tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

平家ボタル順調に生育中

2016年10月09日 13時50分02秒 | 環境
平家ボタル順調に生育中

  

 今年はゲンジボタルの産卵、孵化に成功、これで来年の羽化までと思っていましたが、結果は残念ながら失敗でした。原因は完全には特定できていませんが、多分、水循環の際のゴミ除去用に使ったガーゼに消毒薬が残っていたのではないかと考えています。

 もともと蛍は極めて環境に敏感ですし、特に生まれたての幼虫の場合はまさに「要注(幼虫)意」だったようです。

 ということで現在はヘイケボタルの幼虫だけです。こちらはゲンジより1か月ほど遅い産卵、孵化ですから十分に注意しています。

 現在大きいもので1cm近く、小さいもので5㎜ぐらいでしょうか、屋内の発泡スチロールの箱の中で元気のようです。昼間は貝殻の下などに潜っていて、夜になるといっぱいに広がって出歩いています。餌を探しているのでしょう。

 餌は主としてモノアラガイ、サカマキガイ、それに時々冷凍シジミを解凍して刻んでやります。幼虫が小さいうちはタニシのような蓋のある巻貝は食いつきにくいので、蓋を持たない小型の巻貝を軒下の水槽で小メダカと一緒に育ています。毎日水槽の縁まで上がって来るのを集めて幼虫の餌にします。
 あまり上がってこないときは、タニシやカワニナ、冷凍シジミ出番です。ヘイケボタルはかなり雑食です。

 上の写真は、冷凍シジミに群がる幼虫で、左側のほうが拡大率が大きくなっています。
 ホタルの幼虫というのはあまり格好のいいものではありません。人に見せると「こんな気持ち悪い虫が、あの綺麗に光る蛍になるんですか」と言われますが、その通りだから仕方ありません。

 涼しくなって、作業がしやすくなったので、庭のU字溝を少しきれいにして、年内か年を越してから幼虫の半分はU字溝に、半分はベランダの発泡スチロールの箱で羽化させ、羽化率を比べて見ようと思っています。
 従来の羽化率はどちらも同じくらいで、約50パーセントほどでした。繭を作るための上陸装置の作り方で、羽化率を高めるのも課題です。

金利と為替レート:日本経済復活のカギ?

2016年10月08日 14時51分24秒 | 経済
金利と為替レート:日本経済復活のカギ?
 前回から金利の問題に為替レートの問題が加わってきました。実はこの2つは決定的に絡まりあって来ているからです。
 その関係で前回「プラザ合意」に触れました。 プラザ合意とは何だったのかは、十分ご承知の方も多いと思いますが、私なりの解釈は、下線部分のクリックでご覧いただけます。

 金利と為替レートの関係は、他の条件に変化がなければ、金利を上げれば為替レートは高くなるというものです。お金は金利の高い方に流れるからです。
 現に、アメリカの金利引き上げ予測のたびに、ドル高・円安になります。

 リーマンショックで世界中の銀行のバランスシートに大穴があいて、日本の銀行も苦労しました。しかし確かにバーナンキ流の異次元金融緩和で第一次大戦後のように、大恐慌や世界戦争に発展せずに済んだようです。
 勿論、金融政策だけでなく、社会政策の充実、国際的な理解と協調の賜物でしょう。

 さて、張本人のアメリカはどうかというと、世界の温かい見守りもあり何とか安定を取り戻し、ダウ平均も史上最高、万年経常赤字は変わりませんが、シェールオイルも出て、回復基調、いよいよ利上げという段階に来ています。

 しかし、利上げをすればドル高になり、国際競争力は弱まり、経済の回復力も弱まって、経常赤字はより深刻になるわけで、利上げをしてもドル高にならないようにと極めて慎重です。果たしどうなるか、初めての実験、お手並み拝見というところでしょう。

 では日本はどうでしょうか。日本はプラザ合意で為替レートを、1ドル240円から120円と2倍の円高にされ「失われた20年」を経験さらにリーマンショックで80円にされ、日本経済存亡の危機にありました。

 スティーグリッツも「1ドル80円じゃ無理だよ、少し円安介入したら」などとアドバイスをしてくれるほどでした。
 こうした環境の中で、通貨の番人日銀も、次第に円安転換の必要性を感じていたようです。そして白川総裁から黒田総裁に変わり、アメリカと同じ「異次元金融緩和」に踏み切りました。

