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とつぜん対談 第115回 夏の高気圧との対談

 暑いですね。今年の暑さは異常ですな。この暑さ、8月いっぱい続くそうです。今回は、この暑さの元凶、夏の高気圧さんに来ていただきました。

雫石
 どうも。しかし暑いですな。

高気圧
 そだね。

雫石
 そだねって、ああた。他人ごとですな。この暑さ、ああたがワザしてるんでしょう。

高気圧
 そうだ。この暑さ、ワシのしわざである。

雫石
 なにをしたんです?
高気圧
 別になにもしとらん。

雫石
 ウソ。なにもせんとこんなに暑くならないでしょ。

高気圧
 ことしはワシは二つになってだけだ。チベット高気圧と太平洋高気圧の二つだ。

雫石
 なんで、そんないじわるするんですか?

高気圧
 ワシは別にいじわるなんかしとらん。たまたま二つの高気圧が重なっただけじゃ。

雫石
 それが日本列島の上空だったんですよ。迷惑千万です。

高気圧
 そんなことワシは知らん。ワシは気象現象だ。お前ら人間が地球に出てくる前からおるんだ。

雫石
 ああたのせいで多くの人が熱中症になって倒れてるんですよ。

高気圧
 だから、そんなことは知らんとゆうとる。

雫石
 この暑さいつまで続くんですか。

高気圧
 そのうちワシもここをどく。10月ごろになりゃ涼しくなるじゃろ。年の瀬だ大晦日だ正月だというころにゃ暑くはないぞ。35度越えの年末年始ちゅうことはないから安心せい。

雫石
 そんな。いまが暑くて困ってるんです。

高気圧
 そんなにワシがイヤか。なんならワシがここからどこうか。

雫石
 ああたがどいたら、どうなります。

高気圧
 この時期にワシが日本の上空からいなくなったらどうなるか。試しにどいてみようか。

雫石
 どうなります。

高気圧
 台風がなんぼでも日本を直撃するぞ。ワシがおるから台風はあないなコースを取るのじゃ。

雫石
 それでも台風は来ますよ。

高気圧
 たまたまワシのへりの都合で日本に上陸する台風もある。

雫石
 そんなあ。全部の台風を防いでくださいよ。

高気圧
 うるさいヤツだな。暑いの台風はイヤだのと。

雫石
 あれ、怒った。高気圧にも感情があるんですか。

高気圧
 あたりまえだ。

雫石 
 高気圧が機嫌が悪くなるとなにになるんですか。

高気圧
 低気圧になるんじゃ。
 
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とつぜん対談 第114回 古時計との対談

 カンカン照りの陽射しは木の葉がさえぎってくれるから、暑さはマシだが、なんせヤブ蚊が多い。あ、かゆい。また刺された。身体のあちこちがかゆくてたまりません。あ、見えてきました。林を抜けた先に古い洋館が建ってます。
 今回の対談相手は、この洋館の中におられます。ギギギギー。古びた扉を開けて中に入ります。うわっ。クモの巣だらけだ。あ、おられました。あのつき当たりにおられます。古時計さんです。


雫石
 こんにちは。

古時計
 ボーン。ボーン。ボーン。ボーン。ボーン。

雫石
 あの。古時計さん。こんにちは。

古時計
 ボーン。ボーン。

雫石
 あのう。ボーンだけじゃわからないんですが。

古時計
 ボーン。ボーン。

雫石
 あのう。

古時計
 わかっておる。トシは取ったが耳はちゃんと聞こえておる。今は午前9時じゃろ。九つボーンを鳴らさなきゃならんのじゃ。ワシの大事な仕事じゃ。

雫石
 へー、まだ現役なんですね。

古時計
 あたりまえだ。ワシはまだまだ元気じゃ。

雫石
 この家の人は?

古時計
 みんな亡くなった。

雫石
 するとこのお屋敷は廃屋なんですね。

古時計
 おこるぞ。ここは廃屋じゃない。こうしてワシがこの屋敷を守っておる。

雫石 
 守ってるとおっしゃいましたが、具体的にはなにしてるんですか。

古時計
 この屋敷の時の流れはワシが司ってるんじゃ。

雫石
 こんなだれもいないお屋敷で。

古時計
 たしかに、今はだれもいないが、いつ、だれが、この屋敷の主人になってもいいように、ワシが時間だけを動かしているのじゃ。

雫石
 このお屋敷の時間はあなたが動かしてるんですか。

古時計
 そうじゃ。ワシがこうして時間を動かしているから、この屋敷がこうして21世紀の今の世にあるんじゃ。

雫石
 このお屋敷はもともとどなたのお屋敷だったのですか。いつ建てられたのですか。

古時計
 建てられたのは明治41年。清野兵太郎公爵の別邸として建てられたのじゃ。

雫石
 では、その清野公爵がずっとお住いで。

古時計
 そうじゃ。公爵は一昨年亡くなられた。138歳じゃった。

雫石
 138歳!そんな人がおられたんですか。

古時計
 そうじゃ。ワシはこの屋敷ができた時にここに掛けられた。この屋敷で行われたことはすべて見て来た。

雫石
 このお屋敷でそんなにいろんなことがあったのですか。

古時計
 清野兵太郎公爵は一般には知られていない人物だが、明治以降の日本の真のフィクサーともいうべき人物じゃ。

雫石
 清野兵太郎公爵。私も知りません。

古時計
 明治、大正、昭和、平成と4代を生き、この日本を影から動かしてきたお方じゃ。

雫石
 へー。

古時計
 日本の大きな決めごとはすべて、この屋敷で決められてきたのじゃ。

雫石
 そんなお屋敷の時間を司っていたのですね。あなたは。

古時計
 そうじゃ。例えば、先の第二次世界大戦の日本の無条件降伏は昭和二十年の御前会議で決まったとされているが、本当は、その前年、清野公爵が時の東条内閣の閣僚全員をこの屋敷に呼んで決めたのじゃ。

