tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「チュウゴク」に「チュウコク」する人はいないのか

2021年09月24日 15時53分19秒 | 文化社会
中国がTPPに加盟申請をしたのに続いて、台湾がTPPへの加盟申請という事になりました。

台湾にしてみれば中国が加盟してしまえば、中国が中国の一部としている台湾のTPP加盟は当然認めないでしょう。TPPへの参加には、加盟国全員の承認が必要なのです。

中国の加盟申請対して、TPP11か国がどう判断するかはこれからの問題ですが議長国日本も大変です。

この問題は、もともとを考えれば、中国が(習近平さんが?)、領土問題について異常な執着心を持っていることから発しているのでしょう。

南シナ海の領有については、仲裁裁判所の判断を「紙屑」といったことから始まり、香港では一国二制度を強引に廃止、台湾の領有についても強硬な発言を続けるなど、の所の習近平さんには何か、執念の強さが目立ちます。

中国はすでに領土も人口も超大国ですし、経済規模も世界第二の超大国です。勿論人口一人当たりのGDPでは世界の60位ほどで、日本の4分の1程度ですが、経済成長率が高いので、頑張ればどんどん上がる事は戦後の日本の例を見ても解ります。

ところで問題は、その頑張り方ですが、香港の制度を中国本土と同じにしたり、台湾を領有して中国の一部にしたりすれば、経済発展が早くなるのでしょうか。

確かに昔はそういう考え方もあったでしょう。しかし、現在の世界では、どうもそうではないようです。
無理して領土を広げれば、そこには大変なコストが掛り、コストパフォーマンスは落ちるのです。

例えば、香港を中国本土並みにするために、随分なコストを使ったでしょうし、今後もコストはかかるでしょう。そして本土と同じになった香港が、今までのように、中国の世界への特徴的な窓口として中国経済に貢献するかどうかは、かなり疑問です。

台湾も全く同じです。今は自由な台湾ですから1人当たりGDPは中国の3倍ほどですが、これを中国に取り込んでも、中国がどれだけ豊かになるかはわかりません。多分、今の台湾の元気が消え、政治的な意味でコスト倒れになるでしょう。

それよりも、台湾の自由な経済発展力を利用し、緊密な経済連携で双方が利益を得るような関係にした方がよほど、中国、台湾双方の経済発展、国民の生活の向上には効率的でしょう。

こう考えてきますと、国をより豊かにしたいと考えているはずの一国のリーダーが、何故に、コスト・パフフォーマンスの悪い領土的野心を持つのかという問題です。

独裁色を強める習近平さんが、個人的な古い国家観で、無理をして余計なコストをかけるより、現状の中国で、生産性さえ上げれば、いくらでも豊かになり、国民の満足は増し、習近平さんは歴史に残る人になれるのです。

「その方がずっといいですよ」と習近平さんに忠告する人はいないのでしょうか。