10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部の続きです。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
Ⅱ部では特に初公開の狩野探幽筆「雲龍図」や、78年前に公開されたきり行方不明となっていた木島櫻谷「駅路之春」の幻の大作は必見です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。
14.龍田姫 1923年(大正12年) 木村武山1876ー1942
目にも鮮やな武山の大作
龍田姫は秋をつかさどる女神で、朱を含ませた絵筆を手にとって、今まさに葉を染めるところ。
木村武山は横山大観らと共に美術院で活躍した。
第10回院展への出品作。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/21/8e179a44e89c4a845c056aa335abbe6d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/19/3c57c021e85ee169a5119f57c916f21d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/37/9a8ecb8c000185d56c0f24736e4bedef.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/31/3ce8f5895b34b6c8b66d0fde4a2c3534.jpg)
15.厳頭飛雁図 1767年 円山応挙 1733ー1795
応挙の「写生」が花開いた作品
かぜによって波しぶきを上げる水面に、今まさに着水しようとする雁とそれに続く二羽を描く。
羽を大きく広げた躍動感あふれる雁は、応挙が得意とした写生の成果の一つ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/e8/263dc082d1f718ef404a658192a57180.jpg)
16.猛虎飛瀑図 1767年 与謝蕪村 1716ー1783
沈南蘋の影響が色濃い大虎
虎は日本にいなかったので、画家たちは中国や挑戦半島からもたらされた絵や毛皮を参考に描いていた。
この虎も背中の中央にある模様が途中で消え、脚先が大きすぎるところは、実物と違う。
細密な毛描きなどに、中国の画家で長崎に一時滞在していた沈南蘋の影響が伺える。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/02/4bf69a9b33fafeb11fd5896860991b05.jpg)
17.百老聚星図 1782年 与謝蕪村 1716ー1783
蕪村最晩年の大作
たくさんの老人の中でも特別な存在感を示しているのは七福神の一人、寿老人、蕪村67歳の時に描かれた作品で、二本の松の表現や岩の凸凹など、長年描き続けたモチーフが多くみられる。
左下を少し塗り残している点も晩年の特徴。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/ac/2983515154e9bfbe24e3ac2c61a507c4.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/7e/19190f822543b090f6afd97c7cae759e.jpg)
18.于公高門図 1841年 渡辺華山 1793-1841
恩人への感謝を込めた華山の秀作
右下の紫色の衣服を着た人物が于公。裁判官のような仕事をしていた彼は、非常に公平な裁きを下すもとから尊敬されていた。華山が幕府から弾圧された「蛮社の獄」のときに、公平な裁きを行ってくれた町奉行与力中島嘉右衛門を于公に見立て、感謝の意を込めて制作した作品。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/31/c25480b22909c78b43b78d44b29dbe43.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/62/cf7d4b8ccbe9f4f27203751c972ef491.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/7f/c13e8a887b89120aa59581e09e7c5336.jpg)
19.桃源・赤壁図 19世紀前半 谷文晁 1763-1840
有名な漢詩を独自の画風で描写
中国の詩を題材に描いた作品。右幅は陶淵明の『桃花源記』に詠まれた情景で、左幅は宋時代の詩人ソショクが長江にある断崖を詠んだ『赤壁賦』を元にしている。断崖は大きく、船と満月は小さく描き、中央を白い雲でぼかすことで雄大な空間を表現している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/ad/db561cb8439e238cfd9bcd239ec3d706.jpg)
20.寥 1970年 池田遙邨
撮影不可
21.雲龍図 1666年 狩野探幽 1602-1674
本邦初公開、探幽の龍
このたび初公開となる大画面に描かれた雲龍図。
雲の間から顔を覗かせる龍が力強い目つきでこちらを見ている。
顔の輪郭は濃淡のある墨線を使い分けて抑揚がつけられている。
雲には薄い墨を用いて大気と光までも表現しているかのようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/45/aeadac9953fb93bf047878767e07c030.jpg)
22.源氏物語図押絵貼屏風 17世紀前半 狩野山楽 1559-1635
緻密に描かれた山楽晩年の大作
