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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

代表取締役の予選問題

2015-02-13 15:30:56 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2015年2月号に,「座談会 商業登記の現状と今後の展望(下)」があり,席上取り上げられている論点の一に,「代表取締役の予選問題」がある。

 任期満了による改選前に,改選後の代表取締役を選定するというケースは,会社以外の法人の場合と同様であるが,そうでないケースも議論の俎上に上がっている。

 例えば,平成○年3月26日開催の取締役会において,任期中の取締役Aを代表取締役に選定する決議(ただし,同年4月1日から就任するものとする。)は,もちろん有効であるが,他の取締役BCが3月31日終了時点で辞任して,新たに4月1日から取締役DEFが就任するケースがあり,この場合に,Aを代表取締役に選定した決議の効力如何という話である。

 例えば,代表取締役Aのみを残して,他の取締役が目まぐるしく交替する株式会社は,しばしば見受けられるところである。過半数が入れ替わったから代表取締役を選定し直せ,という議論は聞かない。

 会社法施行時に,取締役会の設置又は廃止の際に,代表取締役の選定方式が変更されるので,代表取締役を選定し直せ,という論が登場した(私は,未だに納得し難いが。)が,同列に議論することではないであろう。

 ところで,会社法第363条第3項に,「取締役会は,取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」とある。

 したがって,代表取締役を選定する時点において,そもそも取締役に就任すらしていない者を選定することはできないのはもちろんである。

 問題は,「代表取締役を選定する時点における取締役」の中から選べばそれでよい(就任時点においては,取締役に異動があっても可)と考えるのか,「代表取締役に就任する時点における取締役」の中から選ばなければならないと考えるのか,という点である。

 上記登記情報を見る限り,商事課は,後者に親和する立場に立つようである。

 しかし,後者を突き詰めると,取締役に異動があるたびに,代表取締役を選定し直せ,という話になってしまうが,会社法はそのような極論を要求しているのか,と言えば,そうではないであろう。

 代表取締役は,これを「選定する時点における取締役」の中から選ばなければならない(選定後,就任までの間に取締役に異動があっても可)という考え方が自然であるように思うのだが。

 とまれ,上記登記情報において示された商事課の消極的見解は,実務に混乱を生じさせるおそれがあると思われるので,登記申請の際には,留意すべきである。
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