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来年の抱負

 このブログの更新も、この記事が今年の最終となります。今年1年間、この「とつぜんブログ」をご訪問いただき、まことにありがとうございます。稚拙な文章を綴っている素人芸にて、お目を汚しましたことをおわび申し上げます。
 とにもかくにも、1年間、毎日更新することができました。さしたる才もない私ですが、毎日、新しい記事をお目に供することができ、みなさまがたにおかれましては、一時の無聊の慰みになったのであれば、望外の喜びであります。
 このブログでは、今は「とつぜん日記」「とつぜん読書室」「とつぜん映画館」「とつぜんコラム」「雫石鉄也ショートショート劇場」「雫石鉄也作品館」「とつぜんキッチン」「とつぜん対談」「とつぜんステーション」「とつぜんSFノート」「とつぜんタイガース」と11のカテゴリーが継続中です。これ以上カテゴリーを増やす予定はありません。もし何か面白い企画を考えついたら、増やすかもしれません。また、減らす予定もありません。この11のカテゴリーの記事の質の向上に努力する所存です。
「日記」は身辺雑記的なものから、私なりの考えなどを記して行くつもりです。
「読書」と「映画」は、あくまで作品を紹介するのが目的ですが、たんなるレビューではなく、私なりの見方や感じたことを記して行こうと思います。
「コラム」は私なりの意見を表明する場です。新聞でいえば社説のつもりで書いております。実はこの「とつぜんコラム」は、この「とつぜんブログ」の出発点ともいえる企画です。元々は星群の会のホームページに2001年から連載しておりました。もう12年になります。このブログ最古のカテゴリーです。
「ショートショート」は月に2本のペースを守ろうと思います。本当は週に1本と行きたい所ですが、とてもそんな元気はありません。また「海神」シリーズは当分続けるつもりです。
「キッチン」調理方法とレシピを紹介しただけでは面白くないでしょう。そんなものはレシピ本を見ればいいわけで、それではこのブログを読む必要はありません。私としては、その料理をネタにしたエッセイを書く方向でがんばっておりますが、なかなか難しく、ただ料理方法を書いただけの回も多かったと存じます。少しでも面白くお料理の記事を読んでいただくよう努力します。
「対談」このカテゴリーが一番頭を悩ましております。がんばります。
「ステーション」私の近くで、私が一度でも乗り降りした駅を取り上げていきます。極力、観光案内的な記事にしないように心がけております。
「SFノート」SFものたる私の思い出話をメインに、SFに関することを書き綴っていこうと思います。
「タイガース」何回にだれが打って、どうなったか、なんてことだけを書いても意味はないと思います。そんなものはスポーツ新聞を読めばいいのです。私なりの阪神タイガースを表現していきたいですね。
 以上、来年の抱負を述べさせていただきましたが、ようは私、雫石鉄也が書いているブログですから、私の目を通して見て、私が感じたこと、思ったことを書いていくべく摸索していく所存です。どうか、来年もよろしく、おつきあいのほどお願い申し上げます。
 それでは、みなさん、良いお年をお迎えください。
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祭すし


 祭寿司です。お祭みたいな豪華なちらし寿司です。岡山の名物料理ですが、質素倹約からできたお料理とのことです。昔、殿様が倹約令を出して、領民が殿様にないしょで、おいしいものを食べるために考え出されたのが、この祭寿司ですって。
 寿司めしは、いつもの私の寿司めしですが、具はちょっと種類を多めにしました。まぜこむ具ですが、切干大根、干し椎茸、釜揚げしらす、刻みアナゴです。お寿司というとかんぴょうが定番ですが、私はかんぴょうの代りに切干大根を使います。上に乗せるトッピングの具ですが、海苔、錦糸卵、三つ葉、タコ、エビ、サワラ、マグロを使いました。
 岡山のお料理ですから、お宝の備前の酒器で、呉春をいただきます。

