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とつぜんSFノート 第20回

 昔、40年ほど昔。チャチャヤングが終わり、創作研究会が設立されてまもないころ、つまりSFファンダムに首をつっこみ始めた頃、小生は神戸の食品会社に勤めていた。昆布食品の会社だ。今の会社に就職する以前も、S昆布で働いていたが、そのころはO昆布という、業種職種は同じだが違う会社であった。
 昼間、O昆布でとろろ昆布の酢の匂いにまみれながら、文章の勉強をしたくて夜間、大阪文学学校に通っていた。ところがこの学校、当時の大阪総評の息のかかった学校で、いわゆる「働く労働者のためのブンガク」だった。書くための「内的必然性」などという人が多かった。文学学校の仲間とは仲良かったが、SF者たる小生とは「文を書く」ということに対する考え方がまったく違う人たちであった。学校終了後も同人誌を作って例会を開いていたが、だんだんと例会に行かなくなり、彼らとは離れた。
 当時、O昆布では小生は、とろろ昆布の製造、キャラ蕗の佃煮の下処理の仕事をしていた。
 塩漬けの蕗を水洗いするのだが、蕗のアクで爪の間が黒くなる。身体は酢の匂いがプンプン。イヤでイヤでしかたがなかった。水洗いの手を止めて、窓から外を見ると青い空が見える。ワシかならずこんなコブ屋から抜け出すぞ。いつまでもこんなコブ屋にいるものか。そればかり考えていた。
 文章を書く仕事がしたい。クリエイティブな仕事がしたい。モノを創る仕事がしたい。そういうことも考えて、文学学校に行ったのだが、この学校は上記のような性質の学校で、役には立たなかった。
 コブ屋を出て、青空を飛翔するには翼が要る。文学学校では翼は得られなかった。そんな時、コピーライターという職業があるのを思い出した。確か、眉村さんが、耐火煉瓦の会社を退職して、フルタイムの作家になるまで、嘱託のコピーライターをしていた。だから、文を書く仕事であるということ知っていた。
 創作研究会の仲間は、やっぱり小生と同類と見えて、同じようなことを考えるらしい。原戸丈二がコピーライターの養成所に行くと、いっているのを聞いた。興味を持って資料を取り寄せた。ある意味、文学学校とは対極にある学校だった。コピーライターの養成所はビジネススクールだ。コピーの書き方を教えてくれるが、ビジネスとしての文章の書き方だった。ブンガクでは決してない。コピーを習うことにした。
 小生が行っていたコピーライターの養成所は、久保田宣伝研究所コピーライター養成所といった。久保田宣伝研究所、今では「宣伝会議」という社名になっている。教室は大阪市北区の大融寺から東に少し行った、電子会館にあった。ちなみに、小生の記憶に間違いがなければ、ここからさらに少し東に行くと、筒井康隆さんのヌルスタジオがあり、その近くに眉村卓さんが勤務していた大阪耐火窯業があったはずだ。
 教室は最初の1年は大きな教室での講義。100人ぐらいの同級生がいた。週1回の講義である。講師は、コピーライター、デザイナー、プランナー、広告会社の経営者、大学のマーケティングの先生など。広告宣伝に関係する人たちがひと通り講義に来ていた。
 毎回必ず宿題が出た。もちろんコピー作成の宿題である。小生は、もちろん毎回提出していた。この教室は小生のように自費で通っている生徒が多かったが、中には会社の費用で研修代わりに来ている人たちもいた。会社の経費できている者と、自腹を切って来ている者、後者の方が熱心な人が多かったように思う。小生は必死だった。なんとかコブ屋から脱出して、コピーライターとして食べて行けるようになりたかった。
 必死で広告の勉強をし、コピー作成の修練をした。新聞や雑誌の広告を切り抜き、コピーを書き写した。資生堂のPR誌「花椿」や雑誌「流行通信」が、斬新なデザインでコピーも良いモノが掲載されていた。この2誌の広告も筆写した。それ以外に「anan」「non-no」そしてもちろん「宣伝会議」「ブレーン」は定期購読していた。コピーライター養成講座に通うようになって、O昆布をたびたび休むようになった。このころ、小生は実家を出て、アパートで一人暮らしを始めていた。コブ屋を休みアパートの自室で、こうした広告の勉強をしていた。
 成績は良かった。宿題で提出した作品は、評価され、毎回優秀賞や佳作が発表される。雑誌「宣伝会議」でも、その結果が掲載される。小生はたいてい名前が掲載された。小生の作品は優秀賞や佳作によく選ばれた。
 小生の教室は大阪校だった。あと東京にも教室があった。東京校の優秀者の名前も宣伝会議に載る。小生と同時期、小生と同じぐらいか、小生以上にたびたび、というか毎回、名前が載る東京校の生徒がいた。意識した。こいつに負けてたまるかと思った。だが、小生は時々選からもれる。若干小生の方がそいつに負けていた。そいつの名前は糸井重里といった。小生は意識していたが、糸井さんは小生のことを意識していたのかどうかは判らない。ただ、同じ時期に毎月のように宣伝会議に名前が並んで載っていたのだから知っていると思われる。SF作家なら接触する機会もあるが、糸井重里とは接触する機会はないから、確かめようはない。
 1年が経った。終了時、小生は最優秀賞をもらった。東京校の最優秀賞はもちろん糸井だった。その後糸井はコピーライターとして売り出し、その後の活躍はご存知の通り。その後の小生はどうなったか。こうなったのである

