tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米中競争、第1ラウンド終了?

2020年01月17日 17時50分32秒 | 国際経済
米中競争、第1ラウンド終了?
 形だけになるのか、実態の変化を伴うのか、見方はいろいろあるようですが、米中の覇権争いの第一ラウンドの関税合戦は、何となく着地に至ったように感じられます。

 結果は痛み分けということでしょうか、アメリカも中国もそれぞれの痛みを負ってさし当たっての妥協に到達です。

 背後には、トランプさんの大統領選の票読み(例えばダウ平均上昇させたいという思惑)や、中国の想定外の食糧・飼料不足といった喫緊の事情もあったかもしれませんが、もっと基本的には、米中の実体経済はリーダーたちの思っているよりもずっと相互依存を強めていたという現実があったようです。

 リーマン・ショック以降アメリカの債券・証券の信用が落ちてアメリカへの資金還流が困難になり、ならば貿易不均の是正は関税障壁でというトランプさんの覇権維持戦略(現実的には米中覇権争い)の第1ラウンドだったということでしょうが、この問題は、まだまだ長い年月をかけて、いろいろな形で繰り返されていくのでしょう。

 今回の関税合戦という第1ラウンドは、勿論まだ終わったわけではありません。アメリカの対中関税はまだまだかなりの部分が残っていますし、アメリカの知的所有権窃取の取り締まり強化(中国)なども今後の状況を見なければ解らないといった意見もあるようですから、それなりの時間がかかって漸く結果は出るということなのでしょう。

 しかし、今回の米中交渉での米中の接し方を見ると、いきり立つアメリカよりも中国の方が、大人の態度だったという印象を持った人も多いのではないでしょうか。
領土問題などでは極めて頑なな中国ですが、貿易問題では随分と冷静といった感じをうけます。

 背後には、経済も技術も急速に発展しつつあり、追いつけ追い越せの中国ですから、発展の中で解決するといった、いわば「自身の発展力」への自信もあるのではないでしょうか。

 現代の中国が「愚公山を移す」といったような超長期視点を持っているかどうかはわかりませんが、核の抑止力といった現代地球人類の絶対的な背景条件のもと、中国が、次第にハードパワーからソフトパワー重視へ進化するとすれば、これは素晴らしい事でしょう。

 とはいえ、米中の覇権争いは、今後も長期に亘って続くというのが大方の見方ですし、たとえ国連という組織があっても、覇権争いは、まだまだ地球社会の中で繰り返される問題なのかもしれません。

 であれば、米中の覇権争いにおいても、第1ラウンドの終了は、あらためて、第2ラウンドの出現につながるものなのかもしれません。

 第2ラウンドがどんな問題で、どんな形をとるのかは予測の外ですが、願わくば、双方が、ますます冷静な大人の態度を進化させていくことを願うところです。