 プラザ合意を決めたG5の国々も、日本の惨状を知って「1ドル80円は行き過ぎ、可哀相だ」という気持ちもあったのでしょう、国際投機資本も、そのあたりの雰囲気は察知していたのでしょうか、二回の異次元金融緩和で円は1ドル120円に戻しました。

 ここでは、金融緩和は、企業活動の潤滑油をしっかり注油して、企業活動をやり易くするというよりも、「為替レートを円安にする」という金融市場への働きかけとして使われたのです。そして、マネー資本主義の盛行の中で、それは成功しました。
 お蔭様で、安倍さんは「アベノミクス」大成功、ということが出来ました。

 しかし、残念ながら、その後のマイナス金利を含む第3次の金融市場への働きかけは 効果を示せませんでした。そして、経済成長率も物価も上がりません。
 アメリカの異次元金融緩和も、日本の場合も、非常事態の救済には役に立ったのでしょう、しかしそれ以上ではなかったようです。
 これはその後のアベノミクスが国民への働きかけ「一億層活躍」「働き方改革」などに注力していることからも見て取れます。

 繰り返して言えば、黒田日銀の2回の異次元金融緩和は、円高で動きの取れない日本の企業の「円高」という障害は取り除きました。しかしそれ以上のことはうまく出来ないようです。

 結局、金融緩和という政策は、潤滑油の供給という意味でも、また、(今日のマネー資本主義の中での)金融緩和と為替レート対策の組み合わせ政策の中でも、動かない機械を動くようにすることはできても、さらに機械の動きを積極的に活発化することはできないようです。

 こうして、おカネの動き、金融政策だけで、経済がどうにでもなるという考え方は、「やはり違うな」という事が見えてきたように思われます。
 経済は人間がお金を使ってやることですから、人間が何を考えるかで決まってくるのです。残念ながら、人間はおカネだけでは動かないという、ごく当たり前の所に帰って来ているのではないでしょうか。

金利と為替レート:マネー資本主義の手先に

2016年10月07日 10時29分15秒 | 経済
金利と為替レート:マネー資本主義の手先に
 金融政策で景気はどうにでも操作できるという過信(迷信)はなぜ発生したのでしょうか。この問題は結構根の深い問題のようです。

 現実には、実体経済論者と金融(マネー)資本主義論者の論争という形で展開されるようです。そして問題の中心は「金融政策で景気は良くなるのか」という事でしょう。
 例えば、FRBの前議長のバーナンキさんは「1929年発の世界恐慌は金融緩和で解決可能だった」というkマネー重視論者で、今の議長のイエレンさんは労働経済学出身で実体経済論者と言われています。

 リーマンショックの時はバーナンキさんが異次元金融緩和で金融恐慌を防止し、何とか落ち着いたところでイエレンさんにバトンタッチし、今度は実体経済を注視しながら利上げを狙うというのはいい連携だったのかもしれません。

 話が横道にそれましたが、金融万能的な考え方は基本的に誤りでしょう。おカネというのもが余りに便利なものなので、おカネさえあれば何とでもなる、あるいは、みんなお金が欲しいのだからお金で釣れば何でもできるという考え方が基礎にあるようです。

 以前「 金融資本主義の行方」というブログを書きましたが、出来れば、ここでそれを読んでいただきたいと思います。

 今の先進的(と言われる)金融論や金融機関の現実の行動は金でカネを作るという形で、カネだけ扱っいてればいいという事になってきています。証券、債券、その派生商品(デリバティブ)などを動かして資本利得(キャピタルゲイン)を求めるのです。

 本来の金融というのは、実業(農業・製造業・サービス業)に金を貸すことで実業に利益を上げさせ、この利益の中から利息を取って収益としていました。
 カネでカネを儲けて済ますというのは、「ピンク色の貝を拾って、沢山拾ったから儲かったといっているのと同じです。誰かがきちんと生産をしてくれないと、おカネだけあってもただの貝殻、紙幣なら紙屑です。

 それでも現実に、金融機関はマネーゲームに傾斜しました。実業にモノやサービスを作ってもらって、その利益から利息をもらうなどという回りくどいことより、株や、債券やデリバティブの売買で直接カネを儲ける方が手っ取り早いと考えるのです。

