goo

「とつぜんブログ」終了のお知らせ

この「とつぜんブログ」は、これにて終了します。
どうも、長い間ありがとうございました。
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )

日日是好日


監督 大森立嗣
出演 黒木華、樹木希林、多部未華子、鶴見辰吾、鶴田真由

 茶道映画である。お茶のお手前の練習。袱紗の扱い方、茶杓の持ち方、茶室への入り方と歩き方、そのようなことをひたすら、延々と描いている。
 お茶はまず、形から入る。お手前の形を、ひたすら反復練習する。なぜそうするかはいずれわかる。とにかく形をつくる。形ができれば、中に心がおのずと出来てくる。お茶とはそういうものだ。
 20歳の女子大生典子はお茶を習い始める。先生は武田先生というおばあさん。毎週土曜日、武田先生のもとへ、典子はいとこの美智子といっしょにお手前のお稽古。棗を持ち上げる、茶杓で水をすくう。茶釜の湯をすくう。同じ茶室で同じことのくり返し。
 お稽古をする茶室は、同じように見えるが、少しづつ違っている。床の軸が変わる、活けてある花が変る。季節が変わる。そして典子自身が変わる。毎日毎週毎年、一日一日はやってくる。同じように見えて同じ日は二度とやってこない。一日一日が好い日なのだ。
 お茶はただ、お茶を淹れて飲むだけ。それだけのことに、おおきな精神性を見出し、日本の文化の重要な背骨となる。そのことをこの映画を観て理解できるかできないかが、この映画の評価に大きく関わるのではないか。理解できなければ、これほど退屈な映画はないだろう。理解できればお茶の面白さが理解できるだろう。この映画を観てお茶を習いたいと思う人もいるだろう。
 典子はお茶を習い始めて24年経った。40を超える中年になった。いろいろあった。就職失敗、失恋、独立、肉親との別れ。典子は変わった、世界も変わった。
 典子役の黒木がさすがにうまい。キャピキャピの女子大生からしっとりとした中年まで、見事演じわけている。実に見事である。その典子をあたたかく指導する武田先生の樹木ももちろんいいし、いとこの多部も黒木の典子と正反対のキャラで主人公の典子を引き立たせていた。
 

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

そうめんお好み焼き


 きょうのお昼は、関西人のソウルフード粉もんにしましょう。なにがいいでしょうかね。お好み焼き。うん、お好み焼きといきましょう。どんなお好み焼きにしましょうか。大阪風広島風モダン焼きねぎすじ焼き。お好み焼きといってもいろいろあります。きょうは、ひとつ、今までやったことのないお好み焼きにしましょうか。
 お中元に半田そうめんをたくさんいただきました。四国は徳島のそうめんで、三輪そうめんや揖保乃糸より太い目のそうめんです。このそうめんを使ってお好み焼きをしましょう。
 モダン焼きは焼きソバ用中華麺を使うのですが、それをそうめんに替えるのです。生地はいつもの生地です。中に混ぜこむものはキャベツと天かすです。具は豚肉です。
 そうめんをゆでます。半田そうめんは太いので少し長いめ5分ゆでます。ゆであがったら、水を切ります。その間、ホットプレートを熱くしておきましょう。ちなみにウチのホットプレートはウチの電化製品のうちで最長老です。あの阪神大震災の震度7に耐えて生きのびて、まだまだ元気に働いております。
 そうめんを焼きます。少し焦げ目がつくぐらいがおいしいです。そこに生地を流しいれ、豚肉をのせて、さらにその上に生地で豚肉をカバーして焼きます。
 焼けたら、ソースを塗って青のりをふっていただきます。モダン焼きよりもさっぱりしてて、そうめん入りお好み焼きもおいしいです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

冷しラーメン


 これはラーメンみたいやけど、ラーメンはラーメンやけど、あついラーメンやない。冷たいラーメンや。夏に熱い麺を大汗かきながら、フーフー食べるのも爽快で気持ちええけど、やっぱ、冷たいもんがええな。
 スープはガラスープの素で作った。今回は創味シャンタンは使わなかった。味付けは薄口醤油や。さて具や。普通のラーメン(異常なラーメンってどんなんか知らんけど)やったら焼豚やけど、焼鶏や。チャーシューやのうてチャートリやな。あとゆで卵、かいわれ、トマトを入れる。うん。おいしい。チャートリがさぱりして、トマトの酸味とあいまって、けっこうな冷たい麺となった。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

