司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

信託法改正要綱試案の補足説明

2005-08-06 00:53:22 | 会社法(改正商法等)
 「信託法改正要綱試案の補足説明」が公表された。
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI60/refer02.pdf

cf. 平成17年7月26日付「信託法改正要綱試案」に関する意見募集」
   平成17年7月10日付「担保権の信託可能(法制審部会方針)、不動産登記ではどう対処?」

 注目の「債権者と担保権者を分離し、担保権だけを信託会社に信託できる制度が導入される方向」に関しては、下記のとおりである。

【要綱試案】
総則関係
第1 信託の意義について
1 信託の意義
 信託とは,次の要件が満たされるものをいうものとする。
a 財産の譲渡,担保権の設定その他の処分があること。
b 財産の処分を受けた者が,一定の目的(自己の利益を図るものを除く。)のために,当該財産の管理又は処分その他の当該目的の達成に必要な行為を行うこと。

【補足説明】
総則関係
第1 信託の意義について
試案第1は,信託の意義に関する提案である。
1 提案1(信託の意義)について
 1は,現行法第1条に相当するものであり,信託とは,1のa及びbを要素とすべきことを提案するものである。この提案においては,現行法の実質を変更するものではないが,以下の考え方を確認している。
 1のaは,財産について処分があることを要素とすべきことを提案している。処分の対象となる財産としては,金銭的価値に見積もり得るものすべてが含まれ,特許権等の知的財産権はもちろんのこと,特許を受ける権利,外国の財産権等も含まれる。ただし,委託者の生命,身体,名誉等の人格権が含まれないのは,これまでと同様である。
 「処分」には,既存の権利の移転のほか,いわゆる設定的移転も含まれ,前者の例示として「財産の譲渡」を,後者の例示として「担保権の設定」を掲げている。「担保権の設定」とは,一般の債権について,担保付社債信託法のようなスキーム,すなわち,債務者を委託者,担保権者を受託者,債権者を受益者として担保権を設定すること(いわゆるセキュリティ・トラスティ)(※1)をいう。ただし,このような「担保権の設定」に係るスキームが円滑に機能するために,民事執行法等の他の法令において見直しが必要であるかについては,更に検討するものとしている。

※1 規制改革・民間開放推進3か年計画(平成16年3月19日閣議決定)においては,「シンジケートローン等において,1人の債権者が他の債権者の債権も含めた被担保債権の担保権者となり,その担保権の管理を行うことができるようにすべきであるとの指摘があることから,信託の在り方を見直す中で,制度の整備の必要性を検討する。」とされている。
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