある。
 子供たちがひとかたまりになっている所に、今回のように車が突っ込めば複数の犠牲者が出る。もし子供たちが集団ではなかったのならば、犠牲者は複数でなかったのかもしれない。
 この、集団登下校、子供たちの安全のために始まったのだろう。変質者や誘拐から子供を守るという点では、確かに集団登下校は有効ではあるが、子供たちが密集した群れで歩いているため、今回のように暴走車が突っ込むと大惨事になる。一考すべきではないか。
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見事な投手戦やった。負けても満足

144試合全部勝つわけにはいかん。年間何試合かは必ず負けなあかん。今日は、その負けなあかん試合のうちの1試合やったな。
 メッセンジャーVS前田健太。実に見事な投手戦を見せてもろた。お互い打たれたヒットは2安打づつ。メッセンジャーが打たれた2本のうちの1本が、広島のいま売出し中の堂林のソロホームラン。これが決勝点となった。二人目のピッチャー、筒井とサファテも1本づつ被安打。両軍ヒット3本づつ。投手戦の醍醐味を味わわせてもろた。阪神、負けても納得満足。メッセンジャーと前田に拍手。
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アメリ


監督 ジャン=ピエール・ジュネ
出演 オドレイ・トトウ、マチュー・カソヴィッツ、ヨランド・モロー

 アメリはちょっと変わった育ち方をした女の子。おとうさんは医者。おかあさんは元教師。おとうさんはアメリの健康診断をするのだが、おとうさんに触れられるといつも心臓がドキドキする。で、両親にこの子は心臓が悪いと思われて学校へは行かせてもらわなかった。勉強はおかあさんが教えた。そのおかあさんも事故で死んだ。ずっと家にいたアメリは引っ込み思案で内気、空想好きな少女だった。
 そのアメリも健康に成人した。モンマルトルのカフェで働いている。空想好きは相変わらずだが、イタズラ好きで内気な娘に成長したアメリの好きなこと。石を運河に投げて水切りをすること。クレーム・ブリュレのパリパリをスプーンでつぶすこと。そして人間観察。
 そんなアメリの周りはちょっとおかしな人でいっぱい。家から一歩も出ないで絵ばかり描いているガラス男。指の骨をポキポキならすウェイトレスのジーナ。ずっと酔っぱらっているアパートの管理人。少し知恵遅れの八百屋の店員。そして、破り捨てられた人の写真をコレクションするのが好きな青年ニノ。いろんな人にイタズラをするアメリだが、ニノにだけ特別な感情を持っていることに気がつく。
 アメリのトトウが大変に魅力的。茶目っ気たっぷりで、軽快に風のようにモンマルトルを走り回る。
 フランスらしい、明るく皮肉で少しイジワルで、そしてチャーミングな映画である。フランス人の女の子の成長の物語である。
 実はこの映画を観たら、クレーム・ブリュレを食べたくなった。ビゴの店で買って来て食べた。確かにアメリでなくても少し焦げた表面のパリパリをスプーンで突きくずすのが快楽。
 自作してみようと思うのだが、調理用のバーナーが無い。会社へ持って行って、現場のおじさんに鉄板を切るガス切断用バーナーであぶってもらおうと思ったが、そんなことをしたら型ごと跡形も無く消滅してしまう。自作はあきらめるとしよう。


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SFマガジン2012年5月号


SFマガジン2012年5月号 №674 早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター

錬金術(後編) 田中一江訳 パオロ・バチガルビ
 今月では読めた作品はこれ1編。

ソロモン・ガースキーの創世記 下楠昌哉訳 イアン・マクドナルド
掘る             古沢嘉通訳 イアン・マクドナルド

イアン・マクドナルドの2編は評価に値せず。バチカルビの「錬金術師」も下手な翻訳。よって今号は楽しめた作品はなし。お買い損の号であったぞ早川さん。ところで、バチガルビの翻訳を田中一江にやらせるな。バチガルビがかわいそうだ。

連載

輝きの七日間(第13回) 山本弘
悪魔の降下 怨讐惑星 第22話 梶尾真治
現代SF作家論シリーズ 監修 巽孝之
第16回 広瀬正論「ジオラマ制作者の眼」 難波弘之
SFのある文学誌(第5回) 長山靖生
是空の作家・光瀬龍(第4回) 立川ゆかり