とつぜん上方落語 第38回 犬の目

 上方落語には病気がネタの噺がいくつかおます。「夏の医者」では熱中症、「蛇含草」は食いすぎ(食いすぎが病気かどうか知らんけど)「癪の合い薬」では癪(いまでいう胃けいれんやな)。病気がネタですから、医者が出てくるわけですが、落語に出てくる医者はロクな医者はおまへん。寿命医者、なんでも、ご寿命ですな。葛根湯医者。どんな病気でも葛根湯を処方する。
 手遅れ医者。「手遅れじゃ。なんでもっとはよう連れてこんのじゃ」「先生、これ、いま屋根から落ちたばかり。これで手遅れじゃ、いうんならいつ連れてきたらええんじゃ」「屋根から落ちる前ならなんとかなる」
 病気の落語の中にも眼病の噺は、ワシの知ってる限りでは「景清」と「犬の目」ぐらいかな。この「犬の目」に出てくる眼医者もええかげんな医者で、患者の目玉をくりぬいて水で洗うというのんが治療。で、陰干ししていた患者の目玉を犬に食われてしまう。しかたないので、犬の目を患者に入れますのんや。
「おお。どうですかな。その後目の具合は」
「よう見えるようになりましたわ。暗闇でも見えますねん」
「それはけっこう」
「ところがね。先生、電柱みたらおしっこしたなりますねん」

 それからX年後。人工の目が開発されました。人工眼球です。重症の眼病の患者は手術するより、人工の目を装着するようになりました。ミクロサイズのカメラが仕込んであって、極細の線が視神経につながっていて、視覚が蘇ります。

「あ、しもた。社外秘の新製品のサンプルを北側眼科に忘れてきた。ま、ええわ。今度取りにいこ」
「中川さん。どうぞ」
「どうですか」
「もう痛くないです」
「どれどれ。うん。眼用のコネクタがええぐあいに眼底に定着しました。人工眼球を入れましょう」
「はい」
「おい。前田くん。中川さんの目を持って来て。ほら、保管庫の上の棚の一番右のやつ。ザルモのXL-221RPや」
「う~ん。どれかな。これやろ」
「はい。先生」
「では、中川さん。人工眼球をいれます」
「どうですか。中川さん、人工眼球は」
「よく見えますわ」
「それは良かった」
「ただ、不思議なことが」
「ほう。なんです」
「大阪の埋め立て地が見えるんです。そこに大ぜいの人が来てます。どうも博覧会みたいなんですが」
「それ、2025年の大阪万博みたいやね」
「なんで6年先の未来が見えるんですか」
「先生、ちょっと」
「どうした前田くん」
「ザルモのプロパーの河合さんが」
「なんや河合くん」
「先生、すみません。試作品の人工眼球ML-221RPをわすれてませんでした?」
「あああ」
「どうした前田くん」
「すみません。中川さんの人工眼球を間違えて持ってきました」
「すると中川さんに入れたのは試作品のML-221RPか」
「はい」
「河合さん、試作品の人工眼球ってどんなんですか」
「予言者用の人工眼球です」

