京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

福田美術館開館記念 Ⅱ期(2)木村武山、円山応挙、与謝蕪村、渡辺華山、谷文晁、狩野探幽、狩野山楽、渡部始興、伊藤若冲

2020-01-05 20:29:36 | 美術・博物館


10月嵐山にオープンした福田美術館開館記念コレクション展のⅡ部の続きです。
会期は11月20日(水)~2020年1月13日(月・祝)です。
Ⅱ部では特に初公開の狩野探幽筆「雲龍図」や、78年前に公開されたきり行方不明となっていた木島櫻谷「駅路之春」の幻の大作は必見です。
ここは撮影不可の印がない限り、撮影可能です。


14.龍田姫 1923年(大正12年) 木村武山1876ー1942
目にも鮮やな武山の大作
龍田姫は秋をつかさどる女神で、朱を含ませた絵筆を手にとって、今まさに葉を染めるところ。
木村武山は横山大観らと共に美術院で活躍した。
第10回院展への出品作。




















15.厳頭飛雁図 1767年 円山応挙 1733ー1795
応挙の「写生」が花開いた作品
かぜによって波しぶきを上げる水面に、今まさに着水しようとする雁とそれに続く二羽を描く。
羽を大きく広げた躍動感あふれる雁は、応挙が得意とした写生の成果の一つ。





16.猛虎飛瀑図 1767年 与謝蕪村 1716ー1783
沈南蘋の影響が色濃い大虎
虎は日本にいなかったので、画家たちは中国や挑戦半島からもたらされた絵や毛皮を参考に描いていた。
この虎も背中の中央にある模様が途中で消え、脚先が大きすぎるところは、実物と違う。
細密な毛描きなどに、中国の画家で長崎に一時滞在していた沈南蘋の影響が伺える。







17.百老聚星図 1782年 与謝蕪村 1716ー1783
蕪村最晩年の大作
たくさんの老人の中でも特別な存在感を示しているのは七福神の一人、寿老人、蕪村67歳の時に描かれた作品で、二本の松の表現や岩の凸凹など、長年描き続けたモチーフが多くみられる。
左下を少し塗り残している点も晩年の特徴。











18.于公高門図 1841年 渡辺華山 1793-1841
恩人への感謝を込めた華山の秀作
右下の紫色の衣服を着た人物が于公。裁判官のような仕事をしていた彼は、非常に公平な裁きを下すもとから尊敬されていた。華山が幕府から弾圧された「蛮社の獄」のときに、公平な裁きを行ってくれた町奉行与力中島嘉右衛門を于公に見立て、感謝の意を込めて制作した作品。















19.桃源・赤壁図 19世紀前半 谷文晁 1763-1840
有名な漢詩を独自の画風で描写
中国の詩を題材に描いた作品。右幅は陶淵明の『桃花源記』に詠まれた情景で、左幅は宋時代の詩人ソショクが長江にある断崖を詠んだ『赤壁賦』を元にしている。断崖は大きく、船と満月は小さく描き、中央を白い雲でぼかすことで雄大な空間を表現している。





20.寥 1970年 池田遙邨
撮影不可


21.雲龍図 1666年 狩野探幽 1602-1674
本邦初公開、探幽の龍
このたび初公開となる大画面に描かれた雲龍図。
雲の間から顔を覗かせる龍が力強い目つきでこちらを見ている。
顔の輪郭は濃淡のある墨線を使い分けて抑揚がつけられている。
雲には薄い墨を用いて大気と光までも表現しているかのようだ。






22.源氏物語図押絵貼屏風 17世紀前半 狩野山楽 1559-1635
緻密に描かれた山楽晩年の大作
『源氏物語』から12の場面が描かれている。右側の屏風の第6扇は、加茂祭に参列する源氏を見ようと、正妻の葵上御息所の牛車が場所取りで争う場面。左側の屏風の第6扇は、源氏チームと権中納言チームが分かれて絵巻の出来を競い、冷泉天皇が裁定を下す場面である。

































































