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はんぺんの粕漬け


 料理を趣味としている者として、まことにお恥ずかしい。冷蔵庫の片隅に、このとき買った酒粕が少し残っていた。料理する者として冷蔵庫の中は常に把握しておかねばならない。
 それはそれとして、この酒粕をどうする。4ヶ月経っているがまだ使える。粕汁にするには量が足りない。と、いうことで粕漬けにした。水産練りものを使おうと決めた。ちくわ、かまぼこ、さつま揚げ。う~ん、ピンと来ない。はんぺん。はんぺんの粕漬けだ。
 酒粕を酒でといではんぺんに塗る。それをラップで包んで冷蔵庫で一晩置く。これをさっとあぶる。うん。なかなかいける。酒のアテにいい。
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西宮八園虎日記 3月30日

「きょうも勝ちましたな。玄白さん」
「そうですな。甚兵衛さん」
「しかし、まあ、気の休まらん勝ち方ですな」
「ま、投手戦ってあんなもんです」
「女将、お酒」
「はい。きょうはバーボンをどうです」
「うん。ええな」
「はい。ブッカーズです」
「お、うまいな」
「はい。63度のお酒です」
「これで阪神2連勝ですな」
「今年はピッチャーがええですな」
「新外国人ピッチャーのジョンソンがええやないですか」
「そうですな。ちょっとジェフ・ウィリアムスに似てますな」
「あら、私もそう思ってました」
「女将もか」
「はい」
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とこぶしの煮物


 そごうの地下の鮮魚売り場でとこぶしを売ってました。買い求めました。小さなかわいいあわびといったところでしょうか。あわびは高価でとても私のような貧乏人には手が出ませんが、とこぶしなら買えます。
 洗って殻から外して煮ました。まず片側をさっとフライパンで焼きます。すぐひっくり返して醬油とお酒をいれて煮ます。あまりグツグツ煮ないですぐ火を止めます。
 さ、食べましょう。やわらかくておいしいです。こりゃお酒を飲まねばおさまりません。大黒正宗をひやでいただきました。
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西宮八園虎日記 3月29日

 阪急夙川駅のほど近く。閑静な高級住宅地にその店はある。女将が一人でやっている店で、基本は和食だが、おいしいものならそれにこだわらない。
 酒はこだわっている。この店には日本酒、ビール、ウィスキーしか置いていない。ワイン、焼酎は置かない。ビールはエビスビールだけ。日本酒とウィスキーは女将のおめがねにかなったものを置いている。
「八園」それが店の名だ。ここ西宮には甲東園、甲陽園、香櫨園、苦楽園、昭和園、甲風園、甲子園と園の字を持つ七つの高級住宅地があった。現存する地名もある。その八つ目の園ということで八園という店の名だ。
 女将本屋敷千鶴。かって阪神タイガースや阪急ブレーブスで俊足巧打の名内野手が伯父である。料理のセンスが良く、美人で客あしらいもうまい。酒豪でたいへんに楽しいお酒を飲む。そして、これが一番大切なことだが、女将はたいへんな阪神タイガースファンである。
 今夜も女将と美酒、美味を求めて阪神ファンたちが、ここ「八園」にやってくる。
「こんばんは」
「あら、玄白先生、お久しぶり」
「女将、元気だったか」
「甚兵衛さん、お元気そうですね」
「女将、今夜のお酒は」
「はい。大黒正宗を用意しました」
「うん。ひやでいただこう」
「甚兵衛さん、開幕戦、勝ちましたな」
「ピッチャーはよろしいな。点取られたんはメッセンジャーが犠牲フライで1点とられただけ」
「はい。あいかわらず打てませんな」
「でも、ま、新人の木浪、近本で同点、ベテランの鳥谷がスリーベース打ってサヨナラ勝ち。ま、ええんちゃいますか」
「おかみアテはなんや」
「ヒイカを煮つけました」
「お、ええな」
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とつぜんSFノート 第111回