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忍者武芸帳 影丸伝

 
  白土三平                     小学館

 子供ころ読んだ。ものすごく久しぶりに読む。かすかに記憶に残っている。その残ったかすかな記憶は、面白かったという記憶だ。何がどう面白かったのかは忘れている。
 大人になって、このたび読んだわけだが、ものすごく面白かった。電車で読んでいて降りるのを忘れたぐらいだ。まず、絵が良い。後年の白土漫画の絵、日本画のような精密な絵ではない、荒っぽい絵である。この荒っぽい絵が異様な迫力を生み出している。ストーリーもいくつのもストーリーが有機的にからみあった、雄渾なストーリーである。
 時は戦国。物語の発端は単純な仇討ち。結城重太郎は父の仇坂上主膳を狙う。主膳は城主の父を殺し城を乗っ取った。新城主主膳の圧政に耐えかねて領民が一揆を起こし、城は焼け落ちる。領民を指導したのは陰の流れの忍者影丸。
 この重太郎の仇討ち物語が、この壮大なドラマの一本の軸糸となる。そして、それを包括する巨大な流れが、織田信長という覇王と、自由を求める虐げられし民衆の戦い。影丸はゲバラのごとき革命家。神出鬼没。縦横無尽。変幻自在。機知機略。機動力抜群の馬借隊を率いて百姓たちの先頭に立ち、戦闘のプロたる武士をこてんぱんにやっつける。痛快である。武力を持っているが、自分ではなにも生産しない武士階級を、武力はないが生産にたずさわる労働者たる百姓たちが撃破し、百姓の自治区を作る。本作は革命の書である。歴史がどうなるかはご承知の通り。影丸もゲバラと同じ運命をたどるのか。
 この信長VS影丸率いる革命軍の戦いに、謎の剣客、怪僧、美女、超人、実在の人物、架空の人物が入り乱れて、歴史絵巻を展開する。
 黒澤明が実写で映画化していたのなら、素晴らしいものになっていただろう。
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まゆみのチャチャチャ

おもちゃのチャチャチャのメロディで

♪まゆみのチャチャチャ
まゆみのチャチャチャ
チャチャチャ
まゆみのチャチャチャ
塁にうろうろランナーが
みんなタイムリー待っている時
バッター、内野ゴロ打ってしまって
ダブルプレーだチャチャチャ