 そして巨大金融機関は「投資銀行」化していきます。しかしマネーゲームは投機ですから儲ければ大きいが、大損もします。リーマンショックのようなことが起こり、世界中の金融機関のバランスシーに大穴が空きます。
 その一方で、アメリカの実体経済を担ってきたGMやコダックのようなかつての世界的超優良企業は倒産という惨状になります。

 当時FRB議長のバーナンキさんはバーナンキ理論に従って、金融危機を異次元金融緩和で乗り切ることにします。こうしてゼロ金利時代が世界に広がります。

 実はこれより前に、為替レートの変更で、経済を動かそうという実験がありました。それは プラザ合意です。
 キャピタルゲインへの傾斜、為替レートの変更(かつての近隣窮乏化政策)は第1次大戦後にも世界で流行り、世界恐慌の引き金になったのでしょう。
 この世界恐慌はケインズ(理論)政策で救われたという事になっています・・・。

 今回の世界金融危機は、「異次元金融緩和」と「為替政策」の組合わせで、未然の防止と乗り切りへの努力がされていますが、今、その後始末が世界の金融、そして実業の経済活動を混乱させ、世界経済の不安定、不振を齎しているようです。
 多分新たな実業、実体経済重視の経済理論が必要なのでしょう。例えば、今の日本の場合はどうなのでしょうか。

金利:「経済→金利」から「金利→経済」へ

2016年10月06日 10時22分57秒 | 経済
金利:「経済→金利」から「金利→経済」へ
 このブログでは繰り返し書いてきていますが、前々回も「実体経済の活動の潤滑油であるべき金融が、実体経済をコントロールするために使われるという「主客転倒」の金融政策万能主義の思想」と書きました。「経済状況によって金利は動く」から「金利を動かせば経済が動く」に変わったのです。「逆もまた真」でしょうか。

 経済活動が活発になれば、投資や消費が増えますから、油切れ(カネ詰まり)を起こさないように潤滑油は沢山必要(金融緩和で金利を下げる)でしょう。
 中央銀行は潤滑油、つまりおカネの供給を増やさなければなりません。そうしないと金利が上がって、経済活動にブレーキがかかっていまします。

 市中により多くの金を流せば、景気は持続して上昇します。しかしこれが行き過ぎると景気過熱になったりバブルになったりします。放置すると危険ですから金融を引き締めて景気を冷やして安定成長にしようというのが金融政策です。

 こうして、本来の金融政策は、積極化する経済活動を支援したり、行き過ぎを抑制したりという役割を持っています。
 経済の過熱を抑制するための金融の引き締めは通常よく効きます。問題は、経済が不活発の時、金融を緩めれば、経済が活発になるかという問題です。

 機械の油が切れているとき注油してやれば機械は順調に動きだします。別のたとえで言えば、動物が寒くて動かないときに、暖かくしてやれば活発に動き出すでしょう。
 しかし、油切れでないのに注油しても効果は出ないでしょうし、動物が具合の悪い時に暖かくしてもやはり動かないでしょう。

 今、日本経済は不振です。日銀は金融を緩めれば、経済は動き出すという考えで、金利をゼロまで下げ、国債やETFを市場から買い上げて、おカネはじゃぶじゃぶです。日銀短観でも、金融機関の貸し出し態度は「緩い」が大勢です。

 今の日本は、金融を緩めれば経済活動が活発化するという状態ではないようです。多分、経済活動不活発の原因が、違う所にあるのでしょう。
 単純に言ってしまえば、金がなければ、金を使う活動はできません。しかし、金があっても、本人が活動する気がなければ、活動しないのです。

 金融政策で景気浮揚というのは、経済活動をしない理由が「カネがないから」というときだけの話でしょう。

 しかし日本銀行といった中央銀行までが、金融緩和で景気浮揚が可能と言い、ヘリコプターマネーなどという経済用語が生まれているのです。何故でしょうか。経済学、金融論そのものが歪んでしまったのでしょうか。 何故、そんなことになったのでしょうか。

「金利」:金利水準に影響する要素は

2016年10月05日 12時43分36秒 | 経済
「金利」:金利水準に影響する要素は
 中世から近世への社会の変化の中で、金利が合理的なものとして認められてきたという事は「言われてみればそうなのか」と分かるように思います。

