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政治活動費は打出の小槌か?

 政治活動費。議員という仕事についている、ある種の人にとっては、打出の小槌と同義語らしい。なんぼでも金を生み出す。政治活動費だといって領収書を提出すれば、クレヨンしんちゃんの本でも、家族旅行でも、マッサージチェアでも、支持者の接待でも、カラ出張でもなんでもOK。納税者の血税をむしりとり放題だ。
 この政治活動費なるもの上限が決められているのかな。もし、上限なし青天井なら、上限を設定する必要がある。それを超える金は、領収書を提出しても支払わない。必要なら自腹を切るべし。県にしても市にしても予算は決められているのだろう。無制限な予算があるわけではないだろう。だったら、決められた予算内で行政が執行できるようにする。これも県や市の議員としての必要な能力だろう。自分の政治活動費を管理できないようであれば、議員としての資格はない。
 上限が決められているのであれば、そこから「自称・政治活動費」を使っているのだから、本当に必要な政治活動を行えなくなるだろう。だったら、政治活動をしてない議員ということになる。そんな議員も議員の資格はない。
「政治活動費」おおいに見直す必要がある。
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とつぜんSFノート 第81回

 小生もSFもんの例にもれず、特撮映画が好きだった。子供ころよく観た。さすがに大人になったら特撮もんは観なくなった。SFもんの中には山本弘氏のように少年の心を失わず、特撮もんを大人になっても愛好されている方もいるが、小生は、どうも心身ともオジンになってしまったようだ。
 昭和30年代から40年代にかけて、東宝で盛んに特撮映画が創られていた。円谷英二が特撮を担当し、ゴジラ、モスラ、キングキドラといった怪獣映画がメインだが、怪獣映画以外にも印象に残っている映画があった。小生の場合、「海底軍艦」と「地球防衛軍」だな。
 今は映画鑑賞は主に、神戸は三宮のミント神戸の映画館で見ているが、昭和30年40年代は、各町に邦画大手5社の専門封切館が1つづつあった。小生がそのころ住んでいた神戸市東灘区本山町の場合、大映は2館あった。阪神青木駅近くと、今のJR甲南山手駅近く商業施設セルバのあったところ。東映は、甲南町の国道2号線沿い。そして一番よく行った東宝の映画館は、甲南の十三軒道路沿い、ナダシンの餅屋のはす向かいにあった甲南朝日という映画館だ。「海底軍艦」も「地球防衛軍」も甲南朝日で観た。
「海底軍艦」原作は押川春浪。太古の大昔海底に沈んだムー大陸。そこには強大なムー帝国が健在だった。ムー帝国が地上に脅迫をかけて来る。謎の潜水艦による被害も出始めた。最新鋭の原潜でムー帝国に行くが深度に耐えられなくて沈没。地上世界危うし。そこで登場するのが旧日本帝国海軍が密かに建造した海底軍艦轟天号。この轟天号のデザインが秀逸。潜水艦に戦艦の上部構造がくっつき、艦首にドリルついている。空も飛べる。陸海空に地中も行ける。まさに万能スーパー軍艦である。
「地球防衛軍」原作は丘美丈二郎。メカのデザインは小松崎茂。第5惑星ミステロイドから侵略者が地球にやって来た。エイリアン・ミステリアンは富士のすそ野に巨大なドームを建設して地球侵略の拠点とした。このドームを攻撃するが地球の通常兵器では歯が立たない。巨大なロボット・モゲラも出現した。
 地球側の切り札として、アルファ号ベータ号なる空中戦艦が登場。ドーム対策の兵器として大きなパラボラにキャタピラーがついたモノも。こいつがせっせとドームに光線を当てる。
 開戦前、地球の特使をミステリアンがドームに招きいれるのだが、「中は寒いですからマントを着てください」といったのが印象に残っている。
 子供のころ、甲南朝日で東宝特撮映画を観て、帰りにナダシンのぼたもちや大福を買ってもらって食べるのがなにより楽しみであった。

 


