会社法の下での設立関係書籍もちらほら目に付く昨今であるが、商業登記法及び同規則の改正を理解しておらず、誤っているものが多いようである。
例えば、商業登記規則の改正により新たに添付書面となっているのが、「資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面」(商登規第61条第5項)であるが、これを遺漏しているケースが実に多い。
この書面が要求されているのは、会社法第32条第1項第3号の規定により「成立後の資本金及び資本準備金の額に関する事項」を定める必要があるためであるが、具体的には、設立時代表取締役又は設立時代表執行役の作成に係る証明書(会社計算規則第74条第1項第1号イからハまで及び第2号の額又はその概算額を示す等の方法により、資本金の額が会社法及び会社計算規則に従って計上されたことを確認することができるもの)等がこれに該当する、とされている。
なお、定款又は発起人全員の同意書の内容から「資本金の額が会社法及び計算規則に従って計上された」ことを確認することができれば、別途書面の作成を要さず、援用することも可能であると解される。