京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

福田美術館開館記念 Ⅱ期(3)曾我蕭白、長沢芦雪、岸駒、池大雅、葛飾北斎、伊藤若冲、鳥文斎栄之、西川祐信、窪俊満、宮川長春、蹄斎北馬

2020-01-06 20:48:11 | 美術・博物館


10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部の続き、最後です。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。

27.粟に鶴図 1772-1781年 曾我蕭白 1730-1781
墨絵の妙が冴える一枚
蕭白晩年の作品で、鶴が首を伸ばして振り返り、大きく口を開けて鳴いている。
つがいで描かれることが多い鶴が、この作品では1羽しか描かれていないが、画面の外にもう1羽呼んでいるのであろうか。後ろには粟の葉と穂が描かれ、墨の濃淡を生かして遠近法が巧みに表現されている。









28.海老図 18世紀後半 長沢芦雪 1754ー1799
芦雪らしさが発揮された、迫力にの構図
芦雪は京都生まれ、円山応挙に師事。画面からはみ出るほど巨大な海老を描いた絵で、赤黒く、ゴツゴツとした棘で被われた殻には、白と黒の模様も細かく描かれている。周囲の小さな海老と対比させることで、大きさと迫力を強調している。











29.福禄寿図 19世紀前半 岸駒 1756-1839
めでたい絵柄に込められた熟練の技法
歩みだそうとするお酢鹿と、こちらを振り返る雌鹿。首を伸ばして二頭の様子をうかがう鶴が描かれている。静と動に加え、それぞれの視線が交錯する巧な構図。岩や松を描く強弱の激しい輪郭線は岸駒の特徴である。















30.山水図 18世紀後半 池大雅 1723-1767
自在な筆致が生み出す光と影
右幅には大きな松が中央に描かれ、家々や山が遠方にみえる。小島の周りには松や葦が生え、その間に高士と呼ばれる俗世間から離れて暮らす人物と、子供の乗った舟が浮かんでいる。左幅の高士と子供は、崖下に建つ四阿に向かっているのであろうか。空白を生かし、偶然生まれた点のリズムや色の響きを画家自身が楽しんでいるようだ。
 

























31.大天狗図 1839年 葛飾北斎 1760-1849
江戸時代に描かれたアニメヒーロー?
右手を伸ばして飛行するのは真っ赤な顔の大天狗。くもの巣は周囲に黒を塗りモチーフを白く表現する外隈という技法で描かれている。現在は軸装だが、元々は屏風に貼られた12枚組の1枚で、北斎80歳の作品。





32.群鶏図押絵貼屏風(Ⅰ期Ⅱ期) 1797年  伊藤若冲
若冲が自由自在に操る筆の勢い
右側の屏風の第一扇と第二の扇には、雄鶏が一羽ずつ大きく描かれそれ以外には雄と雌が描かれている。
一枚ずつ違った姿の鶏が描かれ、決して単調ではない。
羽には墨のにじみの間にできる筋を上手く活かしたり、線で輪郭を描き、少しずつ濃さを変化させた墨で内側を埋めていったりするなど、工夫が見られる。





































33.人物像 1820ー1833年 葛飾北斎 1760-1849
人物の内面が浮かび上がる写実力
袴姿に男性が右手に扇子、左手に刀の鞘を持っている。背後にこん天儀と呼ばれる天体の位置や運行を観測する器械が置かれていることから、この人物は天文学者や暦学者の可能性がある。『古今和歌集』の大伴黒主の歌の句「鏡山いざたちよりて見てゆかむ」が記されている。









34.蛍狩美人図 18世紀後半 鳥文斎栄之 1756-1829
モデル系美人を好んで描いた鳥文斎
鳥文斎栄之は江戸時代後期の浮世絵師で、同じ時代の喜多川歌麿と人気を競った。長身の女性が蛍狩りを楽しんでいる。肌や髪飾り以外は淡い墨で描かれ、夜の情景であることを示しているが、これは派手な色をあえて使わず、わずかに色を添える「紅嫌い」という手法である。









35.花魁と禿図 18世紀後半 窪俊満 1757-1820
花魁の品格あふれる粋な着こなし
窪俊満は江戸時代後期の浮世絵師で、この作品は彼の描く美人画の中でも、極めて完成度の高い作品。花魁は現在でいうとトップファッションモデルのような存在で、人々憧れの的だった。微笑する表情からは自信と品格が感じられる。