雫石
 へー。そうですか。

古時計
 1972年。田中角栄がこの屋敷に来た。日中国交回復を清野公爵に相談するためじゃ。

雫石
 このお屋敷は日本を動かしていたんですね。

古時計
 そうじゃ。そして屋敷の時間を動かしていたのはワシじゃ。

雫石
 あなたが止まるとどうなります。

古時計
 ワシはもうすぐ止まる。見ておれ。

雫石
 あ、どうしたんですか。ああ、振り子が止まった。うわっ、天井からホコリが落ちてきた。壁にひびが。あぶない逃げよう。

雫石
 ああ、お屋敷が崩れ落ちた。うん。なんだこの揺れは。うわっ大きな地震だ。

 南海トラフ大地震、富士山大噴火。そして鬼島カルデラの大噴火が同時に起こった。日本の時間が止まった。
 
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とつぜん対談 第113回 ほうきとの対談

 先月はちりとりさんとの対談でした。と、いうわけで、今月はそのちりとりさんとは長年の相棒、ほうきさんに来ていただきました。ほうきさんも、ちりとりさんと同じく長年、日本のプロ掃除で活躍されてきました。

雫石
 ようこそおこしくださいました。

ほうき
 いやいや。

雫石
 先月はちりとりさんに来ていただいて、お話をうかがいました。

ほうき
 そうか。なんかいってたか。あいつ。

雫石
 ほうきは寿命が短く一人前になる前に寿命がつきるとおっしゃってました。

ほうき
 寿命がつきるといっても死ぬわけではない。現役を引退するということじゃ。

雫石
 そうだと思いました。あなたはおいくつですか。

ほうき
 ワシか。ワシは81じゃ。

雫石
 お元気ですね。

ほうき
 まあな。しかしワシの頭を見てくれ。すっかりすり減って、まるぼうずじゃろ。

雫石
 そうですね。ちりとりさんは今でも週に一度は仕事に出ておられるとか。

ほうき
 あいつはちりとりじゃから年取っても仕事ができるんじゃ。わしらほうきは年とったらダメじゃ。

雫石
 いまは完全にご隠居ですか。

ほうき
 ときどき、テレビ局からプロ掃除の解説を頼まれる。

雫石
 どうですか。最近の若いほうきは。

ほうき
 だめだね。掃除の基礎ができとらん。基礎ができとらんのに、ゴミ掃除ばかりしたがる。

雫石
 え、ほうきはゴミ掃除するのが仕事じゃないんですか。

ほうき
 最近は、ついこの前高校を卒業したようなほうきが、プロのゴミ掃除の場にたってゴミ掃除をする。基礎ができてないから、早々にシュロをすり減らして引退するんじゃ。

雫石
 ではどうしたらいいんですか。

ほうき
 素振りじゃ。

雫石
 ほうきの素振りってどうするんですか。

ほうき
 シュロを地面につけずに振るんじゃ。1000回2000回振るんじゃ。ワシら若いころは毎日1000回素振りしてた。

雫石
 すごいですね。

ほうき
 ワシがプロに入ったころは、3年はゴミを掃除させてもらえなかった。3年たって、初めて2軍の掃除場でちりとり相手にゴミ掃除させてもらったんじゃ。

雫石
 最初はどんなんでした。

ほうき
 そうじゃな。ワシのデビューはお寺の境内の掃除じゃ。秋のころじゃった。落ち葉がいっぱいじゃ。

雫石
 その落ち葉を掃除したのですね。

ほうき
 そうじゃ。最初はなかなかちりとりに落ち葉が入らんのじゃ。

雫石
 掃除できましたか。

ほうき
 ダメじゃった。先輩に助けてもろた。
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とつぜん対談 第112回 ちりとりとの対談

 今回の対談は、その道ひとすじの大ベテランの方です。仕事というモノはどんな仕事でもたいへんなモノです。簡単な仕事なんてありません。ひとつの仕事を長い年月にわたり勤められ、極められるのは尊敬に値するものです。今回は、そんな仕事の達人というよりも人生の達人といっていい方にお話をうかがいます。

雫石
 お忙しい中を、よくいらしてくださいました。

ちりとり
 いやあ。ワシはもう隠居じゃ。

雫石
 では、お仕事はもうしておられないのですか。

ちりとり
 こんな年寄りの仕事がええという奇特なご仁がまだおってな、週に一度は仕事にでとる。

雫石
 ちりとりさんのお仕事は、やっぱりお掃除ですか。

ちりとり
 そうじゃ。ワシは掃除しか知らん。

雫石
 そのお掃除のお仕事はなん年やっていおられるのですか。

ちりとり
 う~ん。そうじゃな。もう、かれこれ50年になるかな。

雫石
 50年も。すごいですね。

ちりとり
 ワシは、ご覧のように金属製の三つ手ちりとりじゃから、大事に使えばなん年でももつんじゃ。

雫石
 いままで、どんなとこを掃除してきましたか。

ちりとり
 いろんなとこを掃除してきなあ。

雫石
 特に印象に残っているところは?

