10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部の続き、最後です。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。
27.粟に鶴図 1772-1781年 曾我蕭白 1730-1781
墨絵の妙が冴える一枚
蕭白晩年の作品で、鶴が首を伸ばして振り返り、大きく口を開けて鳴いている。
つがいで描かれることが多い鶴が、この作品では1羽しか描かれていないが、画面の外にもう1羽呼んでいるのであろうか。後ろには粟の葉と穂が描かれ、墨の濃淡を生かして遠近法が巧みに表現されている。
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28.海老図 18世紀後半 長沢芦雪 1754ー1799
芦雪らしさが発揮された、迫力にの構図
芦雪は京都生まれ、円山応挙に師事。画面からはみ出るほど巨大な海老を描いた絵で、赤黒く、ゴツゴツとした棘で被われた殻には、白と黒の模様も細かく描かれている。周囲の小さな海老と対比させることで、大きさと迫力を強調している。
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29.福禄寿図 19世紀前半 岸駒 1756-1839
めでたい絵柄に込められた熟練の技法
歩みだそうとするお酢鹿と、こちらを振り返る雌鹿。首を伸ばして二頭の様子をうかがう鶴が描かれている。静と動に加え、それぞれの視線が交錯する巧な構図。岩や松を描く強弱の激しい輪郭線は岸駒の特徴である。
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30.山水図 18世紀後半 池大雅 1723-1767
自在な筆致が生み出す光と影
右幅には大きな松が中央に描かれ、家々や山が遠方にみえる。小島の周りには松や葦が生え、その間に高士と呼ばれる俗世間から離れて暮らす人物と、子供の乗った舟が浮かんでいる。左幅の高士と子供は、崖下に建つ四阿に向かっているのであろうか。空白を生かし、偶然生まれた点のリズムや色の響きを画家自身が楽しんでいるようだ。
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31.大天狗図 1839年 葛飾北斎 1760-1849
江戸時代に描かれたアニメヒーロー?
右手を伸ばして飛行するのは真っ赤な顔の大天狗。くもの巣は周囲に黒を塗りモチーフを白く表現する外隈という技法で描かれている。現在は軸装だが、元々は屏風に貼られた12枚組の1枚で、北斎80歳の作品。
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32.群鶏図押絵貼屏風(Ⅰ期Ⅱ期) 1797年 伊藤若冲
若冲が自由自在に操る筆の勢い
右側の屏風の第一扇と第二の扇には、雄鶏が一羽ずつ大きく描かれそれ以外には雄と雌が描かれている。
一枚ずつ違った姿の鶏が描かれ、決して単調ではない。
羽には墨のにじみの間にできる筋を上手く活かしたり、線で輪郭を描き、少しずつ濃さを変化させた墨で内側を埋めていったりするなど、工夫が見られる。
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33.人物像 1820ー1833年 葛飾北斎 1760-1849
人物の内面が浮かび上がる写実力
袴姿に男性が右手に扇子、左手に刀の鞘を持っている。背後にこん天儀と呼ばれる天体の位置や運行を観測する器械が置かれていることから、この人物は天文学者や暦学者の可能性がある。『古今和歌集』の大伴黒主の歌の句「鏡山いざたちよりて見てゆかむ」が記されている。
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34.蛍狩美人図 18世紀後半 鳥文斎栄之 1756-1829
モデル系美人を好んで描いた鳥文斎
鳥文斎栄之は江戸時代後期の浮世絵師で、同じ時代の喜多川歌麿と人気を競った。長身の女性が蛍狩りを楽しんでいる。肌や髪飾り以外は淡い墨で描かれ、夜の情景であることを示しているが、これは派手な色をあえて使わず、わずかに色を添える「紅嫌い」という手法である。
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35.花魁と禿図 18世紀後半 窪俊満 1757-1820
花魁の品格あふれる粋な着こなし
窪俊満は江戸時代後期の浮世絵師で、この作品は彼の描く美人画の中でも、極めて完成度の高い作品。花魁は現在でいうとトップファッションモデルのような存在で、人々憧れの的だった。微笑する表情からは自信と品格が感じられる。
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36.柱時計と美人図 18世紀前半 西川祐信 1671-1750
想い人を待つ気持ちを柱時計で表現
西川祐信は江戸時代中期の京都出身の浮世絵師で、挿絵画家として活躍し、江戸の浮世絵師に影響を与えた。女性が柱時計からぶら下がる大小四つに錘を操っている。針が示す「寅の刻」
は現在の午前3時から5時。待ち人が訪れないまま夜が更けた。恋する女性のいじらしい姿か。細部まで手の込んだ作品。
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37.括り枕と美人図 18世紀前半 宮川長春 1682ー1752
肉筆専門の浮世絵師による佳作
宮川長春は現在の愛知県に生まれ江戸で活躍した。括り枕とは中にそば殻、茶殻などを入れ両端をくくった枕のこと。両腕を懐に入れ、わずかに口を開けながら一点を見つめる女性は物寂しげな表情。桜紋が緑色の着物に映え、七宝紋には金色の細い線が丁寧に引かれている。
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38.雪月花 19世紀前半 蹄斎北馬 1770ー1844
北斎の弟子が美人画で描く伝統画題
舟の上で月見をする女性たちが描かれ、手前の女性は水に杯を浸している。中央の絵には満月の桜の下の美人を描き、かがむ女性は蒲公英と土筆を手に取っている。
左の絵は室内から雪景色を眺める美人画で、襖絵にも立ち姿の女性の着物にも梅がえがかれている。蹄斎北馬は北斎の弟子の一人。
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会場
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