tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

景気浮揚の3条件、岸田政権は本気か?

2022年10月05日 16時35分59秒 | 経済
臨時国会が始まり、岸田政権は安倍・菅政権で出来なかった日本経済の再生に本気で取り組む姿勢を示しているようにも見えます。

為替レートが円安傾向を見せ始めたのが2012年、その後2年で完全に為替レートは日本経済成長の障害にはならないレベルになりました。
最近では、欧米のインフレ対策で金利の急激な引き上げがありましたのでその余波で円安が進み過ぎ迷惑を受けている日本経済です。

日銀は長期視点で、欧米の金利引き上げはインフレが鎮静すれば戻るので一時的、だから金融緩和はこのままでいいという意見でしょう。

政府は、過度な円安は物価上昇にもつながり問題だと為替介入をして円買いを実行したりしています。しかし効果は一時的でした。

中央銀行と政府の歩調が合わないのは困ったことですが、日本もそんな国になり下がったという事でしょうか。情けない事ですが国民は受け入れざるを得ません。

国民は経済の早期回復を望んでいて、政府は政策の最大の柱にそれを掲げ、日銀は異次元金融緩和がそれに役に立つと考えているのでしょう。
目指す所が同じならば、真面目に話し合えば何かいい知恵が出そうなものですが・・・。

ところで、日本経済の再生に必要なことで最も基本的なことは「格差社会化を止め、格差の少ない社会を作る」ことでしょう。この目標に役立つことが日本経済再生のための政策になります。

そのために先ず重要なことは、輸入物価が上がったり、円安になったりして、輸出産業と輸入産業の間に収益格差が出た際の対応の在り方について政府は基本的な「対応の在り方」を産業界と話し合い原則を確認しておくべきでしょう。

特に日本ではプラス・マイナスの価格転嫁がスムーズにいかない事が多いようなので、業界間やサプライチェーンの中で、スムーズな価格転嫁の在り方を普段から検討しとくことは大事でしょう。

これは国際情勢の不安定、為替は変動相場制の世の中では。格差社会化防止の基本的な課題でもあるのではないでしょおうか。

次に、岸田総理の掲げる重要な問題は賃上げでしょう。ただし、賃上げだけやっても、周辺状況を考えないと、企業の収益格差が賃金格差に反映するだけです。
周辺環境とは、基本的には、所得税の累進度を以前の日本のように高める(昭和61年70%、現行45%が最高税率)といったことです。

更に、金利についても、国際情勢で物価が上がる場合、ゼロ金利では不公平が拡大します。高所得者は株式保有も多くインフレ時は有利です、一方、低所得者の貯蓄は銀行預金が殆どです。ゼロ金利では、高齢者の年金と共に目減り一方です。

こうしたことにキチンと手を打たずに「賃上げ」と叫んでみても、格差の縮小には役に立ちません。政府は、賃上げは労使の良識と判断に任せ、所得税の累進税率をはじめ、もろもろの環境整備をするのが本来の仕事です。

こうした仕事は、国民と相談しなければできません。岸田総理は得意の「聴く耳」を大いに活用し、広く国民の声を聴き、格差縮小実現への政策を着実に積み上げ、日本経済再生の早期の実現に成功されるよう心から期待するところです。