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

400円ラーメン勝負

 そのラーメン屋の右隣がタクシー会社。左隣が鉄工所である。正午になった。鉄工所でガス切断をしていた工員が、酸素とアセチレンのコックを閉めて、立ち上がった。腰に手を当てている。
「ああ、あ。昼か。テテテ。腰が痛い」
 工員は隣のラーメン屋に入る。入り口で顔なじみのタクシーの運転手といっしょになる。
「おお。滑川さん。きのうの馬、とったか」
「あかんわ」
「そやから、昼はここのラーメンか」
「そや。あんたもあかんかったんやろ」
「なあに。大穴や。万馬券とったで」
「うそこけ。そんな大富豪がなんでこんなとこでラーメン食うんや」
「こんなとこで悪かったな」
 二人の会話を聞いた、この店の店主が声をかけた。カウンター席が八つとテーブル席が2卓。カウンターの2席をのぞいて満席である。二人はカウンターに座った。
「ふたりとも半チャンラーメンやな」
「うん」
「そや」
 二人が待っていると、入り口が開いて作業服の男が入ってきた。
「なんや。徳さん。いまんごろ来て満員やで。なにしてたんや」
「うん。ちょっと溶接用フラックスワイヤーを入れ替えてたら、手間取ってな。それよりなんや、たいそうな車が停まったで」
「きよったか」
「だれが来るねん。大将」
「うん。山原たらいうえらそうなおっさんが、ここへラーメン食いに来るねんて。12時前にこな待ってもらわなあかんゆうたのに」
「おい、あれ。ロールスロイスやないけ」
 ラーメンの前に巨大なピカピカの車が停まった。ロールスロイスの最新型「ファントム」だ。
 ショーファーが運転席から降りてきて、後部ドアに回る。初老の男が降りてきた。和服を着ている。総髪で射すくめるような目。口はヘの字に引き結んでいる。60代の前半の年かっこうで、たいへんに厳しい顔。ひと目で厳格な人物であることがわかる。
 ショーファーが店に入った。初老の男はその後ろを悠然と歩いている。店に前には5人ほど並んでいる。
「店主。山原剛山先生がおつきだ。席はどこだ」
「12時前に来てくれといったやろ。並んでくれ」
 ショーファーが目をつり上げていった。
「このお方をだれと思ってるんだ。天下の山原剛山先生だぞ」
 山原剛山。人間国宝。陶芸家。画家。書家。100年に1人の天才。芸術家であるとともに稀代の食通。帝王の舌を持つ男。北大路魯山人を遥かに凌駕する食通で芸術家といわれている。関西の超高級住宅地芦屋市の六麓荘に会員制料亭月岡茶寮を経営している。剛山が指揮する月岡茶量の料理は。至高とか究極とかいう言葉を超える料理といわれている。
 剛山はときどき、ラーメン屋とか牛丼屋ハンバーグ屋といった店にやってくる。剛山がそこの料理をひと口食べて、コクリとうなずけば、その店は明日から大繁盛。剛山がひと口食べて箸を置けば、明日から客足が途絶え、ほどなく閉店の憂き目を見る。
 山原剛山。日本の味覚を支配する男ともいわれている。
「剛山先生に行列に並べというのか。バカもの」
「だれであろうと列に並んでくれ。イヤならよそへ行け」
 店主に一喝されれてショーファーは少したじろんだ。
「中川、並ぼうではないか」
 20分待って、二人は席に着いた。
「店主、特別、気合を入れてつくれよ」
 カウンターに座った剛山が店主にいった。
「俺はだれに食べさせるラーメンでも気合を入れて作る。あんたがどんなエライ先生か知らんが関係ない。もちろんあんたのラーメンも気合を入れて作る」
 ラーメンが2杯できた。ショーファーと山原剛山の前に置かれた。剛山、ひと口麺をすすると箸を置いた。
「どうやらお気にめさなかったようだな」
「こんなもの食うに値しない」
「だったら食うな」
「山原剛山もなめられたものだ」
「そうかい。だったら勝負しないか。あんたがラーメンを作れ。オレのラーメンと勝負だ」
「私はラーメンを作らない」
「別にあんたが作らんでも、あんたが料理人に指示して作らせりゃいいんだ」
「面白い」
 二人のやりとりを見ていた、工員とタクシー運転手がいった。
「大将、この先生が作るラーメンはとんでもなく豪華なラーメンになるぞ。大将、負けるぞ。俺たちはこのラーメンで充分おいしいんだ」
「このラーメン一杯いくらだと思う」
 店主が剛山に聞いた。
「2000円ぐらいか」
「ラーメン単品だと400円。炒飯小のセット半チャンラーメンで500円だ」
 勝負は1週間後と決まった。場所はこのラーメン屋。
 勝負の日、剛山は4人の連れを連れてきた。そのうちの1人を見て、ギャラリーたちは「おお」と声を上げた。
 昔、テレビの料理バラエティ番組として人気があった「キッチンの巨人」その中華の巨人として有名な中華料理の巨匠が剛山の連れてきた料理人だ。
 テーブルの上に6400円が置かれている。
「3200円取ってくれ。俺も取る。これを持って二人で、そこのコープさんに買い物に行く。8人分のラーメンの材料を買ってくるんだ。審査員6人と俺と先生のぶんだ。1杯400円のラーメンで勝負だ」
 店主と中華の巨人はほどなく戻ってきた。手にはCOOPのレジ袋を持っている。
 山原剛山が連れてきた3人はいずれも食通として有名な人物。店主が用意した審査員はこの店の常連客。
 始めにAと書かれた鉢のラーメンが8杯並べられた。6人の審査員と店主と剛山が食べた。次にBが並べられた。
「うまい方の札を上げろ」
 剛山がいった。全員Bだ。
「完敗だ。店主、なにが望みだ」
「あんたマスコミにも顔がきくんだろ。ウチのことを放送や記事にしないようにいってくれ」

