tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

一億総活躍社会に思う

2020年01月19日 21時57分59秒 | 政治
一億総活躍社会に思う
 安倍政権が「一億総活躍社会」というスローガンを掲げたのは2016年でした。
 ネットでの解説によれば、「一億総活躍社会」は2016年6月に閣議決定され、第三次安倍内閣での、アベノミクスの第二ステージの目玉という形でのスローガンだったとなっています。

 当時は、このスローガンを聞いて「本当にそんな状況になれば結構だけど」と期待半分、いよいよ国民にハッパを掛ける政策か」と批判半分という気分だったことを覚えています。
 
 アベノミクスは、3本の矢の第一の矢、金融緩和(目標は円安)の成功に乗って順調に進むという予測だったのでしょうが少し違いました。
第二の矢、財政政策は赤字財政が障害となって思うにまかせず、第三の矢の構造改革(特区の活用など)はモリ・カケ問題で混乱ばかりといった状態でした。

 安倍政権としては、何としても、国民が魅力を感じる政策を提示したかったのでしょう。しかし、安倍さんは、「絶対多数=国民の支持」と勘違いして、国民の現実の声を聴かず、「一億総活躍」も、具体策なしの、出生率1.8、介護離職ゼロ、GDP600兆円、働き方改革などと並べたのですが、残念ながた国民はついてこなかったようです。

 野党のまとまりがないお陰で、選挙には勝っても、現実に個々の政策を運営するには「国民の協力する気持ち」と、「財政の裏打ち」が必須です。

 ところが、絶対多数を持っていれば、国民の意向は兎も角、閣議決定をすれば、あるいは、国会でも強行採決すれば何でもできると思ってしまったようで(カジノは好例)、財政については「財政再建は願望だけ」と思われるような状況になってしまっては、国民は政府を信頼しなくなり、将来についいての不安をますます強くすることになってしまったようです。

 結果的に、企業・財界も「自分で自分を守る」ことに専心し、国民は将来不安に駆られて「家計の防衛、消費より貯蓄に専心」といった「守り」の姿勢ばかりが強くなってしまい、経済活動は弱気になって経済成長率は低迷になってしまったのでしょう。

 それでも、年に1回、「一億総活躍プランのフォローアップ会合」をやっているようですが、安倍さんの主要な関心は、もう改憲の方に向いてしまっているようです。

折角掲げた「一応総活躍社会」のスローガンですが、振り返ってみると、安倍政権には荷が重すぎたということだったのでしょうか。残念ながら、結局は画餅に帰していくようです。

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<蛇足>
 これを書いているうちに「一億総・・・」という連想で、小学生(正確には国民学校生)だった頃、似たようなスローガンがあったことを思い出しました。
 「一億総蹶起」という当時の大日本帝国政府の掛け声です。いよいよ不利な戦局を何とか「大和魂で挽回」しようという事だったのでしょう。「一億総蹶起の歌」も作られました。
 リーダーになると、何時の世でも同じような事を考えるものなのかな、などと思いました。