 喫茶店ホワイトローズ。あれから35年たった。この喫茶店はいまはもうないだろう。どこにあったのか、記憶がはっきりしないが、確かシネラマのOS劇場の前の道を行ってすぐのところだと記憶する。地名でいうと北区小松原町だろう。
 OS劇場。シネラマを上映する関西でただ1つの映画館だった。ここで「2001年宇宙の旅」を観たときの衝撃を今も忘れられない。感動のあまり腰が抜けてしばらく座席から立ち上がれなかった。
 それはそれとしてホワイトローズだ。2階にかなり広いスペースがあって、飲物を頼めばそこで会議もできる。なん時間いても追い出されることはない。
 1984年の8月にホワイトローズでやった会議が、第25回日本SF大会の第1回実行委員会である。(北海道からの帰途列車内でやった4人の話し合いを第1回とするのなら第2回実行委員会である。
 どれぐらいの人数が集まったのか記憶にないが、20人ぐらいではなかっただろうか。小生、山根、清水の3人の人脈でかき集めた人たちだ。男女は半々ぐらいだっただろう。この第1回実行委員会に集まったメンバーはほとんどが最後までメンバーであって抜けた人は少数であった。もちろんゼネプロの息のかかったモノはいなかった。
 最初に話し合ったこと。まず、これだけの人数ではSF大会はできない。各自知人友人地縁血縁人脈を活用して実行委員を増やすべし。会場をどこにするか。1000人規模のイベントである。2年後のことだ。早々に手を打つ必要がある。最高責任者たる実行委員長にはだれがなる。実務を取り仕切る事務局長はだれがなる。とりあえず第25回日本SF大会は第一歩を歩み始めたわけ。
 さて、ひととおり最初の話し合いは終わった。そのあと阪急ファイブのほど近くの喫茶店れいに移動。ここはKSFA関西海外SF研究会が毎週日曜日に例会をやっていて、大野万紀、水鏡子、英保未来(大森望)、桐山芳男といった関西ファンダムのおおどころが集っている。彼らに協力を要請する。そのあと阪急かっぱ横丁の居酒屋「あせんぼ」へ。
 居酒屋でSFのお仲間とよく飲む。男同士ならそうではないが、女性が混じると会計が終わったあとのレシートが長くなる。この実行委員会のあとの「あせんぼ」での飲み会は女性の割合は半数。女性は小鉢もんや、なんやかんやとアテ、食べ物をよく頼む。20人近くの多人数で女性が半分。一度レシートの長さが1メートル近くなったことがある。
 ホワイトローズ→れい→あせんぼ。これがこのころの小生の日曜日の行動パターンであった。今から35年前だ。今も人数は少なくなったが月に一度同じようなことをやっている。しかし、まあ、みんなトシとったから2次会までで、男ばかりだからレシートの長さも15センチほどだ。
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SFマガジン2019年4月号


SFマガジン2019年4月号 №732   早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター

1位 折り紙食堂 エッシャーのフランベ   三方行成
2位 戦車の中               郝景芳 立原透耶役
3位 無重力的新世界            高島雄哉
4位 ミサイルマン             片瀬二郎
5位 半身の魚/必殺!/二つ折りの恋文が  草上仁
6位 たのしい超監視社会          柞刈湯葉
7位 野生のエルヴィスを追って       石川宗生
8位 書夢回想               円城塔
9位 一〇〇〇億の物語           樋口恭介
10位 アトモスフェイラ・インコグニタ ニール・スティーヴンスン 
                      日暮雅通訳
未読 サーペント              飛浩隆
未読 銀翼とプレアシスタント(抄)     上田早夕里
未読 大進化どうぶつデスゲーム       草野原々

