tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

力技では世界を動かせないのでは・・・

2019年11月08日 23時36分20秒 | 政治経済
力技では世界を動かせないのでは・・・
 戦後世界でもダントツだったアメリカは、その経済力も次第に落ち、国際競争力も落ち、経常収支赤字が固定化したところから、ドルの金兌換停止、変動相場制移行、それによるドル安から始めて、追い上げる国への為替レート戦略、次いで金融工学を駆使したマネー戦略、さらにはゼロ金利の導入によるドル安実現、など窓、多様な戦略で赤字解消を狙ったのですが、こうした奇策が却って仇となり、アメリカ経済への信用は低落、赤字解消は遠のく状況は変わっていません。

 信用を失墜したアメリカには資金の流入が難しくなるのは当然でしょう。こうなると後は力技でしょうか。
 当面のライバルはGDPでアメリカを追い越そうと頑張る中国です。手段のなくなったアメリカは、これまでの「自由貿易がベスト」という主張をかなぐり捨てて、関税戦争を仕掛けることになります。

 しかし、やってみれば中国の生産力を活用してアメリカを始め世界に Made in China の製品を輸出していた企業の中には多くのアメリカ企業があったのです。GMの車もアイフォーンも中国製・・、といったのが現実でした。 アメリカは返り血を浴び、次第に見直しを迫られつつあるようです。

 トランプさんは、もう一方では、力を抜いてコストを下げる政策も考えられてきました。選挙の公約でも「もう世界の警察官はやめる」という趣旨の発言をしています。

 国連機関からの脱退、外国への米軍の派遣や駐留の資金負担の見直し、引き上げです。
 NATOや日本も槍玉にあがり、日本の「思いやり予算」も愈々「重い槍予算」だ、などの駄洒落もあるようです。
 アメリカ軍の引き揚げ問題はより深刻です。混乱している世界のパワー・バランスに与える影響を考えれば、アメリカも簡単には「やーめた」というわけにはいかないでしょう。
 

いずれにしても、覇権国をもって任じてきたアメリカが、その権威は保ちつつ、役割の方は縮小しようといっても、世界は納得しないでしょう。覇権国には、それなりのコストを払うことを世界は期待しているのです。

今日の世界で究極の力技とは何でしょうか。多分それは核戦力でしょう。しかし、もし誰かがそれを使えば、人類は破滅の危機に陥るでしょうから、現実には脅しとしてしか使えないというのが多くの人の理解でしょう。。
 ならば、経済の分野で、力技で世界を動かすことは、かつてのアメリカの方針で、貿易から金融まで自由化を進めてきた今の世界では、多分不可能でしょう。

 トランプさんも、次第に、態度を柔軟にした方が支持を得られると思うようになっているのかもしれません。(いま世界は株高ですが、マネーマーケットはそれを読んでいるのかもしれません。

 ところで2つほど付け加えておくことがあるような気がします。
 1つは、いまアメリカが「 CLO」を売り出していることです。しかし、世界的にアメリカの証券の信用は地に落ちたままです。日本では日銀がすでに警告を発しています。

 もう一つは、アメリカ発の新経済理論「 MMT]です。通貨供給はいくら増やしてもいいのだという詭弁に類する経済理論です。そして、その成功例として、日本が巨大な財政赤字を積み上げながら、インフレにもならず政府の信用も落ちず、経済は安定しているという現状が引き合いに出されています。

 この理論が認知を得れば、アメリカは甘んじて赤字を出し続けられるかもしれませんが、多分行く先にはお思わざる破綻が待っているでしょう。

 何せ、日本は万年黒字の国で、アメリカは万年赤字の国です。国民の思考方法が真逆です。
 この2つが大手を振って世界でまかり通るようなことは多分ないと思いますが、やはり要注意ではないでしょうか。