 では、金利が合理的と認識されるとしても「どれだけ金利を払うか」は結構難しい問題です。
 「わかった、貸してやろう。その代わり儲かったら儲けは折半てのはどうだ」と言われて、「それでもいいから貸してくれ」というか、「半分持っていかれちゃ厳しいから、誰かほかから借りる」かは、ほかに貸してくれそうな人がいるかどうかで決まります。
 探したら「わかった、その代わり儲かったら俺に3割よこせ」という人がいたら、その人から借りるでしょう。

 つまり基本的には、金利の水準はマーケット(借り手と貸し手の駆け引き)で決まります。では。マーケットは何を基準にするのでしょうか。 
 マーケットには大勢の参加者がいて、それぞれの参加者の事情や考え方がありますが、金利が高すぎれば借り手がない、低すぎれば貸し手がいない、ということで、その間の適当なところで決まるという事でしょう。市場原理と言われるものです。

 そうしたマーケットに影響を与える要因は大きく2つあるように思えます。
 1つは、金を借りる人の儲けが大きければ多少は高い利息でも借りたほうが得だという借り手側の気持ち、もう1つは、おカネを貸しているうちに物価が上がってしまったら、低い利息では損になる、インフレ分をプラスした金利は欲しいという貸し手の気持ちです。

 一般的な言い方をすれば、1つは景気のいい時は金利は高くなる傾向がある、もう1つはインフレの時は金利が高くなる傾向がある、という事でしょう。

 ところで今は「ゼロ金利」「マイナス金利」です。仕事をしても儲からないほど景気が悪いからでしょうか、さらに、物価上昇は本当にゼロでしょうか、インフレがないから貸し手は利息はゼロでもいいというのでしょうか。
 そんなことはないようです。企業の収益状況は割合順調ですし、ゼロ金利に不満な庶民は、「自分で利息を付けて(貯蓄を増やそうと利息の付かない分預金などの積み増しをする)いる」といった状況です。

 どうも市場原理がまともには働いていないようです。誰かが歪めているのでしょうか。

「金利」:本来の意味を考えてみれば

2016年10月04日 10時40分39秒 | 経済
「金利」:本来の意味を考えてみれば
 今、日本の金利は「ゼロ」とか「マイナス」とかいった異常な状態にあります。金融政策といった極めて技術的、技巧的な考え方を前提にして、いかにもそれが正しい方向のように説明したりしていますが、本当は、矢張り、「異常」な状態でしょう。

 ご承知のように「おカネ」には3つの機能があります。①経済価値の基準、②それを利用した決済機能、③経済価値の保存の3つです。
 おカネの存在が、天ぷらそば1000円、Tシャツ1000円、同じ価値と決めてくれ、決済は簡単です。また1000円札を持っていれば、いつまでも1000円の価値があり、腐ったりしません。

 金利は3つ目の価値の貯蔵に関わるルールです。お金を使うのを我慢して他人に貸した場合、自分は我慢し、相手は便宜や利益があるわけで、それならこちらが我慢した分に対し、感謝の気持ちの分をいくらか(利息を)払えという事です。

 多少えげつないという事もあって、中世までは金利は悪でした(イスラムでは今も金利はありません)。シェクスピアの「ベニスの商人」でも金利を取る金貸しのシャイロックは悪者です。
 
 しかし、近世になって、金の貸し借りが増え、次第に金利が認められるようになりました。R.H.トーニーやマックス・ウェーバーが指摘しましたように、金利を認めたことが、資本主義経済を発展させたのです。

 今でも、家族間の金の貸し借りでは、通常、金利などは取りません。他人との間の貸し借りが一般的になると(金融機関の発生と発展)金利は誰もが正当と考えます。中世はみんな親戚だったと考えれば金利は「悪」という気持ちもわかります。
 
 所が折角金利が正常な経済活動の中で合理的と認められたのに、今は金利がゼロです。銀行が日銀に金を預けると 金利はマイナス(日銀が預かり賃を取る)です。
 中世に戻って、資本主義発展以前の状態でしょう。これでは資本主義は成り立たないはずです。

 何故こんなことになったのでしょうか。日銀は「まだまだ金融緩和の手段ある」などと言っていますが、ゼロ金利が常態化しても、資本主義経済、というより自由主義経済は成立するのでしょうか。

 おそらくこうなった理由は、実体経済の活動の潤滑油であるべき金融が、実体経済をコントロールするために使われるという「主客転倒」の金融政策万能主義の思想の結果でしょう。
 そして、さらにその遠因は、資本主義という名前が悪かったのかもしれませんが、資本主義経済が、人間生活を支える実体経済をそっちのけにして、金融経済に迷い込んでしまったことにあるようです。
 