まゆみのチャチャチャ
まゆみのチャチャチャ
チャチャチャ
まゆみのチャチャチャ


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大河ドラマ目当てにムダ金使うな

 来年のNHK大河ドラマは「平清盛」だとか。日曜の夜はDVDで映画を観ることにしているので、小生は大河ドラマなんぞは観ないが、清盛を主人公にすることは賛成だ。源義経、悲劇のヒーロー、平清盛、悪の独裁者というイメージをたいていの日本人は持っているのではないだろうか。ところが、清盛は大和田泊を整備し、福原に遷都して、今の神戸発展の基礎を作った、神戸にとっては大恩人なのだ。この番組を機に平清盛のイメージが好転すれば、小生も神戸人としてこんなうれしいことはない。
 神戸市内には清盛ゆかりの場所もある。この大河ドラマをきっかけに、神戸に観光客が増えると見込んで、兵庫県や神戸市が獲らぬ狸のそろばんを弾いているようだ。神戸に観光客が増えて、神戸が潤うのは大変に結構なことだ。きっかけはどうあれ、来神者を増やす算段は怠りなく行うべきだ。
 これに関連して「歴史館」なる箱モノを作ろうという計画がある。場所は、地下鉄海岸線中央市場前駅近くの中央卸売市場西側跡地。場所としてはいい場所だ。新しい中央卸売市場が高松線の南側に出来て、西側は空き地となっている。この場所は清盛塚にも近く、清盛公の遺徳をしのぶ場所としては最適だろう。だが、小生はかような施設を造ることは反対である。タダで出来るのならいい。どんどん歴史館でもなんでも造るがいい。そういうわけにはいかないだろう。少なからぬ税金が使われるのだろう。小生も神戸市民だから、それなりに住民税は払っているのだ。
 確かに、くだんのドラマを放送中はそこそこ客も入るだろう。ドラマが終って何年もしたらどうだろうか。来館者は大幅減、閑古鳥が鳴いて、大赤字が膨らむばかり。その赤字は小生たち市民の負担となるのだ。
 神戸はあか抜けた都会だ。NHKの大河ドラマをあてにするような泥臭い集客策は神戸に似合わない。大河ドラマごときに頼らなくとも、神戸独自の魅力をアピールすればいい。神戸は充分に魅力的な都市なのだから。
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阪神、初物ピッチャー福井を5回でKO

 阪神は初物ピッチャーに弱いつうけど、今日の広島先発は初対戦の新人福井。その福井から4点取って、5回にマウンドから引きずり下ろす。その後、広島守備がミス連発。あんなミスやっとうようじゃAクラスには上がれんな。
 7対3とスタンリッジ完投ペースやったけど、9回は榎田、その榎田もフォアボールとヒット打たれる。最後は藤川。その藤川もタイムリー打たれるもセーブを稼ぐ。
 マートンがようなったにの続いてブラゼルの調子が上がってきた。そのかわり新井がぜんぜんあかん。でも、ま、勝ったからええか。これでまた3位浮上。しかし、巨人も広島もミス多いな。阪神は少なくともあんなミスはせえへん。借金返済も近いんとちゃうか。
 それにしても、なんでスタンリッジを完投させへんねやろ。4点差やろ、榎田をムダに投げさすことあらへんやんか。 
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ホルテンさんのはじめての冒険


監督 ベント・ハマー
出演 ボード・オーヴェ、ギタ・ナービュ、ビョルン・フローバルグ

 ベント・ハマー監督のじいさん映画。「キッチン・ストーリー」で、なんとも妙なおかしみのあるじいさんを描いていたから、今回もそのあたりを期待して観た。失敗であった。確かにおかしなじいさんは出てきたが、なんとも散漫で何がいいたいのか良く判らん映画だった。
 ホルテンさんはベテランの電車の運転士。67歳。これまで実直に勤めてきた。ほどなく定年である。
 ところがホルテンさん、最後の勤務に遅刻。乗務すべき電車に乗り遅れる。そこから、なんだか、ホルテンさん、少しづつズレていく。道路に横たわっている、自称元外交官のじいさんと友だちになる。空港へヨットを買ってくれるという人に会いに行く。飛行機の誘導路でタバコを吸っていて叱られる。プールで裸で泳ぐ。などなど、もひとつ脈略のないシーンが続き、観ている方としては、頭の上に?をいっぱいだしたまま映画は終る。シナリオが未整理のまま撮影して、そのまま公開したのではないか。 
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ちりめん山椒


