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とつぜんSFノート 第104回

 関西のSF界は上方落語とたいへん親和性が強い。お江戸のSF界はどうかな。不勉強にてよく知らないが、落語好きは横田順彌氏ぐらいではないだろうか。確か横田氏は法政大学落語研究会の出身だった。
 関西では落語好きのSF関係者が多い。小松左京氏は桂米朝師匠と終生変わらぬ親交を深めておられた。堀晃氏、かんべむさし氏、田中啓文氏たちも落語好きで落語への造詣もたいへんに深い。
 また、関西でSF関係の大きなイベントが行われる時には、上方の落語家が呼ばれて1席高座が設けられることが多い。
 1975年神戸で開催された第14回日本SF大会では、桂米朝師匠が「地獄八景亡者戯」を演じた。小生、この時、生まれて初めて米朝師匠の「地獄八景」を生で観た。
 1979年の第4回日本SFショーでは桂枝雀師匠、1985年神戸で開かれた第11回日本SFフェスティバルでは桂春輔師匠、1986年の第25回日本SF大会では桂吉朝師匠が高座を務めていた。
 最近は関西で日本SF大会は開かれていないが、もしDAICON8(だれか関西の元気のいいSFファンがやってくれないかな。小生、足痛、尿酸値高め、高血圧をおしてなんとか参加するぞ)が開催されるのなら、きっとその時の旬の上方落語家の高座を見られるであろう。今ならだれかな笑福亭たまさんあたりはどうかな。
 なぜ関西のSF界と上方落語は親和性が強いのか。これを理解するキーワードは「いちびり」ということではないか。「いちびり」関西弁である。ふざける、ちょうしにのる、といった意味だ。
 上方落語は元は大道芸であった。江戸落語はお座敷芸であるが、上方落語は、初代露の五郎兵衛とか米沢彦八といった芸人が道端に簡単な演台を設けて道行く人に、語りかけ投げ銭を得てた。江戸落語のようにお座敷に座っている人相手ではなく、道行く人の足を止め、耳を傾けさせ、投げ銭までしてもらおうというのである。ハデに陽気にやらなくてはならない。だから上方落語は見台ひざかくしを置き、ハリせん、小拍子を使って、パチパチと大きな音をたて、下座ではカネや笛三味線でハメモノが入るのである。ようするに上方落語はハデで陽気で濃い笑いをとるのである。これを演じる演者の上方の噺家自身も「いちびり」であることが必須条件である。
 SFもまた「いちびり」なジャンルの文芸ではないか。小生が考えるSFのキモは「センス・オブ・ワンダー」だ。「びっくり素敵」といえばいいだろうか。「びっくり」のないSFはSFとはいえないだろう。人をびっくりさせようと思えば、その人は「いちびり」でなければならない。冒頭にあげたSF作家諸氏は失礼ながら、みなさん「いちびり」である。
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トラキチ酒場せんべろ屋 8月30日


「お、きーこ、アグロガーデン行ったんか」
「行ったで」
「で、亀の子タワシあったか」
「あったで」
「そうか。阪神勝てまへんな」
「困ったもんやな。これで甲子園3連敗やな」
「そや。ヒットは打っとうねんで。ピッチャーもそこそこ投げとう」
「それでも勝てへんねんな」
「守備もファインプレーもすんねんでエラーもするけど」
「歯車が嚙み合わないんやな」
「ま、そのうち嚙み合うようになるやろ」
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破滅の王