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そばがき


 ここ関西はうどん文化圏で、小生もうどんは大好き。うどんも好きだが、そばも好き。そば屋で昼酒という趣味はないが、そばがきなど酒のアテによさそうだ。一度作ってみようと思っていた。そば打ちは一度やって失敗し、もうやる気はないが、そばがきなら小生でもできるだろう。
 三宮の東急ハンズでそば粉を買ってきた。小鍋に水を入れ、そば粉を入れる。そば粉を水によく溶かす。そば粉がよく溶けてから点火。ゆっくりかき混ぜながら加熱する。だんだん固まってくる。やわらかい団子になったらできあがり。小鉢に醤油と味醂で濃く味をつけた出汁をはって、そばがきを入れて、刻みネギとワサビを乗っける。今夜はそばがきで一杯だ。
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今日で仕事納めなり

 今日で仕事納めなり。冷たい雨が降っているが、長い休暇の前だからうれしい。9連休である。今の会社に入社して6年になるが、9日も連続して休めるのは初めて。とはいうものの、休暇中に2回はCEタンクの点検に来なくてはいけない。液化酸素と液化炭酸ガスのタンクだが、高圧ガス取扱の有資格者が定期的に点検する必要がある。困ったことに小生は高圧ガス取扱主任の資格を持っている。1日のうち、都合のいい時に会社に来てCEタンクを点検するだけだから、15分ほどで済む作業だが、自宅からの往復に2時間ほどかかる。
 もう、いくつ寝るとお正月、と、子供のころは正月が来るのが楽しみだったが、大人になればさして楽しいものではない。正月が楽しい/さして楽しくない、この境い目はどこか考えたら、お年玉をもらう/お年玉をやる、これが境い目だったのではないだろうか。
 ともかく、9日間も自由時間がある。1月3日はSF関係の新年会があるが、他に別段予定はない。というわけで、正月用にと、呉春と桜正宗を仕入れておいた。また、本も横山秀夫「64」月村了衛「機龍警察 自爆条項」を仕入れておいた。
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機龍警察


月村了衛                   早川書房


 うう、お、面白い。出色の近未来SF活劇警察小説だ。
 犯罪も国際的、大がかりになってきた。このころの陸上戦の主要兵器は「キモノ」と呼ばれる二足歩行型軍事用有人兵器。判り易くいえばパワードスーツ。3メートルぐらいの人型重装甲兵器を人が着こんで(だからキモノという。着るというより乗りこむ、といったほうがいいかな)格闘戦を行う。こんな兵器がテロに使われる。それに対抗するため警察も「キモノ」を持つ。
 警視庁特捜部が持つ3台の「キモノ」、フィアボルグ、バーゲスト、バンシーは、龍機兵(ドラグーン)と呼ばれる、警視庁の虎の子、門外不出、最強最新のキモノである。
 3人の操縦者は全員階級は警部だが、元々警視庁の警官ではない。契約によって雇われている外部の人間。フィアボルグの姿俊之警部は伝説の傭兵「ディアボロスの生き残り」バーゲストを駆るユーリ・M・オズノフ警部は元モスクワ民警の刑事だった。なぜロシアの警官が日本の警察に雇われたか不明。バンシーの操縦者で女性のライザ・ラードナー警部は生粋のテロリスト「IRFの死神」
 この3体のキモノがテロを企てる犯罪組織と、壮烈な格闘戦を演じるのだが、そのアクションも見事だが、本書はSFアクションであるが警察小説でもある。警察内部のごたごたが面白い。特捜部は他の警察組織から阻害され嫌われている。警察は面子の組織。特捜部は任務の性質上、他の警察の頭越しに動く。特捜部員は警官扱いすらしてもらえない。警官がたまり場にしている飲み屋にすら出入りしてくれるなといわれる。
 その阻害されている特捜部の中でも、キモノ操縦者で突入要員の3人は、外部の人間ということで阻害される。
 緊張感がただよう硬質な文体で、読んでいて大変に心地よい。3人の突入要員も、影のあるキャラでかっこいい。
 元傭兵姿俊之警部にかっての大藪春彦の面影を見た。このシリーズ楽しみ。ひいきにするぞ。
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とつぜんSFノート 第38回