 山椒の実がたくさん出回っている。これで、ちりめん山椒を作ろう。まず、山椒の実の佃煮を作ろう。これが大変。実1つ1つから小枝を取る、指でつまんで取るのだが、実にめんどくさい作業なり。シマリスやハツカネズミの友だちがいれば、手伝ってもらうがいい。小さなお手手で器用に取ってくれるだろう。クマやカンガルーも前足を使うが、彼らの前足ではこの作業はムリ。
 さて、がんばって山椒の実の処理が終ったら、一晩水に漬けてアクを抜く。さあ、明日になった。水洗いして10分ほどゆでる。いったん湯を捨て、あとは実が軟らかくなるまでゆでる。指でつまんでつぶれるぐらいまでゆでる。ゆでたらザルに揚げて、よく水切りをする。あと、醤油で煮る。これで山椒の実の佃煮はOK。
 ちりめんじゃこを湯通ししてザルに取る。水で軟らかくなるまで煮る。2、3分したら、酒、砂糖、醤油、味醂の調味料と、実山椒の佃煮を加えて水分が無くなるまで煮ればできあがり。
 飯の友にピッタリ。ウチではこの時期の常備菜として、いつも冷蔵庫にある。実山椒の処理さえして冷凍しておけば、なくなればちりめんじゃこさえ買い足せば、いつでもできる。実に飯の友として便利である。ちりめんじゃこは釜揚げの軟らかいモノではなく、固いものを使おう。
 この時期、ビールを飲む時は、おかずはビールのアテに食べてしまい、シメの飯のおかずは、このちりめん山椒だ。
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阪神、3連勝ならず。ちょっとだけ後退

 原さんもムズあほではないとみえて、ここまでずっとやられとる能見を研究してきたと見える。その研究の成果か、能見、5回被安打6失点3。ま、打線が機能しとったら、先発ピッチャーとしたらまずまずやけど、その打線がきょうはあかんかった。澤村のとりすました男前顔を打ちくだきたかったけどあかんかったな。けどな、金本にしても林にしてもええ当たりやったんやけどな。たまたま球が飛んだ先に巨人の野手がおっただけや。
 このまま巨人に完封されるかなと思とったら、バラバラバラとかゆうよう知らんでかい外国人ピッチャーが出てきて2点くれよった。原さんあわてて山口に交代。新井良太がホームラン打てばサヨナラ勝ちやったけどあかんかった。期待させおってからに、初めっから山口だしときゃええもんを。結局、岡崎のバント失敗があかんかったんちゃうか。あそこで塁を進めときゃどうなったか判らんぞ。
 負けたけど、収穫があったで。榎田を休ませられた。川崎が左の中継ぎとして使えそう。榎田の負担が減る。久保田があかんことが判ったこと、おもろかったんは、久保田VS小笠原のあかんもん対決。小笠原の方があかんかった。
 これでまた巨人3位。ヤクルト、中日も負けとうし、セリーグがおもろなるやんか。
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ピーター・フォークが亡くなった

ピーター・フォークが亡くなった。83歳。認知症を患っていたとのことだが、天寿だろう。
 ピーター・フォークといえば「刑事コロンボ」小生も好きでよく観た。全作観たはずだ。一見さえないおっさんが、外見からは想像できない鋭い推理力を発揮して、犯人を追い詰めるというパターンは、横溝正史の金田一耕介の例もあるが、やっぱりこのパターンの探偵を人口に膾炙させたのは、フォーク演じるコロンボだろう。
 このシリーズ、最初から犯人が判っている倒叙型ドラマ。これは犯人役が、パトリック・マッグーハン(フリズナー№6)、ロバート・ボーン(ナポレオン・ソロ)、レオナード・ニモイ(スタートレック)といった著名な俳優たちが演じるため、ああ、こいつが犯人やとすぐ判ってしまうためだそうだ。
 犯人は上流階級の名士。犯人の豪華な邸宅に、ボロボロのプジョーで乗り付けて、葉巻の灰をまき散らしながら、なれなれしく話しかける。5分だけといって、帰ろうとするが、ああそれからもう1つだけ、と、しつこくくいさがる。
食い物があるとつまみ食いする。犯行現場の食い物をつまみ食いする刑事がどこにおる。いちどジェフリー・ディーバーのリンカーン・ライムとコロンボを共演させたかった。ライムがノイローゼになるだろう。
 日本でのコロンボの人気を高めたのは、吹き替えやっていた小池朝雄の力が大きいだろう。「よござんすね」などという下町言葉をコロンボにしゃべらせたのは小池の声の演技力の賜物だろう。小池さんが亡くなった後、石田太郎など何人かの声優が、小池版コロンボのイメージを継承してやっていたが、やっぱりコロンボの声は小池朝雄でないとだめだ。
 どの作品も水準以上のできだが、小生が一番すきなのは「別れのワイン」ピーター・フォーク、ドナルド・プリゼンス、二人の名優がお互いを敬意を払いつつ演じているのがよく判る。
 ピーター・フォーク氏のご冥福をお祈りする。小池朝雄さんも先に鬼籍に入られているから、彼岸で新しいコロンボが観られるかも。
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しそジュース