『源氏物語』から12の場面が描かれている。右側の屏風の第6扇は、加茂祭に参列する源氏を見ようと、正妻の葵上御息所の牛車が場所取りで争う場面。左側の屏風の第6扇は、源氏チームと権中納言チームが分かれて絵巻の出来を競い、冷泉天皇が裁定を下す場面である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/12/6901bbe9b64376705e69d216e3b98749.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/51/a71508249f68af705a6b8e2c92b2f76c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/72/a515eefaa8608d0b115a1f6c9ed61d1b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/3b/d899a322ca9295d0531e4b24bcc326f2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/8b/e72c4018fdaeaa1caba4d88e23dc6b46.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/c5/4dc417eb23861f428cd8fe750c7a1d94.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/2b/f6dcd9ce679bf258667a470f62b34378.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/1c/654bce6e3418db0af57862f49533b3b5.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/1f/c0cf83a4247b5ed7cfedee18a8cccf02.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/59/f43dd84609df0b02df2957138cacbc80.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/20/dacc154fe43c662fdd9f71bb47918cca.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/82/b7a47419cd0ed82327f9f366e88f0052.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/71/0e7a28a0fc0f786736c30e283f4cbd89.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/a1/588407df7c90e45264094c29e13603e6.jpg)
23.花鳥図 18世紀前半 渡部始興 1683-1755
鳥好き始興の愛のこもった描写
始興は円山応挙にも影響を与えた画家。鸚哥のつぶらな瞳は愛らしく、羽毛、花弁、葉のグラデーションが美しい。
右側の半円形の枝と岩は不思議な形で、上の方では岩と雲が一体化し、幻想的な空間になっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/0c/21d24028ef6a60419b6a7ffb44ea02bb.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/6c/b571a8322f79505d0a78f8ffc1c463f1.jpg)
24.黄蜀葵鵞鳥小禽図 1773年 円山応挙 1733年〜1795年〉
細部に惜しみなく込められた技術
鵞鳥の後ろに黄蜀葵が黄色く大きな花を咲かせている。胴体の上に折り畳まれている羽は、ふわふわした質感を表すため、輪郭線の墨が目立たない白い絵の具を用いている。くちばしや視線にまで細心の注意を払って描かれている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/d2/7e28d4ce6bb38e0f10057dc9f06f2817.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/20/598e743b3bf660ec422c5a228b4c0a9b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/85/89bca5f317df23cc709d36323d793683.jpg)
25.巣父許由田 17773年 円山応挙 1733年〜1795年〉
故事の世界をリアルに描写
許由は中国古代の人物で、当時の皇帝尭帝から位を譲ると告げられるが、出世話に耳が汚れたと、川で耳を洗う。それを見た巣父は、耳を洗った川など汚くて渡れないと、引き返す場面が描かれている。人物の表情や、手綱に力を入れる動作などが破綻なく見えるように工夫が凝らされている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/5b/68ef59ae4799ad54b7193bab849906f3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/97/c6bd82b42a37ee09c76f7635eaecce32.jpg)
26.柳に鶏図 18世紀後半 伊藤若冲 1716-1800
数少ない絹本に描かれた鶏
若冲は京都の錦小路市場で生まれた。正面を向いた鶏が片脚で立ち、上部にはしなやかな柳の枝が垂れ下がっている。雄鶏は顔と鶏冠部分を中心に、墨の色を少しずつ変化させ、模様の違う羽毛を描き分けている。絹本に描かれた水墨の鶏図は珍しく、月を描かず濃淡だけで葉と葉の間からもれるかすかな月明かりを表現している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/d2/bd7447d5075ef7fa038ce9c9cce47265.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/53/e4ac6706233f1daa29ceb315fc218122.jpg)