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恋人たちの食卓


監督 アン・リー
出演 ラン・シャン、ヤン・クイメイ、ウー・チェンリン、ワン・ユーウェン

 鯉が映る。でかい鯉だ。その鯉を取り上げてウロコを取り、おろして熱した油をかける。あっという間に鯉料理ができる。つぎつぎと豪華な料理が仕上がっている。食卓いっぱい豪華絢爛な料理が並ぶ。料理したのはこの家のおとうさん。食べるのはこの家の娘3人。
 これがこの家の日曜日の食事だ。おとうさんは一流ホテルの料理長で名料理人。中華の鉄人といったところか。
 しょっちゅうこんな料理が食べられる。うらやましい。いやいや。娘3人、うんざりした顔。そりゃそうだろう。毎週毎週、日曜のたんびに満願全席を食べさせられたのでは、もうええかげんにしてくれとなるだろう。
 おかあさんは早くに亡くなった。おとうさんはホテルの料理長をしながら娘3人を育てた。娘たちは立派な大人なのにまだこの家にいる。毎朝おとうさんが起こしてまわる。掃除洗濯家事はおとうさんがやる。娘の下着まで洗濯する。
 おとうさんは最近味覚のおとろえを自覚してきた。味がわからなくなってきた。オレもトシだ。その上、長年の親友に先立たれる。
 娘は娘で、それぞれの事情をかかえる。高校の化学の先生の長女は、毎日、だれとも知れぬ者からラブレターをもらう。最近赴任してきたバレーボールのコーチに好感をいだく。
 次女は航空会社のキャリアウーマン。美術関係の「恋人」がいる。そこに社長の覚えがめでたいやり手の男が。社長からアムステルダム支社への転勤を打診される。支社長となる。栄転である。美術関係の「恋人」からショッキングなことをいわれる。
 姉二人がもたもたしているうちに末っ子の女子大生はとっと恋人をつくって、子供まで腹につくって、さっさと家を出て行ってしまった。
 豪華な料理がいっぱいでてくる。おとうさんは料理バカの不器用な人。意志を料理で表現する。娘に食べさせる料理はおとうさんなりの、せいいいっぱいの愛情表現なのだ。そして、最後に次女が残った。で、家族は減ったのか。いや。増えたのだ。さらにもう一人増える予定。
 原題は「飲食男女」食べることセックスすること。おとうさんだってまだまだ元気なのだ。こらとっととアムステルダムに行ってしまえ。
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アンドロメダ・・・


監督 ロバート・ワイズ
出演 アーサー・ヒル、デビット・ウェイン、ジャームス・オリソン、ケイト・レイド

 マイクル・クライトンの原作である。原作はクライトンの出世作といえよう。テクノロジーの持つ危うさをリアルに描くのがクライトンの特長だが、この映画もそれを忠実に映画化している。
 アメリカの人工衛星が落下した。場所はニューメキシコの小さな村。軍が回収に向かったが、部隊は村で全滅。村で何がおこったのか?
 科学者二人が防護服を着て村を調査する。あたりは死体でいっぱい。二人だけ生存者がいた。アル中のじいさんと赤ん坊。この二人はなぜ助かったのか。この二人に共通するものはなんだ。
 非常にシンプルかつムダのない映画である。主なる登場人物は一人の医者と三人の科学者の四人。物語の舞台は事態の対応にあたる秘密基地。やっていることは村でなにおこったのかを調べて対応策を考える。それだけ。よけいなシーンは一切なし。そのかわり必要な時間は取っている。砂漠の秘密基地の入り口から最下層の研究室まで。幾重にも施されたチェック機構。厳重極まる防疫体制。着衣はすべて階を変わるごとに脱ぎ捨て焼却する。考え得る限りの殺菌処置。いかに厳重に防疫処置が施されたかがよく判る。こけ脅しではなくリアルにていねいに描写しているから観ていて納得する。名作である。
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2018年に観た映画ベスト5