23.花鳥図 18世紀前半  渡部始興 1683-1755
鳥好き始興の愛のこもった描写
始興は円山応挙にも影響を与えた画家。鸚哥のつぶらな瞳は愛らしく、羽毛、花弁、葉のグラデーションが美しい。
右側の半円形の枝と岩は不思議な形で、上の方では岩と雲が一体化し、幻想的な空間になっている。










24.黄蜀葵鵞鳥小禽図 1773年  円山応挙 1733年〜1795年〉
細部に惜しみなく込められた技術
鵞鳥の後ろに黄蜀葵が黄色く大きな花を咲かせている。胴体の上に折り畳まれている羽は、ふわふわした質感を表すため、輪郭線の墨が目立たない白い絵の具を用いている。くちばしや視線にまで細心の注意を払って描かれている。














25.巣父許由田 17773年 円山応挙 1733年〜1795年〉
故事の世界をリアルに描写
許由は中国古代の人物で、当時の皇帝尭帝から位を譲ると告げられるが、出世話に耳が汚れたと、川で耳を洗う。それを見た巣父は、耳を洗った川など汚くて渡れないと、引き返す場面が描かれている。人物の表情や、手綱に力を入れる動作などが破綻なく見えるように工夫が凝らされている。









26.柳に鶏図 18世紀後半 伊藤若冲 1716-1800
数少ない絹本に描かれた鶏
若冲は京都の錦小路市場で生まれた。正面を向いた鶏が片脚で立ち、上部にはしなやかな柳の枝が垂れ下がっている。雄鶏は顔と鶏冠部分を中心に、墨の色を少しずつ変化させ、模様の違う羽毛を描き分けている。絹本に描かれた水墨の鶏図は珍しく、月を描かず濃淡だけで葉と葉の間からもれるかすかな月明かりを表現している。














京町屋中京(40)京都夢館、田中利商店、能楽堂嘉祥閣、三*家、美先、鈴鹿山保存会所、古美術村山

2020-01-05 14:29:59 | 京都の町 町屋・建造物


京都の町屋中京区の続き、第40回です。

夢館御池別邸
夢館は京都着物レンタル店で、御池別邸は明治時代から受け継がれる伝統ある町家(町屋)の店舗です














当社ホームページより










①玄関
天井には、竹や葺などで編まれた網代天井(あじろてんじょう)が美しく、タイルや漆喰の壁がレトロでお洒落な玄関でお出迎えします。





②見世(店)庭
玄関から奥まで続く土間を「見世庭」と「走り庭」に分けられ、見世庭は公的空間として、奥へと続く走り庭は中戸や暖簾で区別して私的空間として分けられていました。





⑥走り庭
台所から奥の走り庭と呼ばれるところには「井戸」「はしり(長し台)」「くど(竈)」「水屋(物入れ)」がありました。現在は床にリノベーションされていますが、火袋といわれる吹き抜けや立派な梁(はり)が残っています。





⑦次の間
奥の間と続いており、襖を外して大広間として使用出来ます。イベントなどで大勢のお客様をおもてなし出来ます。





​③玄関間
格子からの光が印象的でモダンな空間。外からの光はたくさん入りますが表から中は見えにくくなっています。 昔は職業によって格子の角材の太さや間隔が違ったそうです。