小生は本好きである。単行本も読むが、雑誌も大好きだ。今までいろんな雑誌を読んできた。
 一番遠い記憶にある雑誌は、やっぱり小学生向け学習雑誌だ。小学館が出していた「小学N年生」という雑誌。どんな内容だったか、今ではすっかり忘れている。この雑誌のライバル誌で講談社の「たのしいN年生」という雑誌もあったが、小生は「小学N年生」派だった。
 こういう学習雑誌ばかりではなく、漫画雑誌も読んでいた。月刊誌では「ぼくら」「冒険王」「少年画報」などがあったが、小生は光文社の「少年」を読んでいた。手塚治虫「鉄腕アトム」横山光輝「鉄人28号」堀江卓「矢車剣之助」白土三平「サスケ」などが連載されていた。いま見ると、なんとも豪華な連載陣だ。この当時の少年雑誌の連載漫画は、本誌に前回の続きが少し掲載されていて、続きは別冊の付録に掲載されていた。限られた本誌のページ数に、できるだけ多くの連載を載せ、読者を満足させる分量の漫画を、毎月供給するための、うまいやり方だった。
 この雑誌「少年」で、面白い景品があった。「少年探偵手帳」という手帳。懸賞かなにの景品で、小生ももらった。簡単なサバイバル技術や、日光写真のやり方、マッチやライターを使わずに火を点けるやり方、それに自動車の運転のやり方なんてのも乗ってたな。男の子の知りたいことがいっぱい載っている手帳だった。
 少年週刊誌が創刊されて、漫画も週刊で読むようになった。小さいころは「少年サンデー」を読んでいた。手塚治虫「0マン」「キャプテンケン」横山光輝「伊賀の影丸」など。「少年マガジン」は少し大きくなってから読んだ。
 それと忘れてはならないのは「ボーイズライフ」この雑誌はちょっと大きな男の子が好きそうなものがいっぱい。「ゴルゴ13」を始める前のさいとうたかをがイアン・フレミングの007を劇画化していた。海外SFの抄訳が載っていた。E・E・スミスの「レンズマン」を知ったのはこの雑誌だ。ハイラインも矢野徹が紹介していた。この雑誌には「1000字コント」という読者からショートショートを公募しているページがあった。小生も応募した。思えば、小生がショートショートを書いて、どこかに投稿したのはこれが生まれて初めてだった。
 長ずるに従って趣味が増えてきた。もともと魚好きだったので、熱帯魚を飼うようになった。熱帯魚の専門誌「アクアライフ」を購読していた。小生は十代で運転免許を取った。オヤジが車好きだったから、ものごころついたころからわが家には車があった。オヤジの血をひいたのか、小生も車好きになった。当然、車の雑誌も読んでいた。「ドライバー」を愛読していた。また、映画好きでもあったから「キネマ旬報」も読んでいた。
 そして小生の生涯の友となる雑誌に出会った。SFマガジンである。生まれて初めて買って読んだSFマガジンは1967年9月号だ。
 これ以外に読んだ雑誌は「SFアドベンチャー」「奇想天外」「幻想と怪奇」「終末から」「SF宝石」「SFの本」「スターログ」など。
 今は、SFマガジン以外は、「ダンチュー」「本の雑誌」を購読している。こうして見ると、たくさんの雑誌とつき合ってきたが、SFマガジンはこれからもずっとつき合っていくつもり。
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久しぶりの3連休

 休日出勤が多く、めったに連休が取れない小生ではあるが、めずらしく三日間フルで休めた。今日は久しぶりに出勤するわけだから、会社への道順を覚えているかと心配だったが、ちゃんと会社に来れた。たいしたものである。それにしても、さむおまんな。
 きのうはなんですか、南蛮の耶蘇教のお祭だとかで、赤い服を着たりして浮かれているご仁がテレビでよく目についた。お弔いで焼香して、神社に初詣して、日本にはいろんな宗教を兼務しているムキが多いようだ。
 映画のタダ券をもらっていて、ずっと映画館に行く算段をしていたが、土日は週末料理人だから料理したい。有給休暇は山ほど残っているが、なかなか休めない、で、きのうはぜひタダ券を消化しようと、ミント神戸の映画館に007を観に行ったのだが、13時20分の回は満席。次の回までまつのも面倒。来年1月10日まで有効だから、それまでに行くとしよう。
 小生は耶蘇教ではないが、せっかくだからそれらしいことをしようと、トリを焼いて、クリスマスケーキ代わりに、前日焼いたアップルパイの残りをデザートにして、ワインも飲んだりした。
 あと4日すると9連休!今度こそ本当に会社への道順忘れるぞ。
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いかレスラー