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テントさんが亡くなった

芸人のテントさんが亡くなった。と、いっても知らない人がほとんどだろう。昔の芸名は大空テントといった。なんせ、この人テレビなんかには出ない。めったにその姿を見ることはない。もし見れたらたいへんにめずらしいものを見た、ということで「ツチノコ芸人」といわれた。
人間パチンコ」とか「蜘蛛の決闘」とかいう、なんとも不可思議な芸をやる芸人さんだった。
 これは自慢してもいいことだと思うから自慢するが、小生は大昔、テントさんの芸を生で見たことがあった。ずいぶん昔のことで、まだ大空テントとおしゃっていたころだ。桂春輔師匠だったかな、だれかの落語会にゲストで出てこられた。なんのネタをやらはったのか忘れたが、実に不思議な芸人さんだった印象が残っている。 
 テントさんのご冥福をお祈りします。
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阪神5連勝!4位浮上!

 4位5位のBクラス上位攻防戦や。これで勝った方が4位やねんから、力が入るやろ。なんとかBクラス上位をうかがう阪神。8回の逆転の4連打はみごとやったな。ま、阪神ヤクルト双方ともミスちょんぼがあったけど、阪神勝って4位や。鳥谷はトンネルしたけど、高山、坪井さんの記録にならぶ新人安打数。マテオ20セーブめ。5連勝。強いな阪神。
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十杷一絡げはやめてちょうだい

 ここは太閤殿下のお膝元、豊臣恩顧の地関西だから、裏切り者徳川ナイフの地、江戸でなにをしようと勝手だが、なんでもいまから4年後に、なんたらいう運動会が行われるとか。
 で、その運動会の勧進元のボスが、元支持率3パーセント以下総理「サメの脳みそ」のおっさん。このおっさんが、平日に道路を封鎖して競技をおこなう日は、休日にせいとゆうとる。このおっさんアホや思うとったが、ほんまにアホやったんやな。
 たかが運動会のために休日にせえだと。なんでそこまでして、運動会せなあかんねや。サメ脳のおっさん、自分がこんなこと好きやから、みんな好きで、国民全員で大歓迎やと思うとるのかしら。
 確かに運動会が楽しみで、2020年が来るのを指折り数えて待っている人もおるやろ。しかし、そんなもん興味がなく大迷惑やと思うてる人もおるやろ。
 ワシの住まいおる神戸でもマラソンがある。その日はコースとなった道路は規制される。神戸市民全員が旗振って応援しとるわけやない。ワシなんか実に迷惑なもんやと思うとる。
 なんでも人を十杷一絡げにくくるのはやめてもらいたい。運動会に賛成の人も反対の人もおるんや。人さまざまや。このサメ脳おっさん、こんなことも判らんかったから支持率3パーセント以下やったんや。そもそもなんで引退したはずのこんなおっさんが、かようなとこにおって、デカイ顔してエラそうなことゆうとんや。
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家族はつらいよ


監督 山田洋次
出演 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優

 ごらんのように、監督の山田洋次をはじめ、キャストは「東京家族」と同じである。 
定年後。ゴルフに酒にと楽隠居の楽しみを満喫している平田周造。長年連れそった妻の富子はカルチャーセンターの創作教室なんぞに通って小説を書いている。富子の誕生日。「誕生祝は何がいい」「あまり高いモノはだめだぞ」「450円でいいの」
 450円。役所に提出する離婚届の費用。とつぜん妻から離婚を申し入れられた周造。「オレはなにも悪いことはしてないのに」
 と、ここから平田家の騒動が始まる。仕事人間の長男。その妻は専業主婦。税理士で壊れたスピーカーの長女。「髪結いの亭主」で骨董三昧のその夫。ええ年になっても実家におる次男と、その彼女の看護師。
「おとうさんが離婚する」こういう思わぬ事態を受けて、このメンツが上や下への大騒ぎ。おとうさんはいう。「オレは被害者なんだ」
 はたしてそうかな。おとうさんはほんとに何も悪いことはしてないのかな。
 熟年離婚する年老いた両親の心のすれ違いを幹に、子供とその連れあい彼女を巻き込んで、くすぐり、ギャグの枝葉が茂る。
 久しぶりの山田喜劇であるが、「男はつらいよ」初期のような爆発的なギャグはさすがにない。小津安二郎へのオマージュを漂わせつつ、ところどころに「男はつらいよ」のくすぐりも入れてある。
 できれば、まだご存命の「男はつらいよ」ご一家のだれかをカメオ出演で出してもらいたかったな。富子が通ってる創作教室の友だちに倍賞千恵子さんがいるとか。
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阪神快勝なれど、中日元気ださんかい

