今日日銀から9月の企業物価指数が発表になり、アメリカでは、日本時間の昨晩、9月分の消費者物価が発表になりました。
折しもワシントンではG20が今日閉幕。ここでは黒田日銀総裁と鈴木財務大臣がそれぞれ日本の円安についいての意見を開陳、政府と日銀の考え方の相違がはっきりしました。
そんなことも含めて今日は企業物価について出来れば明日はアメリカの消費者物価について、見ていきたいと思います。
ところで、黒田総裁の考えというのは、日銀は輸入品の値上がりがなくても円安にならなくても2%インフレになるような経済が望ましいと考えているので、そうなるまで異次元金融緩和は続けますというものです。
鈴木財務大臣の考えは、円安になって日本経済は大迷惑だから、これ以上の円安にならないように為替介入をするつもりだ、というものです。
両方とも理屈は正しいのですが、それなら協力して上手くやる方法はあるなと思うのですが(例えば、政策金利を引き上げて、労使に5%程度の賃上げを要請する)、そういう政府・日銀・労・使の話し合いはいようとしないところに問題が在るようです。
仕方がないので、このブログでは、産業内がどう対応したらいいかをその都度考えるようにすることにしました。
今回は企業物価が1年前に比べて9.7%上がって史上最高で大変だという事ですが。前回も大まかに分析しましたが、これでは未だ輸入価格上昇が国内価格に十分転嫁されていないらしいというところでした。
主要3物価指数の推移
資料:日本銀行、総務省(消費者物価指数9月分は東京都区部)
図のように、輸入価格が上がり始めた2021年の1月から見ますと輸入価格は83.9%上がっていますが企業物価は15.4%しか上がっていません。
前回見ましたように20%ぐらい上ってもいいように思いますが、未だ国内価格に転嫁しきれていないようです。
逆に輸出関連産業の方では円安の分差益が出ていますから、そしてそれはたまたま円安で儲かったのですから、輸入関連の値上がりを受け入れる余裕は出来ているのです。
円安という現象の結果、輸入部門は自動的に損し、輸出部門は自動的に得するというおかしなことを国内価格に転嫁という形で、「価格機構」の働きで消すようにすべきです。
勿論消費者物価(図では3.1%)も上がります。労使という立場でいえば、労働への分配つまり賃金の引き上げ(賃金への転嫁)も入ってくるはずです。
そういうふうに円安による損得を輸入関連部門と輸出関連部門、企業部門と労働部門に合理的に分配すれば、円安が特に問題になることはなくなります。
勿論計算して正確に分けることには限界がありますから、価格機構(労使関係を含む)を出来るだけ公正に働かせることが大事でしょう。(価格機構を無視して政府が補助金を出すのは最悪)
これが出来れば、アメリカやヨ―ロッパのように便乗値上げ・便乗賃上げでインフレを急激なものにすることはありません。
かつて第2次石油危機で日本がやり、その後オランダでワッセナー合意があったことを記憶の方もいらっしゃると思います。
これは価格機構を労使、あるいは政労使の合意で巧く活用した端的な成功例でしょう。
折しもワシントンではG20が今日閉幕。ここでは黒田日銀総裁と鈴木財務大臣がそれぞれ日本の円安についいての意見を開陳、政府と日銀の考え方の相違がはっきりしました。
そんなことも含めて今日は企業物価について出来れば明日はアメリカの消費者物価について、見ていきたいと思います。
ところで、黒田総裁の考えというのは、日銀は輸入品の値上がりがなくても円安にならなくても2%インフレになるような経済が望ましいと考えているので、そうなるまで異次元金融緩和は続けますというものです。
鈴木財務大臣の考えは、円安になって日本経済は大迷惑だから、これ以上の円安にならないように為替介入をするつもりだ、というものです。
両方とも理屈は正しいのですが、それなら協力して上手くやる方法はあるなと思うのですが(例えば、政策金利を引き上げて、労使に5%程度の賃上げを要請する)、そういう政府・日銀・労・使の話し合いはいようとしないところに問題が在るようです。
仕方がないので、このブログでは、産業内がどう対応したらいいかをその都度考えるようにすることにしました。
今回は企業物価が1年前に比べて9.7%上がって史上最高で大変だという事ですが。前回も大まかに分析しましたが、これでは未だ輸入価格上昇が国内価格に十分転嫁されていないらしいというところでした。
主要3物価指数の推移
資料:日本銀行、総務省(消費者物価指数9月分は東京都区部)
図のように、輸入価格が上がり始めた2021年の1月から見ますと輸入価格は83.9%上がっていますが企業物価は15.4%しか上がっていません。
前回見ましたように20%ぐらい上ってもいいように思いますが、未だ国内価格に転嫁しきれていないようです。
逆に輸出関連産業の方では円安の分差益が出ていますから、そしてそれはたまたま円安で儲かったのですから、輸入関連の値上がりを受け入れる余裕は出来ているのです。
円安という現象の結果、輸入部門は自動的に損し、輸出部門は自動的に得するというおかしなことを国内価格に転嫁という形で、「価格機構」の働きで消すようにすべきです。
勿論消費者物価(図では3.1%)も上がります。労使という立場でいえば、労働への分配つまり賃金の引き上げ(賃金への転嫁)も入ってくるはずです。
そういうふうに円安による損得を輸入関連部門と輸出関連部門、企業部門と労働部門に合理的に分配すれば、円安が特に問題になることはなくなります。
勿論計算して正確に分けることには限界がありますから、価格機構(労使関係を含む)を出来るだけ公正に働かせることが大事でしょう。(価格機構を無視して政府が補助金を出すのは最悪)
これが出来れば、アメリカやヨ―ロッパのように便乗値上げ・便乗賃上げでインフレを急激なものにすることはありません。
かつて第2次石油危機で日本がやり、その後オランダでワッセナー合意があったことを記憶の方もいらっしゃると思います。
これは価格機構を労使、あるいは政労使の合意で巧く活用した端的な成功例でしょう。