上田早夕里  双葉社

 舞台は戦前の中国は上海それに満州。主人公は細菌学者。それにもう一人、日本大使館付陸軍武官補佐官の少佐。
 その細菌は細菌を食べて繁殖する菌。人に感染すれば大腸菌をエサにして増殖、被感染者は死ぬ。治療薬はない。上海自然科学研究所の宮本は日本総領事館に呼び出される。そこで灰塚少佐に引き合わされる。宮本は灰塚にある細菌に関する論文の精読を命じられる。
 それに書かれている細菌はR2v=キングと呼ばれる。人に感染し、パンデミックとなれば人類にとって大きな脅威となる。その論文は一部分だけ。全文を読まなければキングの全容は判らない。灰塚は宮本に治療薬の開発を命じる。
 キングはこのままでは兵器としては使えない。撒布すれば敵も味方も殺してしまう細菌は兵器ではない。敵だけを殺してこそ兵器となるのだ。
 帝国陸軍関東軍防疫給水部=石井部隊731部隊に関わった男が論文の執筆者らしい。この件を良く知る宮本の親友が謎の死をとげる。その親友の婚約者という不思議な女も宮本に接近してくる。
 石井四郎のような実在の人物、架空の人物が入り乱れて、R2vキングという究極の殺人細菌をめぐる壮大な物語。キングの治療薬を持つ。それは凶暴な虎に首輪をつけ飼いならして敵だけを食う虎にするということ。
 キングの開発者は人類に絶望した科学者。しかし、この小説の底を流れるのは科学に対する信頼と愛だ。主人公は作者の思想を具現化する存在。宮本はキングの治療薬は必ずできる。その信念は揺るがない。キングを兵器とするためではなく万が一感染者が出たときのためだ。主人公宮本は科学を信じる。それは作者上田早夕里が科学を善と見なしたいのであろう。科学への信頼がテーマの小説。それは優れたSFであるいえよう。上田早夕里という作家の存在を日本のSFもんとしてたいへんにうれしく思う。
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トラキチ酒場せんべろ屋 8月29日

「お、きーこ、亀の子タワシあったか
「うん、東急ハンズの台所用品売り場のぞいたけどなかったわ」
「なかなかないねんな」
「あした駒ヶ林のアグロガーデン行ってなかったらネットで買うわ」
「そうか。阪神きょうも勝てんな」
「そや、きょうもヒットの数はヤクルトより多いんやで」
「点取るのがむつかしいねんな」
「メッセンジャー見殺しで100勝目がフイやな」
「きょうの1番は糸原とちごうて2軍から上げたばかりの板山やったな」
「その板山ええ守備したな」
「すぐ2軍から上げてもらえる。上げたら、すぐ使ってくれる」
「金本監督のええとこやな」
「そや金本監督の悪口ばっかりゆうとるアホがおるけど、野球の常勝チームは2年や3年ですぐできん。もっと長い目で見たろやないけ」
「ワシもそう思うわ」
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チャチャヤング・ショートショートマガジン6号が出ました

 
 チャチャヤング・ショートショート・マガジンの第6号が出ました。もう6号になるんです。早いもんです。この人たちとは50年近いつきあいになるんです。執筆者は眉村卓さんがパーソナリティをやっていた深夜ラジオ「チャチャヤング」のショートショートコーナーの常連投稿者ばかりです。本当の意味での同人誌ですね。
 掲載作は次のとおりです。

街の風景       深田亨
機械の精神分析医   岡本俊弥
結婚案内       和田宜久
左甚五郎       和田宜久
親父のロボット    和田宜久
僕たちの劇場     和田宜久
街Ⅰ、街Ⅱ そのほか 柊たんぽぽ
退職者たち      大熊宏俊
クリスマスプレゼント 深田亨
コーラス       深田亨
腕買います      雫石鉄也

 この本はオンデマンド出版です。こちらで購入できます。 
 
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トラキチ酒場せんべろ屋 8月28日

「おもやん、ビールや。アテ、そやな、唐揚げや」
「ああ、ワシはチューハイがええな。レモンチューハイや。それとタコぶつ」
「久しぶりの甲子園やったけど勝てまへんな」
「そやな。ことしは甲子園での勝率は悪いな」
「しかし阪神はヤクルトよりヒットようけ打っとうねんで」
「ヒットはなんぼ打ってもホームに戻ってこんかったら野球は点入らへんのや」
「ま、チャンスに弱いちゅうこちゃ」
「岩貞も1回の山田に打たれた1点だけやで」
「岩貞、見殺しやな」
「ようけのピッチャー見殺しにするなあ」
「そや。メッセンジャーなんか慣れとるやろな」
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亀の子タワシを求めて