⑧奥の間
一番奥にある座敷のことで、お客様をおもてなしするスペースでもあります。





④見世の間
入口にある部屋のことで、お客様に「見せる」スペースであることから「見世の間」と呼ぶようになったそうです。





⑨裏庭
大きな石、井戸、灯篭などがありこれぞ京町家の庭。秋には紅葉、冬には椿など四季折々が楽しめます。





⑤坪庭
庭から採光や風を取り入れ快適な空間にしてくれます。奥に細く長いため光と風が通りにくい町家には欠かせない庭です。





田中利商店










能楽堂嘉祥閣










三*家





美先





鈴鹿山保存会所





古美術村山


















京町屋外観の特徴
屋根一階庇の最前列は一文字瓦で葺いています。
横の一直線と格子の縦の線の調合が町屋の外観美の一つです。
格子
戦国時代からで、内からは外がよく見え、外からはよく見えないようになっています。
家の商いや家主の好みでデザインが異なります。
上部が切り取られた「糸屋格子」、太い連子の「麩屋格子」、「炭屋格子」、重い酒樽や米俵を扱う「酒屋格子」、「米屋格子」、繊細な「仕舞屋格子」などがあります。格子を紅殻で塗ったものが紅殻格子。
ばったり床几
元々は商いの品を並べるもので、後に腰掛け用に床几として近隣との語らいの場でした。
ばったりとは棚を上げ下げするときの音からきています。
虫籠窓
表に面した二階が低くなっている「厨子二階」に多く見られる意匠。
防火と道行く人を見下ろさない配慮と言われています。
犬矢来
竹の犬矢来は割竹を透き間なく組んだものから、少し透かしたものまでさなざまです。
直線的な町屋の表情を和らげてくれます。
駒寄
家と道との境界に巡らされた格子の垣。元は牛馬をつなぐためのものでした。
意匠もさまざま、栗や欅などの硬い木が使われることもあります。
鍾馗
厄除けの瓦人形は京町屋の屋根の象徴です。


各種建造物指定の説明
国・登録有形文化財
緩やかな規制により建造物を活用しながら保存を図るため,平成8年度施行の文化財制度で,登録された建物が登録有形文化財です。
登録文化財には,築後50年を経過している建造物で,国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものといった基準を満たす建造物が対象となります。
京都市では,近代の建造物を中心に積極的に登録を進め,市内243件(平成31年1月末現在告示分)が登録されています。

景観重要建造物
 平成16年に制定された景観法に基づき,地域の自然,歴史,文化等からみて,建造物の外観が景観上の特徴を有し,地域の景観形成に重要なものについて,京都市長が当該建造物の所有者の意見を聞いて指定を行う制度です。
指定を受けた建造物には,所有者等の適正な管理義務のほか,増築や改築,外観等の変更には市長の許可が必要となりますが,相続税に係る適正評価や,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。

歴史的意匠建造物
 歴史的な意匠を有し、地域の景観のシンボル的な役割を果たしている建築物等を京都市が指定するものです。

歴史的風致形成建造物
 平成20年11月に施行された、歴史まちづくり法に記載された重点区域内の歴史的な建造物で,地域の歴史的風致を形成し,歴史的風致の維持及び向上のために保存を図る必要があると認められるもので,京都市長が建造物の所有者及び教育委員会の意見を聞いて指定した建造物。
指定を受けた建造物には,所有者等の適切な管理義務のほか,増築や改築,移転又は除却の届出が必要となりますが,建造物の外観の修理・修景に係る補助制度が活用できます。


京都を彩る建物
京都市内には京都の歴史や文化を象徴する建物が,所有者のたゆまぬ努力により,世代を越えて継承されています。
しかし,その存在と魅力が十分に伝わっていないものや,維持・継承が危ぶまれているものもあります。
そこで,京都の財産として残したい建物や市民から募集し,市民ぐるみで残そうという気運を高め,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図ろうというものです。
京都を彩る建物は市民から推薦を受け、審査委員会で選定された建造物です。
京都市内で世代を越えて継承され,京都の歴史や文化を象徴し、概ね50年以上の建造物(国又は地方公共団体が所有しているものは除く)です。






新年の清水寺

2020-01-05 06:48:58 | 京都めぐり


新年3日の清水寺です。
八坂神社の初詣のついでにお参りに行ってきました。
相変わらず観光客が多いです。









仁王門





本堂





絵馬









百体地蔵堂にも鏡餅が供えられています。





本堂をすっぽり被っていたシートがほぼ取り外されています。
足場の一部も解体が始まったようです。
50年ぶりの本堂大修理が終わるのは今年3月末と聞いています。
桜が咲く頃には葺き替えられたきれいな大屋根が姿を見せるはずです。













昨年紅葉終盤に訪れたときの本堂(12/7)









京都タワー





子安の塔


















ツツジ









音羽の滝















一周して仁王門に帰ってきました。








三年坂