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とつぜんSFノート 第60回

 SFのサブジャンルにはいろいろある。宇宙、異次元、超能力、未来、時間旅行、歴史改変などなど。その中で破滅テーマというのがある。このテーマが好きな人が多いと見えて、古今東西で名作がたくさん書かれている。
 破滅、ようするに私たち人類が絶滅する話である。ま、人類絶滅。これはある意味、万能の解決方法だろう。パレスチナとイスラエル、ウクライナとロシア、イスラム国、ソマリアの海賊、尖閣諸島、竹島、北方領土、絶対に解決しないと思われる、いかなる難問でも、人類が絶滅しさえすれば、すべての問題がいっきょに解決。実にすっきりするわけだ。だからへんに問題を解決しようとしてこじらすよりも、そのままにしておいた方がいいんではないか。尖閣にしても、この問題は将来にタナ上げと中国と話をつけてあったのが、妙にこじれてしまって困ったもんだ。元の「将来にタナ上げ」に戻せばいいんではないか。そのうち人類は滅亡するんだから。
 ところで、人類が絶滅するだけなのに、「地球最後」とか「地球滅亡」とかいってる作品があるが、人類が滅亡するだけなら、このいい方はおかしい。なんらかの異変で地球が完全に消滅すれば、必然的に人類も滅亡するが、物理的に地球が完全に消えてなくなることは考えられない。巨大な小惑星みたいなモノが地球に衝突したとしても、多少、変形はするかも知れないが、地球は消えない、ちゃんとそのまま残る。また、人類だけがいなくなるのに「地球最後」なんていうのは噴飯もの。人類はいなくなれば、害毒をふりまき環境を破壊してきた害獣がいなくなるわけで、地球に住まう生き物にとっては、これほど慶賀なことはないだろう。
 さて、破滅ものといってもいろいろある。人類が死に絶える話だが、なにが原因で人類が滅亡するかだ。大きくわけて、災害、伝染病、核戦争、この三つだろうか。
 まず、災害。火山の噴火や地震、地殻変動など地球そのものの異変による破滅。これらの災害では地球全体で大きな被害を受けるかも知れないが、短時間で人類が死に絶えることはないだろう。 
地球だけで自己完結する破滅SFは、どうも被害が限定されるようだ。やはり宇宙から飛来したもので災害が起こるほうが派手である。小惑星なりなんなりが地球に落ちて来るというもの。これをオチものSFという。この分野は派手で見場がいいから映画によくなる。「アルマゲドン」「ディープインパクト」などがそうだ。小説ではアーサー・C・クラーク「神の鉄槌」新井素子「ひとめあなたに・・・」などが印象に残っている。
 伝染病で破滅。最近のエボラ出血熱や数年前の新型インフルエンザ騒動など現実にある危機で、リアルに怖い。アフリカの奥地にはまだまだ人類の知らない恐ろしいウィルスがいるらしい。人類破滅の要因としては、これが原因として一番考えられるのではないか。この伝染病で破滅というのでは小松左京の「復活の日」がある。あの作品の中でユージン・スミルノフ教授の最後の講義というのが感動的だった。小松さんはあれを書きたいがためにこの作品を書いたのではないかと思うぐらいだ。
 そして核戦争によって絶滅。人類のバカさ加減がいちばん表現できるテーマだ。20世紀東西冷戦のころは盛んに書かれたジャンルである。この分野の代表作はなんといってもネビル・シュートの「渚にて」だ。小説も映画も名作である。
 と、まあ、破滅のかたちはいろいろだが、ま、せいぜい、「その日」が来るまで人生を楽しみましょうや。
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2014年の阪神タイガース終戦

