tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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金利:「経済→金利」から「金利→経済」へ

2016年10月06日 10時22分57秒 | 経済
金利:「経済→金利」から「金利→経済」へ
 このブログでは繰り返し書いてきていますが、前々回も「実体経済の活動の潤滑油であるべき金融が、実体経済をコントロールするために使われるという「主客転倒」の金融政策万能主義の思想」と書きました。「経済状況によって金利は動く」から「金利を動かせば経済が動く」に変わったのです。「逆もまた真」でしょうか。

 経済活動が活発になれば、投資や消費が増えますから、油切れ(カネ詰まり)を起こさないように潤滑油は沢山必要(金融緩和で金利を下げる)でしょう。
 中央銀行は潤滑油、つまりおカネの供給を増やさなければなりません。そうしないと金利が上がって、経済活動にブレーキがかかっていまします。

 市中により多くの金を流せば、景気は持続して上昇します。しかしこれが行き過ぎると景気過熱になったりバブルになったりします。放置すると危険ですから金融を引き締めて景気を冷やして安定成長にしようというのが金融政策です。

 こうして、本来の金融政策は、積極化する経済活動を支援したり、行き過ぎを抑制したりという役割を持っています。
 経済の過熱を抑制するための金融の引き締めは通常よく効きます。問題は、経済が不活発の時、金融を緩めれば、経済が活発になるかという問題です。

 機械の油が切れているとき注油してやれば機械は順調に動きだします。別のたとえで言えば、動物が寒くて動かないときに、暖かくしてやれば活発に動き出すでしょう。
 しかし、油切れでないのに注油しても効果は出ないでしょうし、動物が具合の悪い時に暖かくしてもやはり動かないでしょう。

 今、日本経済は不振です。日銀は金融を緩めれば、経済は動き出すという考えで、金利をゼロまで下げ、国債やETFを市場から買い上げて、おカネはじゃぶじゃぶです。日銀短観でも、金融機関の貸し出し態度は「緩い」が大勢です。

 今の日本は、金融を緩めれば経済活動が活発化するという状態ではないようです。多分、経済活動不活発の原因が、違う所にあるのでしょう。
 単純に言ってしまえば、金がなければ、金を使う活動はできません。しかし、金があっても、本人が活動する気がなければ、活動しないのです。

 金融政策で景気浮揚というのは、経済活動をしない理由が「カネがないから」というときだけの話でしょう。

 しかし日本銀行といった中央銀行までが、金融緩和で景気浮揚が可能と言い、ヘリコプターマネーなどという経済用語が生まれているのです。何故でしょうか。経済学、金融論そのものが歪んでしまったのでしょうか。 何故、そんなことになったのでしょうか。

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