土曜の夜は、ウィスキーグラス片手に映画を観るのが楽しみである。で、映画の観方であるが、テレビ放映の録画、レンタルDVDで、ときどき映画館に足を運ぶ。このうちレンタルがあやしくなってきた。近くのツタヤが閉店になった。まだ数件営業している店もあるが、近い将来どうなるか判らない。自宅で映画を観るのはネット配信が主流だろう。そっちの方も覚える必要があるな。
 と、いうことで、昨年2018年に観た映画のベスト5は以下の通り。

1位 バーフバリ 王の凱旋
 文句あるか。これがインド映画だ。歌って踊るのだ。壮絶なアクションなのだ。スペクタクルなのだ。このパワーにひれ伏せよ。

2位 カメラを止めるな
 ネタばれ厳禁である。ともかく観よ。

3位 カサブランカ
 かっこええなボギー、きれいだなバーグマン。君の瞳に乾杯。

4位 モリのいる場所
 94歳の画家熊谷守一が主人公。ほんとうの豊かさとは何かがよく判る映画だ。モリの庭は宝の山なのだ。名優山崎努と昨年惜しくも亡くなった樹木希林の初共演の映画。この二人を観るだけでも満足。

5位 ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー
 アメリカで大コケ、スター・ウォーズ信者どもが総スカンしたそうだが。なかなかけっこうな冒険活劇映画である。ディズニーが懲りてこのシリーズはやんぴといわないように祈るばかりである。

次点 ホット・ファズ
 快作、珍作、佳作、奇作、傑作。警察ドラマでありコメディーでありホラーで血みどろスプラッターで、最後はサム・ペキンパーだ。

 
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地下室のメロディー


監督 アンリ・ヴェルヌイユ
出演 ジャン・ギャバン、アラン・ドロン

 老ギャングのシャルルが5年のム所務めをおえてシャバに出てきた。妻はもうトシだから足を洗ってというが、彼はそんな気はない。でかいヤマをもうひとヤマ。カンヌのカジノから10億フランを盗もうと計画する。
 で、ム所で目をつけていたフランシスという若いのを仲間に。フランシスを金持ちのプレイボーイに仕立ててカンヌのホテルに送り込む。
 ドロンふんするフランシスはまさに適役。顔だけが取り得の若いクズ。ええ若いもんなのに、ろくに働きもせず母親におねだり。成り行きで巻き込まれたフランシスの義兄もいい迷惑。
 ギャバンのシャルルも大物ぜんといているが、しょせんは泥棒。えらそうにしてるがクズには違いない。
 年寄りのクズと若いクズがカジノの大金を盗む話し。もちろん、こやつら、ええ目を見ることはない。ラストは笑わせられる。
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ゲティ家の身代金


監督 リドリー・スコット
出演 ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、マーク・ウォールバーク

 資産世界一の大富豪の孫が誘拐された。身代金は1700万ドル。ゲティ家の当主ジャン・ポール・ゲティはマスコミにいい放つ。「身代金は1銭も出さん。ワシには孫が14人いる。ここで出したらワシの孫はみんな誘拐される」
 こう書くと、ゲティ氏は気骨のある正義の人のようだが、そうかも知れないがゲティ氏は、ケチ、吝嗇、守銭奴、金の亡者というべきだろう。彼はものすごくシンプルな人だ。金、カネ、かね。それだけ。人が問う「どれほど金があればいいんだ」答え「もっとだ」ゲティ氏の行動の目的は金を稼ぐ、出費を抑える。それだけ。
 被害者の母親は、ゲティ氏の息子の嫁。彼女は離婚したたため、もぅゲティ家の人間ではない。それでも血縁者のゲティ氏に身代金を出してくれるように頼むが、ドケチのゲティ氏は1銭も出さん。
 あんなドケチはあてにならん。母親ゲイルは息子を取り戻すべく行動する。味方は元CIAのチェイスだけ。
 主人公はゲイルといっていいだろう。ゲイルが戦うべき相手は、誘拐犯だけではない。ドケチ大富豪ゲティ氏が真の戦いの相手だ。で、結局、ゲティは、値切った上に身代金を出すが、孫かわいさではない。「身代金には税金はかからん。節税になる」徹底しているのである。
 ミッシェル・ウィリアムズ演ずる母親ゲイルがたいへんに魅力的。ぶれない息子への愛、なんとしてでも息子を助ける。鋼鉄の意志。ものすごく強い母だ。それに対してドケチゲティもぶれない。金は出さん。
 女手ひとつで誘拐犯と対峙する母と、孫より金のドケチとの対決。それを見る映画といっていいだろう。
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ジーサンズ はじめての強盗


