tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

1人当たりGDPの日米比較

2022年07月19日 17時00分21秒 | 経済
1人当りGDPというのは、最も解り易い豊かさの数字でしょう。

自国通貨表示で、系列でみれば、これがだんだん増えていけば、国民生活はだんだん豊かになっているという事になります。

国際比較の場合には、各国通貨の為替レートで、通常は基軸通貨であるドル換算して比較することになります。

       1人当たりGDP:日本・米国の推移 (単位:1000ドル)

             資料:世界経済のネタ帳

ドル換算した日本の1人当たりGDPは、嘗てはアメリカを越えて、世界のトップクラスにあったという事はよく言われます。
2021年は世界ランキングで28位ですからトップクラスなどとは考えられないのですが、現実に1990年代前半辺りでは、下のグラフのように、日本はアメリカを上回り、世界3位前後でした。

1990年代前半と言えば、バブル崩壊直後で、円高が進み、日本の国内では、
「円の価値が高くなったという事は、日本の経済力がそれだけ評価されているという事だから、喜ぶべきことで、この円高を活用して一層強い日本経済を実現すべきだ」
といった意見と、
「こんな円高では、日本の国際競争力はなくなってしまう。大幅なコストの引き下げが必要で、不況の長期化が必至だ」
といった意見が戦わされていた時だったように思います。

結局コスト引き下げが必要という事が現実で30年ものデフレ不況に突入したのでした。
その不況の中で、日本経済は次第に力を失い、そのまま今日に至っているのですが、その後の推移をたどってみましょう。

アメリカの動きを見ますと何はともあれ、1人当りGDPは、安定的に上昇カーブを描いています。上下しているのは2009年のリーマンショックの時と202年のコロナショックの時だけです。

それに対して日本の場合は凸凹が多いですが、円建てのグラフにすれば。この間ほとんど横這いですが円レートが上下する分だけ凸凹になってるわけです。

その中でも2000年から2008年までは、割合為替変動の小さくで、日本経済自体の動きも「好況感無き上昇」と言われましたように微かに右上がりだったことがドル換算してもある程度見えるように思います。

この安定状態はリーマンショックで暗転、為替レートはまた円高になって、ドル建ての1人当たりGDPはアメリカに追いつきそうになりますが、これは日本経済の成長はゼロ・マイナスでも円高になったので上ったということです。

円高は、1995年前後と同じですが、もうこの時は円高を喜ぶ人はいなくて、円高は大変だという事で皆一致していました。

問題は2013年以降です。日銀の異次元金融緩和で円安になったことから、これで日本経済も再度、緩やかでも成長路線に復帰するかと思われたのですが、2016年その兆しが見えたかと思ったのですが、その後は横ばいです。

結果的に、1人当たりのGDPは下がり続け2021年には、残念ながら28位にまで落ちてしまっています。
円高で追いついても、それは日本の実力というより、主要国の為替戦略の波及効果でしょう。円安を活用して自力でランキングを上げるような日本に早く復活してほしいと思っています。

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