監督 河崎実
出演 西村修、AKIRA、石田香奈、ルー大柴、きくち英一、中田博之

 超日本プロレスのエース田口浩二はIMGP王座決定戦で勝ち、チャンピオンになった。ところが、突如、リングに乱入した謎のレスラーにベルトを強奪され、スープレックスをかけられ倒される。その謎のレスラーはいかだった。
 田口はリベンジを誓う。いかレスラーの正体は、田口の前にエースだった岩田貫一だった。岩田は病気で引退行方不明になっていたが、厳しい修行を積み、病を治しいかに変身してリングに復帰したのだ。
 リベンジマッチが始まった。なんと田口はたこになっていた。いかVSたこ。いかが勝つ。このシーフードマッチは日本のプロレス史上屈指の名勝負といわれた。
 いかが恋人美弥子と歩いていたら、ストリートファイトを仕掛けられた。そいつはしゃこボクサーだった。決着はリングに上でつける。いかVSしゃこ。動物異種格闘技戦が始まる。そしてあかされるしゃこボクサーの正体。その正体は驚愕の人物だった。
 なんともケッサクな映画であった。半分パラダイスになりかけている遊園地のアトラクションのような着ぐるみ。学芸会のような演技とセリフ。なんともチープで金がかかってないセット。バカ映画といえばバカ映画だが、近年にない大笑いしながら観た映画であることは事実。実に楽しい映画であった。それに、この映画、プロレスの本質を描き、プロレス愛に満ち満ちた映画であった。
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アップルパイ


アップルパイを食べたくなった。市販のものを買ってくるのでは面白くない。やっぱり手作りしてみよう。実はアップルパイは作った事がない。ようは、リンゴのコンポートをパイ生地で包んで焼けばいいんだろう。
 よし、やってみるか。パイ生地も手作りすればいいが、最初のことであるし、朝商いだし、軒並み同商売であるし、あんさんがたのことだし、ど~んと手抜きして市販の冷凍パイシートを使う。
 まず、リンゴのコンポートを作る。リンゴはできれば紅玉がいい。皮をむいて芯を取って、くし型に切る。砂糖、レモン汁、バターといっしょに耐熱容器に入れて、電子レンジで600W8分加熱。シナモンを振り入れ、さらに2分加熱。あら熱が取れたらラム酒で香りづけしてできあがり。
 パイ皿にパイシートを敷き、底をフォークでつついて穴をあける。リンゴをシートの上に並べて、その上にもう1枚シートを乗っけて、お皿からはみ出しているシートを切り取り、溶き卵を塗って、真ん中に穴を開けて、200度のオーブンで45分焼けばできあがり。
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酒粕の天ぷら

 
 

寒い時は酒粕のお料理がごちそうです。粕汁甘酒石狩鍋酒まんじゅう、いろんなお料理に楽しめます。からだがほっこりと温まりますね。
 今日は酒粕を天ぷらにしましょう。酒粕で海苔とチーズを挟みます。これに衣を付けて、油で揚げます。
 チーズがとろ~と溶けて、海苔の香りとお酒の香りがいっしょになって、大変、おいしゅうございます。揚げ物は香りが引き立つ調理法ですね。
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戦後SF事件史