ちりとり
 そうじゃなあ。刑務所を掃除したこともあったな。

雫石
 刑務所のゴミはやっぱりほかとは違うんですか。

ちりとり
 刑務所の庭には、「後悔」「恨み」「反省」がようけ落ちとるな。

雫石
 へー、そうですか。刑務所によって違うのですか。

ちりとり
 そうじゃのう。やっぱり「恨み」がようけある刑務所はワシらもつらい。「反省」が多かったら、ワシらとしても掃除のしがいがあるもんじゃて。

雫石
 週に一度だけ掃除に行ってるところは、どんなところですか。

ちりとり
 病院じゃ。そこの理事長とは長いつきあいでな、そこは呼吸器疾患の患者さんが多い。ワシの掃除でないと細かいホコリが残ってダメなんじゃ。

雫石
 掃除というとちりとりさんだけではできないんではないですか。ほうきも必要でしょう。

ちりとり
 もちろんじゃ。じゃがほうきは寿命が短い。一人前になる前に寿命がつきることが多いんじゃ。

雫石
 しかし、実際に床を掃くのはほうきではないですか。

ちりとり
 ほうきはみんなワシのリードで掃除をするんじゃ。

雫石
 へー。じゃ、いろんなほうきと組んで掃除をしてきたんでしょうね。どんなほうきが印象にのこっていますか。

ちりとり
 そうじゃなあ。お掃除甲子園という高校生の掃除大会があるんじゃ。そこで春夏連覇をなしとげた超高校級というほうきがおったんじゃ。

雫石
 はいはい。覚えてますよ。プロに入って大いに期待されたほうきでしょう。

ちりとり
 そいつと組んで野球場の掃除をしたんじゃが、ぜんぜんゴミをワシに入れないんじゃ。そいつが掃除すると掃除にならんのじゃ。

雫石
 どうなりました。

ちりとり
 頭を丸めて出家しおった。

雫石
 ほうきが頭を丸めると何になるんですか。

ちりとり
 ただの棒になるんじゃ。

雫石
 棒になってどうなりました。

ちりとり
 どうなったかのう。
 
 
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とつぜん対談 第111回 山奥の巨木との対談

 ふうう。ちょっと休憩。ずいぶん歩いたな。もう、こんなに山奥。もう少しだ。がんばろう。今回の対談相手は人里離れた山奥におられます。
 あ、見えてきました。話には聞いてましたが、すごく大きいです。やっと、着きました。見上げれば首が痛くなるほどです。たいへんな貫禄です。山奥の巨木さんです。

雫石
 こんにちは。

巨木
 うう。ワシの睡眠を妨げるのはだれだ。

雫石
 おやすみのところを申しわけありません。先日お手紙をさしあげた者です。

巨木
 ああ、そういえば何日か前、ハトがワシの梢になんか紙きれを落としていきおった。

雫石
 いやあ、あなたと連絡をとるにのずいぶん苦労しました。植物あいてに電話もメールもできないし、知り合いのハトに頼みました。

巨木
 それでワシになんの用だ。

雫石
 ちょっとお話が聞きたいと思いまして。

巨木
 ワシはただの木だ。ワシに何が聞きたい。

雫石
 巨木さんはずいぶんご長寿なんでしょう。おいくつになられます。

巨木
 さあ。よう知らん。自分の年齢なんて気にしたことないなあ。1000年ぐらいかなあ。

雫石
 その大きさなら樹齢1000歳は越えておられるでしょう。

巨木
 そんなことええではないか。ワシが1歳であろうが1000歳であろうが。

雫石
 そんなことはありません。1000年も生きてこられた。これは尊敬すべきことです。1000年分の知識が蓄積されておられるのでしょう。

巨木
 ワシは、ただここに立っておるだけじゃ。ワシは木だ。なんにもせん。なんにも覚えん。

雫石
 それでも、人間界のことが耳に入ってくることはありませんか。

巨木
 ああ。そういうこともあるなあ。カラスやトンビ、渡り鳥が旅の途中に立ち寄って見たこと聞いたことをワシにいうこともある。

雫石
 巨木さんから見て人間をどう思いますか。

巨木
 なんにも思わん。

雫石
 そうですか。でも、あえて1つだけお聞きします。

巨木
 なんだ。

雫石
 人間は、というより人類はこれからどうなりますか。

巨木
 遠からず絶滅する。

雫石
 なぜですか。

巨木
 自分らでよく考えてみろ。

雫石
 人類もバカじゃないと思います。

巨木
 だったら、そう思っとけばええじゃないか。
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とつぜん対談 第110回 ドライバーとの対談


 うわっ、クモの巣が。おっとと、けつまずいた。ずいぶん古い倉庫だな。きょうの対談の相手はこの倉庫の奥におられます。お、ここだ。この道具箱の中におられるはずです。
 うん。フタ開くのかな。うう。サビついて開かない。ギギギ。やっと開いた。いたいた。寝ておられます。ドライバーさん。ドライバーさん。起きてください。

ドライバー
 うう。ワシになんの用だ。

雫石
 ちょっとお話を。

ドライバー
 ワシはもう用なしのねじ回しだ。こんなマイナスのドライバーになんの用だ。

雫石
 昔はネジといえばマイナスのネジがほとんどでしたね。

ドライバー
 そうだ。ワシの若いころだ。

雫石
 あなたもよく働かれたんでしょうね。

ドライバー
 そうだ。ほとんど寝る間もなかったな。

雫石
 どんな所で働かれました。

ドライバー
 そうだ。機械の組み立て、電気器具の修理、おもちゃの製造、ネジがあるとこだったら、たいていのとこで働いたな。

雫石
 ドライバーさんは日本の第2次産業の大功労者。下ささえされた方ではないですか。

ドライバー
 そんなむつかしいことはワシは知らん。ワシはワシの仕事をしてきただけだ。

雫石
 ドライバーさんは、大昔、NHKでやってた「プロジェクトX」に出でてもいいですね。

ドライバー
 ワシはあんなサービス残業推奨番組なんぞには出ん。それにワシはネジを回しとっただけだ。

雫石
 いまはどうしてます。

ドライバー
 あんたの鼻の上にある黒いポッチリはなんだ。シジミか。

雫石
 は?

ドライバー
 ワシは様子を見て判らんか。

雫石
 いまは、お仕事してないんですね。

ドライバー
 いまどき、ワシみたいなマイナスのドライバーが必要なネジがあるか。

雫石
 そうですね。最近のネジはほとんどがプラスネジですね。

ドライバー
 そうじゃろう。いまでもマイナスのネジもほんの少し使われているらしい。でもワシはもうダメじゃ。ほれ先っちょが欠けておるじゃろ。ワシはもう隠居じゃ。

雫石
 たまには外を見たいのではありませんか。私が外へ連れて行ってあげましょうか。

ドライバー
 やめておけ。ワシなんか持ち歩くと逮捕されるぞ。

雫石
 え、ほんとですか。

ドライバー
 マイナスのドライバーは凶器とみなされるんじゃ。

雫石
 そうですね。プラスのドライバーで人は刺せませんが、マイナスなら刺せますね。

ドライバー
 そうじゃ。だからワシはここで寝ておるんじゃ。さて、もうええじゃろ。ワシは寝る。

雫石
 おやすみなさい。あなたの功績は忘れません。

ドライバー
 ええんじゃ。ワシのことは忘れてくれ。プラスのドライバーをかわいがってくれ。
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とつぜん対談 第109回 プチプチとの対談