 あ~あ負けたな。もひとつ釈然とせん後味の悪い結末やけど。しゃあないわい。でも、ま、これでええんちゃうん。なんせ相手ソフトバンクホークスはちゃんとパリーグを優勝して出てきたチーム。阪神タイガースはたなぼた2位の仮免出場チーム。これで順当なんちゃうん。
 首位から7ゲームも離されて、3位の可能性もあったのにたなぼたで2位になって、たまたま巨人に4連勝しただけやんか。1年間の戦いを、しょせん蛇足シリーズ4連勝しただけの阪神に日本一をさらわれたら、そらあオテントさんが許さんちゅうもんや。
 ともかく、読売ジャイアンツさん、セリーグ優勝おめでとう。そして福岡ソフトバンクホークスさん日本一おめでとう。
 最後に、阪神タイガースさん、来季は仮免ではなく、ちゃんとセリーグで優勝して、本免許で日本シリーズに出ましょうね。
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アイス・ハント


ジェームズ・ロリンズ  遠藤宏昭訳     扶桑社

 アメリカの潜水艦が北極海で、氷の中の秘密基地を発見。第二次世界大戦当時のものと思われる。調査の結果、そこには廃棄された潜水艦、多くの死体、そしてなにやら動く生き物らしきもの。どうもロシアのものらしい。
 分類分けするのなら冒険小説といっていい。ま、SFも薬味となって、伝奇小説っぽいかくし味もほんのりとただよう。
 冒険小説には「巻き込まれ型」冒険小説というのがある。ぜんぜん関係ないのに、ひょんなことから騒動に巻き込まれ、知らんうちに騒動の中心人物になって命がけの冒険をする、というパターン。本作は典型的な巻き込まれ型冒険小説といえよう。
 アラスカの野生動物監視官の元グリーンベレーのマットの目の前でセスナが墜落。パイロットは死んだが乗客は助かった。乗客は新聞記者クレイグ。セスナは何者かに撃墜されたのだ。アメリカの北極基地オメガに取材に行く途中とのこと。クレイグは命を狙われている。行きがかりで、マットは別れた妻で女性保安官にして名パイロットのジェニファーとともに、クレイグをオメガに連れて行こうとする。何者かに追跡され、からくも逃げる。
 そのころオメガ基地から、発見されたロシアの秘密基地グレンデル・アイスステーションに調査隊が派遣された。そしてロシアの原子力潜水艦も。さらにはロシアの特殊部隊も出動。その上、グレンデル基地には恐ろしげな化けもんがひそんでいた。この基地にはなにやらとんでもない秘密が隠されているようだ。ロシアはなんとしてもその秘密を守りたい。マットたちは前にロシアの特殊部隊。うしろに化けもん。絶体絶命。と、アメリカのデルタフォースが救援に駆けつけるが。
 と、まあこんな小説だが、冒険小説としては傑作とはいいかねる。まず、主人公はマットだと思うが、途中で、描写の視点がアメリカの潜水艦の艦長になったり、ロシアの提督、アメリカの女性科学者になったり、少々散漫な感じを受けた。でも、ま、気軽に読めるエンタティメントであった。
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緊迫したええ試合やったな。満足や

ええ試合やったな。緊迫したどっちが勝つか判らんおもろい試合やった。双方ともチャンスを作ってはつぶし、ピンチを作ってはからくも逃げる。ワシは阪神ファンやけど、こんな試合見せてもろたら満足や。しょうもなく勝つより、かっこよう負ける方がええやん。
 これで明日負けると、阪神タイガースの2014年の試合は終わり。ま、ワシはそれでもええで。蛇足に上にのっかた(仮)日本シリーズやからな。
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芦屋のマグリット


 私は会社からの帰宅する時は、散歩するようにしています。足首の関節を痛めていますが、装具をしてるので、なんとか普通に歩けます。少々血圧高め肥満傾向メタボぎみなので、雨や用事のあるとき以外は、せいぜい歩いています。
 今日は、阪急の芦屋川の駅から歩きました。芦屋川を南へ歩きました。このあたりは関西でも有数の高級住宅地、お金持ちゾーンです。
 JRの線路が芦屋川の下をくぐるところで西に曲がりました。芦屋川中流は川底が地面より上にある天井川になっています。ですから、JR神戸線は芦屋川の下をくぐるのです。
 線路沿いに歩きました。夕景の芦屋の街です。私、マグリットが好きなんですが、空には光が残っていて、地上は暗いです。なんだかマグリットの「光の帝国」のようです。
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阪神特急もそろそろガス欠か