 5位阪神と6位中日の純然たるまじりっけなしの消化試合。両チームともテンションが上がる要素はなんもない。
 で、こんな試合で、あれほど出んかったチャンスに1本出て阪神快勝。しかし、中日の覇気のなさが目についたな。本拠地ナゴヤドームでの最終戦。負ければ最下位決定。中日にとってはそんな試合だから、もうちょっとがんばるべきやったな。中日さん。
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タコライス


 これタコライスや。蛸ライスとちゃうで。タコ飯やったら明石の郷土メシやけど、これは蛸やのうてタコや。
 そや明石のタコやのうて、メキシコ料理のタコスのタコや。タコスの具をメシの上にのっけたもんや。沖縄が発祥の地らしい。
 野菜はレタス、トマト、アボガドや。まずニンニクを炒めて香りが立ったら合いびき肉を炒めるんや。肉の色が変わったらウスターソース、ケチャップ、白ワイン、醤油、カレー粉で味つけすんねん。水分が少なくなった塩こしょうで味を調えるんや。
 で、メシの上に野菜を乗せて、ひき肉を乗せて、チーズをトッピングしたらできあがりや。ボリュームがあって、うまいで。
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キムチ焼きうどん

 
キムチは便利である。なんにもおかずがない時、キムチと白いメシがあればOK。韓国のソウルフードといっていいかも知れないが、日本人の小生も好んで食べている。
 今朝は、そのキムチをつかった麺料理だ。焼きうどんである。用意するモノはまずうどん。小生は麺類が好きである。以前、麺料理するつもりで、いろいろ材料を用意しして、さて調理にかかろうとしたら、肝心の麺を買いわすれていたことがあった。アホである。
 さて、うどんも買ってあると。具は豚肉、長ネギ、なす、それにキムチ。にんにく、しょうが、ゴマ。調味料はゴマ油、コチジャン、醤油。
 調理はいたって簡単。まず、豚肉を炒め、うどんを入れ、野菜を入れて炒め合わせて調味料で味付けして、ゴマをパラパラしてできあがり。キムチは野菜といっしょに炒めるのと、最後に上に乗っけるのの2種類の使い方をした。
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さようなら

「まだあるか」
「はい」
「おかわりくれ」
「水割りですか」
「いや、今度はロックで」
「ふうう。マスター、鏑木さんとのつきあいも長いな」
「30年になりますね」
「そんなになるか」
「そんなになりますよ」
「そうか。オレも年取るはずだ」
「私も年取りました」
「いやあ、鏑木さんは変わらんよ」
「そうですか。黒木さんも変わってませんよ」
「オレは若いころから老け顔だったからな」
「私も同じですよ」
「そうだな。鏑木さんは30年前から鏑木さんだったな」
「黒木さんも30年前から黒木さんでしたよ」
「オレ、30年もこの街に通うとは思わなんだ」
「そうですか」
「オレが初めてこの店に来た時のこと覚えてるか」
「はい」
「実は、黒木さん、この店海神の2人目の客なんですよ」
「ほう、そうかい」
「この店を開店した当日、30分後に来た客が黒木さんなんです」
「へー。最初の客って、どんなヤツだった」
「覚えてませんか。黒木さんが入店された時にカウンターの端に座ってた人」
「覚えてないよ。あの時、仕事のことで頭がいっぱいで」
「そうですね。私がオーダー聞いても、うわの空でしたね」
「うん、あの時は、怒り狂うお得意をいかに納得させるか、それの算段に頭を悩ませておった」
「結局、お仕事はうまくいったんですね」
「そうなんだ。その客に気に入られて、なんかあるとオレがここに出張してたよ」
「そして、ウチの常連になったと」
「そうなんだ」
「気の重い仕事をかかえて、知らない街に来て、安宿で夜を過ごすのもなんだし、駅前の商店街をブラブラしてて、この店を見つけたんだ」
「グラスあいてますよ」
「ボトル、あとどれぐらいだ」
「あとロック2杯分ですね」
「ほっとしたよ」
「なにがですか」
「あの時さ。この店でウィスキーを飲んでたら、気持ちがおちついたよ」
「そうですか」
「ロック2杯入れてくれ」
「はい」
「鏑木さん、グラスを持ってくれ」
「はい」
「オレも定年だ。あそこも今月いっぱいで閉店だとさ」
「すると、黒木さん・・・」
「うん、もうこの街にくることはない。新しいボトルもキープしないよ」
「そうですか」
「乾杯」
「乾杯」
「じゃ、鏑木さん、マスター、お元気で」
「黒木さんも」
「さようなら」
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SFマガジン2016年10月号


