昨日から今日のニュースでは、国民にとって大変なことが目白押しですが、大変な事でも、それらがあまり沢山ありますと、どれが本当に重要なのか解らなくなって、総理や担当大臣の言う事も、一つ一つの言葉の重要性があまり感じられなくなって、何気ないニュースの様に受け取ってしまいそうになります。
そんな中の一つに「物価上昇を上回る賃上げ」というのがあってちょっと気になってしまいました。
大きなニュースとしては、政治改革規制法改正法案が、今日採決という事でしたが維新から政策活動費に抜け道があるという意見が出て採決しなくなったことがありました。
岸田さんが、今国会で解散数選挙はまずいという事で解散は無いのだそうだというのも、では、いつになったら自民党にとって良い時期になるというのか大変な問題です。
また、岸田さんが2025-30年度の6年の「骨太の方針案」について基本方針を示したというニュースもあり、その中にはプライマリーバランスの2025年度の達成が掲げられていて、これも大変なニュースです。
またこの6か年計画では「物価上昇を上回る賃金上昇」の定着への具体的の支援策が柱ともありました。
みんな大変なことですが、私の関心の強い労働経済の分野の、賃金と物価の関係という事なのでこの問題が気になったわけです。
関係する財務省や総務省の発言を見ますと、輸入物価上昇や賃上げ分の価格転嫁を進めるなどのことが言われていますが、それによって中小下請け企業の賃金支払い能力を増やし、構造的な賃上げの上昇に繋げるといったことも出ていましたが、これはまず物価上昇につながるもので、それを上回る賃金はどうするのでしょう。
もともと政府には賃上げの機能は無いので「支援策」という事になっているのでしょうが、一体何をやろうというのか、思い出すのは安倍さんの「官製春闘」ですが、これは効果はありませんでした。
今は円安で、輸入物価が上がるとしても、いずれアメリカの利下げて円高の方に振れれば、状況は逆になる可能性が大きいでしょう。その時は輸出産業の円安差益は消えて、差損の世界になります。円高不況の可能性もあります。
確かに持続的賃上げは大事ですが、それが持続的な実質賃金の上昇という事を意味するとすれば、それを支えるのは実質経済成長しかありません。
物価上昇以上の賃上げ実現のために、物価上昇分を持続的に賃金上昇につなげるという労使協定や法律などを作った国もありましたが、それはインフレの激化をもたらすばかりで結局は失敗というのが結果でした。
実質賃金の上昇というのはあくまでも、その国の実質経済成長の結果として可能になるので、実質経済成長の促進という形で作り出す以外にはないのです。
「骨太の計画には」実質経済成長の目標も、勿論掲げられるのでしょうが、今の毎年の「政府経済見通し」のように、来年度の分さえも定かでないような状態では、6年先迄などとても信頼できないという事になりそうです。
成長見通しが崩れれば、総てはその分配ですから総崩れでしょう。これまでの実績が国民の判断材料ですから、選挙を何時にしても、どんな政策を出しても、問題は政府への信頼感次第という事でしょう。
今の状態では、何を掲げてくれても、本気できけないのが国民の多くではないでしょうか。