 
おさむうございます。早く暖かくなってほしいもんです。さて、今日の対談の相手はこんな寒いときにも役にたってくれるお方です。プチプチさんです。

雫石 
 よくおこしくださいました。

プチプチ
 いやあ。私はちょうど仕事が終わったばかりなんで、いいですよ。

雫石
 あなたのこと、プチプチさんとお呼びしていいんですか。

プチプチ
 私、ほんとは気泡緩衝材というんです。プチプチというのは商品名なんです。

雫石
 へー、そうですか。エアーキャップさんとお呼びしてもいいんですね。

プチプチ
 エアーキャップというのも商品名です。

雫石
 そうですか。では、なんとお呼びすればいいでしょう。気泡緩衝材さんですか。なんかカタイですね。

プチプチ
 プチプチでいいですよ。

雫石
 私、倉庫で仕事することがあるんですが、冬、作業服の下にあなたを巻くとけっこう暖かいですね。

プチプチ
 私は空気を含んでますからね。断熱効果があるのです。私を窓に貼ると部屋が暖かくなって暖房費の節約になりますよ。

雫石
 さきほど、お仕事が終わられたとか、なんのお仕事ですか。

プチプチ
 こんど、この近くの美術館で展覧会があるから陶器を運んでました。

雫石
 運送関係ですね。

プチプチ
 私の本職はモノが痛まないように保護するのが本職なんですよ。

雫石
 ああ、そうですね。私はウィスキーが好きで、ウィスキーを買ったらあなたで包んでくれますね。

プチプチ
 ところで、用がすめば私を捨てないですね。

雫石
 そうですね。よくお判りですね。

プチプチ
 私をそのまま捨てる人は少ないです。あんたはどうしてます。

雫石
 指で押さえてプチプチとつぶしてます。

プチプチ
 そうでしょう。

雫石
 あなたでプチプチしてると気持ちいいです。いつまでもしていたいですね。

プチプチ
 ストレス解消になるでしょう。

雫石
 はい。リストラされて求職活動中はあなたのおかげでだいぶん助かりました。

プチプチ
 私も覚えてます。あの時はだいぶんストレスをためてましたね。

雫石
 はい。胃に穴を開けて入院しました。

プチプチ
 私の力不足です。申し訳なかったです。

雫石
 いやいや。あなたのせいではありません。

プチプチ
 実は私の本職は運送関係といいましたが。それとは別にNPOでボランティア活動もしてるんです。

雫石
 どんな活動ですか。

プチプチ
 わたし、日本ストレス解消連合会の理事長です。この国のストレスを解消するのが私の願いです。

雫石
 そうですね。ストレス解消にはあなたが一番ですからね。

携帯電話
 プチプチプチ。

プチプチ
 あ、私だ。

雫石
 へー、携帯電話の音もプチプチなんですね。

プチプチ
 はい。はい。判りました。すぐ行きます。

プチプチ
 副理事長の紙鉄砲が呼んでますから。これで失礼します。

雫石
 紙鉄砲さんですか。あのお方もストレス解消になりますね。では、きょうはどうもありがとうございました。


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とつぜん対談 第108回 熱い男との対談

 うう、寒い。寒いですな。たまりませんな。そこでやがな、こないな寒い時にぴったりなお方に来ていただきました。この方のまわりはいつもぽかぽかしています。あ、いや、ぽかぽかというより、ギラギラといった方がいいかもしれません。あ、来られました。あの方です。うわあ、この真冬に上半身裸です。寒くないのでしょうか。

熱い男
 うおおおおおお。

雫石
 ああ、通りすぎていきました。えらいスピードで走っておられます。ああ、ちょっと待ってください。ここですよ。ここ。

熱い男
 おお、そこにおったんか。トレーニングに一生懸命で気がつかなんだわ。あんたか、わがはいを呼んだのは。

雫石
 はい。そんなかっこで寒くないんですか。

熱い男
 なにが寒いもんか。アツイわ。

雫石
 うわっ。ほんとですね。湯気が立ってる。それにしてもすごい筋肉ですね。

熱い男
 どうだ。この力こぶ。これぞ男ぞ。男は筋肉だ。

雫石
 毎日、どんな鍛錬をしてるんですか。

熱い男
 朝は2時には目を覚ましてるな。

雫石
 そんな朝じゃないですよ、夜中でしょ。そんなに早く起きて何してるんですか。

熱い男
 近所に24時間開いてるジムがある。そこで2時間たっぷりウェイトトレーニング。それからランニング。最低1000mは走る。ランニングがおわるころ、早朝のプールが開く。500mは泳ぐ。

雫石
 すごいですね。朝ごはんも食べるんでしょう。

熱い男
 もちろん。5時から1時間かけて朝めしを食うな。

雫石 
 1時間も!わたしらパンにコーヒーかごはんにみそ汁ですから15分でおわります。朝から何を食べてるんですか。

熱い男
 肉だ。

雫石
 朝から肉ですか。肉でもあっさりした肉でしょう。鶏のささみとか。

熱い男
 バカいっちゃいかん。牛肉だ。男の主食は牛肉だ。

雫石
 例えば、今朝は何を食べました。

熱い男
 すき焼きだ。今朝のわがはいの朝食は松阪牛500gのすき焼きだ。

雫石
 きのうは。

熱い男
 ステーキだ。神戸牛のサーロイン300gを3枚食った。

雫石
 なんか胸やけがしてきました。ところで、あなたのお仕事はなんですか。

熱い男
 教師だ。工業高校で体育教師をしておる。

雫石
 先生ですか。通勤はどうしてます。マイカーですか。

熱い男
 マイカー?親からもらったりっぱな足があるのになんで車がいるんだ。

雫石 
 まさか走って学校まで。

熱い男
 あたりまえだ。勤務先へは走って行くのが男だ。

雫石
 学校までなんキロですか。

熱い男
 20キロ。

雫石
 そなんでは疲れて授業できないでしょう。

熱い男
 なんで疲れるんだ。わがはいは疲れることなんかなにもしとらん。クラブのめんどうも見ておるぞ。ラグビー部と柔道部と空手部の監督をしておる。

雫石
 すごいですね。帰宅は何時ごろですか。

熱い男
 毎日夜の10時は過ぎるな。

雫石 
 帰宅後はどうしてるんですか。

熱い男
 メシ食ったあと柔道と空手の稽古だ。

雫石
 有段者なんでしょうね。

熱い男
 柔道5段空手5段剣道5段合気道5段将棋5段囲碁5段。書は御家流、仮名は菊川流、盆画、盆石、香の聞き分け、お手前は裏千家、お花は池坊、お作法は小笠原流、謡曲は観世流、剣術は柳生流、柔術はグレイシー流、槍は宝蔵院流、馬は大坪流、軍学は山鹿流、忍術は伊賀流、鉄砲の撃ち方、大砲の据え方、地雷の伏せ方、狼煙の上げ方。

