付加価値からの所得と振替による所得
株式を購入して、その配当を受け取るというのはどういうことでしょうか。
企業は人々のより良い生活のために財やサービスを生産してそれを販売し、人々はそれを購入し活用して、生活が豊かになったり、便利で快適になったりします。
その豊かさや便利・快適のために、人々は購入代金を払います。企業では従業員が設備(資本)を使って働き、例えば、宅配便というサービスを提供します。ゴルフをする人はそのサービスを買って「手ぶらでゴルフに行ける」という快適さを得ます。
企業はその活動で「付加価値」を創っているのです。企業の中では、付加価値は人件費(賃金や社会保険料)の原資となり、設備等資本関係の費用(金利や減価償却費)を払い、残りが利益になります。この利益の中から株主に配当が支払われます。
という事で、株主への配当というのは「付加価値の配分です」。つまり社会の豊かさ、快適さが増えた(付加価値が増えた)、国全体で言えば、GDPが増えたので、それに資本を提供(株を持つ)して貢献したことへの対価として配当が払われるわけです。
しかし、株は買ったけれども、値上がりしたら売って利ザヤを稼ぐためで、首尾よく値上がりして差益が出たという場合は、「付加価値の創造」とは関係ありません。
一人の株主がずっともっていた場合と、値段が上下するたびに株主が変わって、ある人はそれで儲け、ある人はそれで損をしても、企業の作る付加価値には関係ありません。
こうした価格の上下による儲けや損は「キャピタルゲイン」、「キャピタルロス」と言われ、単に、世の中のおカネが、株価の上下を活用したマネーゲームでAさんからBさんに移転しただけです。ですから移転所得、あるいは振替所得と呼ばれます。
昔からコメや小豆の相場で巨万の富を築いたり、財産すべてを失ったりいろいろな話があります。株式売買が一般的になり、今日では金融工学が発達して、株価や金利、為替の変動を利用した多様な金融商品・派生商品(デリバティブズ)が生まれ、投機の手法も機会も社会に満ち満ちています。
付加価値を生産するために働いてほしい理工系の優秀な人材が、金融工学に役立つと金融取引の世界で採用が盛んになった「理工系の製造業離れ」問題などがありましたが、社会は本能的に将来の問題を認識していたという事でしょう。
確かに、手間や時間をかけてモノやサービスを生産し、そこから生まれる付加価値の配分としての賃金や配当をもらうより、直接おカネでお金を稼いだ方が、手っ取り早く簡単、しかも金額が大きいというのも現実でしょう。
資本投入 → 財・サービスの生産 → 付加価値の生産 → 賃金
資本投入 → キャピタルゲイン → 賃金
と比べてみれば、その通りでしょう。然し、下のプロセスには「付加価値の生産」が入っていません。その結果、社会はどう変わるのでしょうか。
株式を購入して、その配当を受け取るというのはどういうことでしょうか。
企業は人々のより良い生活のために財やサービスを生産してそれを販売し、人々はそれを購入し活用して、生活が豊かになったり、便利で快適になったりします。
その豊かさや便利・快適のために、人々は購入代金を払います。企業では従業員が設備(資本)を使って働き、例えば、宅配便というサービスを提供します。ゴルフをする人はそのサービスを買って「手ぶらでゴルフに行ける」という快適さを得ます。
企業はその活動で「付加価値」を創っているのです。企業の中では、付加価値は人件費(賃金や社会保険料)の原資となり、設備等資本関係の費用(金利や減価償却費)を払い、残りが利益になります。この利益の中から株主に配当が支払われます。
という事で、株主への配当というのは「付加価値の配分です」。つまり社会の豊かさ、快適さが増えた(付加価値が増えた)、国全体で言えば、GDPが増えたので、それに資本を提供(株を持つ)して貢献したことへの対価として配当が払われるわけです。
しかし、株は買ったけれども、値上がりしたら売って利ザヤを稼ぐためで、首尾よく値上がりして差益が出たという場合は、「付加価値の創造」とは関係ありません。
一人の株主がずっともっていた場合と、値段が上下するたびに株主が変わって、ある人はそれで儲け、ある人はそれで損をしても、企業の作る付加価値には関係ありません。
こうした価格の上下による儲けや損は「キャピタルゲイン」、「キャピタルロス」と言われ、単に、世の中のおカネが、株価の上下を活用したマネーゲームでAさんからBさんに移転しただけです。ですから移転所得、あるいは振替所得と呼ばれます。
昔からコメや小豆の相場で巨万の富を築いたり、財産すべてを失ったりいろいろな話があります。株式売買が一般的になり、今日では金融工学が発達して、株価や金利、為替の変動を利用した多様な金融商品・派生商品(デリバティブズ)が生まれ、投機の手法も機会も社会に満ち満ちています。
付加価値を生産するために働いてほしい理工系の優秀な人材が、金融工学に役立つと金融取引の世界で採用が盛んになった「理工系の製造業離れ」問題などがありましたが、社会は本能的に将来の問題を認識していたという事でしょう。
確かに、手間や時間をかけてモノやサービスを生産し、そこから生まれる付加価値の配分としての賃金や配当をもらうより、直接おカネでお金を稼いだ方が、手っ取り早く簡単、しかも金額が大きいというのも現実でしょう。
資本投入 → 財・サービスの生産 → 付加価値の生産 → 賃金
資本投入 → キャピタルゲイン → 賃金
と比べてみれば、その通りでしょう。然し、下のプロセスには「付加価値の生産」が入っていません。その結果、社会はどう変わるのでしょうか。