tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

臨時国会開幕、首相、経済再生が最優先課題

2022年10月04日 14時54分35秒 | 経済
岸田首相の、臨時国会冒頭の施政方針演説が今日のトップニューですが、折しも支持率低下で、朝日新聞の最近の調査では支持率が40%と不支持率の50%を大きく下回る逆風の中です。

支持しない人たちは、多分本気で施政方針演説を聞いたり、新聞の演説文を読んだり、解説を聞いたりする気にもあまりならないのでしょう。余程頑張らないとこの数字を逆転することは困難のように思われます。これからが本当のチャレンジでしょう。

先ず、施政方針演説の中身もさることながら、その前に12月上旬までの会期の中で、最優先の経済問題の議論がどこまで深められるかが心配になる困った問題が山積です。

というのも、野党が、臨時国会で追及しようと手ぐすね引いているのが、「安倍元総理の国葬問題」と、「旧統一協会と自民党の関係」だからです。

安倍国葬の問題は、安倍さんの功績ではなく自民党内の派閥問題、あるいは個人的な感情問題の色合いの強い問題といったのが一般的な感じ方でしょう。
ルールを曲げてまで政権の座に長居し、その間経済成長は殆どなく、現内閣に至って、改めて日本経済再生を最優先課題にしなければならないという人が「国葬」なのです。

旧統一教会問題は、国政に関わるものが、自らの行動を確り律していれば、起こり得なかった問題です。
我々素人から見ても、国政に役立つことをして国民の支持を得るのではなく、票さえ集められれば、それが出世の近道と考えた結果の現象のように思われます。そして、そこを他国の組織に確り利用されたという事でしょう。

恐らく臨時国会ではこうした問題の議論に多くの時間を取られるでしょう。日本経済の再生の問題の本格論議の時間はその分少なくなるのでしょう。

安倍政権の時、モリ、カケ、サクラいった問題に多くの時間を取られ、これらの問題は今に至る国民の納得する解決はない儘に放置され、国政の本格論議は「強行採決などは頭の隅にもない」と言いながら、強行採決が繰り返されました。

国民に理解できない事を押し通すからそういうことになるわけで、今回の臨時国会も、似たようなことになるのを最も恐れるのは国民の良識ではないでしょうか。

以上は日本として大変深刻な問題ですが、施政方針演説で最優先とされる経済再生問題について、最も気になる点を指摘しておきたいと思います。今の経済情勢の中で賃上げが重要問題の1つという事は一致した意見でしょう。
問題は「構造的な賃上げ」という言葉です。
賃上げは構造的に行われるものではありません。一国の産業の担う「労」と「使」が対等な立場で交渉して、双方が納得して決めるものです。(構造的賃上げと言えば、物価上昇分を自動的に引き上げる「エスカレーター条項」ぐらいでしょう。)

安倍政権が「官製春闘」と言いながら8年かかってもできなかった経済を活性化する賃上げを、「構造的」にするなどという事は不可能です。

世界の常識は、賃金決定は労使の専管事項というものです、先進国は何処の国でも労使に任せています。政府が決めるのは全体主義国家のやる事です。

政府は適切は環境作りが仕事なのです。日本は全体主義国家ではありません。賃金決定は民間に任せ、政府は政労使三者のコミュニケーションを密にし、労使の意見をよく聴いて自分の役割を自覚すべきでしょう。