 今の時期、野菜売り場では、梅と赤じその葉が盛んに出ていますね。梅干しを漬ける季節です。この赤じその葉でおいしいジュースができます。
 沸騰したお湯で、水洗いした赤じその葉を10分間煮ます。火を止め、クエン酸を入れて、よく溶かして汁をこします。
 砂糖を入れて、もう一度火にかけます。アクを取りながら、さっと煮れば出来上がりです。水で薄めてよく冷して飲みます。
 どうです。きれいな赤でしょう。赤ジソの葉と、クエン酸、砂糖以外は何も使ってません。自然な色です。うっとうしい梅雨の季節に飲むにはちょうど良い、爽やかな飲み物です。邪気払いにもなるでしょう。
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阪神連勝、3位に浮上。巨人の守備に喝や

 巨人はどないしたんや。なんかあったんか。ミスばっかりやんか。きのうも書いたけど、大量得点が望めない今年、ミスしたら負ける。巨人のお歴々、昨晩芦屋のホテル竹園で反省会せんかったんか。阪神ファンのワシは、巨人相手に優勝争いしたいんや。中日やヤクルト相手に優勝争いしとうない。しっかりせえや巨人の守備。喝や。打線も小笠原、阿部がぜんぜんあかんし。ま、阪神の調子が上がってきたちゅうことか。内海の連勝を止めたし。ダルビッシュの記録を止めた阪神打線やから、内海も止められるわな。
 今日の阪神打線、1点づつ点を取って、巨人の首を真綿で絞める。連打あり、ピッチャー、メッセンジャーのタイムリーあり、ブラゼルの久々のホームランあり、相手のチョンボありと、4点取る。
 メッセンジャーは6回まで。あとは勝利の方程式になりつつある、榎田→小林宏→藤川。榎田イニングまたぎ。酷使が心配や。榎田に負担をかけないように久保田の復活をのぞむ。
 これで3位に浮上。巨人さんついといでや。
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とつぜん対談 第29回 パレットとの対談

 えーと、このあたりにおられるはずですが。ここは倒産した運送会社の駐車場だった所です。草ぼうぼうです。あたりにはセイタカアワダチソウがいっぱい生えてます。
 廃車になったトラックが2台放置されています。タイヤは外され、ホイールで地面に座っております。ボンネットは開けっ放しで、バッテリーなどめぼしいモノは抜き取られ、錆びたエンジンだけがエンジンルームに転がっています。
 あ、ここにおられました。トラックの陰に隠れて見えなかったのです。パレットさんです。かっては縁の下の力持ちとして、日本の物流を担った方です。