SFマガジン2016年10月号 №717  早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター

1位 宝はこの地図   草上仁
2位 七千六日の少女 怨讐星域 特別編 梶尾真治   
3位 ウルフェント・バンデローズの指南鼻(後篇) ダン・シモンズ 酒井昭伸訳
4位 魔法使いの家   メガン・マキャロン 鈴木潤訳
5位 ワイルド家の人たち ジュリア・エリオット 小川隆訳
6位 弓弦をはずして   ユーン・ハ・リー 小川隆訳
7位 OPEN      チャールズ・ユウ 円城塔訳

連載
小角の城(第40回) 夢枕獏
椎名誠のニュートラル・コーナー(第53回)
時間流刑者は暇な午後に三葉虫を釣りにいく 椎名誠
マルドゥック・アノニマス(第11回)   冲方丁
幻視百景(第4回)            酉島伝法
SFのある文学誌(第48回)       長山靖生
にゅうもん!西田藍の海外SF再入門(第12回) 西田藍
アニメもんのSF散歩(第12回) 藤津亮太
現代日本演劇のSF的諸相(第21回) 山崎健太

海外SFドラマ特集          監修 堺三保
「スタートレック」50周年記念特集  監修 丸屋九兵衛
ケリー・リンク以降―不思議を描く作家たち 監修 小川隆

 小生、海外SFドラマに興味なし。「スタートレック」も昔の(レオナード・ニモイが出ててたヤツ)モノはリアルタイムで観てたが、今のモノに興味なし。よって、この二つの特集はパス。
 しかし、このSFマガジンはSF専門誌だろ。だったら専門誌ならではの責務があるはずだろう。しかも日本で唯一のSF専門誌だ。そのことの自覚がないこと、はなはだしい。
 この1年の特集を見てみよう。まず、今号はご覧のとおりの「海外SFドラマ」特集。
 2016年8月号。ハヤカワSFシリーズ総解説。
      6月号。やくしまるえつこのSF世界
      4月号 デビッド・ボウイ追悼
      2月号 スターウォーズ
 2015年12月号 SFアニメ
      10月号 伊藤計劃
 毎年やっていたヒューゴー賞ネビュラ賞特集はない。非英語圏SF特集もない。まったく、これではとてもSF専門誌といっていいのだろうか。なんどもいってるがSFとはまず文芸だ。SF専門誌というからには文芸としてのSFに焦点をあてた編集をすべきではないのか。
 とはいえ今月号は少し反省の色が見える。第3特集として「ケリー・リンク以降―不思議を描く作家たち」を企画した。これは評価できる。分類不可能な、不思議としかいいようがない作家を4人紹介していた。雫石鉄也ひとり人気カウンター4位、5位、6位、7位の作品がそれ。小生は低い評価をつけたが、このジャンル可能性はある。ただ、4人だけの紹介ではよく判らん。どうせやるのなら、第1特集としてもっと多くの作家作品を紹介すべし。
 ケリー・リンク?不勉強ながら小生はこの作家知らなんだ。それに「以降」と呼ばれる作家ならば、なんでケリー・リンクの作品を掲載しない。片手落ちである。       
  