万年経常赤字のアメリカの国際経済戦略

2019年11月07日 14時14分50秒 | 国際経済
万年経常赤字のアメリカの国際経済戦略
 1970年代に入り、覇権国アメリカは経済力の相対的低下を変動相場制で切り抜けようとしたのですが、経常赤字は続きます。国の赤字も家計の赤字と同じように、ファイナンスしなければ(資金繰りをつけなければ)なりません。
赤字の主因は貿易収支で、問題は貿易赤字の解消ですが、アメリカの消費意欲は旺盛で、国内総支出の方が国内総生産を上回るので、経常赤字は消えません。

変動相場制ですから、ドルを大幅に切り下げれば赤字解消になるはずですが、基軸通貨国の面目にかけてもそれは出来ないでしょう。

 当時の日本は、高度成長期で、1968年にはGDPで西ドイツを抜き、アメリカについで世界二位になり、1973年からの2度の石油危機も、石油のほぼ全量を輸入に頼りながら、欧米に先駆けて克服、アメリカ経済を追い上げ、アメリカの貿易赤字の元凶と見られていたようです。

 そこでアメリカは、ドル切り下げはなく、円を切り上げさせて日本の競争力を削ぎ、日本の追い上げをストップさせ、覇権国の権威を守ろうと策したのでしょう。
 それは具体的には1985年のG5の場で「 プラザ合意」による円切り上げ要請でした。

 日本は数々の恩義あるアメリカの要請を快諾しています。さらにアメリカの内需拡大すべしという助言もあって、真面目な日本は、大幅な金融緩和をやり、「バブル経済」を招き、その「崩壊」も経験し、30年近いゼロ成長時代を苦しんで、アメリカの日本追い落とし策は大成功という事になりました。

 そして次に、日本に代わってアメリカ経済を追い上げたのは中国でした。中国は共産党独裁の国で、社会的市場経済の原則を掲げ、経済体制の異なる国です。
 そして、アメリカは勿論、世界中からの投資を受け入れ、急速に生産力を強め、2010年には日本を抜いてGDPはアメリカに次ぐ2位に躍進、世界の工場として、日本に代わり対米輸出のトップになり、アメリカの赤字を増やすことになります。

 中国は日本と違い覇権国を目指す可能性も高いと思われます。そして、アメリカは、対日政策の成功の二匹目のドジョウを狙い、中国に「人民元切り上げ」を迫ります。
 しかし、中国は、すでに日本の失敗を良く学んでおり、「人民元の価値はアメリカではなく中国が決める」と突っぱねます。

 一方アメリカはマネー資本主義という新たな戦略も考えていました。貿易が赤字ならば、その赤字をマネーゲームで埋めればよい、という理論です。
 アメリカは金融工学という分野を打ち立て、その分野でノーベル賞を受ける学者も生み出し、日本でも、理工系の製造業離れ(金融業界志向)といった状況が生まれています。

 この理論を生かしたのが、当時「なぜアメリカ経済は(経常赤字でも)繁栄を続けるのか」といわれた「グリーンスパン・マジック」だったようです。
 この戦略の現実は、サブプライムローンという低信用債権を担保に証券を発行、金融工学で飾り付けてAAA格付けして世界に売り捌くといったことも含んでいました。

 結果的に、サブプライムローンか焦げ付き、AAA格付けの証券は暴落、それを買った世界中の金融機関やその他法人個人の財産に大穴が空き、世界金融恐慌かといわれたリーマンショックが2008年に起きたわけです。
 結果、アメリカの経済価値の拠り所と見られていたアメリカの証券の信用は失われ、アメリカの致命傷になったようです。

 今、アメリカは、また二匹目のドジョウを狙って「 CLO」という証券を出していますが、アメリカ国内以外でまともに買っているのは、日本の金融機関ぐらいではないでしょうか。

 こうして、今に至る万年経常赤字を抱えて、アメリカは、今、トランプ政権になっている訳です。
 もうトランプ政権には、経常赤字を改善するためのまともな手段というのは経済引き締めをして、国内需要をGDPの範囲にすることしか残されていないように見えます。
 しかしそれをやればアメリカは大不況になり、世界もその影響を受けることが当然予想されます。
 トランプさんも悪い時に大統領になったのかもしれませんが、何か八方塞がりの中で、八方破れの政策で無理を重ねているように感じられます。
 