雫石
 こんにちは。パレットさん。

パレット
 ・・・・・・・。

雫石
 あれ、動かない。死んでるのかな。もしもし。

パレット
 ううう。

雫石
 あ、生きてる。良かった良かった。

パレット
 あ~あ、よく寝た。起こしたのはあんたか。

雫石
 はい。お休みのところを、申しわけありません。

パレット
 で、なんの用かな。

雫石
 ちょっと、お話しをうかがいたいのです。

パレット
 こんなうち捨てられたパレットに何を聞きたい。

雫石
 お仕事はもうしてないのです。

パレット
 あんたバカか。見りゃ判るだろ。こんな朽ちたパレットになにができる。

雫石
 すみません。でも、パレットさんは若い頃は日本の物流の第1線で活躍されてたのでしょう。

パレット
 活躍ちゅうほどのことはワシはしとらん。

雫石
 でも、荷物を背負って日本中を駆け巡ったんでしょう。

パレット
 ワシはただの木の枠じゃ。トラックに積み下ろしするのはフォークリフトだ。走るのはトラックだ。

雫石
 いやいや、あなたがいたから物流がスムースに行ったのです。

パレット
 そんなもんかいのう。ワシは荷物を乗っけとっただけなんじゃが。

雫石
 どんなモノを運びました。

パレット
 なんでも運んだな。食品から電気器具から、石材から鉄鋼製品と、選り好みしなかったぞ。ワシは。

雫石
 パレットが荷物の選り好みできるのですか。

パレット
 荷物がパレットの選り好みするんじゃ。密閉されていない食品の場合、ワシみたいな木のパレットは嫌がるんじゃ。木屑が混入するおそれがあるからな。

雫石
 そんな荷物はどんなパレットを使うんですか。

パレット
 プラスチックのパレットじゃ。

雫石
 なんか変ったモノを運んだことがありますか。

パレット
 死体を運んだとか、金塊を運んだとかゆう答えを期待しとるんだろ。さっきいった普通のもんだ。ワシが運んどったのは。

雫石
 これからどうされます。

パレット
 なんにも。こんな半分壊れた木のパレット。焚き付けにもなりゃせんよ。


 
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セリーグ再開。まず巨人の出鼻をたたく

 飛ばないボールの影響で、1点を大事にせえへんチームは負ける。そのことを如実にあらわした試合やった。1点を大事にせえへん、つまりエラーした方が負けるんや。4回、岩田のサードゴロを巨人のサードライアルがエラー。岩田が塁に残る。そのあとマートンのタイムリーで逆転。あのライアルのエラーが勝負を決したな。
 金本久しぶりのスタメン。2安打2得点。元気いっぱいに走ったけど外野守備はあかんな。アニキにはやっぱり代打でがんばってもらおか。
 先発岩田は6回まで7安打2失点。ちょっと打たれたな。7回からは榎田、8回小林宏、9回藤川。いまんとこ、この継投が一番安心して見とれるな。
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お通夜の夜

「マスター、酒井は来たか」
「いえ、まだお見えになってません」
「そうか、ワシはちょっと買物してくるから、もしヤツが来たら、ここで待てといってくれ」
「はい」
 江波はドアを開けて半身だけ店内に入れて、それだけをいうとバタバタと出て行った。
 午後7時。店を開けてすぐの時間。ここ海神で待ち合わせをしているらしい。江波が喪服を着ていたところを見ると、不祝儀事らしい。夜だから通夜だろう。
「こんばんは」
 江波と入れ替わるように初老の男が入ってきた。江波と同年輩だ。喪服は着ていない。
「鏑木さん、酒井と江波は来たあ?」
「酒井さんはまだお見えになってません。江波さんはついさっき来られましたが、すぐ出て行きました」
「おれ、服着替えてくるわ。二人が来たらここで待たせといて」
 幸長も江波と同じように、あわてて出て行った。他の客はまだ一人も来ていない。マスターの鏑木が一人でグラスを磨いている。酒井、江波、幸長の三人は海神で待ち合わせて通夜に行くのだろう。
「酒井は来たか?」
 江波が帰ってきた。
「酒井さんはまだですが幸長さんが着ましたよ」
「で、幸長はどうした」
「着替えに帰ってます」
「段取りの悪いヤツだなあ」
 江波はカウンターに座りかけた。
「あいつの家はここから15分ほどだ。往復30分。酒井もまだ来てないし、ワシ、また買い物に行ってくるわ。この数珠古いねん、新しい数珠買うてくる。30分以内に帰って来る」
 江波が再び海神を出て、10分ほどで幸長が来た。
「あれ、江波は?」
「数珠を買いに行かれました」
「落ち着きのないやっちゃな」
「もうお宅まで帰られたのですか」
「電話して女房に車で喪服持ってきてもろた。着替えるから奥貨して」
「どうぞ」
 幸長は喪服を持って、海神の奥に行った。午後8時をまわっている。客がぽつぽつ入り始めた。
 江波が帰ってきた。
「数珠、気にいたのがないから買うのやめた。酒井は」
「まだです。幸長さんは今、奥で着替えてます」
 幸長が喪服を着て店に出てきた。
「お、江波、やっと会えたな」 
 幸長、江波の隣に座る。
「酒井はどうしたんやろ。遅いな」
「そのうち来るやろ。ちょっと1杯だけやっとくか」
「そやな。鏑木さん、水割り。ワシのボトルがちょっとだけ残ったやろ」
 二人は軽くグラスを合わせて飲んだ。
「酒井のやつ遅いな」
 江波のボトルが空になった。
「マスター、おれのボトルは」
 鏑木が幸長のボトルを出した。ほとんど空だった。
「ところで、マスター、最近、酒井はここへ来るか?」
「いえ。お見えになってません」
「お前は合ったか」
「いや。お前が今日のこと電話したのと違うのか」
「いや、電話じゃない。メールを打ったんだ」
「返信は?」
「来てない」
「ところで、今夜はだれのお通夜だったかな」
「もう一杯飲んで、二人で先に行こうか」
「そやな。酒井のボトルを飲もう。お待たせ代や」
 カラン。入り口のカウベルが鳴った。初老の男が入ってきた。
   
