tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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日本経済低迷の理由:その2、余談

2010年01月28日 12時32分07秒 | 経済
日本経済低迷の理由:その2、余談
 前回の表で、当時の主要国のインフレ率(消費者物価指数上昇率)と失業率を取り上げましたが、日本に次いで、西ドイツのパーフォーマンスがいい事がわかります。
 ご承知のように、西ドイツでは(労使の)共同決定法などもあり、ヨーロッパでは歴史的にも労使関係が良い国です。

 ところで、インフレ率と失業率を足したものを「ミザリー インデックス(Misery Index)」と言います。まさに「惨め指数」です。高温で高湿度の時、温度と湿度を足したものを「不快指数」などといいますが、それになぞらえて「経済の不快指数」などともいいます。

 1981年のMisery Index を出してみますと
日本          6.6
アメリカ       17.9
イギリス       20.3
西ドイツ       11.4
フランス       21.0
イタリア       27.1
ということで、日本のパーフォーマンスのよさが一層はっきりします。

 ミザリー インデックス が20を超えると、時の政権は支持を失うといわれますが、確かに
アメリカ: カーター大統領(民主党)→レーガン大統領(共和党) 1981年
イギリス: キャラハン首相(労働党)→サッチャー首相(保守党) 1979年
フランス: ジスカールデスタン(中道右派)→ミッテラン(社会党) 1981年
という政権交代が起きています。

 アメリカ、イギリスは保守回帰で、ともに労組の力を押さえ、コスト上昇を抑制して経済の安定を取り戻しています。特にサッチャー首相の剛腕による(4回の労働法改正を含む)行き過ぎた労働運動の見直し(サッチャー改革)は有名です。
 フランスは右派から左派への政権交代ですが、ミザリー インデックスが20を超えると、なんでもいいから政権交代という事でしょうか。最初最低賃金大幅アップなどを掲げていたミッテラン大統領も、のちには賃金凍結までやる保守的政策を採り、スタグフレーション克服の努力をしています。

 この辺りからわかることは、どこの国でも、(生産性に比して)人件費コストが上がりすぎるとスタグフレーション になり、その治療には、政権交代も含むような強烈なコスト抑制策が必要になるという事のようです。


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