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1月31日(木) ある朝礼

 ある会社が朝礼をしております。社長が社員を集めて訓示を垂れておりました。社員の中に一人、人の心が読める人がおります。で、社長の心の中を読んでもらいました。
  
えー、本日は1月31日です。1月はいぬ、2月は逃げる、3月は去る、4月は死ぬ、と申しまして、月日の経つのは誠に早いモノがあります。ついこのあいだお正月だといっていたのが、もう2月です。
 さて、わが凸凹電機も今年で創立50周年。思えば私の父である会長がこの地に小さな配電盤の組立工場を作ったのが、わが社の始りでした。父がある程度育てた会社を、社長の息子というだけで、私は社長になりました。創業者の息子だから当然のことです。それから会社はどんどん大きくなりました。これはひとえに私が有能だからです。
 私の方針に異をとなえる者もいましたが、この会社は私のものです。そのような者は辞めてもらいました。私のいう通りしておれば間違いないのです。
 会社は大きな利益を上げておりますが、この利益はすべて私のものです。私と、株主の家族、親戚で山分けすべきです。私の会社ですから当然でしょう。
 従業員どもは組合なんぞを作って、利益を労働者にも配分せよなんぞとバカなことをいっておりますが、雇ってやっているだけで有難いと思わねばなりません。恩知らずもはなはだしいです。
 かような連中はみんなリストラでクビです、私のいうことだけを聞く忠実な従業員だけを正社員とします。この連中でさえ残業代を出せなんぞといっていますが、連中は全員管理職にしてやります。なんせ管理職には残業代を出さなくてもいいんですから。管理職といっても名ばかりです。
 で、一般従業員は全員、派遣社員と契約社員に切り替えます。このような人たちは使い捨てだからクビにしたり雇ったり自由です。それにものすごく安く使えるからロボットを入れるより安あがりです。
 この会社は私の持ち物。私さえ儲かればいいのです。文句のある人は会社から出て行ってください。

 こんな会社、日本にあるかな? こんな社長、日本にいるかな? いませんね。社長なんだから、なにせ会社で一番偉い人だから、人格高潔な人ばかりです。自分のことよりも従業員の幸福を最優先で考える人なのですから。
 あ、そこの社長、別に胸に手を当てて考えなくてもいいですよ。 


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (あきら)
2008-02-02 16:17:16
 今、ノンフィクション作家でドキュメンタリーテレビマンである森達也の著書『職業欄はエスパー』を、目下読んでいるところであります。すごく面白くて、もう少しで読み終えるところです。
 なんだかタイムリーな記事で、不謹慎かもしれないですが笑ってしまいました。
 
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