監督 ザック・ブラフ
出演 モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン、アン=マーグレット、クリストファー・ロイド

 主役のじいさん3人がオスカー俳優。しかも3人とも80歳を超している。この3人、充分にじいさんである。年寄りなんだから、孫を愛でながらのんびりひなたぼっこでもしてればいいものを、とんでもないムチャをする。
 後期高齢者たるじいさんたちがムチャをやる映画は、今までいくつかあった。「スペース・カウボーイ」とか「龍三と七人の子分たち」とか。こいう年寄りの冷や水映画は、年寄りならではおとぼけが面白い。この映画もそうである。なんせどのシーンも画面に映っている人間の合計年齢が200歳を超えている。
 ジョー、ウィリー、アルはかって同じ会社で仲良し。3人とも年金生活者だが会社のオーナーが変わり年金がなくなった。その上、ジョーは銀行の都合で住宅ローンが3倍に。銀行に相談に行くがけんもほろろ。このままじゃ、家を出て行かなくてはならない。年金もない家もなくなる。そんなジョーはウィリー、アルの二人にとんでもない提案をする。
「銀行強盗をしよう」
 ジョーが銀行へ行った時、おりあしく(おりよく?)銀行強盗に遭遇。そのあまりの手際のよさに感心。よし。ワシも銀行強盗をしよう。と、思ったわけ。最初、難色を示していた二人も、最後には賛成。で、裏社会のその道のプロに弟子入りして、強盗の訓練を積む。万引きして度胸試し、逃走の練習から射撃練習まで。まるで映画みたいな話だが、これは映画なんだから、これでいいのだ。じいさんを観て楽しむ映画である。
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大空港


監督 ジョージ・シートン
出演 バート・ランカスター、ディーン・マーティン、ジーン・セバーグ、ジョージ・ケネディ、ヘレン・ヘイズ

 パニック映画の名作である。飛行中の旅客機の中で爆弾犯人が自爆。機体に穴が開いた。ただちに着陸しなければならない。ところが降りるべき空港の滑走路は大雪で着陸した飛行機が立ち往生。さあ、えらいこっちゃ。どうする。と、いう映画である。
 で、パニック映画ではあるが、さあ、えらいこっちゃ、となるのは映画の後半になってから。それまで主要登場人物の家庭の事情や身の上、人間関係が描かれる。高ビーな奥方とうまくいってない空港長。空港がえらいことになっているのにレストランでのお食事の方が大切な奥方。仕事人間の空港長。どうも航空会社の女性管理職といい仲かも。その空港長の姉のだんなが次に飛ぶTG2便の副機長。この義兄の副機長女、たらしゆえ空港長と仲悪い。その副機長とデキてるのがチーフスチュワーデス。
 密航常習犯のおばあさん。なにをやってもうまくいかん男。女房に今生の別れを告げて爆弾入りアタッシュケースを持って空港へ。
 そして、かようなワケ有りな人々を乗せてTG2便は雪の空港を飛び立つ。そして。かようなワケ有りな人たちの中でもプロの仕事人のワザが光る。爆弾犯人を、こいつはおかしい。なんぞやるぞ。と、気がついたベテラン税関職員。家でくつろいでいるところを、お前じゃなきゃできん、とむりやり呼び出された整備士。そして穴の開いた飛行機をなんとか飛ばす機長と副機長。そしてそれを誘導する管制官。お仕事ドラマとしても面白い。
 よくできた映画である。人間ドラマとして、パニックサスペンスとして、お仕事ドラマとして。三つの要素がバランスが良く見応えがあった。
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モリのいる場所