雫石
 いつ寝るですか。

熱い男
 夜中の1時だ。

雫石
 1時に寝て2時に起きるんですか。1時間しか寝てないじゃないですか。

熱い男
 ほんというと1時間も寝すぎだ。

雫石 
 いつ休むのですか。

熱い男
 休み?そんなもん死んでからすりゃいいんだ。



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とつぜん対談 第107回 忖度との対談

 今日の対談相手は、今年を代表するお方に来ていただきました。以前は、むつかしい読めない漢字でしたが、さすがに、今年、あれだけ話題になったお方ですので、みなさんご存知でしょう。
 さて、出ていただきましょう。今年最大の「時の人」忖度さんです。あ、この方のお名前、読めますね。そんたくさんです。

雫石
お忙しいなか、よく来ていただきました。

忖度
 いやあ、私は別に忙しくはないですよ。私はいつもと同じでした。ただ、私のことを悪く思う人がいるのが残念です。

雫石 
 そうですね。忖度さんというと、税金のムダづかいの代表みたいに思われていますからね。

忖度
 もともと私は良い意味でしたよ。人の気持ちをおしはかることなんです。

雫石
 へー。そうですか。エライさんの気持ちをおしはかって、権力者にこびへつらうことだと思ってました。

忖度
 雫石さんまでそんなふうに思っているとはショックです。気持ちをおしはかる対象の人には上下はありません。だれに対しても、気持ちをくみ取るのは大切なことではないですね。思いやりの心ですから。

雫石 
 そうですか。だったら、忖度という言葉は元来いい意味なんですね。

忖度 
 そうです。それがバカな官僚どもが、さるお方に忖度して、某学校経営者(アレを「学校」といっていいか疑問ではあるが)に格安で国有地を払い下げたからいけないんです。

雫石
 でも、アノ問題があったから忖度さんは、今年の流行語大賞に選ばれたんでしょう。

忖度 
 私はそんなもんに選ばれたくない。それに私といっしょに選ばれた「インスタ映え」というのも気に入りません。

雫石
 ほう。なぜですが。

忖度
 あんなモノが流行るから、写真写りばかり気にして、ほんとに価値のあるもの、物事の本質、中身を気にせず、外見だけを取り繕う輩がでてくるんだ。

雫石
 う~む。忖度さんって小言幸兵衛さんですね。でも、円滑な社会にするには忖度さんも大切ですね。

忖度 
 良くいえばね。確かに出世するには私が必要ですね。

雫石
 そうですね。あなたの手を借りて、税金を取る役所のトップになった人もいますからね。

忖度
 現場の人は困ってるらしい。調査に入ったら「書類なくした」「ダメです」「あんたとこの親分は書類なくしたゆうて出世したやろ」

雫石
 しかし、よく私の対談に応じてくれましたね。

忖度 
 あんたに忖度しましたのさ。
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とつぜん対談 第106回 ハンマーとの対談

 あ、ここだ。このバーだ。このバーに今回の対談相手がおられるはずです。なんでもお仕事は現場仕事で、毎日の労働の疲れをこのバーでいやしておられるとか。では、入ってみましょう。あ、あそこにおられました。カウンターの隅っこに座っておられます。

雫石 
 あ、わたし、オールド。水割り。横に座っていいですか。

ハンマー
 オレのイスじゃない。勝手に座ればいいだろう。

雫石
 毎日、ここで飲んでおられるのですか。

ハンマー 
 いっとくが、オレは酒は一人で飲むと決めてんだ。

雫石
 すみません。ちょっとお話がしたいんです。

ハンマー
 他をあたってくれ。

雫石
 あなたはハンマーさんですね。

ハンマー
 オレがしゃもじに見えるか。

雫石
 きょうもお仕事ですか。

ハンマー
 あんたは、これが仕事か。

雫石
 はい。

ハンマー
 オレがを酒を飲む手を止めるのがあんたの仕事か。

雫石
 いえ。すみません。飲みながらお話しようと思って。

ハンマー
 他をあたってくれといったぜ。

雫石
 他ではダメなんです。今回はハンマーさんに、ぜひ、お話をうかがいたいのです。

ハンマー
 なぜだ。

雫石
 長年、現場で働いてきた、あなたならではの、お話を聞きたいと思いました。

ハンマー
 あそこを見ろ。

雫石
 あ、溶接面さんですね。

ハンマー
 あいつも現場仕事が長いぞ。

雫石
 溶接面さんには、第62回で対談させていただきました。

ハンマー
 しかたないな。オレに何が聞きたい。

雫石
 最近、日本の製造業の劣化がひどいです。なぜだと思いますか。

ハンマー
 そんなこと、オレにはわからん。

雫石
 そうですか。長年、日本の製造現場で働いてきたハンマーさんなら、なにか感じるところがあると思うのですが。

ハンマー
 そうさな。オレはむつかしいことはわからんが、現場は年寄りが多いということだな。

雫石
 若い人が少ない。

ハンマー
 そういうことだ。

雫石
 後継者不足ということですね。

ハンマー
 オレはいま、造船所で働いてるんだが、水のノズルと加熱器バーナーだけで、鉄板のひずみを取る職人がおる。年寄りだ。そのじいさんが死んだら船はできない。

雫石
 ハンマーさんもいろんな現場で働いてきたのですね。

ハンマー
 街の小さな鉄工所、自動車修理工場、電気機器製造、造船所。いろんな現場を渡り歩いたけれど、オレは鉄を叩くことしかできん。

雫石
 たいへんなお仕事ですね。何年ですか。

ハンマー 
 50年.仕事なんてどれも大変なもんだ。

雫石
 そうですね。

ハンマー
 もういいだろう。

雫石
 はい。ありがとうございました。
 
 
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とつぜん対談 第105回 胃カメラとの対談

 ここはとある病院の地下室。奥の方に物置があります。使われなくなった古い医療器具が保管されています。その方はナースキャップの棚の隣におられるはずです。ナースキャップ。昔は「白衣の天使」看護婦さんの象徴でしたが、今はナースキャップをかぶった看護師さんは少ないです。
 あ、おられました。細長い身体を横たえて休んでおられます。長い年月にわたって多くの患者の診察にたずさわってこられた疲れをいやされておられます。きょうの対談相手は胃カメラさんです。