 長山靖生          河出書房新社

 大変、興味深く、おもしろく読んだ。しかし、少々違和感を感じながら読んだ。正直、少しずつズレている感を感じながら読了したしだい。なんか、ちょっと違うんだな。小生の価値観、センス、SF感と大きく違っていれば、ふん、と鼻で笑って、「若いもんが何をいう」とボロクソにけなして終わりだが、長山氏のいっていることは、おおむね合っている。ただし間違いもある。岬兄悟がSFマガジンの「ショートショート・リーダーズ」からデビューとあるが、SFマガジンにはそんな頁はない。正確には「リーダーズ・ストーリイ」だ。
 自分でいうのもなんだが、小生は年季の入ったSFもんである。もう40年、SFもんをやっている。長山氏より小生の方がSFもんとしては先達だろう。だから、小生が本書を読めば、「うん、なるほど、あれはそうだったのか」「なるほど、そういう見方もあるな」と、ひざを打ちながら読めるはずだったが、本書を読んでいて一度もひざを打たなかった。
 本書で書かれている事は、だいたい小生も知っている。また、戦後のSF界の出来事、事件に関して小生なりの意見もある。小生と長山氏、同じSFもんといいつつも少し違うんだな。
 お見受けするところ、長山氏は、アニメ、漫画、幻想文学、現代美術、研究に軸足を置いたSFもんではないか。小生は、スペオペ、冒険小説、創作に軸足を置いたSFもんだ。同じSFもん、いや、同じSFもんだからこそ、この微妙な違いが気になる。違和感を感じる。これが小生が本書を読んで感じる気色悪さかもしれない。
 例えば「おたく」という言葉。長山氏は、この言葉、柴野拓美氏が初対面の相手に使い始めたのが始まりとしていた。柴野さんは日本のSFの大功労者。ところが柴野さんのお人柄は大変謙虚なお人柄。日本SFファンダムのほとんどのファンは柴野さんから見たら目下。ところが柴野さんは若いSFファンに対して「きみ」とか「くん」とか上から目線の呼びかけは決してしなかった。だから柴野さんは初対面で名前を知らない相手には「おたく」という言葉を使った。小生も柴野さんには世話になったクチだ。当然柴野さんと初対面の時もある。小生の柴野さんとの初対面は1974年の第1回星群祭の時だった。その時、柴野さんは小生を「おたく」とは呼ばないで、ちゃんと「雫石さん」と呼んでくれた。
 SF界およびファンダムの流れを要領よくまとめてはいるが、大きな流れがごそっと抜けている。SFファンといってもヤマト、ガンダム、エバンゲリオンにうつつをぬかすファンばかりではない。しこしこと創作にせいを出すファンもいるのだ。小生なんざ、チャチャヤング以来、もう40年もあきもせずショートショートを書き続けている。そういう創作するSFファンに関する記述が抜けている。SF大会のオープニングにアニメを創って、それがうけて、DAICONフィルムなるものを作り、ゼネナルプロダクツなる店を作り、SFファンダムを金もうけにした武田康広、岡田斗司夫に関しては頁を割いているが、(DAICONは武田岡田一味だけのものではない。彼らがやったDAICONは3と4だけ。DC1は筒井康隆氏、DC2は高橋正則氏、DC5は山根啓史氏、このDC5は小生もいい出しっぺの一人。あとDC7まである)地道に創作に励んでいる、星群、北西航路といった創作ファンジンに関することが抜けている。徳間書店のSFアドベンチャーも紹介していたが、この雑誌にはSF同人誌を紹介するページがあって、荒巻義雄氏、巽孝之氏、新戸雅章氏が担当していたが、同誌のこのページの果たした役割は大きいと思うが、長山氏は知らなかったのか、知っていたが無視したのか。
 いずれにしても、面白かったが不満の残る本であった。小生は、小生の知っていること、小生の能力のおよぶ範囲で、小生なりの私的SF史を、「とつぜんSFノート」で書いていこうと思う。
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とつぜん対談 第47回 傘との対談

 お、もう5時か。帰るとするか。手早く着替えを済ませ、タイムカードを押して会社の門を出たところで雨が降ってきた。傘が要るな。ロッカーの中に置き傘がある。取ってこよう。だいぶん古い傘だが、まだ使えるはずだ。