 今月号はイアン・マクドナルド特集。ようわからん短編2編とローカス誌編集部が行ったインタビュー。それと「サイバラバード・デイズ」の広告。
 小生のようにマクドナルドが性にあわん者にとっては、カネ返せと叫びたくなるような特集であった。
「ソロモン・ガースキーの創世記」「掘る」の2編は、小説として非常に不親切だ。ナマのアイデアを咀嚼もせずいきなり読者の目の前に放り出されても困るのである。小生としては、「こんなもん食えるか。ちゃんと料理せえ」といいたくなる。読むのが苦痛であった。
 バチカルビの「錬金術師」魔法を使わず毒イバラを退治する機械「バランサスト」を発明した主人公は市長の前で実験、見事成功する。市長お抱えのマジスター、スキャクスの評価を得る。病気で人質となっている娘も喜び、召使の女性パイラともほのかに愛が芽生えつつある。
 第7回日本SF評論賞が決定した。最終選考会の採録と、優秀賞受賞作
「独身者たちの宴 上田早夕里『華竜の宮』論」 渡邊利道
 が、掲載されていた。この受賞作は読み応えがあった。ただ、最終選考会で荒巻義雄さんが、この作品は「解説文」であると、おっしゃってたが、小生も同感である。
 ところで、この賞も今回で7回目。今までの受賞作を見てみよう。

第1回 『鳥姫伝』評論-断絶に架かる1本の橋- 横道仁志
第2回 グレッグ・イーガンとスパイラルダンスを
    「適切な愛」「祈りの海」「しあわせの理由」に読む境界解体の快楽
                        海老原豊
第3回 光瀬龍『百億の昼と千億の夜』小論旧ハヤカワ文庫版「あとがきにか          
    えて」の謎                宮野由梨香
第4回 アシモフの二つの顔            石和義之
第5回 「世界内戦とわずかな希望」-伊藤計劃『虐殺器官』へ向き合うために
                         岡和田晃
第6回 玲音の予感-『serial expeniments lai』の描く未来 
                         関竜司

 いずれも作品論である。確かに作家論的な要素もあるが、その作家の作品を取り上げて作品論を展開している。
 だいたい、この「日本SF評論賞」は、戦略的に何を目標として制定された賞なのか。日本SF作家クラブの趣意書には以下のように記してある。以下同クラブのホームページより引用。

「SF評論」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょう。そのイメージの大半はおそらく、新聞雑誌の書評や文庫の解説によって、かたちづくられてきたのではないでしょうか。しかし世界がSFと化してしまった現在、きわめてクリエイティヴなSF的想像力を創作以外の形式で発揮するものが増大するようになったのも、疑いえません。SFが小説から映像、音楽まで多くの表現形式を獲得してきたように、SF評論もまた、創作以外の多くの領域をカバーするもうひとつの表現形式として、評価されるべき時代が到来しました。伝統的な文芸評論の枠には収まらなくとも、独自の作家論や作品論、伝記、ノンフィクション、超科学研究、はたまた映画やマンガやアニメ、現代芸術、さらにはそこに惹きつけられる感性自体を中心とした文化研究に至るまで、SF的想像力あふれる書き手は、今日決して少なくありません。そこから新世紀を担う才能を、日本SF作家クラブは積極的に発見し発掘していきたいと考えています。                
                                引用終わり

 ようするにSFが多様化した。それに対応するため、新たな書き手を発掘する。と、いうことかしら。
 評論とはなんぞや。浅学非才ではあるが、小生なりに定義すると、「○○とはなんぞや」ということではないか。今回の受賞作は「華竜の宮」とはなんぞや。と、いっている。これまでの受賞作を見ても「鳥姫伝」とはなんぞや、「百億の昼と千億の夜」とはなんぞや、「虐殺器官」とはなんぞや、とはいっている。でも、さらにもう1つ上の次元、グレッグ・イーガンとはなんぞや、光瀬龍とはなんぞや、伊藤計劃とはなんぞや、とまでは行ってない。確かに一人の人物をテーマに据え、「なんぞや」を解題しようとすると、この規定の枚数では無理だ。星新一とはなんぞや、をやろうとするのならば、これぐらいの著作が必要だ。また、作家ではないが木村政彦とはなんぞや、でもこんな大著になった。大変な仕事である。そういう意味からも、現代連載中の立川ゆかりさんの「是空の作家・光瀬龍」には期待する。
 で、この賞だ。SFの評論賞なのだから、「SFとはなんぞや」を追及してもらいたい。その目標に向かって主催者の日本SF作家クラブは戦略的に考えているのか。漫然と募集して、これはいい。うん、今回はこれが優秀賞だ、とやっているのではないか。だとすれば、この賞はさしたる値打ちはない。1つのことにくわしいオタクを発掘しているだけだ。この賞もそれなりに回を重ねた。もうそろそろ確たる戦略に則った賞の有り方を再考すべきではないか。

 
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