雫石
 お休みのところ、もうしわけありません。胃カメラさん。

胃カメラ
 いいよ。私みたいな引退した医療器具になんの用だ。

雫石
 わたし、ついこの前も胃カメラを受けたばかりなんです。実は、わたし、胃潰瘍持ちでして、胃カメラさんにはさんざん世話になりました。

胃カメラ
 私の後輩たちだろう。私はかなり古い胃カメラだ。

雫石
 わたしは若いころも胃潰瘍で、ずいぶん昔から胃カメラは受けてましたよ。あなたのお世話になったかも知れません。

胃カメラ
 そうかも知れないな。ずいぶんたくさんの患者さんを診てきたからな。私も。

雫石
 あなたは人の胃を見る人生?だったわけですね。一番うれしかったことはなんですか。

胃カメラ
 そりゃ、胃が苦しくて不安いっぱいで来た患者さんを診て、心配ないと医師からいわれて、ホッとして安心して帰って行かれる患者さんがおられるのが一番の楽しみだね。

雫石
 ほんとですか。そんなたてまえではなく、本音をいってくださいよ。

胃カメラ
 私は人の胃の中をのぞくのが楽しみで胃カメラになったんだ。

雫石
 はい。

胃カメラ
 それでな。患者の胃の中に入る前はワクワクするんだ。

雫石
 ほう。人の胃を診るのがよほど好きなんですね。

胃カメラ
 そうなんだ。さあて、この人の胃の中はどうなっているんだろうと思うと、うれしくて楽しくて。

雫石
 で、どうなんです。その胃が健康な胃だったら。

胃カメラ
 ほんとのこというと、がっかりだな。なんにもないと。

雫石
 患者さんが喜べばうれしんじゃないですか?

胃カメラ
 うれしいよ。しかし、なんにもないとがっかりするのも正直なところだ。

雫石
 でっかい癌でもあれば満足なんですか。

胃カメラ
 そういうわけではないけど。ところで、最近の私の後輩たちの仕事は。患者にとってはかなり楽になったろ。

雫石
 都合が悪くなって話題を変えましたね。そうですね。最近は鼻から入れる胃カメラだからほとんど苦痛はありませんね。

胃カメラ
 そうだろう。私は口から入れるタイプの胃カメラだから、だいぶん患者をゲーゲーいわしたもんだ。

雫石 
 わたしも胃潰瘍持ちだから口から入れる胃カメラの経験は豊富ですよ。

胃カメラ
 ゲーゲーいったろ。

雫石
 使う医師によりますね。下手な医師だとゲーゲーいいます。

胃カメラ
 ところが、きみは私のことを胃カメラといってるが、正式には上部消化管内視鏡というんだ。

雫石
 そうですか。でも胃カメラの方がいいやすいから胃カメラと呼んでいいですか。

胃カメラ
 べつにかまわんが。いまでこそ私たちがいるから胃の診断も楽になったが、昔はすごかったんだぞ。

雫石
 へー、どんなんだったんです。

胃カメラ
 胃カメラの原型といわれてるのが、患者の口から真っ直ぐ金属の棒を突っこんで患者の胃をのぞくというモノなんだ。

雫石
 へー、それじゃ、拷問ですね。

胃カメラ
 きみは、X線、CT,MRI、エコー、内視鏡、身体の中を見られるのはみんな経験したと自慢してたな。どうだ、胃カメラの先祖の胃のぞき棒を経験してみるか。

雫石
 うへー。ごかんべん。



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とつぜん対談 第104回 ガラスとの対談

 ええと、もういらっしゃってるはずなんですが、おかしいな。時間には正確な方と聞いていたのですが。あっちの方にいてはるのかな。
 ゴツン。あいたた。なにかがでぼちんに当たった。

ガラス
 気をつけなさい。わたしはここにいてます。

雫石
 あれ、カラスさん、いつから透明になったのですか。

ガラス
 私は、昔っから透明だよ。

雫石
 え、カラスさんって黒いんじゃないですか。

ガラス
 え。私はカラスじゃない。ガラスです。

雫石
 あ、まちごうた。カラスさんを呼ぶつもりだったんですが。

ガラス
 カラスさんは第64回にお呼びになったでしょう。ちゃんと覚えておきなさい。

雫石
 あ、そうだった。この対談シリーズも100回以上やってるので、つい。

ガラス
 そんなことはいいわけになりません。それじゃ、私は用がないみたいなんで帰ります。 

雫石
 あ、すみません。帰らないで下さい。ガラスさんでもいい。対談させてください。

ガラス
「でもいい」とはなんだ、帰る。

雫石 
 あ、すみませんすみません。どうしてもガラスさんと対談したいんです。

ガラス
 どうしても?