監督 沖田修一
出演 山崎努、樹木希林、加瀬亮、光石研、池谷のぶえ 

 主人公は画家である。でも、この映画に絵筆を持つシーンはない。毛筆で書をしたためるシーンはあるが。
 オープニングが秀逸である。昭和天皇がある絵を見て「この絵を描いたのは..何歳の子ですか」とご下問。その絵を描いたのは、この映画の主人公熊谷守一94歳である。このオープニングで熊谷守一画伯がどんな絵を描いた絵描きか良く判る設定だ。とはいいつつも、映画の画面に熊谷画伯の絵は映らない。
 熊谷守一=モリの晩年の絵のモデルは自宅の庭にいくらでもいる。アリ、猫、魚、蝶、なんでもない石ころまで。モリはそれを飽きもせず仔細に観察。アリが歩いているところをじっと見る。見る。ただただ見る。アリは歩き出すときは左足から歩き出す。なんてことを発見したり。また、庭に落ちていた石を手にとってじっと見る。
 この庭にいるモリ。家族は妻の秀子。それにお手伝いおばさん。家にいるのはこの3人だが、来客は多数おしかける。モリを撮るカメラマンとそのアシスタント。旅館の看板を書いて欲しい旅館の主人。近所のマンション建設現場の関係者。大勢やって来て大さわぎ。でもモリはそんなこと気にしない。ひたすら庭を観察するだけ。さしたる出来事は起こらない。
 電話が鳴る。妻が取る。「国が文化勲章をやるといってますけど」「そんなもんはいらん」「いらないそうです」ガチャ。
 と、こういう映画である。人によっては退屈するかも知れない。でも、小生はとても面白く観た。ほんとの豊かとは何かがよく判る映画である。モリの庭。さして広くない、手も加えられてない。ただの草ぼうぼうの場所であるが、この庭はものすごく豊かな宝の山だ。ただしその宝はモリのような人にしか見えない。山崎努と樹木希林が実にいい。この二人の演技を観るだけでも満足する。
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妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ


監督 山田洋次
出演 夏川結衣、西村まさ彦、橋爪功、吉行和子、中島朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優

 SFにIF(もし)を扱うSFがある。筒井康隆の「東海道戦争」はもし、関東と関西が戦争を始めたら、フィリップ・K・ディックの「高い城の男」は、もし第2次世界大戦でドイツが勝っていたら、という話。という見かたをするのなら、この映画もSFかもしれない。かなりムリがあるが。
 もし、一家の家事を一手に行っていた主婦が、とつぜんいなくなったら。というのがこの映画である。
 平田家の長男の嫁、史枝が居眠りしている間に泥棒に入った。被害は史枝のへそくり40万円。夫の幸之助、史枝をなじる。俺が稼いだ金をピンはねしてへそりをしてたのか。俺が一生懸命働いてた時に昼寝してたのか。
 あまりに心ない言葉。史枝、きれて家出。どこに行ったか知っているのは次男の嫁だけ。
 祖母の富子は体調をくずして動けない。さあ、えらいこっちゃ、平田家の家事は男どもの手でやる必要ができてきた。
 典型的な亭主関白な祖父の周造がメインで動かなくてはならない。周造は友だちや行きつけの飲み屋の女将の手まで借りて家事をするがままにならない。そのうち、とうとうボヤまで出す始末。みんな主婦史枝のありがたさを身にしみて思い知るのであった。
 第一作で熟年離婚。第二作で高齢者運転と老と死。そしてこの第三作では、主婦の労働の価値。うん、四作目も作られそうだ。今度はなにを描くのか山田監督。楽しみである。
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のみとり侍


