tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

習近平の中国は何処へ行く

2021年09月02日 14時15分07秒 | 政治
最近、習近平の中国が何となく心配になってきました。理由は、いろいろな面で独裁制を強めているように思われる事です。

長期独裁政権がまともな形であり続けることは極めて難しい(確率が低い)ことが歴史の多くの例で実証されているからです。

前々回書きました「改革開放」、「社会主義市場経済」から「共同富裕」への道は、理論的にも経験的にもまともなものだと思います。
しかし、それが民主主義社会で行われるのか、あるいは共産党一党独裁のもとで行われるかは、結果的に大きな違いを引き起こす可能性をはらんでいるでしょう。

問題は、世界第二の経済大国になり、いずれアメリカを追い越すと見られている中国が、地球社会の中で、どんな役割を果たそうとしているかですが、それが解っているのは習近平さんだけだという事です。

習近平さんが、経済発展を目指していることは当然でしょう。中国の国内経済の一層の進化を考えていることも、「共同富裕」の方針を打ち出したことからも感じられます。

こうした方向と、南シナ海の領有を主張し、国際仲裁裁判所の判断を紙屑だと言ったり、尖閣列島を自分のもの決めたり、香港の一国二制度を破棄したり、台湾の併合に執心を見せたりといった領土に関わる問題の認識との関連がどうにもよく解りません。

世界が脱石油に走っているのですから南シナ海はの領有は、コストが掛るだけのものになりかねませんし、香港は経済力が落ちるでしょうし、台湾を領有するより、その発展力を生かして経済交流を促進した方がプラスになると考えるのがまともでしょう。
なぜコストをかけてまで領有しようとするのでしょうか。

そのあたりの認識と関連するのでしょうか、習近平さんは、学校教育に習近平思想の導入を始めています。
中国が世界で最も素晴らしい国になるという夢や、一体一路で世界を中国を中心にした社会主義思想で発展させていくといったことを学校教育の十数年で徹底しようというのでしょうか。(なんとなく日本の過去の「八紘一宇」を連想してしまいます)

確かに習近平さんは、民主主義では世界は治まらない。中国流の社会主義でなければ不可能だという考えを述べています。

そして、恐らく、これには大変な時間とリーダーシップが必要だから、それは、この透徹した思想を確立している自分がやらなければならないと考えているのでしょう。
そのために、既に生涯主席という地位については認められることになっているし、主席3選を禁じるルールも変更して2023年には3選を果たさなければならないという事になるのでしょうか、そんなふうに思われます。

3選禁止というのは、今の中国が毛沢東の独裁化の弊害の経験から、定めたルールですが、それに従ったのでは、折角これまで構想してきた素晴らしい中国の将来像の実現が不可能になるといった考えを、習近平さんが持ってもおかしくはないでしょう。

こうした中国の将来へのアプローチを、これから習近平さんは、何とかして自分の手で、と考える気持ちも、解らないではありません。

2023年の2期目の終了までには、何かが見えてくるのかもしれません。習近平さんが自ら構想する目標の達成を、ソフトパワーで行うのか、あるいは、ハードパワーが必要と考えているのか、これは世界が最も危惧するところでしょう。

私が危惧するのは、歴史に鑑みれば、独裁者は、まず素晴らしい夢を掲げるのですが、独裁者の地位に居続けることで次第に判断が独善的になるという点です。
これは、いわゆる「権力は腐敗する」と軌を一にすることが多いようで、この
「独裁権力の長期化の罠」にはまらないことは極めて困難らしいという事です。

何処の国でも、まともな国は、リーダーの任期の制限を決めています。これこそ歴史から学んだ知恵の結晶でしょう。

習近平さんも、自分に限ってそんなことはありえないと思っているのでしょう。
しかし、多くの歴史が示しますように、本当の事は習近平さん自身にも解らないという事なのではないでしょうか。
実は、それが、一番恐れなければならない事ではないでしょうか。