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春から縁起がええぞ。広島に快勝や

 いやあ。さいさきええな。先発、藤浪、9回に鈴木に一発食らったけど、5安打1失点完投。先発の軸として期待が持てるんとちゃうか。
 打つ方は得点はみんなホームラン。4回、若い北條が難敵ジョンソンから先制のソロホームラン。6回中堅上本が中押しのソロ。そして8回新人高山がダメ押しのツーラン。これで広島の新外国人ピッチャー、ジョンソンはこわないで。若きエース藤浪快投。若手の北條、中堅上本、新人高山が活躍。春の長雨が降る広島市民球場での今年最初の対広島戦快勝や。これで今年は阪神タイガース優勝やな。
 え、春やないて。ええ、知らんかった。で、今はいつや。この雨は春の雨と違うんか。ええ、秋やて。今は秋やて。でも、ヒガンとちゃうんか。墓参りしてボタもち食べたで。秋のヒガンやて今日は秋分の日やて。う~む。ぜんぜん知らんかった。で、もう優勝は決まったんか。阪神か?え、ちゃうて。で、阪神、何位やねん。
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とつぜん上方落語 第4回 くっしゃみ講釈

 小生はNHKの大河ドラマはあまり観ない。でも、今年の「真田丸」はおもしろいから観ている。三谷幸喜の脚本がおもしろいのだろう。「真田丸」いちおう主人公は真田信繁だが、群像劇といっていい。三谷幸喜はこういう群像劇を創らせるとたいへんうまい。ただし「ギャラクシー街道」での大失敗で判ったのだがSFはまったくダメ。
 それはさておき、「真田丸」はオヤジ、おじさんがおもしろい。まず、なんといっても真田昌幸の草刈正雄。これまで真田昌幸といえば片岡千恵蔵、丹波哲郎といった重い人たちが演じるイメージがあるが、軽い草刈正雄が演じると、たいへんにキャラの立った真田昌幸となった。
 それから徳川家重臣の二人の本多がおもしろい。本多正信。近藤正臣が演じているのだが、家康の知恵袋で、酢でもコンニャクでもいかん老臣ぶりがおもしろい。もう一人の本多、本多忠勝。藤岡弘、がアツク演じている。本多平八郎忠勝。徳川家きっての猛将。57度の合戦にでながらかすり傷ひとつ負ったことがない。こんな猛将をアツイ藤岡が演じている。ぴったりの適役というほかない。
 この本多忠勝、拙作「キヨモリの鍵」にも出演してもらった。この作品の忠勝はトクガワ・ミナモト連合軍の機甲龍機兵オダイバ・ガンダムの操縦者だ。
 上方落語にも本多忠勝が出てくるのがある。「くっしゃみ講釈」である。界隈きっての小町娘、小間物屋のおもやんとの恋の語らいをじゃまされた主人公。邪魔した講釈師後藤一山に復讐を算段する。講釈場で胡椒の粉をくすべて、くっしゃみさせて講釈できんようにしてやろうという計画だ。胡椒の粉を買いに横町の八百屋へ行ってのぞきからくりの「八百屋お七」を「ホェ~イ小伝馬町より引き出され」と一段そっくり語って、胡椒の粉の代わりにとんがらしの粉を買ってくる。
 で、講釈場。このとき読み上げられたのは「難波戦記」大坂夏の陣(冬の陣やったかな)の講釈。
 大坂城中、御上段の間には内大臣秀頼公。おん左にはご母堂淀殿。軍師の真田左衛門尉幸村、四天王の面々には後藤又兵衛基次、長曽我部宮内少輔元親。木村長門守重成。このへんから、とんがらしの粉を火鉢の火でくすべだす。
 先手の大将、その日のいでたちいかにと見てやれば、黒皮おどしの大鎧、白檀磨きの篭手脛当て、鹿の角前立てうったる五枚シコロの兜をいただき、へー、へーくしょん。
 城中目がけて乗り込み来たりしが、天地も轟く大音声、は~くしょん。やあやあわれこそは、駿、遠、三の三カ国において、さる者ありと知られたる、へーくしょん、本多平八郎忠勝とはわれのことなり。はーはーはーくしょん。われと思わん者は、いざ尋常に勝負勝負。はーくしょんへーくしょん。
 と、ここに本多忠勝がでてくるわけ。この噺を聞くたびに思うのだが、このころヨーロッパでは胡椒はたいへんな貴重品。こっちで横町の八百屋で売ってて、講釈の邪魔すんのに使ってた。西洋と東洋の違いだな。 
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仕事で身につく本能