さて、これからトランプさんは何をやろうというのでしょうか。そしてトランプさんの来年の選挙はどうなるのでしょうか。
 次回もう少し考えてみたいと思います。

戦後の覇権国アメリカは何をして来たか

2019年11月06日 23時41分20秒 | 国際経済
戦後の覇権国アメリカは何をして来たか
(毎日アメリカの事ばかりで済みません)
 第二次世界大戦までの覇権国は7つの海に君臨したイギリスでした。しかし急速に経済力をつけたアメリカは、圧倒的な強さで太平洋戦争を制し、原子爆弾を持つ軍事力、経済力共に抜群の大国として新たな覇権国になりました。

 戦後のアメリカは、巨大な生産力を民生品や海外援助に活用し、「バターも大砲も」といわれるゆるぎない覇権国でした。
 さらに、戦後のアメリカは寛容で気前良く、国内では「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」を確立し、ヨーロッパににはマーシャルプラン、日本にはガリオア、エロア資金といった復興援助をする自由世界の良き覇権国だったと思います。

 しかし、1960年代も終わりに近づくころには、東西冷戦という環境下で、60年代半ばからのベトナム戦争もあり、自由経済圏の覇権国として出費がかさむと同時に、世界では60年代の西ドイツ、日本などの経済成長も著しく、アメリカの相対的経済力は次第に落ちてきたようです。

 この経済力の変化は、1971年のニクソンショックに象徴されるわけですが、ニクソン大統領は基軸通貨国の象徴であったドルと金の兌換を停止します。
 ドルはペーパーマネーとなり、ドルの信用はアメリカ経済の健全度によって(基本的には)決まるという事になったわけです。

 アメリカ自身、経済力を強くしなければという責任感は強かったでしょう、ケネディ大統領は、「国民は国が何をしてくれるかではなく、国のために何ができるか考えてほしい」と訴えています。

 しかし、覇権国というのはコストのかかる役割です。それを賄うだけの経済力の回復は残念ながら容易ではなかったようです。

 しかし、基軸通貨であるドルを勝手に切り下げるわけにはいきません。基軸通貨国の権威に関わります。ドル価値は変動相場制の中で次第に下がるのですが、アメリカ自身の「強いドル」への郷愁もあるのでしょうか、なかなか下がりきらず、1971年以降もアメリカの経常収支は、今日まで一貫して赤字です。

 その後のアメリカの国際経済場裏での最も重要な仕事の1つが、「経常赤字対策」になったようです。
 日本の経験では、日米繊維交渉から始まって、アメリカの貿易赤字の縮小策に苦しめられることになるわけです。

 戦後の世界トップの経済力を持つアメリカにとっては、固定相場制をベースにした自由貿易体制が最も有利ですから、当時のGATT、IMF体制、いわゆるブレトンウッズ体制を敷いたのですが、その後の世界経済情勢の変化(アメリカの国際競争力の低下)によって、これが次第に邪魔になってくことになり、変動相場制に逃避したのですが、それでも経常赤字は解消しないという厄介な状態が続くことになったわけです.。

 その後のアメリカは、弱った経済力をあらゆる手段を使って何とかカバーし、覇権国の地位を守りたいという事に専念するようになったのでしょうか。
 ニクソン大統領からトランプ大統領まで、その努力は続きますが、そろそろこのままではどうにもならないような世界経済情勢になってきているようです。
 長くなりますので、その後の経緯は次にします。

トランプさんの再選はなくなりそう・・・?