36.柱時計と美人図 18世紀前半 西川祐信 1671-1750
想い人を待つ気持ちを柱時計で表現
西川祐信は江戸時代中期の京都出身の浮世絵師で、挿絵画家として活躍し、江戸の浮世絵師に影響を与えた。女性が柱時計からぶら下がる大小四つに錘を操っている。針が示す「寅の刻」
は現在の午前3時から5時。待ち人が訪れないまま夜が更けた。恋する女性のいじらしい姿か。細部まで手の込んだ作品。










37.括り枕と美人図 18世紀前半 宮川長春 1682ー1752
肉筆専門の浮世絵師による佳作
宮川長春は現在の愛知県に生まれ江戸で活躍した。括り枕とは中にそば殻、茶殻などを入れ両端をくくった枕のこと。両腕を懐に入れ、わずかに口を開けながら一点を見つめる女性は物寂しげな表情。桜紋が緑色の着物に映え、七宝紋には金色の細い線が丁寧に引かれている。





38.雪月花 19世紀前半 蹄斎北馬 1770ー1844
北斎の弟子が美人画で描く伝統画題
舟の上で月見をする女性たちが描かれ、手前の女性は水に杯を浸している。中央の絵には満月の桜の下の美人を描き、かがむ女性は蒲公英と土筆を手に取っている。
左の絵は室内から雪景色を眺める美人画で、襖絵にも立ち姿の女性の着物にも梅がえがかれている。蹄斎北馬は北斎の弟子の一人。





















会場











































京町屋中京(41)京都一の傳、SECOND HOUSE、ベネシュ、森*家、福*家、池*家、仲*家、串くら

2020-01-06 15:56:54 | 京都の町 町屋・建造物


京都の町屋中京区の続き、第41回です。

京都一の傳
昭和2年(1927年)創業、西京漬の本店





SECOND HOUSE









ベネシュ





森*家





福*家





池*家





仲*家





小*家




串くら










京町屋外観の特徴
屋根一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。
ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
駒寄
家と道との境界に巡らされた格子の垣。元は牛馬をつなぐためのものでした。
意匠もさまざま、栗や欅などの硬い木が使われることもあります。
鍾馗
厄除けの瓦人形は京町屋の屋根の象徴です。


各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。

景観重要建造物
 平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。

歴史的意匠建造物
 歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。

歴史的風致形成建造物
 平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。


京都を彩る建物
京都市内には京都の歴史や文化を象徴する建物が,所有者のたゆまぬ努力により,世代を越えて継承されています。
しかし,その存在と魅力が十分に伝わっていないものや,維持・継承が危ぶまれているものもあります。
そこで,京都の財産として残したい建物や市民から募集し,市民ぐるみで残そうという気運を高め,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図ろうというものです。
京都を彩る建物は市民から推薦を受け、審査委員会で選定された建造物です。
京都市内で世代を越えて継承され,京都の歴史や文化を象徴し、概ね50年以上の建造物(国又は地方公共団体が所有しているものは除く)です。






新年八坂の塔と庚申堂

2020-01-06 05:40:56 | 京都めぐり


八坂の塔と庚申堂です。

八坂の塔










八坂庚申堂
正式名称は大黒山金剛寺庚申堂、平安時代の僧・浄蔵貴所によって創建された天台宗の寺院で“くくり猿”で有名です。
中国の道教由来である庚申信仰を日本で最初に始めたとされている寺で、日本三庚申のひとつといわれています。
八坂庚申堂では「欲を捨てる」と願いが叶うと言われ、その欲を捨てるために使われるのが“くくり猿”です。
カラフルな布地で作られていいます。
叶えてほしい願いをペンで書き込み、それを吊るすと願いが叶うと言われています。
この“くくり猿”は手足をくくられています。
これは欲に走るものを戒めることを意味しており、欲を一つ我慢すると願いが叶うそうです。
「見ざる、言わざる、聞かざる」の三匹の猿の姿は、この庚申信仰ととともに日本に伝わってきたといわれています。
境内のあちこちに三匹の猿がいます。
























二年坂










餅花










霊山観音





高台寺





ねねの道















短い散策終了です。