「大将、半チャンラーメンね」
「あ、おれは叉焼麺と唐揚げ、それにビールもつけて」
「昼間っからビールか。それにぜいたいやな」
「ワシ、昼から休みや。さっきパチンコで勝ってな」
「それにしても大将、ええ宣伝になったのに」
「ええねん。ワシはあんたらに安うてうまいメシを食うてもろたらそれで満足やねん」
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

食べたくなる本


 三浦哲哉    みすず書房

 料理について書かれた本であるが、著者の三浦は料理人でも料理研究家でもない。比較芸術学科の准教授で映画評論家である。学者、評論家、研究者である。そんな三浦がなぜかような本を書いたのか。三浦は料理する。で、参考にいろんな料理本を読む。本として面白い本も多くあり、500冊近くの料理本を読んだとか。鉄也と哲哉、字は違うが同じてつや。鉄也も料理の本を読むが、なるほど、うまそやな、今度やってみよ。哲哉は料理本を分析、研究、評論してかような本を書くのである。ここらがSFファンで購買仕入れ屋と学者先生の違いである。
 本書は料理本を何冊も取り上げているが、料理本そのモノの紹介評論の本ではない。料理本の著者の料理に対する考え、こだわり、思想、取り組み方から、生き様までを紹介した本である。
 例えば、丸元淑生。家庭料理のベースは「だし」である。そのためにはかつお節を自分で削れといっている。「家庭料理は死ぬほどおいしくなければならない」
 有元葉子。おいしいものは身体に良い。オリーブオイルは身体に良い。と、いうことで高価なエキストラ・バージン・オリーブオイルを惜しげもなく使い揚げ物をする。常に整理整頓掃除清潔を心がけ、ひと仕事ひと片づけを厳格に実践。汚れ物を1分1秒も置いとくのはいや。
 高山なおみ、小林カツ代、ケンタロウといった料理研究家も紹介しているが、小生は特に、本書で丸元、有元「元」の字の二人が特に印象に残った。いわば、二人とも料理原理主義者といういうべき人で、余人の意見具申は聞く耳持たぬ狷介さを感じる。
 丸元はかつお節を使う時、大量に使う。みそ汁一杯分の出汁を取るのにてんこ盛りのかつお節を使う。「料理の鉄人」で道場六三郎も「命のだし」と称して大量のかつお節を使っていた。この二人に比して、京都の瓢亭の高橋英一さんは西京味噌のみそ汁を作るとき、昆布を使うが、できれば水だけで作りたいとおっしゃっておられた。小生は高橋さんに与する。
 有元さんのキッチンをテレビで観たことがある。きれい、清潔、整理整頓が完璧。小生はそれを観て、きれいというより殺伐とした印象を受けた。そこに人間は不在で冷たい機械が設置してあるようだ。それはあたかもキューブリックの「2001年宇宙の旅」とルーカスの「スターウォーズ」を想起した。両方の映画にも宇宙船の内部が出てくる。
「2001年」のディスカバリー号の内部は、ちょうど有元のキッチンだ。清潔、チリ一つない。比べて「スターウォーズ」のミレニアム・ファルコンの内部。うす汚れている。天井や壁面には配管がむき出し。ホコリが舞っている。どちらがリアルで生活感があるか?人間はどっちの方が生活しやすいか。
 有元葉子さんと丸元淑生さん、小生はできたらお近づきにはなりたくない。この二人が作った料理も食べたくない。著者の三浦氏はこのお二人の考え思想に是とも否ともいってない。しかし、小生は三浦氏の記述によって二人に対して拒絶反応を示した。
 この本、書名とは逆に「食べたくなくなる本」と小生は読んだ。


コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )

トラキチ酒場せんべろ屋 7月16日

「みっちゃん。ビールやビール」
「ワシもや」
「くっそ。おもろないな。いっこも勝たへんやないか」
「そや。サヨナラ押し出しで負けるなんて、あまりといえばあまりやな」
「そやな。あのノーコン小野に敬遠させて満塁策やなんて、こないなることわかっとるやないの」
「それよりモンダイは4番のあのご仁や」
「せっかく松坂が、近本、糸原と二人続けて痛くない死球くれて絶好のチャンスくれたのに、4番のあのご仁が外野フライ。これじゃ点取れんわ」
「ほれ、マンションの部屋番号ほんまは4階の4号室やのに、4はゲンが悪いゆうて403のとなりは405とするやろ」
「うん。あるな」
「阪神もな、3番糸井の次は欠番で次は5番や思うたらええねん」
「そしたら阪神の攻撃は必ずワンアウトがあって、ツーアウトでチェンジになるで」
「しゃあないやん。阪神の4番は『存在』だけがあって実体がないんやから」
「なんや哲学的やな」
「こんな球団のファンやねんから哲学的にもなるわいな」
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

神戸新開地喜楽館1周年特別記念公演


 昨日は神戸新開地喜楽館1周年特別記念公演に行ってきました。昨年の7月11日に開館して、もう1年なんですね。私のような神戸の上方落語ファンにとって、実にうれしい神戸の上方落語定席ができたわけです。新開地に行けば、いつでも生の上方落語に接することができるのです。
 さて、記念公演の開口一番は、この喜楽館開館に尽力され、喜楽館名誉館長の桂文枝師匠のお弟子さん、桂三度さん。「真田小僧」を演じはった。子供が親を脅迫して小遣いをせびる噺です。お父ちゃんがおらへんとき、お母ちゃんを訪ねて、白い服にステッキ色眼鏡というキザなかっこうした、よそのおっちゃんが来た。話ここまで、先を聞くんやったら、もう10銭。この噺「初天神」の前半のユニットとしても使われています。
 2番手は笑福亭喬介さん。今が伸び盛りの若手の上方落語家さんの1人ではないでしょうか。演目は「時うどん」です。「ひっぱりな」がある二人バージョンでした。ごく普通の時うどんでしたが、喬介さんらしいメリハリのついた演出で楽しめました。この噺、冬に似合う噺です。それを夏にするのだから、夏バージョンに改造して欲しかったですね。「時そうめん」とか「時冷し中華」とか。「ひっぱりな」「ひっぱりなちゅうねん」「やるがなやるがな。ほれ」「ええ、これが16文の冷し中華?きゅうりが1本と錦糸卵が2本あるだけやんか」
 色もんは華乃家ケイ姐さんのハイカラソング。ようするに昭和のナツメロをアコーディオンを弾きながら歌うだけ。途中、思わぬ大物の飛び入りが。だれだったかはナイショ。
 4番目は桂花團治さん。虎キチで有名だった先代桂春蝶師匠のお弟子さん。まくらで師匠の思い出を。先代春蝶師匠といえばやせていること。ほんと、ガリガリだったそうです。春蝶師匠がゴルフしていると、どこからがクラブでどこまでが腕か判らんかったそうです。
やらはったのは師匠直伝の「昭和任侠伝」この噺桂枝雀師匠の一番弟子桂音也さんが創った創作落語ですが、先代春蝶師匠が「ぜんざい公社」とともに得意とした噺です。いま聞いても面白い落語ですが、令和のいま、さすがに昭和の高倉健とか鶴田浩二、藤純子といった東映任侠映画をネタにするには、いささか時代錯誤な感がなきにしもあらずです。花團治さん、ひとつ「令和任侠伝」を創ってくれませんか。
仲トリ前は3月に桂きん枝あらため、小文枝を襲名した4代桂小文枝師匠。まだまだ実感がわかないそうです。半分だけ小文枝でもう半分はきん枝。上半身は小文枝で下半身はきん枝ですって。なんとも大昔の旧悪を想い起こすくすぐりでした。自虐ネタでしょうか。演目は「禁酒関所」です。襲名披露はまだ続くそうです。9月1日に神戸国会館こくさいホールで行われる、「きん枝改め、四代桂小文枝襲名披露公演」には私も行きます。チケットは入手ずみです。
仲入り後の最初は桂三歩さん。歯のない口を開けて熱演です。師匠桂三枝作の創作落語「青い眼をした会長さん」自治会の会長さんにフィンランド人がなりました。帰宅して女房に聞きます。「今度の会長、だれがなってん」「知らんねん」「知らんって会長選挙があったんやろ」「だから、知らんねんって」「知らんはずないやろ」「フィンランド人のシランネンさんが新会長や」フィンランド人はニッカネンとかアホネンとネンのつく人が多いでっしゃろ。
トリ前は桂塩鯛師匠。これも桂三枝作の「宿題」子供が塾で宿題を出されます。お父さんに聞きます。算数の鶴亀算の宿題。お父さん、よう判らん。会社で京大卒の部下に聞きます。私も子供のころは算数が苦手でした。
 さて、大トリは桂文枝師匠。明日(つまり今日)誕生日ですって。私が12日ですから4日違いなんですね。演目はもちろん創作落語です。「惚けてたまるか」おじいさんが認知症のテストを受ける噺です。文枝師匠ぐらいの年になると、マジか落語か判らんです。
 文枝師匠、オチをいって頭を下げて幕が下りようとしたら、師匠、幕をもう一度上げさせて、喜楽館1周年のごあいさつ。帰りしなロビーの売店で喜楽館1周年記念てぬぐいを買いました。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