 蛇足シリーズから続いとった阪神の勢いもそろそろ尽きたか。駆動力で走っとたんやのうて、惰性で走っとたんやな。エネルギーがきれたか。
 先発藤浪はピンチを作りながらも、なんとかしのいで3失点におさえとったけど、高宮が打たれたな。ポストシーズンずっと調子よかった中継ぎ陣の一角がついに崩れたか。打つ方も、ゴメス、マートンはヒットは打っとるけど打点にならへん。武田、大隣とソフトバンク先発ピッチャーに好投を許しとる。ここらでネジ巻かなあかんで。和田さん。
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狐の呉れた赤ん坊


監督 丸根賛太郎
出演 阪東妻三郎、楠公子、羅門光三郎、寺島貢、谷譲二

 昭和20年の映画である。GHQの通達により、封建的なテーマやチャンバ時代劇は造れなかった。それでも時代劇は造られた。その代表作がこの作品だろう。
 主演はチャンバラスター阪東妻三郎。バンツマの名前は知っていたが、バンツマ映画を観るのは初めて。チャンバラをしないバンツマの映画だ。
 張子の寅八は大井川の川越え人足。酒飲みの暴れ者。喧嘩なら人に負けない。そんな寅八が狐狸妖怪が出るという森から赤ん坊を拾ってくる。意地っ張りの寅八は「俺が育てる」といった手前その赤ん坊を育てる。
 大酒呑みで喧嘩っ早いガサツな男が、実は優しくの人情に厚い男。定石どおりのキャラだが、バンツマが実に上手く、暴れん坊寅八を大変に好感の持てる人物を演じている。この赤ん坊の正体は予想される通りで、良い子に育つ。善太と名づけられた赤ん坊が七つになったとき実の父子といういってもおかしくない寅八、善太の身の上に大きな出来事が起こる。
 古い映画だけあって、歌舞伎っぽい雰囲気はするが、それが新鮮で、なかなかけっこうな人情話になっている。
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阪神、今年のポストシーズン初敗北。あっぱれなり武田

 負けたな。阪神タイガース、2014年ポストシーズン初めての負け。きょうの敗因はソフトバンク先発の武田につきる。甲子園初見参の若いピッチャーやけど、今の阪神打線をおさえるとはたいしたやっちゃ。あっぱれなり武田。
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ゴロゴロ豚汁


 豚汁である。私はこれ以上ない豚汁を食べた経験がある。もう永久にあれ以上の豚汁を食べることはないだろう。そして、食べたくない。
 1995年の冬。阪神大震災。震度7の激震で、私が住む神戸市東灘区は瓦礫の荒野と化した。地元の小学校に避難した。あの時、寒風吹く小学校の校庭で食べた炊き出しの豚汁はおしかったな。
 あんな豚汁はもう食べられない/食べたくないが、豚汁そのものはよくおかずに作る。きょうのおかずも豚汁だ。
 さて、きょうの豚汁、いつもとは違う。豚汁の豚肉というと薄切り肉を使うことが多いが、きょうはかたまりの肉を使った。
 豚ロースのかたまり肉をサイコロ状に切る。野菜はごぼうとにんじん。それもサイコロ状。だしは昆布といりこ。みそは八丁味噌と信州味噌をブレンドした。これらを煮て、肉と野菜がやわらかくなればでき上がり。青ネギをあしらう。うん、ゴロゴロとした豚肉と野菜がいい。楽しい豚汁となった。
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阪神、まずは1勝。ダテにタイトル取ってへんで