連載

小角の城(第52回)             夢枕獏
幻視百景(第19回)             酉島伝法

「ベスト・オブ・ベスト2018」と銘打って「SFが読みたい!2019年版」上位作家の特集である。この企画は毎年やっているが、表紙を見て今どき感を感じたしだい。ごらんのようにカタカナはニール・スティーヴンスンだけ。では外国人はスティーヴンスンだけかというとそうではない。もう一人外国人がいる。郝景芳は中国人。いま、中国SFが元気である。カタカナ名前の外国人作家でここで取り上げるべき作家は他にもいると思うのだが。
 そいうわけで、今月はなかなか読みごたえがあった。ただ、せっかくだから全作書き下ろしの読み切り短篇でまとめて欲しかった。長編の冒頭だけなんて中途半端なことはやめてほしい。  
 それぞれの作品はバラエティに富んでいて、読んでいて楽しかった。では、印象に残った作品を簡単ながら少しレビューをしよう。
「戦車の中」俺と雪怪は小型機械車とあう。ヤツの中には人間が入っているのか。
「書夢回想」本、書店、図書館。円城塔としては判りやすい。
「無重力的新世界」11人の芸術家を乗せてシャトルは月へ飛ぶ。芸術家たちには月に着くまで新作を制作すべしという課題が。
「野生のエルヴィスを追って」野性のエルヴィスは絶滅危惧種。家庭で飼われている愛玩用のエルヴィスもある。
「一〇〇〇億の物語」長すぎる。つまらん。
「たのしい超監視社会」総監視の全体国家の話。
「折り紙食堂 エッシャーのフランベ」メシを食いに食堂へ。主人は料理しないで折り紙ばかりしている。なんとも不条理なのがいい。
「ミサイルマン」この忙しいのにンナホナが出社しない。外国人労働者雇用管理責任者の俊輔が彼の宿舎に行くと。
「半身の魚/必殺!/二つ折りの恋文が」ショートショート3編。「半身の魚」が面白かったかな。あと2篇はどうということない。           
「アトモスフェイラ・インコグニタ」つまらん。小生はスティーヴンスンとは相性が悪いようだ
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昨晩、かかりつけのクリニックで

 左足首の関節を痛めているので、定期的に整形外科へ行って注射をうってもらう。この整形外科と小生のつきあいは長い。先代の院長の代からのつきあいだ。子供のころケガをすれば、先代の院長によく治療してもらった。
 その先代の院長はご高齢で引退され、今は2代目の院長が多数の患者の治療にあたっておられる。2代目といってもベテランで、小生はこの2代目院長とのつきあいも長い。
 この整形外科は人気のクリニックで常に多数の患者が来院している。1時間や2時間待ちは当たり前。小生はいつも会社を終えて夕方に行くのだが、診察券を出して電話番号をメモして受付に出して、いったん家に帰る。夕食を食べてしばらくすると電話がかかってくる。「そろそろおいでください」だから長時間待合もさして苦にならない。小生はつきあいが長いから、このクリニックの使い方を知っているのである。
 電話がかかってきて待合で待っていると、えらい剣幕で受付で怒っているおっさんがいる。「なんで俺より後に来たあいつが先に呼ばれるんだ」上から怒鳴りつけるように受付でがなっている。「あの方はずっと前に来て電話で呼んだ患者さんです」と説明されても、まだ納得がいかないらしく、しつこくブチブチいっていた。そのうち小生が呼ばれて注射してもらって出てくると、待合の椅子でふんぞり返って仏頂面で座っていた。なんと醜いことだ。自分がこの世で一番エライんだといった顔をしてた。イヤだな。常に紳士でありたいと自戒をこめて思ったしだい。
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ミッドナイト・ラン


監督 マーティン・ブレスト
出演 ロバート・デ・ニーロ、チャールス・グローディン

 ロバート・デ・ニーロ。ハリウッドを代表する名優といっていいだろう。どっちかというとハードな重い役のイメージが強いデ・ニーロだが、この映画では実に軽快に軽く楽しげに仕事をしている。
 主人公ジャックは賞金稼ぎ。とはいってもこの映画は西部劇ではない。現代の話。アメリカでは賞金稼ぎが現代もいるとか。留置所に入れられた容疑者が保釈で出る。その時保釈金をたてかえるのが保釈保証業者。容疑者に逃げられると大損するから保釈保証業者から依頼を受けて逃げた容疑者を捕まえて報酬を得る。元警官のジャックはその仕事をしている。
 マフィアの金を横領して逃げた会計士のデュークを捕まえロサンゼルスまで護送する依頼を受けた。デュークをニューヨークで確保。5日以内にロサンゼルスへ。一晩で片づくちょろい仕事(ミッドナイト・ランの意味)と思われたが、デュークが飛行機恐怖症。離陸前の飛行機の中で大さわぎ。しかたなく陸路でロスまでの旅をすることに。
 と、この映画ロードムービーである。男二人の珍道中。デ・ニーロのジャックとグローディンのデュークが実におもしろい。特に会計士デューク。マフィアの金をババしたというから大それた大悪党と思うがそうではない。なんということのない中年のおっさん。ババした金は自分では使わず慈善団体へ寄付した。このデューク実にいい人。自分を捕まえたジャックの健康まで気づかう。肉を食べすぎるとコレステロールがたまる。タバコは身体に良くない。やめた方がいい。古女房みたいにこちゃこちゃといちいち口うるさい。
 この二人をマフィアがほっとくはずがない。二人のヤクザが追いかけてくる。ところが、こいつらアホ1とアホ2。デュークはFBIにも追われている。マフィアの親分をあげたいFBIにとってデュークは強力な武器となる。ところがFBIの現場責任者のモーズリーはジャックに身分証を盗まれるがしばらく気がつかない。ジャックはまんまとモーズリーと名乗りFBIになりすます。
 デュークを追うもう一人の賞金稼ぎのマービン。なんどもジャックに出し抜かれ、ジャックより安い金額で仕事を請け負ったことに気がつかない。
 ジャックとデューク以外出てくる人物がみんなまぬけ。アホバカまぬけ図鑑というような映画である。
 で、コメディであるが、しっかりアクションもあってあきさせない。最後は男の友情で泣かせる。いい映画であった。
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イカナゴの釜揚げ新仔丼