 小生、料理が趣味である。土日の3食は小生が腕をふるっている。料理はいろんなだんかいから楽しめる趣味だ。メニューを考える、食材を仕入れる、テーブルセッティング、調理、そして食べる。いずれも楽しいが、食べて、ごちそうさん、で、終わりではない。あとかたづけもしなければならない。料理はあとかたづけまでして完結である。なかにはあとかたづけはヨメさんまかせというアホもいるが、そんな料理男子は料理をする資格はない。
 料理のあとかたづけで特に気をつけなければいけないのがまな板と包丁である。小生のまな板はカヤの木のまな板。包丁は有次の包丁を愛用している。まな板はプラスチックではなく木だから雑菌がはびこりやすい。洗剤で洗った後熱湯をかける。包丁はステンレスでなく鋼だから錆びる。きちんと水分を取らなければいけない。
 料理のあとかたづけに欠かせないのがタワシ。亀の子タワシを愛用している。他のタワシも使ったことがあるが、毛が抜けたり、いろいろ不具合が。亀の子タワシはさすがにそんなことはない。ストックがなくなった。購入しなければならない。
 関西スーパー、ライフ、コープ神戸、コープリビング、ホームセンターコーナンなどの台所用品売り場をのぞいたが、いづれも亀の子タワシは売っていない。ネットでも買えるが送料の方が高くつきそう。もう少し探してみよう。
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メッセージ


監督 ドゥニ・ヴィルヌーブ
出演 エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー。フォレスト・ウィテカー

 出色のSF映画である。原作が、いまアメリカのSF界では旬の中国系SF作家テッド・チャンのネビュラ賞受賞作「あなたの人生の物語」そして監督が傑作「ブレードランナー2049」のドゥニ・ヴィルヌーブだから大いに期待して観た。期待通りであった。
SFのカテゴリーでいえばファースト・コンタクトテーマである。人類と異星人との最初の出会いを描くのがこのカテゴリーである。まったく異質な別の次元の存在ともいうべきモノといかにコミュニケーションをとるか。彼らはなにをいってるのか。彼らの存在は人類にとって益か害か。そして彼らは敵か友か。
ルイーズ・バンクスは言語学者。ある日大学に講義に行くと教室はガラガラ。どうしたんだ。なにがあったんだ。一人の学生がいう。「先生、ニュースを見てください」
 世界各地12ヶ所に謎の宇宙船が出現した。この冒頭部分の演出がうまい。謎の宇宙船は話題にはなるが、なかなかその映像が画面に出てこない。ええかげんじらしたところで、バーンと宇宙船が画面に出てくる。この宇宙船の造形がいい。いわゆる円盤ではなく、縦に長い楕円形。まるでマグリットの「ピレネーの城」を思わせる。
 ルイーズが軍の依頼で、宇宙船の中のエイリアンと接触する。彼らはなにをいってるのか聞き出して欲しいという。もちろんルイーズが言語学者であるがエイリアン語などは判らない。彼らが表示する仙厓が落書きしたような「言語」を研究しなんとか解釈する。
 ルイーズはときおり「想い出」を見る。「娘」の「想い出」だ。「娘」は病死する。
 エイリアンは姿を現す。それはまるで明石名産の干しタコのよう。しかし、これが本当に彼らの姿かどうかはわからぬ。相手の地球人がエイリアンと接触した時理解しやすいように、あえてウェルズ型のエイリアンの姿を表示しただけかもしれぬ。
 宇宙は太古の昔ビッグバンして膨張している。光の速度を超えるものはない。この世は縦横高さの3次元で出来ている。4次元目として「時間」がある。「時間」は過去から未来に流れている。このようなことは果たして本当だろうか。宇宙の成り立ち構造この世の基本的な原理。これらは全て人間が考えたもの。ニュートン、アインシュタイン、ホーキングなどといったエライ人たちが考え出したモノだろう。しかしかような人たちもしょせんはホモ・サピエンス。宇宙はほんとはわれわれが想像もつかないモノかもしれない。そのような世界からやってきたエイリアンとのコミュニケーションに成功したルイーズ。彼女の人生になにがあるのか?原作の題名「あなたの人生の物語」のあなたとはルイーズ一人のことではない。この地球に生息する70億人のホモ・サピエンスひとりひとりの物語である。原作を再読しよう。 
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西宮八園虎日記 8月26日