 いやあ阪神強いな。なんや知らんけど蛇足シリーズを勢いと間で走り抜ぬけたけど、あれは勢いと間だけやのうてホンマもんの強さやったちゅうことがよう判った、(仮)日本シリーズ第1戦やった。
 メッセンジャーVSスタンリッジちゅう阪神の紅白戦かいなと思う先発ピッチャーやったど、交流戦ではおさえられたスタンリッジを、打点王ゴメスが打ち砕く。首位打者マートンが追加点。最多勝メッセンジャーが粘って2点におさえ、ホールド王福原が継いで、セーブ王呉昇桓がシメて勝った。やっぱ、ダテにタイトル取ってへんで。
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野菜巻き豚カツ


 豚カツは日本でできた豚肉料理の傑作だと思う。私も大好きでおりにふれて豚カツを食べている。シンプルに豚肉を揚げただけでもおいしいが、きょうは少し毛色の違う豚カツを食べよう。
 野菜もいっしょに食べられてしまうけっこうな豚カツである。野菜を薄切り肉で巻いて揚げるのである。
 野菜はいんげん、ごぼう、にんじんを用意した。ごぼうとにんじんは食べやすい太さに切っておく。そして、三つの野菜は前もってゆでておこう。
 ゆでた野菜は冷ます。冷めた野菜を芯にして豚ロース肉で巻く。あとは普通の豚カツと同じ、塩コショウして、小麦粉。溶き卵。パン粉をつけて中温の油で揚げる。野菜は先にゆでてあるし、豚肉はうすいから、すぐ火が通る。さっと揚げるだけでいい。豚肉のうまさ、野菜の歯ごたえが心地よく、なかなかけっこうな豚カツになった。
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彼女はぼくにほほえんだ

「もしもし。私は木沢といいます。とつぜん電話して申し訳ありません。イラストレーターの杉原さんですね」
「はい。杉原です」
「つかぬことを伺いますが、地下鉄加古島駅の看板のイラストを描かれたのは杉原さんですね」
「はい。ぼくが描きましたが、それがなにか?」
 
