tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日銀、経済見通しを上方修正

2020年01月21日 23時17分41秒 | 経済
日銀、経済見通しを上方修正
 今日は、わが国の経済見通しについて2つの機関からの発表が報道されています。
 1つは、IMFが昨日発表したもので、もう1つは日本銀行が今日発表したものです。

 過日、日本政府の発表した経済見通しと日本のシンクタンクや金融機関が発表した 経済見通しを並べましたが、それもご参考にされて、来年度の日本経済の動向を占っていただくのもよいかと思い、概要を見てみました。

 IMFの日本の2020年、2021年の実質経済成長率の見通しは、下のようになっています。
 国際機関ですから暦年ですが、2020年は、昨年10月時点の見通しから0.2ポイント上方修正されて0.5%から0.7%となっています。政府の消費税増税対策を勘案したとのことです。ついでに2021年は、その効果が消えて0.5%に低下です。
 これは全くの第三者機関の見通しですから特にコメントは致しません。

 日銀の見通しは、実質経済成長率と消費者物価上昇率が出されています。これはマクロモデルなどを使って算出するものではなく、日銀政策委員の方々に見通しを出していただき、最高と最低の数字をカットしたうえで、幅で示し、同時に中央値(真ん中の値)も示したものです。こちらも前回の10月の見通しから上方修正されています。

 2020年度についてみますと、
・実質経済成長率:0.8%~1.1%、中央値:0.9%(前回は0.6%=0.9%、0.7%) 
 2021年度も出されていて、更に上昇、強気です
・実質経済成長率:1.0&~1.3%、中央値:1.1%(前回は0.9%~1.2%、1.0%)

となっていて、来年度の実質成長率は、政府見通しの1.4%には及びませんが、民間シンクタンクなどの0.5%水準より大幅に高めです。
 さらに再来年の2021年度になりますと、IMFの見通しとは反対に、さらに高まっていくという見通しです。

 消費者物価についてみますと、これは中央値だけにしますが、2020年度の上昇率は1.0%、2021年度の上昇率は1.4%になっています。

 この見通しを見まして、問題は2つあるように思いました。1つは、実質経済成長の見通しが民間の見通しに比べて大幅に高いこと、もう1つは、消費者物価上昇率が政府見通し(2020年度0.8%)よりも高く、現状の上昇率0.5%程度に比べて異常な高さであることです。

 政府と日銀は、日本経済の財政政策と金融政策の責任を負う立場にあるはずです。政府経済見通しについても指摘しましたが、国民に示す見通しは、単なる願望数字ではないはずです。出したからにはそれなりの責任を持つべき数字でしょう。

この両者の出す見通しが、民間機関の見通しや、現状の数字に比べて共に異常に高いといった事でいいのでしょうか(民間が絶対正しいとは言いませんが)。
 現実の数字を、自分たちの見通しの数字に合わせてみせるという覚悟でしょうか。

 しかし、消費者物価の数字などは、本当にこの数字が実現したら、銀行預金も、年金も、実質的価値は現状より大幅に年々減価することになります。
ゼロ・マイナス金利は当分続けると言いながら、物価上昇率を高めるといった見通しで本当にいいのでしょうか。

 かつては物価の番人と言われ、円高になるほど、物価が上がらなくなるのだから円高は良い事だとしていた日銀から、国民の預貯金がマイナス金利ですべて実質目減りするような政策に変わってくるといった政策の振れの大きさについて、国民に納得がいく説明ができるのでしょうか。

 財政再建を放棄しそうな政府、金利より高い物価上昇率を推進する日銀、そんなことで、これからの日本経済、国民の生活はどうなるのでしょうか。