傘 
 ちょっと待った。

雫石 
 え、なんで。雨が降ってるんだぞ。

傘 
 雨だからといって短絡的に俺を使ってもらっちゃ困る。

雫石 
 雨だからといって傘を使っちゃいかんのか。


 そうだ。俺を使うなら使わざるをえん理由が必要だ。

雫石 
 雨が降っている。傘を使うには充分な理由ではないか。


 だったら、なぜこの前の雨の日に俺を使わなかった。

雫石
 ああ、あの日は携帯用の傘を持ってきたからだ。


 俺というものが有りながら、なんでそんなもんを持ち歩く。

雫石
 ワシは朝出る時は必ず天気予報を見る。雨が降りそうだと判断したら、携帯用の傘をカバンに入れて出勤するんだ。


 だったら俺はいらんじゃないか。

雫石
 天気予報は大丈夫でも、急に雨が降り出す時もある。そんな時にお前が役に立つ。


 判断って、どうやってる。お前の勘か。

雫石
 降水確率30パーセント以上だと傘を持って行くんだ。


 そんなに携帯の傘がいいんなら、いつもそいつを持ち歩けばいいんだ。

雫石
 カバンが重くなるのはイヤなんだ。


 愛する携帯傘なんだろ、重さは感じないんじゃないだろ。

雫石
 おかしな焼き餅を焼いてないで、さっさとロッカーから出ろ。ワシは腹が減っているんだ。早く家に帰ってメシを食いたい。


 なにをえらそうに。もっと言葉使いに気をつけろ。お前は俺がいないと困るんだろ。

雫石
 ああ、困る困る。いいからさっさと出ろ。


 いてて。ちょっと待て骨がひっかかってるぞ。

雫石
 あ、ほんとだ。


 この前の台風の時、俺を無理やり使って骨を1本外したんじゃないか。

雫石
 ああ、あんな雨風だったら弱い携帯の傘じゃダメだ。


 そうら見ろ。結局、俺が一番頼りになるだろ。

雫石
 そうだな。ワシが持ってる傘でお前が一番丈夫だな。しかし、お前はカバンに入らない。電車に忘れる。お前で何代目かな。


 俺を忘れるなよ。それに、もう二度と俺をおちょこにしないと約束するなら、ここから出てもいいぞ。

雫石
 そんなこと約束できん。


 だったら出んぞ。

雫石
 もういい。雨はやんだ。
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大みそかの女

 さて、帰るか。これで心置きなく正月が迎えられる。午後9時か。年越し徹夜を覚悟していたが、思いのほか筆が進んだ。なんとか最後の20枚を仕上げた。
 送信をクリック。これで送稿が済んだ。約束どおり今年中に原稿を仕上げて、担当の山崎さんに送れた。山崎さんはお気の毒にも正月は元日から原稿をチェックしなくてはならない。ご苦労なことだ。
 年越しそばでも食って帰るか。帰ってもマンションにはだれも待っていない。独り者の俺を待っている人はいない。面倒だからここで寝るか。そば食って、コンビニでおでんと酒を買って、独り酒盛りで年を越そう。
 売れない作家の俺は、結局、仕事場で年を越すことにした。そういえば、去年の大晦日も自宅に帰らなかったな。どうしてたのかな。そうだ。友人と何軒もハシゴして、サウナで年を越したのだった。
 天ぷらそばは、そこそこうまかった。おでん、唐揚げ、ポテトサラダ、それにビールと缶チューハイを買ってきた。さみしいといえばさみしい大晦日だが、酔っぱらってしまえば、そんなことは忘れる。
 ビールを2缶開けたところでチャイムが鳴った。だれだ。大晦日の夜に。ドアを開けると、女が立っていた。歳は30前後だろうか。かなりいい女だ。見知らぬ女だが、なぜか初対面の気がしない。どこかで会ったような気がする。いずれにしても、俺は今、仕事を仕上げ、ホッとして、独り酒盛りをやっている所だ、何者かは知らないが、今は、こんな女に用はない。
「俺はどちらの神様も信じないし、保険に入る気もない」