「こんばんは」
「甚兵衛さん、こんばんは」
「阪神、勝ちましたな。玄白さん」
「そうですな。わたしは負けたと思ってました」
「わたしもです」
「きょうの阪神の勝因は澤村と藤川の違いですな」
「そうですな。ボコボコに打たれた澤村ときっちり3人でおさえた藤川の違いですな」
「巨人の岡本、4番打者に成長しましたな」
「阪神は4番がおらへんからロサリオを引っ張って来たけどぜんぜんあかん」
「今の4番の糸井もどうも、また骨折っぽい。困りましたな」
「生え抜きで育てたらええんとちゃいますか。巨人にできることやから阪神にもできるでしょう」
「金本監督は大山を育てたいようですな」
「うん。金本監督には、ここはじっくりと大山を育ててもらいたいもんですな」
「金本監督のえこひいきやゆうてるのがおるけど、目をかけると、えこひいきの違いがわからんご仁がおるな」
「ま、ここはわたしらファンは長い目で見守ってやろうじゃありませんか」
「わたしもそう思います」
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鶏肉とニラのぶっかけそうめん


 お中元でもらったそうめん。だいぶん消費したが、まだ少し残っている。つゆにつけて食べるのもおいしいが、そればかりではあきてしまう。今回は少し毛色の違う食べ方をしよう。ちょっとエスニックにせめてみよう。
 鶏もも肉とニラを炒め合せる。鶏肉は小さく切った方が食べやすいだろう。しょうがとにんにくをすりおろす。醬油、味醂、ナンプラー、コチジャン、ごま油を混ぜ合わせてタレを作る。
 ゆでたそうめんに炒めた鶏肉とニラをのっけて、タレをぶっかけて食べる。うまいぞ。
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蒸し鶏のガドガドソース


 またまた暑いのに逆らって蒸しもんである。鶏肉を蒸した。ご苦労なこっちゃ。電子レンジで加熱してもいいが、蒸したほうがだんぜんおいしい。暑さに負けずがんばろう。
 鶏肉は胸肉だ。皿に鶏肉、八角、長ネギの青いとこを入れ、塩、こしょう、五香粉と紹興酒をちょっと振って蒸す。蒸しあがってアラ熱がとれたら、細かくさく。よく料理本でアラ熱が取れたらなんて書いてあるが、あれはどういう状態かというと、湯気がでなくなったらOKである。さいた鶏肉はゴマ油を振っておく。鶏胸肉はパサパサして嫌だという人がいるが、胸肉は脂分がないからパサつくのである。であるからして油を足してやればいい。
 炒めた赤と緑のピーマンと鶏肉を混ぜて皿に盛っておく。さて、ソース作りだ。ガドガド、インドネシア語である。インドネシア料理のソースだ。現地の調味料が手に入らないのでウチにあるモノでそれらしいものを作った。
 砂糖、醬油、ピーナツバター、豆板醤、ゴマ油、それに鶏を蒸した時に出た汁を入れた。これを鶏肉とピーマンの上にかければできあがり。
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トラキチ酒場せんべろ屋 8月24日

「せえやん、巨人に負けたやないか」
「そやな」
「そやなって、どないしてくれるねん」
「そやな。困ったな。どないもでけんわ」
「メルセデスかBMWか知らんけど、完投完封させてしもたやないか」
「ま、阪神が打てんちゅうこったな」
「ま、福留も鳥谷も糸原もスタメンにおらへんのやから、しゃあないんか」
「そういうこっちゃ」
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まことに申しわけございません