 今年の春は少しさみしいです。神戸に春を告げるイカナゴの新仔。毎年たくのですが、今年はたきませんでした。不漁で漁獲量が大幅に低下。あんまり出まわりませんでした。あってもキロ3000円をこえてます。そういうわけで今年はウチはイカナゴの新仔はたきませんでした。
 生の新仔は手に入りませんでしたが、釜揚げの新仔は売ってます。そのイカナゴ釜揚げ新仔で丼を作りました。
 たきたてのほかほかご飯を丼によそいます。きぜんだしその葉をご飯にのせて、その上に釜揚げの新仔をどっさりのせます。大根おろしをのせてポン酢をかけてます。ポン酢は市販のものより手作りがいいです。市販のポン酢はなんか化学薬品みたいな匂いがします。そんな難しくはありません。ユズかすだち、柑橘類の汁をしぼって醤油をまぜればいいんです。お好みで出汁で薄めてもいいですね。その手作りポン酢をかければできあがりです。
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春の海の雑炊


 今朝は雑炊です。春の海の幸を楽しめる雑炊としました。ご飯はさっと洗ってぬめりを取っておきます。さっぱりとした雑炊になります。あんまりご飯を洗いすぎるとご飯のおいしさが抜けてしまいます。そのへんの塩梅は調整してください。
 雑炊ですから出汁が要ります。あさりのゆで汁を使いました。あさりは砂抜きをして売ってるものがありますが、ねんのため砂出しをしましょう。塩水につけておけばいいんです。塩水は海水と同じ濃さにします。海水は想像以上に塩辛いですよ。こんど海に行ったとき海水を口にふくんでみてください。
 昆布を1枚入れた鍋に水を入れあさりを入れて火にかけます。そのうちあさりが口を開けてきます。口を開けたあさりはすぐ取り出しましょう。あさりなどの貝類は加熱しすぎると硬くなります。
 このあさりのゆで汁にご飯を入れて雑炊にします。具は生わかめと釜揚げの新仔を入れました。最後に取り出しておいたあさりを乗っけて三つ葉をあしらうと完成です。
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とつぜん上方落語 第34回 千早振る