雫石
 はい。ぜひ。

ガラス
 しかたがないな。で、なにが聞きたい。

雫石
 いつから、ここにおられたんですか。

ガラス
 ちゃんとメールにあった時間には来てたよ。私はきっちりした性格なんだ。

雫石
 9月とはいえ、まだまだ暑いですね。夏はやっぱりガラスさんは敬遠されますか。

ガラス
 そうだね。私は日光を透すからね。だから温室の仕事してるんだ。

雫石
 夏に温室に入ると暑いですね。

ガラス
 そのかわり、冬は暖かいぞ。

雫石
 ガラスさん。透明で、なんか得したことがありますか。

ガラス
 別にないなあ。それよりも、さっきから、あんた私のこと、透明透明というが、透明でないガラスもあるぞ。すりガラスとか。

雫石
 しかし、ガラスさんは自分の身を盾にして、室内の人を冬の木枯らしから防いでいるのですね。尊敬してます。

ガラス
 さっき、「ガラスでも」といったくせに。

雫石 
 あ、そのことは忘れてください。案外執念深いんですね。

ガラス
 そうだよ。私は、執念深くて意地悪だよ。

雫石
 へー。ガラスさんって透明で純真な人だと思ってました。

ガラス
 そんなことあるか。これでどうだ。キーキキ。キー。キー。

雫石
 うわっ。ガラスを爪でひっかく音や。

ガラス 
 ほれほれ。キーーーーー。キーーーーー。

雫石
 や、やめて。

ガラス
 な、わかったろ。私の意地悪さを。

雫石
 判りました。

ガラス
 もっと、こわいことしてやろうか。

雫石
 ええ、どうするんですか。

ガラス
 こうするんだ。ピーン。ピシピシ。ピッピッ。

雫石
 うわ。ひびがいってきた。うわわわ。

ガラス
 逃げおった。だらしないヤツだな。私は自動車のガラスと同じ安全強化ガラスだから割れても安全なんだ。
 
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とつぜん対談 第103回 嫁と姑の対談

 きょうのゲストはお二人です。このお二人あまり良好な関係ではありません。険悪です。倶に天を戴かずです。この問題はどこのご家庭にも当てはまる永遠のテーマといえるでしょう。ほんとうは、お二人で直に話し合って解決すればいいのですが、このお二人、お互い顔を見るのもいや、口をきくのなんて、めっそうもないとおっしゃいます。ですからきょうは私が入って、3人で話し合っていこうということです。


 あら、雫石さん、ヨメ子さんはまだですか。

雫石 
 もう、お見えになるでしょう。


 あの人、お化粧に時間がかかるから。○夫ちゃんはいま、単身赴任だから、化粧してだれに見せるつもなんでしょ。


 すみません。出かけに宅急便が来て。

雫石
 はい。お二人、おそろいになりましたので、お話ください。


 聞いてください。孫の進学のことなんです。私は私学に進めたいのですが、ヨメが反対で。

雫石
 お姑さん。なぜ私学がいいのですか。


 公立の学校はアホな子が行く学校ですわ。ウチの孫をそんな学校に入れるとアホがうつります。

雫石
 お嫁さん。なぜ私学は反対なんですか。


 確かに私学はカシコな子ばかりです。公立はアホもいればカシコもいます。世の中に出ればアホな人とも、カシコな人ともつきあって行かなければなりません。世の中、いろんな人がいる。これが本当の勉強なんではないでしょうか。

雫石
 なるほど。


 雫石さん。納得してもらったら困ります。こないだ私、コープに買いものに行きました。ちょっと大きなモノ買ったんです。コープを出ると、ヨメ子さんがおりました。呼んだんですが知らん顔されました。重いモノ持って帰って腰を痛めましたわ。


 あ~ら。すみませんねお義母さん。気がつきませんでしたわ。


 あんなに大きな声で呼んだのに。耳だいじょうぶ。勝手つんぼじゃないですか。


 勝手つんぼはお義母さんじゃありませんか。

雫石
 まあまあ。そんなこと水掛け論です。お二人は同居じゃないんですか。


 息子はいっしょに住もうといってくれるのですが。

雫石
 お嫁さん。なぜ同居しないんですか。


 同居しましたよ。結婚当初は。


 ああ、確かに同居しました。ちょっと雫石さん。これ見てください。

雫石 
 なんですか。1週間ぶんのメニューですね。なになに。
日曜 鶏の唐揚げ。デザート 手作りアイスクリーム
月曜 天ぷら 手作りプリン
火曜 エビフライ 手作りショートケーキ
水曜 コロッケ 手作りアップルパイ
木曜 アジフライ 手作りチーズケーキ
金曜 とんかつ 手作りシャーベット
土曜 スペアリブの竜田揚げ 手作りババロア 
これがどうかしましたか。


 揚げもんばかりでしょ。それに、やたら手作りのお菓子ばかり食べさせられて。わたしみたいな老人には、毎日揚げ物はきつい。それにわたし糖尿です。こんな食事ばっかり食べさせて、ヨメ子さん、わたしを殺そうとしてたんだ。


 揚げ物は○夫さんの好物で、それにこれは彼が単身赴任に出発直前の1週間だけのメニューです。それに、お菓子も彼のリクエストです。
 お義母さん。老人で腰が痛いとおっしゃいますが、老人会の手踊りの会で、この前の神戸祭りのパレードに出てたでしょう。私、サンテレビで観てました。どこが腰が痛いのでしょう。


 メンバーが足らないからどうしてもと頼まれたのよ。

雫石
 はいはい。結局、いまは同居してないんですね。どっちが出て行ったのですか。それにしても、あの、素人のばあさんの手踊り、だれに見せるんでしょう。見て喜ぶ人がいるでしょうか?


 老人会のお仲間が喜んでくれましたよ。


 わたしが息子を連れて出て行きました。夫は単身赴任。わたしと息子とお義母さんの3人の暮らしは考えられませんわ。だいいち息子の教育に悪いですわ。お義母さんは、息子が欲しがったらなんでも買い与える。こんなんじゃわがままな大人になります。それに夫は九州に単身赴任してますが、九州支社長に出生したんですの。私も九州出身ですし、夫とも相談したんですがいいずれ九州に永住するつもりで、賃貸マンションに引っ越しました。


 ほんとはスープの冷めない距離なんていいますが、私は東灘、ヨメ子さんと孫は北区なんです。よそのヨメは、ちょっとお義母さん、おいもさん、炊いたから、とおかずのおすそわけを持って来てくれるんですが。


 一度、持って行ったじゃないですか。ヨメ子さんの味付けは濃いといって食べなかったじゃないですか。
 私、北区へ引っ越してせいせいしてるんです。東灘ですと、お義母さんの手の者が、私のことを逐一、お義母さんに報告してますので。



 それだけ、わたしがヨメ子さんのこと気にかけてるんでしょう。


 気にかけてるんじゃなくて、あれこれ嫁いびりのネタを探してるんだわ。


 なにをいうんです。このバカ嫁。


 なにお。この鬼姑。

雫石
 まあまあ。こりゃダメだわ。
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とつぜん対談 第102回 クマゼミとの対談