 小生の本業は購買仕入れ。リストラされたりして会社は何社か変わったが、この仕事をもう30年以上やっている。
製品の原材料、部品、工具治具類、ようするに会社の業務に必要なモノを買う仕事である。もちろん購買資金は小生のカネではない。会社のカネである。会社のカネを使って買物をするわけ。自分のふところはいたまないが、1円でも安く仕入れようと努力する。これはもう、購買仕入れをなりわいとする会社員の本能といっていい。
小生は出費を1円でも安くという本能が身についた。ところが小生とはまったく逆の本能を身につけたご仁たちがいる。
 まったくひどいもんだ富山市議。例の号泣議員は単独犯であったが、この富山市議は自民党会派ぐるみ。白紙の領収書をどこやらから手に入れて、政治活動費として税金をババする。マスゾエねずみ男前都知事もそうであったが、こやつらには、公金の出費を1円でも少なくしようという本能は身につかなかったようだ。特に悪質なご仁は、なんでも市議会のドンだとか。なんとかのドンと呼ばれるヤツにろくなヤツはおらん。
小生も購買屋が長いから同業者も知っているが、みなさん小生とおなじような本能を持っておられる。どうもわれわれ民間企業で働く労働者と、選挙で選ばれて仕事をしている選良の諸賢では、価値観がだいぶん違うようだ。
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ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります


監督 リチャード・ロンクレイン
出演 モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン、シンシア・ニクソン

 カメラをローアングルで構えて撮って、モーガン・フリーマンを笠智衆にダイアン・キートンを東山千栄子に替えたら、そのまま小津安二郎映画になるんではないか。そんな映画であった。エンタメ目いっぱい派手な映像せかせかとしたストーリーといった「ハリウッド」映画ではない「アメリカ」映画を鑑賞する喜びを味わわせてくれた。そんな映画であった。
 場所はニューヨーク。登場人物は二人と1匹。画家のアレックスが犬のドロシーと散歩から帰ってくる。アレックスが妻のルースと二人と1匹で住む部屋は5階。このアパートにはエレベーターがない。年老いたアレックスはしんどそうに階段を上がる。老犬のドロシーもしんどそう。
 アレックスたち夫婦は40年この部屋で暮らしている。眺めもいいし大変気に入っている。しかし、老人のアレックスにとって、5階までの上り下りはさすがにきつい。いやがるアレックスを説得してルースは引っ越しを決断。さいわい姪のリリーはやり手の不動産屋。かくして二人は新居探し。それと並行して自宅を売る算段を始める。そうこうしてるうちに橋の上でタンクローリーが立ち往生、自爆テロかとニューヨーク中大騒ぎ大渋滞。愛犬ドロシーが病気入院手術とあいなった。
 と、まあこんな話だが、なんといってもモーガン・フリーマンとダイアン・キートンの二人がうまい。部屋を売ることをめぐって口ケンカはするが、長年連れ添った夫婦でなければ醸し出せない「空気」が二人に間に漂う。これは、もう、フリーマン+キートンの円熟の演技のなせるワザとしかいいようがない。別になんということもないお話ではあるが、非常に良い後味の映画であった。ドロシーも歩けるようになったし。え、二人は引っ越したかって。そんなことはいえない。どうぞ映画を観てほしい。
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