今日、日銀から8月分の輸入物価指数と企業物価指数が発表になりました。例月通り、輸入物価数、企業物価指数と総務省の消費者物価指数(8月分東京都区部速報)の三指標を並べて、日本の物価動向の現状を見てみましょう。
上のグラフは、日本でも物価上昇が始まった2021年の1月の3つの物価指数を、今回のインフレの出発点として基準時点(=100)とし、3物価指数の上昇がどんな関係になるかグラフで毎月点検しようというものです。
主要3物価指数の月次推移
資料:日本銀行、総務省
まず輸入物価ですが、これは8月は反落しました。原因は、石油、石炭、天然ガスの価格が反落したことが大きいようで、一方食料品(小麦、豚肉、水産物)などは値上がりが続いているようです。(食料品については、日本の消費者物価にもこの所影響が出ています。)
石油・天然ガスの価格は、ロシア次第、OPEC次第ですから、今後の事は解りませんが、何とか上昇が止まれば、国際的なインフレ事情も一息つけるでしょう。
企業物価指数についてはマスコミの見出しで、115.1過去最高、前年比9%上昇、という事になっています。上のグラフでは企業物価が少し上がり始めた2021年1月基準なので、上昇率は114.2になっています。
日本は無資源国ですから、輸入物価の影響は厳しく受けます。ただし末端の消費者がインフレ嫌いですから便乗値上げなどは出来にくい国で、輸入物価の企業物価への影響はほぼ合理的な範囲にとどまっていると言えるようです。
メノコで計算しますと輸入物価も企業物価もほとんど「モノ」の値段でしょうから、こんな計算になります。
日本経済の全体であるGDPの半分強が人件費(雇用者報酬)ですから物の部分が半分として輸入依存度はGDPの1割ですから、物の分の20%が8割値上がりしますと物全体の価格は16%値上がりすることになるわけです。
企業物価指数の12%程度の値上がりというのは在庫時間のタイムラグもあり、輸入価格の
国内価格への転嫁の遅れもあり、資源の節約(資源生産性の向上)で吸収している部分もあるのでしょう。ほぼまともな水準ではないでしょうか。
という事で消費者物価指数について見ますと、GDPの1割の価格が80%上れば、最終的にはそれだけで8%の物価上昇が起きる計算ですが、上述のタイムラグ、価格転嫁の遅れ、生産性の向上などで、まだ3%程度しか上がっていないという事です。
総じてみれば、企業物価の場合は、そこそこ転嫁は行われているといえそうです。最も値上がりの大きい石油、ガソリンの関係で見ますと、業界は大変だと言って政府は補助金まで出していますが、元売り企業の決算は総じて好調、史上最高の利益といったところもあるようです。
一方消費者物価の場合は、相手が収入の増えない所帯や個人ですから価格転嫁が困難であるのと同時に、コロナ禍で消費意欲が阻害されるという格別の問題が価格上昇の大きな障害になってきているといった様相が感じられます。
今起きている、消費物資、消費サービスの値上げの波の広がりは、アベノミクス時代から蓄積している、じりじりと高まる海外価格、異常な消費不振で上げられない小売価格という、いわば長年の鬱積が、今回の世界的インフレの中で表出したものでしょう。
この始末をどうつけるか、3本、3色のグラフを毎月引きながら、数字は嘘を言わないが、対応すべき人間の理解(知恵)不足が、日本経済の低迷を齎しているのではないかなどと考え込んだりしています。
上のグラフは、日本でも物価上昇が始まった2021年の1月の3つの物価指数を、今回のインフレの出発点として基準時点(=100)とし、3物価指数の上昇がどんな関係になるかグラフで毎月点検しようというものです。
主要3物価指数の月次推移
資料:日本銀行、総務省
まず輸入物価ですが、これは8月は反落しました。原因は、石油、石炭、天然ガスの価格が反落したことが大きいようで、一方食料品(小麦、豚肉、水産物)などは値上がりが続いているようです。(食料品については、日本の消費者物価にもこの所影響が出ています。)
石油・天然ガスの価格は、ロシア次第、OPEC次第ですから、今後の事は解りませんが、何とか上昇が止まれば、国際的なインフレ事情も一息つけるでしょう。
企業物価指数についてはマスコミの見出しで、115.1過去最高、前年比9%上昇、という事になっています。上のグラフでは企業物価が少し上がり始めた2021年1月基準なので、上昇率は114.2になっています。
日本は無資源国ですから、輸入物価の影響は厳しく受けます。ただし末端の消費者がインフレ嫌いですから便乗値上げなどは出来にくい国で、輸入物価の企業物価への影響はほぼ合理的な範囲にとどまっていると言えるようです。
メノコで計算しますと輸入物価も企業物価もほとんど「モノ」の値段でしょうから、こんな計算になります。
日本経済の全体であるGDPの半分強が人件費(雇用者報酬)ですから物の部分が半分として輸入依存度はGDPの1割ですから、物の分の20%が8割値上がりしますと物全体の価格は16%値上がりすることになるわけです。
企業物価指数の12%程度の値上がりというのは在庫時間のタイムラグもあり、輸入価格の
国内価格への転嫁の遅れもあり、資源の節約(資源生産性の向上)で吸収している部分もあるのでしょう。ほぼまともな水準ではないでしょうか。
という事で消費者物価指数について見ますと、GDPの1割の価格が80%上れば、最終的にはそれだけで8%の物価上昇が起きる計算ですが、上述のタイムラグ、価格転嫁の遅れ、生産性の向上などで、まだ3%程度しか上がっていないという事です。
総じてみれば、企業物価の場合は、そこそこ転嫁は行われているといえそうです。最も値上がりの大きい石油、ガソリンの関係で見ますと、業界は大変だと言って政府は補助金まで出していますが、元売り企業の決算は総じて好調、史上最高の利益といったところもあるようです。
一方消費者物価の場合は、相手が収入の増えない所帯や個人ですから価格転嫁が困難であるのと同時に、コロナ禍で消費意欲が阻害されるという格別の問題が価格上昇の大きな障害になってきているといった様相が感じられます。
今起きている、消費物資、消費サービスの値上げの波の広がりは、アベノミクス時代から蓄積している、じりじりと高まる海外価格、異常な消費不振で上げられない小売価格という、いわば長年の鬱積が、今回の世界的インフレの中で表出したものでしょう。
この始末をどうつけるか、3本、3色のグラフを毎月引きながら、数字は嘘を言わないが、対応すべき人間の理解(知恵)不足が、日本経済の低迷を齎しているのではないかなどと考え込んだりしています。