地下鉄加古島駅のホームの壁面に、信用金庫の看板がかかっている。7枚組みの看板で、1枚づつ少女のビジュアルだ。同じ少女で、表情が少しづつ違う。17歳ぐいらいと思われる可憐な少女だ。
ホームから見れば、少しづつ表情の違う少女のイラストが7枚並んでいるだけだが、動き出す電車の中から見れば、7枚のイラストがアニメーションになっていて、すまし顔だった少女が、こちらを向いてにっこりと微笑む。
 そのころぼくは最悪だった。勤めていた会社をリストラにあった。彼女いない暦20ん年のぼくにやっとできた彼女には3ヵ月つきあっただけでふられた。母親はまだ60代なのに認知症。父を早くに亡くしたぼくたち兄弟で介護してた。弟が海外に赴任。ぼく一人で母の介護をすることになった。長い間空き家だった隣に引っ越してきたじいさん。やれ自転車の置き方がはみ出してる。ゴミの出したかが悪いからカラスがつつく。自動車のエンジン音がうるさい。そして車で人をはねた。幸い軽傷。かすり傷だからすぐ完治した。しかし、あのとき打った足の関節がまだ痛いとか。なかなか示談に応じてくれない。などなど。
 ハローワークは地下鉄加古島から歩いて10分。失業保険受給の手続きに行った帰りに、それを見た。
 かわいい女の子が看板に書いてある。信用金庫の看板だ。かわいい娘だな。最初は写真かと思った。どこかのアイドルタレントかと思った。ぼくはAKBだのももくろZだのといった連中には興味はない。アイドルアイドルしたタレントは好きでない。その看板の娘は、かようなアイドルとは少し違う。ごく自然な普通の女の子。それこそ信用金庫の窓口にいて、にこやかに客の対応しているような娘だ。彼女は「善意」だけでできているのではないか。そんな女の子。
 きっと良い娘だろうな。こんな子が彼女だったら、どんなにいいだろう。そう思いながら、電車に乗った。電車が動き出した時に奇跡がおきた。すまし顔の彼女が、だんだん顔をほころばせ、ぼくの方を見て、にっこり微笑んだ。
 ドキッ。あんなかわいい子がぼくだけを見て微笑みかけてくれた。ぼくだけを見て。ひと目惚れというのかな。ぼくは電撃的に彼女に恋をしてしまった。
 失業保険を受給するためには月に2回ハローワークに来るだけでいい。求職に来るのも、求人情報は週一回の更新なので、毎日ハローワークに来てもムダ。
 ぼくは加古島までの定期券を買った。ハローワークに行くためではない。電車から降りたら改札からでない。そのまま向かいのホームに行って電車に乗る。彼女が微笑みかける。また、加古島まで来て電車に乗る。彼女が微笑む。こんなことを何度も繰り返す。彼女に会いたい。会えなくても実物をひと目見たい。
 その信用金庫はハローワークとは反対側の、牛丼屋の隣にある。どきどきしながら入店する。あの娘がいるかもしれない。見渡す。いない。1000円預金した。応対した若い従業員に聞いた。
「あのう。きょうお休みの女子社員はいますか」
「は」
「ちょっとした人探しです。ぼくの知人の女性がこの信用金庫に勤めていますもんで」
「名前は判りますか」
「名前は知りませんが、顔を見れば判ります」
「少しお待ちください。人事に聞いてきます」
「お待たせしました。この店の女子社員は全員出勤してます」
 窓口にはいない。カウンター越しに中を見てもいない。
 その信用金庫の本店はもちろん、全部の支店を回った。どこにもそんな女子社員はいない。あまりしつこくやるとストーカー行為を疑われる。それにあの娘は信用金庫の社員ではないのかも知れない。
 高校の時の同級生にコピーライターしている男がいる。その男に頼んで、その信用金庫の広告制作を請合っている広告プロダクションを探し当ててもらった。そのプロダクションが営業を募集していた。応募した。面接の席で、御社の制作した信用金庫の広告、特に地下鉄の7枚組みの看板を絶賛した。特に女の子が動くアイデアに感心したといった。  
「ものすごくかわいい子ですね。新人のタレントさんですか」
「ああ、あのアイデアを出したのは私です。クライアントの信用金庫さんにも大変喜んでもらってます」
「はい。あの看板のモデルさんですが」
「ああ、あれ、あれはイラストです」
  衝撃を受けた。これほど手ひどい失恋をした男はめったにいないだろう。でも、ぼくはあきらめなかった。
「イラストレーターですか。フリーの人に依頼して描いてもらいました」
 面接をしたプロダクションの社長にそのイラストレーターの電話番号だけなんとか聞き出した。

「はい。あんな女の子はいません。まったく私の想像で描いた女の子です」
「でも、モデルはいるでしょう。私は最初は写真かと思いました。あんなリアルなイラスト、モデルがいるのでしょう」
「モデルがいたとして、それであなたはどうします」
「あわせてください」
「あってどうします」
「・・・・・・」
「モデルはいません。100パーセント私の創作です」

 杉原は電話を置いた。木沢という男は、さぞかし大きな失望だっただろう。気の毒だがしかたがない。あのイラストのモデルはいない。今は。しかし、20年前にはいた。杉原と同じ高校の美術部員だった彼女は、杉原の手が届かない遠いところへ行ってしまった。彼女はいまは杉原のまぶたの裏だけにいる。
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「道徳」は学校で教えるようなものか?