トラキチ酒場せんべろ屋 7月15日

「負けたな」
「そやな逆転負けやな」
「うん。これで中日は阪神、DeNAの2位のにゲーム差やな」
「そやな。みっちゃんビールや」
「しかし、ジョンソンが連打されて2点も失うとはな」
「信じられへんけど現実や」
「2位がだんごになってつぶしあい」
「巨人が喜んどるだけやな」
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )

未来のミライ


監督 細田守
出演(声) 上白石萌歌、黒木華、星野源、宮崎美子、役所広司、福山雅治

 この映画はアニメである。ところが実写作品としてもいいぐらい豪華な配役。まったくもって、贅沢な声の出演陣である。
 一人っ子で両親の愛情をひとりじめしていた子に、下の子ができた。生まれてすぐの下の子にお母さんやお父さんはかかりっきりになる。上の子は下の子に両親の愛情を取られたと、嫉妬し、わがままをいい、なんとか親を自分に向けようとする。と、いう話である。それだけの話で、これだけみせる映像を創り上げる細田監督の手腕に敬服する。
 くんちゃんに妹ができた。「未来」と命名された。それからくんちゃんは機嫌が悪くなって、わがまま放題。そんなくんちゃんの前にセーラー服をきた女の子が現れた。くんちゃんより、ずっと年上のはずなのに、彼女はくんちゃんのことを「お兄ちゃん」と呼ぶ。それから、くんちゃんの時空を超える冒険が始る。いろんな人と出会う。そしてくんちゃんは成長していく。
 くんちゃんのいうこと聞かないわがままぶりが、少しひどかった。このおとうさん優しすぎ。小生なら何度か手が出ていたかもしれない。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