 二、三日前から、この方が鳴き始めました。やはり、この方の鳴き声がないと夏が来た気がしません。もう、そろそろ梅雨も明けるでしょう。本格的な夏がやって来ます。今回は夏の使者クマゼミさんが対談の相手です。

雫石
 あ、どうも。お久しぶりです。

クマゼミ
 ちょっと待ってください。まだ完全に眼が覚めてませんので。

雫石
 あ、はい。

クマゼミ
 う~ん。うっうっ。あ、眼が覚めた。

雫石
 あの、やっぱり、幼虫の時は眠ってるのですか。

クマゼミ
 う~ん。なんといっていいかな。幼虫の時は幼虫としての意識はあります。成虫になったら成虫としての意識が出てくるので、幼虫時代の意識は眠っていたように感じられるのです。

雫石
 ふ~ん。そんなもんですかね。私はセミになったことがないので判りませんが。

クマゼミ
 私は人間になったことがないので判りません。

雫石 
 ところで、数日前は少数のクマゼミさんが鳴いてましたが。

クマゼミ
 ああ、あれは先遣隊です。少数の先遣隊がまず、地上に出て、地上の様子を観察するのです。で、OKとなれば本隊が出てくるのです。

雫石
 先遣隊のセミはどうやって地下へ情報を送っているのですか。

クマゼミ
 秘密です。

雫石
 ところで、あなたちは1日中鳴いているわけではありませんね。

クマゼミ
 はい。私たちは朝のうちから午前中にかけてしか鳴きません。

雫石
 なぜ午前中だけ。

クマゼミ
 日中は暑いからです。

雫石
 へー。あなたたちも暑いのはダメなんですね。

クマゼミ
 そうです。鳴くのは私たちの仕事です。涼しいうちにその日のノルマを果たすのです。

雫石
 ここは関西の神戸です。昔はセミといえばジージーと鳴くアブラゼミがメインだったのですが。いつのまにかあんたたちクマゼミばかりになりました。やっぱり地球温暖化の影響ですか。

クマゼミ
 そんなことは私たちの知ったことではありません。

雫石
 あなたは日本最大のセミなんですね。

クマゼミ
 そうですか。シャーシャー。

雫石
 日本最大といわれてどうですか。

クマゼミ
 シャーシャーシャー。

雫石
 え、なんですか。

クマゼミ
 シャーシャーシャー。

雫石
 だめだな。クマゼミ語しかしゃべらなくなってしもうた。
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とつぜん対談 第101回 正月との対談

 えー、このとつぜん対談も今回で101回目。前回は、100回目を記念して100回さんに来ていただきました。これより200回目への第一歩を踏み出すことになります。で、今回のゲストをいろいろ考えたのですが、第1歩ということで、その年の第一歩、お正月さんに来ていただきました。夏にお正月?違和感を感じるかも知れませんが、冬、特に1月はとてもお忙しいので、お呼びするのは遠慮しました。6月になって半年たちました。もういいだろうと思ってお呼びしたしだいです。

雫石
 どうも、よく来ていただきました。

正月
 おう。ほんとは、私は夏でも忙しいんだ。たってというから来てやったんだ。

雫石
 もうしわけございません。

正月
 何が聞きたい。とっとと聞いて、とっととすませてくれ。私は忙しいんだ。

雫石
 なぜ、お正月さんが夏に忙しいのですか。冬なら判りますが。

正月
 ぶぅわっかもん。正月の仕事をなんと心得おる。

雫石
 うへへー。すみませんすみません。

正月
 いってみろ。私の仕事はなんだと思う。

雫石
 年の初めにやってきて、人々に新しい年の喜びを与えるのが、お正月さんのお仕事でしょう。

正月
 そうだ。で、新しい年はだれがつくってると思ってるんだ。

雫石
 え、新しい年って、なにもしないでも、勝手に向こうからやって来るんではないのですか。

正月
 たわけ。この大たわけもの。新しい年は私がつくってるんだ。

雫石
 へえー。新しい年はお正月さんがつくってるのですか。

正月
 あたりまえだ。そんなことは常識だろ。

雫石
 で、それで、あなたが夏も忙しいのと、なんか関係あんのんですか?

正月
 とことんバカだな、お前。次の新しい年は、その年の春から、つくり始めないと間に合わんのだぞ。

雫石
 新しい年って、そんなに手間がかかるんですか。

正月
 そうだ。お前のアホ頭でも判るように「新しい年工程表」を見せてやろう。

 3月 旧年の反省点の洗い出しと分析。
 4月 旧年から引き継ぐべき点、新年に新たに付与すべき点。モデルチェンジ        
    の検討。マイナーチェンか大幅なモデルチェンジか。
 5月 設計。図面作成。組み立て図面。部品手配表作成。それを元にコスト計算。
 6月 最高経営会議でGOサインが出ればプロジェクト始動。修正指示が出れば6月中に修正。
 7月 組み立て人員手配。部品入手。工場に新ライン設置。
8月 組み立て開始。
9月 組み立て。
10月 組み立て。
11月 組み立て完了。ユニット検査。
12月 総合検査。試験運転。据え付け工事。

 どうだ。新しい年はこうして製作されてるんだぞ。

雫石
 へえ。まるで工業製品ですね。新しい年って、お正月さんがチマチマ手作りしてるんじゃないですか。

正月
 それは19世紀までだ。20世紀になって世界は大きく変わった。新しい年も工場で造らなければまにあわんのだ。

雫石
 へー。よく判りました。

ピコピコピコ。携帯電話の音。

正月
 はい。私だ。ええ、ほんとか。判ったすぐ帰社する。

雫石 
 どうしたんですか。

正月
 最高経営会議で大幅な修正指示がでた。過労死ラインを大幅に超えて仕事しても、8月の組み立て開始に間に合わんかもしれん。

雫石
 間に合わなかったらどうなります。

正月 
 新年になっても新しい年がこなくなるぞ。

雫石
 うへえ。それはエライことですね。

正月
 今まで一度もそんなことはなかったろ。

雫石
 はい。

正月
 私が必死で新しい年をつくる工程を守ってるからだ。毎年毎年つな渡りだ。

雫石
 わかりました。どうかがんばってください。
 

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