 上方落語で百人一首の和歌をネタにしている演目で、ぱっと思いつくのは「崇徳院」と「千早振る」の二つがあります。「崇徳院」は崇徳天皇の作で、「瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ」というもの。高津さんで、お互いひと目ぼれした若い男女が恋こがれ身体をこわす。親だんさんに頼まれたてったいの熊はんが「せをはやみ~」といいながら、欲に引かれて大坂中を必死で、このめんどくさいお嬢さんを探し回る噺です。てったいの熊はんの必死さがおかしい噺です。
 もうひとつの「千早振る」これは平安時代の代表的な色男在原業平作です。「千早振る神代も聞かず竜田川からくれないに水くぐるとは」
この在原業平、芦屋に住んでいたそうで、芦屋川を渡る国道2号線の橋が業平橋といいます。この写真の奥が業平橋で、手前が公光橋といいます。業平にあこがれる公光という若者がいたそうです。
ちはやふる」は広瀬すず主演で映画になりましたが、あの映画は競技カルタが題材でした。いわずもながらですが落語の「千早振る」の方が映画や漫画より古くからあります。
 落語「千早振る」は、最近、カルタにこってる娘から和歌「千早振る」の意味を聞かれた喜いさん、自分では判らない。で、町内の生き地獄、いや、生き字引の隠居のじんべはんに聞きに行く。ほんまはじんべはんも知りません。でも人からモノ知りやゆわれとるから、喜いさんに知らんとはいえません。そこで苦しまぎれに、竜田川という相撲取りが千早という吉原の花魁にほれて、振られる。力士引退した竜田川が故郷の大和で豆腐屋をやっていると落ちぶれて女こじきになった千早がおからをめぐんで下さいとやってくる。元竜田川、おからをやらない。悲観した千早、井戸に身を投げた。じんべはんの苦しまぎれの和歌の解釈が面白いです。
 千早の妹神代が、元竜田川の顔色を見て、鶏の竜田揚げのチェーン店やまとかみよ揚げ鶏屋を展開して実業家として大成功しました。いま、どの街にもあるやまとかみよ揚げ鶏屋の創業秘話として雫石が説を展開しているが定説には到っていません。ちなみに、やまとかみよ揚げ鶏屋の店頭に立つ大男は竜田川がモデルとされています。竜田川は神代にとって姉のカタキではあるが、実業家としての成功のヒントを与えてくれた恩人でもあります。このやまとかみよ揚げ鶏屋の竜田川像が、プロ野球攝津虎軍日本一のおり、ひいきすじの手で川に投げ込まれたことがありました。竜田川の姿が、当時の摂津虎軍の助っ人馬亜酢に似ているからだそうです。それから摂津虎軍は低迷が続いています。このことは竜田川の呪いとして虎軍ひいきすじの間では有名です。
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お墓参り、やんぴ

 今日は会社で少し仕事をして、春の彼岸やから墓参りに行くつもりやった。会社で30分だけ仕事して外に出ると、雨がしょぼしょぼ降っている。なんかめんどうになってきた。べつに雨をついてまでお墓参りに行かんでもええやろ。と、自分に納得。とはいいつつも墓参りにもしばらく行ってないし。次、いつ行こう。別に行かんでもバチは当たらんと思うけど、ま、墓参りなんてもんは自分の心の問題や。
 お盆に行こうか。でも、また今年の夏も猛暑やろな。ワシは暑いのには比較的強いけど、やっぱり猛暑の中墓参りはいややな。かといって秋の彼岸は遠いし。
うん。5月の連休に行くとしよう。ウチのお墓は常に西宮の満池谷にあるんやから、盆や彼岸に行かんでもええやろ。
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最後のラーメン