2019年11月05日 23時43分46秒 | 政治
トランプさんの再選はなくなりそう・・・?
 これは勿論勝手な私見ですし、アメリカの事だから解る訳はないのですが、アメリカのニュースや世界の動きを見ていると、トランプさんの独善的な発言や行動が目立ってきて、国内ではトランプさんの行動に批判的な声が目立ちますし,国際的にも、アメリカは身勝手、と見られるような行動が多く、多くの国はそれに反発しています。

 トランプさんは、確かに自分を支持してくれた人たちには非常に義理堅く、公約を果たそうとしているようです。気候変動枠組条約国の会議で合意された「パリ協定」についても期限が来るのと同時に脱退を正式に通告したとのことです。

 ご本人は義理堅くやっているつもりなのでしょうが、こうした国際舞台での行動が、世界中で評判がよくないということが、トランプさんの支持基盤だった人たちにも「やっぱりちょっとまずいんじゃないの」と思われ始めたのではないかといった気がします。

 株価も最高、経済の最高、トランプは最高の大統領と叫んでも、以前のような熱狂は感じられません。
 「アメリカ・ファースト」、「偉大なアメリカを再び」といっても、どうも現実は違うようだ、俺たちの生活はよくないっていないという実感が、熱狂の邪魔をしているのでしょうか。 

 冷静に考えれば、そこまで自画自賛をするような人は「余りまともではない」と判断するのが普通でしょうが、現状に不満を持つ人が多いと、現実には不可能でも、過激な発言をする人に惹かれるという人間の性が、一時の人気を作り上げたという事だったように感じられてなりません。

 対中貿易での関税合戦も、やたらに強く出ると、その影響はブーメランのようにアメリカに帰ってくる事が解り、強気に発言もややトーンダウンせざるを得ないようですし、中国経済痛手を受けて減速といっても、まだ、経済成長率は、アメリカの2倍以上ですから、中国が年々追いついてくる状況にあることは変りありません。

 最後はアメリカ国民が決めることですが、下院の選挙で民主党が勝ったというのは、やはり、このまままでは我々の生活はよくなりそうにないし、世界からの評判も悪くなり、「アメリカの栄光」は戻らないのではないかと、より多くの人たちが感じ始めているように思われます。

 始まった選挙戦では、とても上品とは言えない言葉がトランプさんの口からすでに出始めているようですが、他方では、そういった論戦で、アメリカの分断が進むのが問題といった指摘も次第に強くなっているようです。

 これからの1年、アメリカがどんな選挙戦をするかは、世界にも、もちろん日本にも大きな影響があるでしょうから、もう少し上品な選挙戦をやっていただきたいと思いながら、注意深く見守りたいと思います。

RCEPの重要性と日本の役割

2019年11月03日 10時56分20秒 | 国際経済
RCEPの重要性と日本の役割
 RCEP(東アジア地域包括的経済連携)は確か2013年から構想の実現についての話合いが始まり、今年で何とか決着したいという参加各国の合意があり、明日11月4日に、今回のバンコクでの閣僚会議だ何とかまとめにこぎつけ共同声明を出そうという点で一致を見ているという報道です。

 このブログでも2017年、 RCEPの会合が神戸であった時、日本の役割に重要性を指摘していますが、今回はいよいよ大詰め、経産大臣の交代などもありますが、それはそれとして、日本の大事な役割はしっかり果たしてほしいと思う所です。

 問題は8割がた纏まっているといことで、論点の詳細は報道されていませんが、難関と思われるのはやはり二大大国、中国とインドの意見がなかなか一致しないという事のようです。

 いまや中国は世界の工場、モノの生産能力は巨大で、製品のレベルも目覚ましく上がっています。
 一方、インドはIT大国などといわれ、IT技術の面では急速に発展してきていますが、モノの生産という面では、中国にはちょっと太刀打ちできないようです。

 折しも対米貿易問題を抱える中国は、13億の人口を擁するインドへの輸出の積極化は至上命題でもあるのでしょうが、インドの方は、すでに対中国で大幅な輸入超過・貿易赤字を抱えるという状態のようで、RCEPの目的である、貿易の自由化を、あまり急速に進められない事情にあるという事でしょう。