 大惨事である。5両編成の列車は5両ともスクラップと化した。700人の乗務員と乗客は全員ひき肉。時速600キロで走行していた列車が脱線したのである。リニアモーターカーに脱線という言葉は適切であるかどうかはわからないが。
 博多行き超特急イダテン109が淀川鉄橋を越えたところで、とつぜん大きくジャンプ。JR在来線の塚本駅近くに落下。イダテン109に乗っていた700人と、落下地点にいた住民300人が死亡。死者1000人の大惨事となった。
 東海道のリニアモーターカーは成功した。日本で開発された新磁性体は、製造コストは従来の半分以下、磁性は3倍。半分の値段で3倍強い磁石ができるようになったのである。リニアモーターカーは浮上も推進も動力は磁石の反発力と引力。
 膨大な予算が必要なリニアモーターカーが格安で高性能なモノができるようになった。それまでJRの独占であったリニアモーターカーが、私鉄でも認可された。JRと並行して私鉄のリニアモーターカーが開業してしばらくたった。
「この磁性体に過電流が流れたのです」
 事故調査委員会技術主任が机の上に置いたのは、黒く焦げひしゃげた形の長方形の金属だ。
「これはレール側です。そして、こちらが列車側です。こちらも同じように黒く焦げてるでしょう」
 技術主任はもう1個ひしゃげた金属体を机の上に置いた。
「これにも大きな電流が流れたのです」
 リニアモーターカーはレールの上に並べられた磁性体と、列車の下腹に装着された磁性体が反発して浮上し、引っぱられて進む。その磁性体は同じ引力であるから列車はスムーズに進む。
「淀川鉄橋通過300メートル地点に、その磁性体があったのだな」
「はい、調べたら、こいつだけ他のモノより電導効率が高いことが判りました」
「と、どうなる」
「リニアモーターカーは並べられた磁性体によって動いています。そんなかに1個だけ磁力が違う磁性体があったのです」
「だから、どうだというんだ」
「とつぜん反発力が大きくなるのです。列車ははね飛ばされます」
「開業以来あそこは多くの列車が通ってるんだぞ」
「レール側だけなら列車が揺れる程度ですが、列車側の磁性体も異常だったのです。異常が二つ重なったのが事故原因です」

「淀川鉄橋を渡ったあたりで列車が揺れるという報告が、2週間前からありました」
「なぜそれを報告せん」
「本格的に調べようとすれば、最低3日は列車の運行を止めなければなりません。いいんですか」
「うう」
「資材倉庫の磁性体在庫を調べました」
「なにか判ったか」
「はい、わが社で使っている磁性体は、レール用がHDKのTW50S、移動体用が同じHDK製のNS03Hです。ところが事故現場から回収した実物をごらんください」
「焦げててよくわからんが菱形のマークが見えるな」
「はい、それは四菱のDW100とLB26Vです。うちで使っている磁性体はHDK製だけのはずです。四菱は主にJRに納入しています」
「なぜ四菱製の磁性体がうちのレールと列車に使われていたのだ」
「四菱の営業が売り込みに来たとき、サンプルにとDW100とLB26Vを置いて行ったのです。その実物を倉庫の在庫管理担当者が、TW50SとNS03Hの棚にポイと置いたのです。その担当者に聞くと、持ち帰り、子供の夏休みの自由研究用にするつもりだったのが、退社まぎわに飲みに誘われ忘れてしまったそうです」
「それがなぜあそこのレールとあの列車につけられたのだ」
「当該事故現場のレールのメンテナンス工事は2週間前に終わりました。その時、1個だけTW50SをつけるべきがDW100をつけてしまったのです」
「列車は」
「イダテン109のNS03Hが1個不具合が発見されたのが出発30分前の最終点検の時です。きゅうきょ良品と交換して出発しました」
「その良品というのがLB26Vだったのだな」
「なぜ確認しなかったのだ」
「列車の出発時間がせまっていて、いそいで交換する必要があったのです。現場の係員は手渡された磁性体をただちに列車に装着したのです。列車の遅れは許されませんからね」

