tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

職務中心の経営と人間中心の経営:SDGsの視点から 1

2021年09月21日 16時23分54秒 | 文化社会
職務中心の経営と人間中心の経営:SDGsの視点から 1
 働き方改革については、折に触れて取り上げていますが、当初の目標には「労働時間短縮」が入っていたように記憶しています。

しかし最近では、副業、兼業など二重就業の自由化の推進のような問題が出て来て、労働時間短縮は何処かに消えてしまったようです。

代って議論の主流になって来たのが「職務中心の雇用システム」です。
日本の新卒一括採用などというシステムは世界のどこにもなくて、欧米では、企業は仕事があって、その仕事をする人がいないという時に、適切な人材を採用するのが企業の基本的な採用方針ですよという解説がされているのが普通です。

確かに欧米では企業というのは職務の集合体で、企業を動かすためにはそれぞれの職務に適切な人材をつければ、そこで仕事は順調に進むという極めて「機械的」な雇用についての考え方が主流です。

一方、日本では、基本的に、企業は人間集団で、人間として「良い」(その企業の文化に馴染んでくれると思われる)人間を、素材として採用し、企業の中で育てて、職務は厳密に決めず、人間の成長を見て割り振っていくという形をとります。

さてそこで、企業としての業績を上げるには、どちらの方が良いだろうかというのが問題になるわけです。

ここでは、その判断基準の中にSDGsという概念を入れたみたいと思います。
SDGsは「持続可能な開発目標(複数)」という意味で、最大の眼目は「持続可能な」という言葉にあります。

人類社会が進歩発展していくためにはいろいろな開発が必要ですが、その開発を進めるためには人間の働きが必要です。そして、その開発は「持続可能」でなければならないのです。

例えば、化石燃料の活用は、人類社会に大きな進歩をもたらしました。しかし、その行き過ぎは人間社会を持続「不」可能なものにしつつあります。
核分裂を利用したエネルギー獲得も、おそらく同様で、行きすぎれば「銀河鉄道999」のように、地球を人類の生存に適さない場所にするでしょう。

つまり「持続可能」という事を考えた場合、物事をできるだけ長い目で見ることが重要になってくるのです。

昔から人間は木を伐って家を作り、薪として暖を取ってきましたが、同時に木を植えることの必要性も理解して植林をしてきました。(SDGsの実践)

こうしたことを現代の極めて複雑に発展した人類社会の中で、適切な先見性を持ち、常に、「これをこのまま続けて行っていいのか」と考えながら「開発を進める」ことが大事だからこそのSDGsが言われるようになったのでしょう。

この様な視点に立つとき、人類社会の多様な開発の実践機関である企業が「人類社会の将来と仕事の在り方」についていかなる経営理念を持っているかは大変重要ではないかと思うところです。

次回は、企業と人間の関係の在り方、現場的には職務と人間の関係について、SDGsの視点から見た場合、欧米型と日本型のどちらがより適切かを少し掘り下げてみたいと思います。