監督 鶴橋康夫
出演 阿倍寛、寺島しのぶ、豊川悦司、風間杜夫、大竹しのぶ 斉藤工 松重豊、
桂文枝、前田敦子

 似ても似つかぬモノが実は似ているということがある。カズオ・イシグロの「日の名残り」の主人公、執事のスティーブンスンと、この映画の主人公、のみとり侍の小林寛之進はよく似ている。双方とも、生真面目、クソ真面目。どんなことでも真面目に真摯にいっしょうけんめいに取り組む。
 スティーブンスンは新しいご主人がアメリカ人だからジョークを飛ばさはる。で、いっしょうけんめいジョークにはジョークで応えようとジョークの勉強をする。
 寛之進は女性をよろこばす必要があって、指南役が女性とナニしてるところをのぞき見て、メモまで書いていっしょうけんめいナニのお勉強。ジョークも女性とのナニも一夜漬けで勉強して身につくモノではないと思うのだが、二人とも勉強して努力してなんとかなると思っていっしょうけんめいである。
 小林寛之進は越後長岡藩のエリート侍。ある日、藩主が和歌を家来に披露。融通の利かない石頭の寛之進は、藩主の和歌は盗作だと指摘。家臣どもの前で恥をかかされた藩主、カンカンに怒って、「お前なんか、のみとり侍になって、ぶざまに暮らせ」と城を追放。のみとり侍になった寛之進、町場ののみとり屋の夫婦のところでのみとり稼業を真面目に始める。
 のみとり。客の猫ののみをとる商売。老中田沼意次の規制緩和政策で認められている商売。で、あるが、ほんとは女に春を売る売春夫。女性のナニの相手をして報酬を得る。寛之進、小間物問屋の入り婿でプレイボーイの清兵衛を指南役に、のみとり稼業に励む。
 阿倍寛、「テルマエ・ロマエ」では生真面目なローマの風呂設計者をやって、おかしかったが、今回も江戸ののみとり侍がおかしかった。濃い顔の阿倍が、生真面目になにをしてもおかしいのだ。その阿倍をはじめ、豊川、松重、大竹と芸達者たちがそろっていて楽しめた。ただ、関西人の文枝の田沼意次には違和感があった。びっくりしたのは前田敦子。小生、AKBなどというアイドルには興味はないが、前田がAKBのセンターであったことぐらいは知っていた。ただのアイドルあがりの女優だと思っていたが、なかなかけっこうな女優ではないか。婿の豊川悦司を相手に、嫉妬深く気の強い嫁がなかなかの熱演であった。今はまだ若くそぐわないが、彼女が40を越したら落語「猿後家」を映画化するとするなら前田の猿後家を見てみたい。
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岸辺の旅


