tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

どちらに読むのか、アメリカ8月の消費者物価

2022年09月15日 17時21分11秒 | 経済
昨日、アメリカの8月分の消費者物価指数が発表になりました。

結果次第で、アメリカの金融引き締めの程度が決まるという事で、世界中から注目されていました。

結果は、客観的にみれば、かなり結構な数字のように思えました。季節調整済みの対前月比がプラス0.1%、原指数の対前年同期比を見ますと、7月の8.3%と同じ8.3%の上昇と、消費者物価指数は殆ど横這いです。

原指数で見れば6月296.3、7月296.3、8月296.2ですから6月まで急速に上がってきた消費者物価がそこでピタッと止まっているという形です。
流石に0.75%の政策金利引き上げを2回つづけた成果は凄いとと感じるところです。

ところがどうでしょう 発表された途端にNYダウは急落、下げ幅は1300ドルに達しそうでした。NY追随の日経平均も800円の下げ、1日明けてもほとんど動かないようです。

FRBの引締め策はかなり効果をあげているように見えるのですが、株価は大幅下げ、さらなる引き締めを危惧して為替は円安といった反応は、多分に投機筋の思惑の結果でもあろうと政府・日銀も口先介入といった反応があったようです。

ところで肝心のアメリカの消費者物価の中身はどうなのでしょうか。という事で見てみました。大まかなところですが、こんな状態です。

     アメリカの消費者物価指数2022年8月

                            資料:アメリカ労働省

マスコミも書いていますように、消費者物価が上がらなかったのはエネルギーの値段が下がったから、というのはその通りで、エネルギーのマイナス5%が効いているのです。(国際商品ですから、8月は日本でも下がりました)

青い線が対前年同月、茶色が対前月です。総合指数は対前年の8.3%で止まっていて、対前月が0.1%でインフレは進んでいません。
コア指数(食料とエネルギーを除く)は国内産のインフレですがこれは、前年比6.3%で前月比0.6%(年率7.4%)ですから、まだインフレ加速中という事になります。

エネルギー価格が下がっても自家製インフレが進むのが最もまずい事なので、心配という向きもあるかと思います。

この辺りはエネルギー価格が下がれば下がるもの、関係なく上るものを探しますと、食糧、新車、家賃、医療サービスは上がっていて、衣料、薬品は上がっていない、運送サービスはガソリンが下がれば下がりそうといったところでしょうか。

家賃や医療サービスは多少便乗値上げ的な感もしますが、こう見てきますと、もう1~2か月、食料・エネルギーを除くコア部分の動きを見ればはっきりするでしょうが、金融引き締めは、何とか上手く効いてくるような感触が持てるのではないでしょうか。

多少希望的観測も入っているのかもしれませんが、皆様いかがお感じでしょうか。