自家製なま節


 なまり節です。ここ関西ではなま節といいます。上方落語の「胴乱の幸助」で、割り木屋のおやっさんが犬のケンカを仲裁する時、煮売り屋でなま節買うて来て双方の犬に食べさせます。「ワンワンワン」「ワシをだれか知ってるか」
「ワンワンワン。割り木屋のおやっさんでんな。ワンワン」「もうケンカすんなよ」「ワンワンワン」
 実は、私、子供のころなま節がきらいでした。ぱさぱさしておいしくなかったです。それが今回、自分でなま節を作ってみて認識を新たにしました。ものすごくおいしいです。
 作り方はいたって簡単です。カツオの刺身をサクで買ってきます。それを蒸すだけです。蒸し器は和風のアルマイトのモノより、竹製の中華蒸篭が適度に蒸気が抜けるのでいいです。強火で10分ほど蒸せばいいでしょう。完全にさまして、ラップで包んで冷蔵庫でしばらく冷します。
 薄く切って、大根おろしとポン酢でいただきます。ん。こりゃ、お酒がなければおさまりません。大黒正宗を雪冷えにして添えました。
 たまりませんなあ。なま節は自家製にかぎります。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

中華おこげのあんかけ


 中華おこげのあんかけです。ご飯を電子レンジでチンして、それをほんとは油で揚げればいいのですが、わたくし、健康診断で中性脂肪が高いことが判明して、医者に揚げ物はできるだけひかえなさい。と、いわれております。ですから、電子レンジ(ウチのはパナソニックのビストロです)の揚げ物機能で加熱しました。もう少し焦げ目がつけばいいのですが、けっこうパリッとできました。
 ご飯の処理はビストロくんに任せて、わたくしはあんを作ります。野菜は、にんじん、ピーマン、干し椎茸、キャベツ、長ネギ、きぬさやです。野菜をたっぷり食べましょう。あと、動物性タンパク質は海鮮モノにしました。イカとエビです。まずスープを作ります。エビの殻を使いましょう。エビの殻を捨ててませんか。もったいないです。エビの殻を空炒りします。香りが立ってきたら水を入れて殻を煮ます。おいしいスープができますよ。
 イカは短冊に切って熱いスープにさっとくぐらせます。イカは加熱しすぎると硬くなりますよ。スープにイカの旨みもプラスできます。
 野菜を炒めます。にんじん、ピーマンなど火の通りにくいモノから鍋に入れていきましょう。イカとエビも参戦してスープを注ぎます。調味料は醬油、酒、オイスターソースです。水溶き片栗粉でとろみをつけて、お皿にもってあるおこげにかければできあがりです。
  
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

キャプテン糸原の肉厚ステーキ重弁当


 7月12日。きょうはワシの誕生日や。いくつになったかはヒミツ。ただ、生まれてから今までと、今から死ぬまでの時間を比べると、今から死ぬまでの時間の方がううんと少ない。残り時間は有限や。だから無為に過ごす時間はないはずなのやけど、つい、安易に楽に過ごして、あとで後悔のホゾを噛んで悔やむのである。トシはとってもいっこも進歩せえへん。まったくもって困ったもんや。
 誕生日は3食とも家人がワシのリクエストで好物を作ってくれる。特に弁当は阪神タイガースの主力選手にちなんだ弁当や。去年一昨年糸井弁当やったけど、今年はキャプテン糸原の肉厚ステーキ重弁当や。
 前半戦も終わり、15日から後半戦や。わが阪神タイガースは2位でおりかえしたけど、巨人が独走状態やな。あの弱い阪神が2位やねんから、あとのDeNA,中日、広島、ヤクルトは想像を絶する弱さちゅうこった。
 近本の弁当はまだないけど、来年は近本弁当はあるやろ。近本は淡路島出身。淡路の名産品はなんといっても玉ネギ。ようし、来年のワシの誕生日の弁当は近本の玉ネギ弁当や。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )