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SFマガジン2011年7月号


SFマガジン2011年7月号 №664       早川書房

 今号は特集「伊藤計劃以後」ということ。読み切り短編は、木本雅彦の「『僕の物語』における『の』の物語」の一編だけ。この作品は、いわば作家のくりごとを垂れ流しているだけで、はたしてこれが小説といえるのだろうか。と、いうわけで今月は「雫石鉄也ひとり人気カウンター」はなし。
 伊藤計劃は2009年3月に亡くなった。だから、それ以後というと、2010年代の日本SFはどうなる、という企画だ。
 伊藤計劃は確かに非常に優れたSF作家だった。しかし、惜しいことにわれわれに残してくれたオリジナル長編SFは「虐殺器官」と「ハーモニー」の2作のみ。この2編はゼロ年代を代表する日本SFの収穫である。それはまちがいない。しかし、この2編、今まで日本SFが走ってきた、走路の延長線上に位置する作品だろう。伊藤の出現が日本SFの走路を大きくカーブさせたとか、また、まったく新しい支線を作ったというのなら、「以後」という言葉も理解できる。普通の追悼企画でいいのではないか。だったら2009年7月号の追悼企画をもっと充実させるべきだった。
 伊藤計劃企画の一環として、「2010年代の日本SFに向かって」という企画。この中で3.11後のSF的想像力ということで、冲方丁、小川一水、長谷敏司の3氏がエッセイを書いていた。これは好企画。5月号のレビューで、鹿野司のエッセイを、わざわざSF専門誌に書くような記事じゃないと批判したが、そのあたりのことを、編集部はちゃんと考えていると見える。あれだけ大規模な災害に見舞われ、しかも壊れた原発から高濃度放射能が垂れ流されつづけるという、人類が経験したことのない事態が今も進行中なのだ。SF者として3.11以後を考えるのは大切なことだ。SFマガジンは小説をメインに扱う文芸誌だ。文芸誌といえども、こういうジャーナリスティックな視点を持つことも必要だろう。ただしあくまで文芸誌で小説がメインであることを忘れないように。
 連載評論《現代SF作家論シリーズ》第6回は石和義之のアーシュラ・K・ル・グィン論「氷原のアンティゴネ─『闇の左手』論」これは作家論でではない。たんなる「闇の左手」のワイド版レビューである。巽さん、ちゃんと監修してくださいよ。
 先号に続いて、第6回日本SF評論賞の発表。今回は選考委員特別賞。藤元登四郎『高い城の男』─ウクロニーと「易経」こちらはさすがにちゃんとした評論になっていた。ウクロニー(歴史改変)と易経を有機的に絡めたものとしてフィリップ・K・ディックの「高い城の男」を論じているのは面白かったのだが、ディックはこの作品で易経をコンピューター代わりに使ったと、この評論から読めないこともない。そのあたりのつっこみがもう少し鋭かったら良かった。
 
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