「お、これは灘正宗の純米大吟醸無濾過生原酒じゃないか」
「はい」
「課長、この酒はそんなすごい酒ですか」
「もうオレは課長じゃないといったろ。灘五郷って知ってるか」
「はい。酒どころの西宮、神戸の東灘、灘ですね」
「そうだ、そこで造られる酒が灘の生一本だ。ところがこの灘正宗は、灘が名前についているが灘で造られていない。灘の東どなりの芦屋で造られている酒なんだ」
「へー。ハイソな酒なんですね」
「芦屋といっても全部がハイソじゃない。阪急より北、とくに六麓荘あたりはハイソやけど、阪神沿線、打出あたりは庶民的な下町だ。この灘正宗は芦屋の打出にある酒造会社だ。小さな酒造会社だから出荷数が少なく、うまい酒やがなかなか手に入らん。大将、よくこんな酒出してくれたな」
「はい。今晩が最後ですから。置いといてもしかたないでしょう。常連のお二人に飲んでいただこうと思って。これは、とういうより、今晩はぜんぶ私のおごりです。明日はないんですから、お金をもらってもしかたがありません」
 それから、二人と大将の3人は灘正宗を一升空けた。
「うまいですねえ。課長」
「もう課長じゃない。何度いったらわかるんだ。会社はさっき二人で終わりにしたろ。会社もないのに課長もガチョウもあるもんか」
 カウンターの上の皿はみんな空だ。3人とも真っ赤な顔。夜の九時を過ぎた。
「さて、そろそろお開きにしよう」
「そうですね。電車もなくなるでしょう」
「それでは大将、来世もまたここに飲みにきたいな」
「高山さん、河瀬さん、ありがとうございました」
 二人はその居酒屋を出た。夜の九時を過ぎたのに空はかなり明るい。東の空が朱色に染まっている。東の地平線の向こう側に禍々しいモノがあるのが良く判る。
「電車は10時過ぎにはとまるんだな」
「はい」
「そうか。ラーメンでも食うか」
「賛成です。酒のあとのラーメン。ほんとはいけないんでしょうが」
「ほんとはな。さすがに明日の今日だ。女房もぶうぶういわないだろう」
 駅前まで歩いた。ほとんどの店が閉まっているなかで、ラーメン屋が一軒ぽつんと開いていた。
「おい。まだやっているラーメン屋があるぞ。入ろう」
 二人はのれんをくぐって入った。おやじが一人カウンターの向こうに立っている。
「いらっしゃい。きょうは最後ですから私にまかせてもらえませんか」
「うん。ラーメンでありさえすればいい」
「はい。お客さんたちが最後のお客です。もう麺が二人分しかありません」
「おれたち、初めての客だよ」
「いいんです。この麺がなくなれば終わりにしようと思ってました。わたしゃラーメン屋で終わりたいんです」
 そのラーメンは二人がこれまで食べたうちで最もおいしいものだった。
「おいしかった。ごちそうさん。このスープ絶品だったな」
「はい」
「おれはいつもラーメンの汁を全部飲むと女房に叱られるんだ」
「ぼくもです」
「明日が最後の日なんだから、高血圧も尿酸値も血糖値もくそくらえだ」
「さ、帰りましょうか」
「うん。やっぱり女房と死にたいな」
 ラーメン屋から出た。冬なのに汗ばんできた。東の地平線の向こうから太陽ではないあれが半分出ている。
 
 
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石見焼きの塩壺


 わたしは料理を趣味としております。土曜日曜に台所に立つのが楽しみです。料理に欠かせないのが調味料です。その中でも特によく使うのが塩です。ですから塩はガラスの小さな容器に入れて常に手元に置いておきました。
先日、テレビを観ていたら石見焼きを紹介していました。石見焼きは硬い焼き物で、水を入れる壺をたくさん造ってました。上方落語で「壷算」という噺がありますが、あれに出てくるような壺です。水道の普及で水壺の需要がなくなり、小型の陶器も造るようになりました。小さな塩壺が欲しくなりネットで入手しました。
 小さくてコロンとしててかわいいです。愛用しております。料理をするのがなお楽しくなります。
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誰も知らない


監督 是枝裕和
出演 柳楽優弥、YOU、北浦愛、清水萌々子、木村飛影、韓英恵

 なんとも、つらいせつない映画である。観終わって幸せになる映画ではない。重いものが心に残る。正直、たいへんにあと味の悪い映画である。でも、良い映画である。
 けい子と明の親子がアパートに引っ越してくる。母子二人です。よろしくとお隣にあいさつする。これうそ。大きなトランクを開けると弟と妹が出てくる。さらに明がもう一人の妹を連れてくる。子だくさんだとアパートの大家に嫌われる。明以外の子は秘密。どうも4人の子供みんな父親が違うらしい。学校にも行ってない。
 母けい子は恋多き女。新しい恋人ができた。仕事といって子供を置き去りにして家を出て帰ってこない。
 子供4人の生活が始る。ときどき、けい子からお金が送られてくる。明が現金を管理し食事をつくり弟妹のめんどうを必死で見る。
けい子からの送金もなくなった。そのうちお金がつきる。電気を止められ水道も止まる。公園の水を使い、コンビニで賞味期限切れの食べ物をもらう。
この4人に友だちができる。いじめられっ子で登校拒否の女子中学生紗希と知り合う。紗希は家にも学校にも居場所がないみたい。
まわりには大人がいっぱいいる。でも彼らにはこの4人+1人は見えていない。一人だけ明に児童相談所にいったらとアドバイスするコンビニの女子店員がいたが、彼女はコンビニを辞めたみたい。
複数の父もいるが無関心。母けい子は子供より恋人。明は子供なのに一家の主人の仕事をする。最後には妹を弔うことまでする。
カンヌで主演男優賞を受賞した柳楽もうまいが他の4人の子役もうまかった。それにYUOのろくでなしの母親が良かった。名作だ。  
 
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