 少し「ゼロ金利」という異常事態に切り込んでみたいと思う方も多いのではないでしょうか。

2016年度上半期のテーマ

2016年10月03日 14時50分42秒 | お知らせ
2016年度上半期のテーマ
2016年9月
「自動運転車」考   小池都知事の所信表明「責任の所在の明確化」が鍵   アメリカはどこへ行く   この所の日本企業の動きを見る   カローラ・ハイブリッド乗り換え1年燃費報告   金利体系の合理性回復へ?日銀の新方針   金利と貯蓄のパラドックス(低金利の罠)   低下する平均消費性向   「文殊の知恵」が泣いている   働き方改革実現会議で真剣な論議を   雰囲気変わるか日本経済?   良く使われる割に良く解らない言葉「支払能力」   大卒就活ルール:大問題の日本、問題にならない欧米   日本も金融緩和政策の出口を探せ   10万年前、10万年後   赤米の収穫   2016年4-6月期GDP第2次速報と企業の設備投資動向   「生命のバランスシート」からの発想   杭州G20、多国間より2国間?   地球の自然と人間との関係   地球環境、地球人類に嬉しいニュース   5回のナゼ:「なぜなぜ分析」の効用   日本的経営:人を生かす知恵を大事に

2016年8月
現政権の証券市場観は?   三題噺:非正規雇用、定期採用、格差社会   アメリカの利上げ:オオカミ少年の気配も?   変動相場制と固定相場制の間で   実体経済を反映した為替相場が合理的だが・・・   アメリカ、ドイツ、日本:変動相場制の中で   やっぱりメジロの雛でした   稔るほど こうべを垂れる 稲穂かな   あらゆる手段で行き過ぎた円高阻止を   バイデン発言の提起するもの?   2016年4—6月期GDP速報の主要点   戦争における先進国と途上国: 8月15日雑感   赤米の出穂・開花   原発廃止は日本経済の起爆剤?   中国の海洋進出の背景   変動相場制は怠惰を正当化?   世界経済不振、元凶は変動相場制?   原爆投下の責任・謝罪論議を超えて   リオと広島:戦争も平和も人が作るもの   行き詰まる金融政策   ツイッターと言語文化   年齢階級別平均消費性向:前回の参考データ   政権も消費性向の低下に関心?   

2016年7月
GPIFの株式運用問題の難しさ   相次ぐ財政・金融政策、効果のほどは?   「モノ言う株主」何をしようとしているのか?   先進国とは何か? 国連・ユネスコの役割は?   「家族」と「国家」の共通点と問題点   公共投資志向か? アベノミクスの新たな展開   為替レートの安定を大事にしよう   賃金問題への補足:格差の少ない日本の賃金制度   最近の賃金問題についての補足など:日本的経営と賃金   経団連、同一労働・同一賃金に異議   より高度な産業・地域、国民経済の創造をリードする金融機関、金融システムへ   金融システム劣化の一面:リスクは誰が   金融システムの劣化ではないのか   参院選の結果が今の民意・・・   蓄電技術とスマート送電網   1ドル100円では日本経済は厳しくなる   日本は「普通の国」に堕すのか?   2パーセントインフレ目標は撤回を   金融政策の副作用は金融政策では直らない  経済実態と合わない政策が問題では

2016年6月
ゲンジ蛍幼虫孵化始まる   EUとイギリス:問われるヨーロッパの知恵   ポピュリズム、短期視点、思索の欠如   瑠璃二文字とオオシオカラ蜻蛉(雌)   統合か分裂か:地球市民   現状の日本経済に似合う為替レート   ワーク・ライフ・バランス再考   消費性向低下と政治不信   日本の家計の将来不安は不可避なのか?   所得・資産と消費行動:格差社会化と消費支出   「格差拡大」「将来不安」「政治不信」   「流動性の罠」の逆襲   赤米の田植え   「リーダー」と「諺」と「ロールモデル」   2016年1~3月GDP第二次速報   蝮の顔をした芋虫   ベーシック・インカム考   アベノミクスの基本的な勘違い   経済政策の前提条件:「円高回避」   消費増税延期の経済計算   国連を育てることの重要性

