tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

AIの進化と雇用問題:心配より巧みな対応を:2

2020年01月13日 11時37分06秒 | 文化社会
AIの進化と雇用問題:心配より巧みな対応を:2
 前回、AIやAI組み込みのロボットの登場で、大量失業時代が来るという心配は、人間がその知恵を巧みに使えば、多分しなくて済むでしょうと考えていますと書きましたが、その基本はこんなことではないでしょうか。

 AI革命ほどではないでしょうが、かつて、石炭から石油へのエネルギー転換という時期がありました。
 炭鉱は次々と閉鎖になり、北海道から九州まで、炭鉱で働いていた人たちは仕事も住居も変えなければならなくなりました。
 電力、ガスなどの基幹産業では、原料転換で、今までの技術や熟練やノーハウが役立たなくなりました。

 日本では、政労使が協力して頭を絞り、企業の拠出金で、雇用促進事業団という政府機関を作り、職業の再訓練や働く人に地域移動などを支援し、企業は従業員の再訓練に注力しました。

勿論、こうした努力は大変重要でしたが、同時に、働く人の意識転換の大事だったようです。
 当時言われたのは、ガソリンスタンドで給油を担当している人と話したら、「ずっと炭鉱にいたけど、これからは石油の時代だね。スタンドの仕事は炭鉱より楽だし、給料も変わらないから、楽しくやってますよ。」と言っていた、などといった話でした。

 「仕事がなくなる」とはどいう事でしょうか。それは「今までやっていた仕事」が「なくなる」という事でしょう。人間社会がある限り、仕事そのものはいくらでもあるはずです。

 絶対的に減らないのは、例えば「対個人サービス」でしょう。今、介護がその典型になっていますが、人間同士の気持ちの交流がなければ成り立たないような仕事は生産性が上がりませんから、増えこそすれ減りません。

 経験的には、社会の在り方が変われば、新しい仕事はいくらでも出てきます。理由は、人間は十分わがままで、こうあってほしいとい欲求が無限だからです。

 多分、本当に心配すべき問題は、「仕事」のもう一つの側面、「所得を得るための手段」という所にあるようです。
 いわゆる高度な仕事をする人の賃金はますます高く、AI進化の結果、残る単純労働は低賃金で、賃金構造は二極分化し、格差社会化がますます進むのではないか・・・。
 実はこれがAI進化との関係で、最も心配されるところなのではないでしょうか。

 この問題さえ解決できれば、AIの進化は我々人類にとって大変望ましい楽しいことにいなるはずです。
 AIの進化と雇用問題を解くカギは、ここにあるのでしょう。そしてそれは決して不可能でも、大変難しいことでもなく、人間が冷静、かつ客観的に、先入観なしで考えていけば、十分対応可能なことのはずなのです。

 私自身は人間の知恵を信じて大変楽観的ですが、少し長くなってしまったので、次回この問題を論じてみたいと思います。