監督 黒沢清
出演 深津絵里、浅野忠信、蒼井優、小松政夫、柄本明

 ピアノ教師をしている瑞希のもとに、3年前に死んだ夫優介が戻ってきた。ずいぶん久しぶりね。この3年間、いろんなところに行ったよ。どんなとこ。きれいなところも行ったよ。これから二人で行こうか。
 こうして、瑞希は亡き夫優介と二人で旅に出ます。優介は死人なので運転免許がありません。二人で鉄道の旅に出ます。
 と、夫婦で優介の3年間の足跡をたどる旅にでるわけですから、ロードムービーといえるかもしれません。ロードムービーといってもこの此岸だけを旅しているわけではありません。優介は彼岸の人なので、此岸と彼岸を結ぶロードムービーなのです。
 瑞希は此岸の人です。優介は彼岸の人です。この二人が肩を並べて旅を続けます。道中、優介が接した人たちが順にでてきて、この夫婦はしばらくその人たちのところに滞在します。その人たちのところも、此岸と彼岸が入り混じっています。例えば、最初に行った新聞配達店の主人は本人が死んでます。でも本人は自分が死んでいることを知りません。次の中華料理屋では奥さんの妹が死んでます。
 この映画では死んでいる。生きている。此岸と彼岸はたいした意味はないのです。生きてる人は死んでる人に、死んでる人は生きている人に、心残りがあるわけです。その心残りがこの映画の駆動力といえましょう。
 此岸と彼岸。これらをぜええんぶ合せたモノを宇宙とするのなら、宇宙にも始まりがあり終わりがある。宇宙は有限なんですね。そのへんのことは、優介が、とある農村で村人を集めて理論物理の勉強会をやって教えているんですね。アインシュタインの相対性理論から定常宇宙説の解説をやっています。
 深津、浅野の主演二人がうまい。それに優介の愛人をやった蒼井優が怖い。妻瑞希との女同士の静かな対決。ニコーと笑った蒼井の笑顔が実に恐ろしい。
 タイトルの岸辺とは、此岸と彼岸の波打ち際の岸辺ということではないでしょうか。瑞希と優介の夫婦はその岸辺を旅するわけですね。
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トラック野郎 故郷特急便



監督 鈴木則文
出演 菅原文太、愛川欣也、原田大二郎、石川さゆり、森下愛子

 なんか気分が落ち込んでいる、深刻な映画や重い映画を観る気にならず。気軽に観れてアハハと笑ってすごせる映画が観たい。そんな時は寅さんトラだ。今回はトラさんにしよう。トラック野郎故郷特急便。シリーズ10作目。最終作である。
 今回、桃次郎が惚れるマドンナは二人。ダブルマドンナである。お話のパターンはいつものとおり。桃次郎がマドンナにひと目ぼれ。だから女の頭上でお星さまキラキラは2回ある。もちろん、桃次郎とどつきあうライバルも出てくる。そして最後は、定まられた時間に目的地に到着しないといけない。一番星号、ボロボロになりながら爆走。
 マドンナの一人は売れないドサまわりの歌手。いつか華やかなステージに立つのが夢。もう一人は食堂で働いている女性。病気の母親を介護している。
 ライバルはトラック運転手だが土佐闘犬のブリーダー。トラックの助手席には犬を座らせている。このライバルの親父が二人目のマドンナの隣人で、息子の嫁は彼女しかないと思っている。
 ジョン・フォード西部劇の伝統を汲む、酒場の殴りあいもちゃんとある。さらにはハリウッドコメディーの必殺技パイ投げもある大サービス。
 相棒ジョナサンの病気自殺騒ぎ、二人のマドンナの周辺のドラマ。これだけ多く要素を詰め込みながら、この時間に納めて散漫は印象を受けなかった。見事な脚本である。
 
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カンバセーション 盗聴


監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演 ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、ハリソン・フォード

 ハリーは盗聴屋。クライアントから依頼を受けてターゲットの言動を盗聴して報告して報酬を受ける。彼はアマチュアののぞき見趣味の犯罪者ではない。プロの盗聴屋だから、ターゲットの言動を記録して分析することだけに興味がある。それ以外には興味はない。
 今回のターゲットは、人ごみの中を歩く若い男女。彼らの言動を録音して、依頼主に届ける。依頼主は大きな会社の重役。ところが重役は不在。秘書が代わりに受け取ろうとする。本人に直接手渡しという約束であったが、秘書が強引に取ろうとするのを、振り切って立ち去る。ここらあたりからハリーの身辺があやしくなる。
 依頼主の会社はどういう会社か、ターゲットの男女は会社でどういう立場の人間か。さらには依頼主の会社重役本人さえなかなか出てこない。なんも判らないことばかりであるが、ハリーの身の回りには不安がいっぱい。
 サスペンス。ちゅうぶらりんの不安。その通りの映画であった。最後にネタはあるが、ネタばれになるので、ここではいえない。
 売り出し前のハリソン・フォードが出ているのがご愛敬。この映画もジーン・ハックマンのうまさが際立っていた。
 
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カメラを止めるな!