7月のもとまち寄席恋雅亭


 某所からゴーフルをいただきました。3時のおやつに食べました。おいしいです。もとまち寄席の会場は元町の風月堂の地下です。なかなかけっこうな会場です。風月堂に栄光あれ。
 さて、7月のもとまち寄席恋雅亭です。開口一番は6代桂文枝門下の桂三語さんです。いろんな所で落語をやらはるのですが、いろんなお客がおるそうです。客席、それも三列目ぐらいの席から、双眼鏡で演者を見るお客がいたそうです。また、鶏のから揚げをむしゃむしゃ食べながら落語を聞く客とか。にいちゃん食べるかと、話しかけられたそうです。生の落語会に行くと、高座で仕事中の落語家に話しかけるお客が時々おります。
 三語さんは「二人くせ」をやらはった。「つまらん」「いっぱい飲める」が口ぐせの二人。くせをいったら1000円。前座でよく演じられる噺です。
 2番めは桂ちょうばさん。閻魔のお裁きがまくらです。100歳でちょうばさんは亡くなるそうです。閻魔さんの手元のちょうばさんの資料。65歳で上方落語協会会長、70歳で人間国宝ですって。だとしたら桂ちょうばではなく、3代目桂ざこば、いや、ひょっとすると4代目桂米朝になっているかも知れません。
演じはったのは「皿屋敷」です。幽霊のお菊が大人気。秋元廉左衛門という目先の聞く人が興業もんにしてお菊さんはアイドル。安藤忠之丞という人に建物を造ってもろたけど、デザインはかっこええけど住みにくい。ちょうばさん、なんか故桂吉朝師匠に雰囲気が似てきました。
 3番目は笑福亭鶴二さん。「そこつ長屋」です。オーソドックスな「そこつ長屋」ですが、鶴二さんのキャラ演出で大いに笑わさせてもらいました。演目のタイトルに「長屋」がついてますが、この噺、いわゆる長屋噺ではなく、たいへんに不条理な噺です。向こうで人だかり。行き倒れです。顔を見ます。「ワッ、クマや」
「知り合いか」「ワシの隣の男や」「だったら親兄弟にしらせてやれ」「いや、クマは天涯孤独や。本人に引き取らせる」「え、初めて死んだからわからんのやろな」という噺です。
 中トリは桂小枝師匠です。羽織の脱ぎ方3種を披露してくださいました。まず、普通の脱ぎ方。それから、ちょっと肩をだしてシュと一気に脱ぐ先代春團治風のかっこええ脱ぎ方。そして小枝式羽織の脱ぎ方。これは大爆笑です。どんな脱ぎ方かはここではいいません。知りたければこんど小枝師匠が出る落語会に行ってください。
演目は「小倉船」です。旅ネタです。海の旅です。途中で主人公が海にお金を落とします。ギヤマンの容器に入って海の底に。海洋冒険落語です。海底2万哩か原子力潜水艦シービュー号かという噺です。ニセ浦島になって竜宮城に行きます。タイやヒラメの舞い踊り。ここで小枝師匠は扇子を使って、鮮やかな手技を披露。さすが南京玉すだれの達人小枝師匠です。
中入り後の最初は月亭遊方師匠。「戦え、サンダーマン」という創作落語です。兵庫県三田市出身のサンダーマンというスーパーヒーローが、とある遊園地でスーパーヒーローショウをやってます。そこのステージに子供を人質にとった凶悪強盗犯がたてこもります。人質の子供はサンダーマンが助けてくれると思ってます。警察やスーパーヒーローの相手悪の秘密結社の怪人どもが大さわぎのドタバタを繰り広げます。先月もそうでしたが、トリ前はこういう派手な噺を派手な落語家さんがやることが多いです。
 さて、トリです。桂福團治師匠です。「しんどおまんな。こう半世紀もこんなことやってまんねんで。商売道具はこの扇子一本だけや。今はからだの支えですけど」といういつものまくらから「南京屋政談」をやらはった。福團治師匠お得意の人情噺です。
 道楽がすぎて親だんさんから勘当された若ぼん。叔父さんのとこでやっかいになります。この叔父さんに与えられた仕事が、南京かぼちゃの行商。おうこ天秤棒をかたげて南京かぼちゃを売りに行きます。ぜんぶ売らな帰ってくるなと叔父さんに厳命されてます。なんやかんやあって、この若ぼん、心を入れ替えて真面目に働きます。勘当がとけましたが、家には帰らず南京売りは続けます。やがて、大きな青もの問屋となりました。さすが福團治師匠、じっくり聞かせられました。

 星群の会ホームページ連載の「SFマガジン思い出帳」が更新されました。どうぞご覧になってください。
 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