tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

AIの進化と雇用問題:心配より巧みな対応を:3

2020年01月14日 12時45分41秒 | 労働
AIの進化と雇用問題:心配より巧みな対応を:3
AIがいくら進化しても雇用問題は起きないだろう。却って世の中は楽しいものになるはずですと考える根拠は、こんなところにあります。

まず第一に、AIの進化で産業のあらゆる分で、生産性向上が可能になり、結果的に経済成長が促進されると考えられること、
 第二に、日本社会は、官の政策、民の努力も含めてその生産性向上の成果を、人々の生活がより豊かで快適なものになるように配分する知恵を持っていると考えられること、
の二つが多分うまく働くだろうと考えるからです。

 第二次産業の製造業は勿論、第一次産業の農業や畜産・酪農・魚の養殖などの分野でも、第三次産業の情報・サービス分野でも、色々な変化が起きるでしょう。
差し当たってマスコミを賑わしている、AI付きのドローンの宅配分野への進出、自動運転車両の発達、自動運転の農機・建設機器などなどいろいろありそうです。

生産性向上というのは、同じ数の人間で、あるいは、もっと少ない人間で、より大きなGDPを稼ぎ出すという事です。日本はこれからはもう労働人口は殆ど増えないようですが、AI活用で、それでもGDPは成長していくことがますます可能になるという事です。

 働く人が増えなくて、GDPは増えるのですから、一人当たりGDPが増える、つまり日本人は、平均的には、より豊かになるという事です。
 これは大変結構なことですが、ここで問題になるのが、増えたGDPをどう分配するかという問題です。(「付加価値の分配」はこのブログの最大のテーマの一つです)

 結局、AI化が心配というのは、それによって 所得構造 (所得の最大の部分は賃金)が歪んで、格差社会化が進み、社会の不安定化が危惧されるという点に収斂するのでしょう。

 この点については、心配するよりも、みんなで相談することでしょう。
 例えば、政労使などみんなの意見を合わせて、あらたな豊かさ(GDP=付加価値)をどう分配するかを、確り考えればいいのです。
 これはエネルギー転換の時も、オイルショックの時も、日本はやってきた伝統を持っています。

 伝統的に格差容認の欧米流(アメリカが代表、北欧は別)の社会より、「和をもって貴し」とするとするコンセンサス型の日本社会、日本的経営の方がよほど優れているように思います。
 おそらく日本社会は、雇用重視と格差の少ない所得構造という伝統的な社会・企業文化で、この変化に柔軟に巧みに対応するだろうと楽観し、それを推進することが最も大事でしょう。

 国民経済生産性は=「GDP/ 労働者数」ですが、もう少し精密にすると=「GDP/延べ総労働時間 」です。そして、延べ総労働時間は=「労働者数×1人当たり労働時間」です。
 失業を心配するのなら、労働者数は減らさずに労働時間短縮が優先です。AI化が早く進めば、近い将来週休3日制が実施可能になるかもしれませんね。