監督 上田慎一郎
出演 濱津隆之、しゅはまはるみ 秋山ゆずき、長屋和彰、真魚、竹原芳子

 ゾンビ映画を撮影している。と、そこに本物のゾンビが出現。主演女優たちを襲う。監督、大喜び。本物の映像が撮れる。カメラを止めるな。撮影を続けろ。最後に主演女優が、血みどろになって屋上に追い詰められ、ダビデの星の真ん中で立ちすくむところで映画は終わる。かな・・・?
 と、これ以上のことは書けない。ネタバレ厳禁の映画である。ウワサにたがわぬ面白い映画である。強くお勧めする。
 これだけではあいそがないので、このあと駄文を記す。小生の本業は購買仕入れ。今の会社での仕事も、以前いた会社でも物品の購入を生業としている。
 以前いた会社では電子部品の購買をしていた。通信機器を製作する電子部品の購買である。納期遅れがたびたび。納期3か月の仕事に、納期4か月の部品を使って設計が設計する。とうぜん納期割れ。もちろん発注先には強力に督促する。それでも納期割れ。どうする。納期の短い部品で同じ機能のモノを見つけ出して、これに代えてええかと設計に提案する。同時進行でいくつかの仕事が社内で進行している。納期の先の仕事で、その部品が使われているのはないか。その仕事の担当者がOKすれば、そこから外して間に合わせる。仕事をやってればいろんなトラブルが起きる。こういうこともやったこともある。
 と、ここで小生がつたない文章で書いてもおもしろくもなんともない。ところが、これを有能な人が映画にすると面白い映画になるかもしれない。
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ニキータ


監督 リュック・ベッソン
出演 アンヌ・バリロー、ジャン=コーグ・アングラード、チョッキー・カリョ、ジャンヌ・モロー、ジャン・レノ

 ヤク欲しさに薬局に強盗に入った不良少女。仲間は警官隊に射殺され、彼女ひとり逮捕される。取調室で名前を聞かれる。「ニキータ」と名乗る。男の名前だ。「お嬢ちゃん、本名をいいなさい」「書くから紙と鉛筆をちょうだい」お嬢ちゃん、いきなり鉛筆を取調官の手に突き刺す。
 この狂犬のような女の子の名前はニキータとなった。裁判の結果、無期懲役。おかしげな薬を注射され、目覚めると、彼女は死んだことになっていた。
 ボブと名乗る政府の役人が面会にきた。ボブはニキータに政府の秘密工作員になれといわれる。選択肢は二つ。ほんとに墓穴に入るか、工作員になるための訓練を受けるか。
 こうしてニキータはパソコン、射撃、格闘技、工作員になるべく訓練を受ける。誕生日にボブが面会。初めての外出。レストランでお食事。お誕生プレゼントをくれる。うれしそうの包みを開ける。拳銃が入っていた。でかいオートマチックだ。デザートイーグルか。ボブがいう。それを持て。ターゲットはあそこにいる。仕事がすんだら裏口から逃げろ。
 ニキータは仕事をこなしていく。スーパーのレジ係の男と知り合った。愛し合った。婚約した。
 小生、この映画を観る前は、大藪春彦女版のような主人公が冷徹に任務をこなして行く、ハードアクション満載を期待して観た。確かにハードアクションはあったが、主人公ニキータはぜんぜん大藪春彦にはならなかった。好きな男ができて、平凡な幸せを求める女になる。やたら噛み付く狂犬から、平凡な普通の女になろうとする。そういう映画だった。誤解してもらっては困る。小生は非難しているわけではない。一人の若い女が成長していく成長物語である。

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