「と、いうわけが事故原因でございました。まことに申し訳ございません。このような事後を2度と起こさぬよう、再発防止に全社をあげて取り組む所存でございます」
 社長は10回頭を下げた。1回100人分である。11回目はさらに深く頭を下げた。イダテン109には時の首相が乗っていたのである。
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トラキチ酒場せんべろ屋 8月23日

「おもやん。ビールや」
「え、アテ、なんでもええは」
「ワシもや」
「負けたな」
「そやな。6回でリードしとったら負けへん神話が破れたな」
「しゃあないな」
「しかし、しょぼい試合やったな」
「そや。内野ゴロ、ミス、エラー、そんな点ばっかりやったな」
「メッセンジャーがな、いつものメッセンジャーやったらな」
「いうたりなや。メッセンジャーでも調子悪い時あるわいな」
「そやな」
「悪いなりにようがんばったとったんとちゃうやろか」
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とつっぜん上方落語 第27回 動物園

「動物園」という噺がおます。力仕事はしとうない。口べた。朝が弱い、10時ごろから仕事。ぶらぶらしとって昼がきたらええもん食わしてもろて、4時ごろ仕事終わり。それで日当1万円くれる仕事おまへんやろか。
 これがあったんですな。移動動物園の虎になるゆう仕事が。虎の皮かぶって檻の中でうろうろしとるだけで1万円。こりゃええゆうんで虎になってたら、聞いてない猛獣ショー「百獣の王ライオンVS密林の王者虎」ライオンがやって来る。ちゅう噺ですが、異能落語家桂春輔さんは、何を思ったのか、この噺に象を出しはった。この時、春輔さんの後に、桂枝雀さんが出はったやんけど、枝雀さん衝撃を受けて自分の落語ができなかったとか。
 ま、それはそれとして、この噺の主人公、動物になるアルバイトにすっかりはまってしまって虎やら象やら、パンダ、アリクイ、センザンコウにナマケモノ、あちこちの動物園に呼ばれていろんな動物になってました。そして、とうとう海外からお声がかかりました。場所は南米の島です。
「こんちは。ジンベはんの紹介で来ました。園長のクライトンさんは」
「あー、私が園長のユンケル・クライトンですが。ああたが恐龍になってくれるんですか」
「え、なるんは恐龍ですか」
「はい。わがハクアキ・パーク最大のスター、ティラノザウルスが死にましてな困っとたんですわ」
「あれ、クライトンさんアメリカ人やのに関西弁でんな」
「ワシ、若いころ十三で下宿してましたんや」
「そんでティラノザウルスの皮はおまんのか」
「はい。これ」
「うわあ、おおきいなあ。ワシが入って動かせるかな」
「アクチュエーターがついとるから、あんたが中で動いたら、その通り動きま」
「どれどれ」
「歩いてみなはれ。うん、あかんあかん。ゴジラやないねんから、直立してシッポを引きずって歩いたらあかん」
「どないしまんねん」
「ティラノザウルスはな、身体を水平にして首とシッポを前後に伸ばして、後ろ足を支点にやじろべいみたいにするんや」
「うわっ、こりゃしんどいわ。おっとと」
「あかん。またゴジラやがな」
「むつかしいな。ゴジラやったらあきまへんのか」
「そんなにゴジラがやりたいんやったら、ハリウッドに行きなはれ。ゴジラ映画の撮影やっとって、ゴジラの着ぐるみに入るスーツアクター探しとるで」

「はーい。OK。ゴジラの動きなかなかいいよ。あんたの師匠は中島春雄さんかいな。さあ、次、キングコングとのバトルや」
「え、そんなん聞いてへんで。うわっ出てきた。大きな猿やな。でかいゲンコツやな、あんなんでどつかれたら死んでまうで。ゴジラの武器はなんもあらへん。最強の武器は口から吐く放射能やけど、あんなんあとでCGでつけるんや」
「うわっうわっ、よってきよった」
「心配すな。ワシも1000ドルで雇われたんや」
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