 中教審は道徳を「特別の教科」にしようと文部科学省に答申した。反対である。道徳は、国語や算数と同じように教壇から先生が生徒に教えるというたちのものではないだろう。道徳なんてものは、ことさら教えるものではなく、日常の生活の中で自然に身につくものだろう。
「他人を思いやる心」は、先生が教えて、それで身につくものではない。その子が生まれて、慈しみをもって親に育てられ、幼稚園や学校で、さまざまな価値観を持った他の子供たちと、接し、ぶつかり、ケンカし、仲良くし、人間とはいかなる動物であるかを理解し、そして「他人を思いやる心」や「人には誠実に」「正義とは」などといったことを覚えていくものだろう。
 それに教科であるのなら、教育の成果を試さなくてはならないだろう。どうやって道徳のテスト行う。算数ならば1+1の問いに3なら不正解。2なら正解。道徳のテストにどうやって正解不正解を判断する。
 それに教壇の上の先生が、生徒に教えられるほどの「道徳」を身に付けた人物なのか?算数や理科の先生ならさすがに生徒に教えるべき知識は身につけているだろう。道徳はどうなのか「他人を思いやる心」を持とうなんていってる先生が、家庭では大酒のみでギャンブル依存症で、奥方以外に愛人を一杯作っている人物ならば、はたして「道徳」を教える資格はあるか。算数国語理科社会の先生で、そういう人がいても、教壇では良き教師なら、犯罪さえ起こさなければ問題はないだろう。では、道徳の先生ならどうか。
 それに道徳は、その時々の世の中で基準が違うこともある。国を動かす為政者が誤った方向に国を動かそうとする。この為政者に異を唱えることが道徳的なのか。為政者の決めたことには素直に従うことが道徳的なのか、どっちだろう。
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JR 元町


 JRの元町駅である。高架の上の駅だ。この高架の下が元町高架下商店街である。なかなかおもしろいところだから、機会があれば立ち寄られるといい。また、古書店うみねこ堂書林もこの駅から南へ歩いて5分ほど。
 神戸の観光地である中華街南京町もここからすぐ。その中華街と東西に並行して元町商店街がある。かっては三宮センター街とならぶ、神戸を代表する商店街だったが、今は決して繁昌している商店街とはいえない。シャッターを閉めている店もところどころあり、平日の昼間などは閑散としていることが多い。神戸っことしてはさみしいかぎりである。
 この元町商店街はかっては書店が多い街であった。海文堂、宝文館といった特長ある神戸の書店はいまはもうない。また、この商店街の東の端には丸善があった。その丸善がなくなり某ドラッグストアが跡地にできた時は、世も末だと思った。また、ここは古書店も多くあった。黒木書店という書店はSFマガジンのバックナンバーを数多くそろえていた。丸表紙のSFマガジンをけっこうこの黒木書店で買った。SFマガジン創刊号を買ったのもこの黒木書店だ。その黒木書店ももうない。

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こら、NTT、不親切だぞ

 先日(といっても毎月くるものだが)、NTTファイナンスから、口座振替のご案内(ドコモご利用分)が来た。携帯電話の料金引き落としの通知である。引き落とし金額が、いつもの倍近い。
 小生の携帯電話はガラケーである。スマホは必要性を感じないし、欲しいとは思わぬ。通話とメールしかしないのにスマホは必要ないだろう。電車の中で(ひどい人になると歩きながら)スマホとにらめっこしているが、あれは何をしているのだろう。小生は電車内や医者の待ち時間、ちょっとした開き時間は本を読んでいる。だいたいが小生は、SFマガジンを月に2冊(最新号古いの)とそれと並行して本を読むから、スマホなんかいじっている時間はない。
 で、「ご請求内訳」を見ると、「パケット通信料iモード」の通信料が入っている。iモードは使った記憶がない。メールのやりとりも、そんなに大きな画像などのやりとりをした思い当たるフシもない。
 コールセンターに電話した。これがなかなかつながらない。何度かけても「ただいま大変混みあってます」イライラしながら何度も電話。やっとつながってオペレーターが出た。これはどういうことか?使用明細を教えてくれというと「ここではお答えできません」「そこで答えられないのなら、どこで判る」と聞くと販売店に聞けとのこと。販売店に電話すると、電話では答えられない、店まで来いといわれる。電話で教えてくれと、「お客様番号」をいうと、個人情報の絡みがあるからダメとのこと。
 なんのための「NTTファイナンス関西料金センター」なのか?なんのための「お問い合わせ先」のコールセンターか?なんのための「お客様番号」なのか?
 面倒なので販売店には行ってないが、なんか釈然としない。なんか不親切である。
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