 この辺りは、恐らく「日本の出番」と頼りにしている国も多いのではないでしょうか。
 中国が対米貿易問題で「自由貿易促進」の立場を強めているというのは大変結構なことですから、自由貿易の理念と現実を十分に考慮しつつ、東アジア経済圏の30年、50年先のバランスのとれた経済発展という世界経済史の変化でもあろう過程で、いかなる長・短期の政策バランスがより良い選択かを、参加国全員に理解してもらうような行動が必要でしょう。

 特に中国に対しては、途上国においての経済支配を強めるような拡大政策は長い目で見れば、決して良い結果を齎さないという現実を十分理解してもらう必要があるでしょう。
 さらにこれからの覇権国は、いずれの国がなるにしても、名誉や権威はあっても、経済的には持ち出しの多いものにならざるをえないというのが、これからの国際関係だろうという事を理解するような話し合いが必要のように思います。

 残念ながら、日本の現政権は覇権国追随といった選択に終始しているようですが、アジアの中では、これからアジアの役割が地球社会で、ますます重要な地域にならざるを得ないことを前提に、新しい、あるべき世界秩序に向けて、確りと行動することが必要でしょう。

縄文時代から日本が築いてきた「多様の共生による平和と安定そして発展」の実現という 日本の伝統文化は、そのために大いに役に立つ指針を提供してくれるのではないかと思っています。

雇用統計も景気減速を示す

2019年11月01日 15時48分30秒 | 労働
雇用統計も景気減速を示す
 今日、総務省統計局から2019年9月の「労働力調査」が発表になり失業率が上昇したとのことです。
 まず、季節調整済みの失業者数を見ますと今年の5月から162万人、6月161万人、7月154万人、8月154万人と減少傾向でしたが、9月は167万人という事で(季節の影響は除去していありますので)9月に至って少し増えました。

 同じく季節調整済みの失業率(正式名称は完全失業率)は、7月、8月と続いてきた2.2%から2.4%に0.2%ポイント上昇しています。
 失業率というのは、大きく変化することはあまりない数字で、0.2の上昇というのは、ある程度の変化が生きたことを示しているとみられます。

 同じ日に労働省から発表された9月の有効求人倍率は1.57倍で、こちらも前月の1.59倍から1.57倍に低下しています。
 こちらは、今年の4月から1.63倍程度の水準が続いていましたが、その後傾向的に下げています。

 確かに毎日曜日、新聞に折り込まれている求人広告の枚数、そのページ数も、夏ごろから大分少なくなったように感じていましたが、この所、大企業の雇用削減などの報道もあり、何となく雇用情勢にも変化が出てきたようです。

 もともと雇用情勢を示すこうした数字は、景気指標から言えば遅行指標で、景気の方向転換から何か月か遅れて出てくるのが一般的ですから、米中摩擦をはじめ、国際経済情勢の変化、すでにはっきりしている中国経済の減速、そのアジア諸国への影響が日本経済にも出てきているのは当然でしょう。

 政府・日銀は、景気は緩やかに拡大といい続けたいようですが、この、この国際経済情勢の中で、日本だけが好況を保つことが可能とはだれも思わないでしょう。
 アメリカそして日本の株価は、高値を維持してきていますが、国の景気政策で先行指標である株価が遅行指標になっているのかもしれません。

 いずれにしましても、当面の経済減速は避けられないでしょう。
 ただこの世界経済の不振は、経済事態に内在する現象として起きているというよりは、大きく見れば世界の覇権争いの始まりといった状況も含んだ、国際政治の結果としてのものという事も、ほぼ衆目の一致するところでしょう。

 という事であれば、今日、国際政治のメイン・プレイヤーとなっているような人たちが、自分や自国の都合だけを考えずに、世界人類社会の平穏と安定そして経済の発展を考える様な態度に変化をすれば、忽ち状況改善の可能性があるということでしょう。

 戦争や紛争を避け、人々の平和と安心への努力は、人類の知恵として続けられているはずですが、そうした世界の人々の本音が、国際政治の表にもぜひ出てきてほしいと思う所です。