2016年5月
ゲンジボタル羽化   日本人の心打つ世紀の和解   リーマンショック前、洞爺湖サミットの轍、世界経済は分岐点???   トランプ思想と日本   5S活動の歴史研究に敬意   合計特殊出生率上昇続く   残念だった仙台G7   カローラ・ハイブリッド燃費報告   2016年1~3月期GDP速報   日本経済の立ち位置の再確認   日本の賃金制度、日本的経営、日本の伝統文化   日本型賃金制度をどう裁く   オバマ大統領広島平和公園訪問   タックスヘイブン問題、追補  タックスヘイブンと世界経済   鳥の巣箱、スズメの逆襲   変動相場制の不都合な点   伊勢志摩サミット、財政出動か為替問題か?   みどりの日:緑色とりどり   要注意、アメリカの変化   電気の貯蔵技術を国家戦略に

2016年4月
2015年度(平成27年度)下半期のテーマ   人を育て協力しあう楽しい企業・職場環境を   働くことの意義づけから働き方を考える   働くということ:日本人の知恵は?   今年の蛍、新規蒔き直しに   日本郵政、資金の海外運用へ   シジュウカラ、中間報告   パナマ文書、法人税減税、減価償却率   アベノミクスの評価いろいろ   国際投機資本はストーリーテラー?   小さな春、庭の花々   熊本地震お見舞い   G7代表の広島平和公園訪問の意義   リーダーとフォロワー   おカネの役割の限界: 取引と贈与    この花なんの花?   雇用・賃金構造正常化の兆しか   日銀短観の経済減速をどう見るか   どんな経済政策が可能か4、コンセンサス社会の作法の具体例   スズメもトライしましたが・・・   どんな経済政策が可能か3、民間の力で景気回復を試みる   どんな経済政策が可能か 2、コンセンサス社会では相談が大事

日銀短観(2016/9月):企業、円高に苦しむ?

2016年10月03日 12時49分00秒 | 経営
日銀短観(2016/9月):企業、円高に苦しむ?
 今日、9月度の日銀短観が発表になりました。
 一年前も短観の様子を書いていきますが、当時の企業の感触は「短期慎重、中期強気」というものでした。
 今回は、あまり景色が良くなくて、大企業は慎重、中堅・中小はいくらか弱気といった様子のようです。

 まず景気全体を見ての景況感ですが全産業・全規模の景況を表す数字は、「最近(現状)」が5、「先行き」が2で、6月調査からほぼ横ばいです。
(数字は「良い」-「悪い」の%ポイント差で、プラスなら景況感が良いと答えた企業のほうが多いという事です「さほど良くない」は中立とみて勘定に入れなせん)。

 中身に入れば、
 製造業大企業は、最近、先行きともに6、中堅企業では最近3、先行き1、中小企業では最近-3、先行き—5、
非製造業では、大企業は最近18、先行き16とまだ良い方で、中堅が最近15、先行き10、中小では最近1、先行き—2という状態です。中小程先行きに悲観的です。

 製品・商品の需給判断では、大企業・製造業で、国内需給が最近が-11、先行き—11で需要不足・供給過剰、海外も最近-7、先行き—8です。販売価格判断は最近・先行きともに-10で価格下押し予想です。

 当然収益率も下がってきます。経常利益率(計画値)を見ますと全産業・全規模で、2015年は4.91%(実績)が4.55(計画値)へ低下、製造業は、6.25から5.58、非製造業は、4.29から4.07へ低下となっています。
 利益率の数字は大企業のほうが高いですが、下げ幅は大企業のほうがきついといった傾向が見られます。

 こうした状況の中でも企業が頑張っているのが設備投資です。土地投資を除きソフトウエアを含む企業の設備投資は、2016年度も前年度比6%増(2015年度は同9.4%)とプラスを維持し、これは大企業のほうが大きく、製造業のほうが大きい傾向です。
 何とか技術革新、製品高度化で新たな展開をつかみ取ろうという努力でしょうか。

 全般的に見て、この調査では一般的に企業は「先行き」については厳しくみる傾向がありますが、現状を底入れとみるかどうか微妙なところでしょう。

 ただこの調査で基本的に気なる点があります。それはこの調査の「参考」として記載されている数字で「事業計画の前提となっている想定為替レート」です。
 想定レートは、2016年度通期で1ドルが107.92円、上期108.44円、下期107.42円(大企業・製造業)というもので、今日の状態からすれば現実離れしているものです。

 おそらく現場の企業は、こうした想定レートを置きながら、現状の101円がらみの円高への対応努力を日々重ねておられるのでしょう。
 ちなみに、「政府経済見通し」の平成28年度の為替レートは122.6円でした。

経済財政諮問会議:「2%インフレ」が至上目標?