「わたし、宗教や保険の勧誘ではありません。お部屋に入れてください」
「だったらなんだ。新手の売春か。1000円でも、今はその気にならん」
「わたしは恵理奈」
「恵理奈?そんな名前の女は知らん」
 恵理奈?まさか。偶然だ。その名を持つ女は現実には知らないが、俺にとって書きなれた名前だ。
「わたしは水鳥恵理奈」
 みずとりえりな!さっき仕上げた作品の主人公の名前だ。300枚の作品で、来春には出版される予定だ。
 目の前の女をみると、容貌、服装、雰囲気、俺が創造した女そのものだ。それに「みずとりえりな」なんて名前は、そうそうある名前ではない。新作の原稿を読んだのは、担当の山崎さんだけだ。彼がこんな手のこんだ悪戯をするとは思えない。
「バカな!?」
「わたしは1982年9月17日北海道の小樽生まれ。大学はお茶の水女子大。職業はコピーライター。そして、わたしは2012年の大晦日に死ぬの」
 間違いない。合っている。そして水鳥恵理奈は、今年の大晦日、つまり今日自殺する。彼女の自殺は今メールで送稿した20枚に書いてある。山崎さんでさえまだ読んでいないはずだ。
「お部屋に入れてください」
 信じられない。缶ビール2缶で酔っぱらったのか。なんだか判らないが、彼女を部屋に入れた。
「座ってくれ」
「わたしにもお酒ちょうだい」
「どうぞ」
 ソファーに座ると。缶ビールをクーと飲んだ。
「ああ、落ち着いたわ。わたしはワインを買ってきたからどうぞ」
 だれがどんなトリックを仕掛けているのか判らないが、ともかく目の前の女と話してみよう。
「わたしが水鳥恵理奈だと信じてくれた」
「とりあえず信じよう。で、なんの用だ」
「今年もあと3時間で終わりね。わたしはあと3時間以内に死ぬのね」
「そうだ。お前は男に裏切られ、除夜の鐘を聞きながら毒を飲む」
「あなたはやっぱり2流作家ね」
「俺に面と向かってそんなことをいう批評家はいなかったな」
「わたしは批評家じゃないわ。わたしは登場人物よ」
「そうだ。俺はこの1年、お前とずっとつきあってきた」
「あなたはわたしが、男に裏切られたぐらいで死ぬ女だと思っていたの」
 恵理奈のいう通りだ。俺は主人公水鳥恵理奈を強い女として描いてきた。恋か仕事か選べといわれれば仕事を選ぶ女だ。フリーのコピーライターで、何度もTCC賞や朝日広告賞など、いくつも賞を受賞している。その恵理奈がクライアントの宣伝部長と道ならぬ恋に落ちた。男は結婚と大きな仕事をエサに恵理奈の肉体をもてあそんだ。男は結局、家庭を捨てられず恵理奈を捨てた。
「なんともありふれたお話ね。あら、もう11時半ね。もうちょっとだけれどわたしは死なないわ」
 例え架空の女といえども、目の前で自殺は見たくない。しかし、原稿にそう書いたのだ。
「で、俺にどうしろと。書き直せというのか」
「あなたみたいな作家に書き直しを要求してもムダだわ」
「だったらお前は何をしに来たんだ」
「あなた知らないでしょうが、わたしも小説を書いてるの。もう3冊本を出したわ。直木賞候補にもなったのよ。知らなかったでしょう」
「お前が小説を書いてるなんて、俺は書かなかったぞ」
 恵理奈はソファーから立ち上がって、パソコンの前に座った。
「こら、俺のパソコンを勝手にさわるな」
「あら、このパソコンあたしのよ。あたしはこのパソコンで小説を書いてるの。この部屋もわたしの仕事場なのよ」
 急に眠くなった。なんだか普通でない眠たさだ。さっき恵理奈が持ってきたワインを飲んだら、眠くなった。

「山崎さん。書き直してメールで送ったわ。恵理奈は死なないのよ」
「ありがとう。あいつが恵理奈を自殺させるぐらい予想はついていた。書き直して欲しいが、あいつを説得する時間がない。で、あんたに恵理奈に化けてもらってそこへ行ってもらった。ヤツはどうした」
「眠ってるわ」

