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人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金利と為替レート:マネー資本主義の手先に

2016年10月07日 10時29分15秒 | 経済
金利と為替レート:マネー資本主義の手先に
 金融政策で景気はどうにでも操作できるという過信(迷信)はなぜ発生したのでしょうか。この問題は結構根の深い問題のようです。

 現実には、実体経済論者と金融(マネー)資本主義論者の論争という形で展開されるようです。そして問題の中心は「金融政策で景気は良くなるのか」という事でしょう。
 例えば、FRBの前議長のバーナンキさんは「1929年発の世界恐慌は金融緩和で解決可能だった」というkマネー重視論者で、今の議長のイエレンさんは労働経済学出身で実体経済論者と言われています。

 リーマンショックの時はバーナンキさんが異次元金融緩和で金融恐慌を防止し、何とか落ち着いたところでイエレンさんにバトンタッチし、今度は実体経済を注視しながら利上げを狙うというのはいい連携だったのかもしれません。

 話が横道にそれましたが、金融万能的な考え方は基本的に誤りでしょう。おカネというのもが余りに便利なものなので、おカネさえあれば何とでもなる、あるいは、みんなお金が欲しいのだからお金で釣れば何でもできるという考え方が基礎にあるようです。

 以前「 金融資本主義の行方」というブログを書きましたが、出来れば、ここでそれを読んでいただきたいと思います。

 今の先進的(と言われる)金融論や金融機関の現実の行動は金でカネを作るという形で、カネだけ扱っいてればいいという事になってきています。証券、債券、その派生商品(デリバティブ)などを動かして資本利得(キャピタルゲイン)を求めるのです。

 本来の金融というのは、実業(農業・製造業・サービス業)に金を貸すことで実業に利益を上げさせ、この利益の中から利息を取って収益としていました。
 カネでカネを儲けて済ますというのは、「ピンク色の貝を拾って、沢山拾ったから儲かったといっているのと同じです。誰かがきちんと生産をしてくれないと、おカネだけあってもただの貝殻、紙幣なら紙屑です。

 それでも現実に、金融機関はマネーゲームに傾斜しました。実業にモノやサービスを作ってもらって、その利益から利息をもらうなどという回りくどいことより、株や、債券やデリバティブの売買で直接カネを儲ける方が手っ取り早いと考えるのです。

 そして巨大金融機関は「投資銀行」化していきます。しかしマネーゲームは投機ですから儲ければ大きいが、大損もします。リーマンショックのようなことが起こり、世界中の金融機関のバランスシーに大穴が空きます。
 その一方で、アメリカの実体経済を担ってきたGMやコダックのようなかつての世界的超優良企業は倒産という惨状になります。

 当時FRB議長のバーナンキさんはバーナンキ理論に従って、金融危機を異次元金融緩和で乗り切ることにします。こうしてゼロ金利時代が世界に広がります。

 実はこれより前に、為替レートの変更で、経済を動かそうという実験がありました。それは プラザ合意です。
 キャピタルゲインへの傾斜、為替レートの変更(かつての近隣窮乏化政策)は第1次大戦後にも世界で流行り、世界恐慌の引き金になったのでしょう。
 この世界恐慌はケインズ(理論)政策で救われたという事になっています・・・。

 今回の世界金融危機は、「異次元金融緩和」と「為替政策」の組合わせで、未然の防止と乗り切りへの努力がされていますが、今、その後始末が世界の金融、そして実業の経済活動を混乱させ、世界経済の不安定、不振を齎しているようです。
 多分新たな実業、実体経済重視の経済理論が必要なのでしょう。例えば、今の日本の場合はどうなのでしょうか。