2016年10月01日 11時54分03秒 | 経済
経済財政諮問会議:「2%インフレ」が至上目標?
 昨9月30日、政府の経済財諮問会議が開かれ、席上「2%の物価上昇実現のために、継続的な賃上げが必要という事で、安倍首相から「賃上げの動きが広がってデフレ脱却につながることを期待する」旨の話があり、民間議員からも「賃上げ主導の物価上昇が必要だ」という事で、「賃上げをしていきたい」という提言がなされたそうです。

 同時に、賃上げのためには生産性向上が必要だから、そのために政府の施策を期待したいという意見もあったとのことですが、生産性が上がれば、賃上げをしても物価は上がりません。必要なのは生産性向上以上の賃上げです。

 マスコミが書いていることですから、「簡にして要を得ている」のでしょう。そのため言葉足らずもあるのかもしれませんが、なぜか、誠に失礼ながら「群盲象を撫でる」という諺を思い出してしまいました。

 安倍さんは、時によって「アベノミクスの成功でもうデフレの時代ではない」と言ったり、また「デフレ脱出のために」と言ったり、デフレとは何か、 今日の日本でデフレの原因は何なのか、などは多分良く解らないでしょうし、同様に、インフレとは何か、インフレの原因にどのようなものがあり、それが国民経済や国民生活にとってどのような意味を持つかなどについても知らないことが多いのでしょう。

 「賃上げ主導の物価上昇が必要」と提言した民間議員は企業の経営者で、労働組合の代表ではありません。大体、賃上げと物価の論議をするときに、通常、最大の当事者であり、責任者でもある労働組合の代表がいなことも問題ですが、それぞれの立場の人がいて、多様な視点から議論をしてこそ、総合的にバランスの取れた提言や結論が出るのでしょう。

 経営者から「賃上げ主導の物価上昇が必要」という意見が出る(労組からなら解りますが)というのはどういうことでしょうか。
例えば、国民経済の安定、国民生活の向上のために
① 賃金が1%上がって、物価は上がらない
② 賃金が2%上がって物価が1%上がる
③ 賃金が3%上がって物価が2%上がる
のどれが一番いいのでしょうか、またその理由はという問題に、本気で答えようとしたら、これは大変難しい問題でしょう。(政府・日銀は③がいいと頭から信じている)

 政府・日銀の姿勢は、何しろ物価を2%上げないことには「『景気』が付かない」、だから「賃上げでインフレを起こそう」という事のようですが、それでいいのでしょうか。
 賃上げが平均2%というときには好調企業は3%。不調企業は0~1で平均が2%というのが実態です。

 これでは国民生活の中では「格差拡大が進行する」という事になります。格差拡大は、一億総活躍とは相容れないでしょうし、社会の不安定化、 将来不安を齎し、消費需要を抑制し不況の原因になることは今や広く知られています。

 デフレの原因にしても、もともと現状の世界経済の中で、日本がデフレになったのは、基本的には「実力以上の円高を強いられたこと(プラザ合意)」によるものです。それに、将来不安による消費不振もいくばくかの役割を果たしているかもしれません。

 賃上げを実現してインフレ経済にすることなどは、政府が「力ずく」ででもやらなければ不可能でしょうし、例え出来たとしても何も良いことはないでしょう。

 物価が上がれば労働組合は物価上昇以上の賃上げを要求するでしょう。インフレは起き始めると加速する可能性( ホームメイドインフレ)があります。当然金利は上昇します。巨大な国債を抱える政府、日銀はどう管理しようというのでしょうか。
 
  今の世界経済は、貨幣流通量としては投機マネーが圧倒的に巨大な「マネー資本主義」の真只中にあります。
 日本は、万年経常黒字と超巨大な財政赤字という奇妙なバランスの上に国民の真面目な努力で何とか不安定の安定を保っています。
 国際投機資本には面白いケーススタディーの対象でしょう。国際投機資本の狙い目にならないような政策の知恵も含めて、賢明な舵取りを期待したいものです。