tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2021年7月の家計調査を見る

2021年09月08日 20時04分13秒 | 経済
2021年7月の家計調査を見る
昨日、標記の家計調査が総務省から発表になりました。
昨年来コロナに振り回されている家計の消費支出ですが、コロナ慣れというのでしょうか、この3月ごろから、何か多少とも積極的な動きが出て来ているように感じています。

対家庭ビジネスも種々変容を遂げ、テイクアウト、出前、自動販売、通信販売、宅配、出張販売、曳き売り、などなどと多様化しました。

消費者サイド(家計サイド)も、生活様式のコロナ適応もあって、次第に、低いなりに、部分的には積極的に、一般的には多少落ち着いたものになって来たようにも思われます。

2人以上所帯の1所帯当たりの「消費支出」の、今年に入っての実額の推移を見ますと
    
       1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月)
全所帯    27 25 31 30 28 26 27(単位:万円)
勤労者所帯  30 28 34 34 32 28 30 (同上)

すでにこのブログでも指摘しましたように、何か、今年の3月から家計の消費態度が積極化したようで、、これは経済成長率にも影響を与えています(4-6月GDP第二次速報)。そのご、新規感染者の増加、4度目の緊急事態宣言などの影響もあり、多少停滞。、7月は、ワクチン接種の進んだこともあるのでしょうかやや増えてきています。

このブログでの毎月の分析では、対前年同期の変化率(増減)を見て来ていますが、先月の分析で指摘しましたように。昨年の5月、6月、7月は、安倍政権の1人当たり10万円の給付金があって、時系列的な分析には適していません。それで今回は、今年に入っての実際の家計の消費支出の金額そのものを見てみたわけです(上表)。

8月には昨年の給付金の影響はほぼ消えると思いますが、今年は8月がデルタ株を中心に、新規感染者の著増、特に50歳代以下の若年・中年者、その後はさらには低年齢者という状態ですから、これからその影響がどうなるか見届ける必要があります。

9月には、感染の急増した若者のワクチン接種の要望が急速に高まり、デルタ株の怖ろしさも浸透して、盛り場の人流も減るといった状況ですので、これも消費支出に影響することは当然予想されます。

しかし一方では、コロナ禍の中での企業活動、消費行動の進化も否定できない所で、庶民の知恵が消費支出、ひいてはGDPを支えるといった傾向も進みつつあるようにも思えます。

現実はその複雑な波に翻弄される消費支出といった感じですが7月の勤労者所帯の平均消費性向を見ますと56.2%と昨年7月の51.4%を4.8ポイント上回りました。

これは可処分所得(手取り収入)が昨年比4.1%減った(昨年の10万円の給付金の影響あり)のに対して、消費支出は4.9%増えたためです。
付け加えますと、コロナも何もなかった一昨年の7月の勤労者所帯の平均消費性向は64.0%でした。

こんな状態で、コロナや給付金の荒波の影響を受けて、通常の傾向的な変化は大変読みにくい所ですが、8月以降の様子を月々見ながら、これからのコロナ終息への努力の中での消費支出の動きを見ながら、消費支出が日本経済を支える方向への転換を見ていきたいと思います。(因みに、ここまで回復すれば、GDPを数%高めることになるでしょう)