 俺の新作「大晦日の女2」はベストセラーになった。次の本屋大賞と直木賞の有力候補になった。「大晦日の女1」で大晦日に自殺を計った主人公水鳥恵理奈が、思いとどまり、クールな美貌と、冷徹な頭脳を武器にのし上がっていく、悪女の魅力たっぷりなピカレスクロマンだ。しかし、俺の最初の構想では恵理奈は1巻目の最後に大晦日に自殺するはずだった。ところが恵理奈は死ななかった。書き直した覚えがないのだが、山崎さんも誉めてくれたし、結果オーライだ。一昨年の大晦日に何があったのかよく覚えていない。確か不思議な女が来たような記憶がぼんやりとあるが。
 

 直木賞は落選した。受賞したのは新人女性作家だった。彼女とは会っていないはずだが、どこかで会ったような気がする。
 
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今回の選挙で判ったこと

 今回の選挙で、はっきりと判ったことが二つある。まず、原子力発電所が事故を起こせば、どんなに大変なことになるか、心底懲りたのは福島の人だけ。他の地域の人たちは、できれば原発はない方がいいが、福島のようなことはめったにないだろう。それよりも景気の回復が大事。このまま原発を止めたら電気代が値上がる。景気に悪影響をおよぼすのなら、原発再稼動もやむをえない。と、いうのが本音だろう。原発NOをはっきりと主張した、未来の党、社民党、共産党の敗北がそれを表している。
 二つ目は民主党は不合格。かといって自民党もイヤだ。そういう人たちは投票に行かなかったのではないか。投票率の低さは目をおおうばかりだ。今回の投票率を見ると、日本人は民主主義を放棄したのかと疑う。
 これで、また自民党政治に逆戻りだ。逆戻りならいい。情況は悪化したといっていいだろう。いわゆる55年体制時代。あのころは自民党一党独裁ではあったが、日本社会党がしっかりとブレーキをかけていた。社会党の後継たる社民党は絶滅の危機に瀕している。
 安倍総裁は、憲法を改正して国防軍を創設し、日本を戦争ができる国にしたいらしい。この自民党の暴走にブレーキをかけられるのは、連立を組む公明党しかいない。ここは、ひとつ公明党にがんばってもらって、しっかり自民党をいさめてもらいたい。しかし、宗教団体を支持母体とする公明党を応援する時代がくるとは思いもしなかった。
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花嫁の父


監督 ヴィンセント・ミネリ
出演 スペンサー・トレイシー、ジョーン・ベネット、エリザベス・テイラー

 嫁入り前の娘を持つ親父は万国共通だ。ジョン・スタージェス+ユル・ブリンナーが黒澤明の「七人の侍」を翻案して、舞台を日本の戦国時代からメキシコの寒村に、武器を刀から銃に変えて「荒野の七人」を創ったが、舞台設定、人物設定、シナリオなどは、それなりの手が加えられていた。もし、この映画を日本映画に翻案するとしても、「七人の侍」→「荒野の七人」ほどの変更は必要ないだろう。結婚式の風習は日米で多少違う所があるかもしれないが、舞台設定、人物設定は、この映画のものをそのまま使えるだろう。スペンサー・トレイシーを笠智衆にエリザベス・テイラーを原節子に代えれば、自然に、そのまま同じ映画になるだろう。
 娘が結婚すると聞いた親父が最初に思うこと。娘の相手はどんなヤツだ。どこの馬の骨だ。
 初めて婿予定者に会う。うん、悪い男ではなさそうだ。婿予定者の家を見に行く。「どうせボロ家だろう」相手の両親と初対面。意気投合ごっこをする。娘のために。
 婿予定者とたびたび会う。案外、いい男じゃないか。で、娘の結婚を認める。あとは、結婚式、披露宴の準備に忙殺される。
 当日、親父が一番緊張する。式も披露宴も終わった。娘は新婚旅行に旅立った。親父、心地よい疲労感、虚脱感、さみしさがない混ぜになった思いを抱いて、ほっとする。
 エリザベス・テイラー。きれいだが、小生の好みではない。可憐さがない。


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