tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

続いてほしい平均消費性向の上昇

2024年06月07日 13時54分20秒 | 経済

賃上げが30年ぶりの大幅になったとマスコミが書いた今春闘の中で、年度が替わり大企業中心に4月から新賃金になった年度初めの月、2024年4月の家計調査の「家計収支編」が今朝発表になりました。

ネットでは2人以上世帯の消費支出が前年4月比で実質0.5%増という見出しが多いようですが、今年に入って1~3月は前年同月で、実質-6.3%、-0.5%、-1.2%と物価上昇もあってマイナス続きでしたから、やっと少し様子が変わるかなという所です。傾向的には昨年3月から続いた物価高で落ち込んだ実質消費支出のマイナスが、今年1月の大幅低下の後、少し回復気味になり、4月から水面上に顔を出したといった感じです。

春闘の結果についても、最近は中小の賃上げは難しいという見方もあり先行きが心配されていますが、いずれにしても消費不況は、物価を下げ消費を増やさないと解決しないのですから、賃上げと物価安定と同時に平均消費性向の向上が必要です。

という事で2人以上勤労者世帯について見ますと、勤労者所帯の実質実収入は昨年12月を底に対前年同月比マイナスながら回復基調で、まだ水面下ですが、水面(0%)に近づきつつあるようです。

但し、勤労者世帯の収入の内訳を見ますと、実質実収入はマイナス0.6%(名目は2.3%増)で、世帯主収入はマイナス0.3%で16カ月連続、増えているのは配偶者収入で実質6.0%の対前年増(3か月連続増)で家計を助けているようです。

その結果かどうかは解りませんが、下の図のように4月の平均消費性向は前年同月の73.9%から76.2%に2.3ポイントの上昇です。

      平均消費性向の推移(%、総務省「家計調査」)

これは吉報で、図のように このところ3か月続いての対前年同月上昇ですから、家計の空気が少し変わって来ているのかなという感じもします。

これが傾向的なものか一時的な現象かはまだ読み切れませんが、傾向的なものとなるのには、中小の賃上げや物価の沈静傾向の継続が必要でしょう。

電力・ガス料金のための補助金の打ち切りなど、問題はいろいろありますが、ヨーロッパの金利低下といった動きも報道されています。

アメリカFRB、そして日銀の動きはまだ解りませんが、そうした動きがプラスとですかマイナスと出るかも含めて、為替レートが動けばその影響も出るでしょう。

そうした外的要因とは別に、日本の家計が、今後も貯蓄志向を維持するのか、それとも、貯蓄志向だけでは楽しくないという意識の変化も生まれるのか、長かった日本経済低迷の時代からの脱出がどんな形で実現されていくのか(いかないのか)もう少し見ていていきたいと思っています。


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