川口保 のブログ

1市民として市政を眺めつつ、社会のいろいろな出来事を取り上げています。

松阪の地名を訪ねて(10)~「地すべり地に付く」地名~

2011-06-18 21:57:49 | 日記

松阪市内の地名の由来を訪ねています。今回は地すべり地に関する地名です。地すべりは当然山間地に起こる現象です。飯高地区の地形を見ていると、明らかにここは地すべり跡地であると思われるところがあります。地すべり跡地は地形からもわかりますが、地名からもわかります。

 

地すべり地に付く地名には次のようなものがあります。( )内は日本に実際にある地名です。

地すべりや崩壊現象を表すものに「抜け」「のけ」「くえ」「ざれ」などが付く地名があります。また地すべり地そのものを表すものに「崩れ(大崩・崩沢)」、「抜け(抜間・抜田)」、「すべり(すべり沢)」、「ずり・ぞうり(蔵里・曽利)」、「欠け(欠けの上)」、「押し(押出・押堀)」、「落ち(落合・落畑)」、「切れ(切通・奈切)」、「割れ(立割)」、「巻き(袖巻・埋巻)」、「飛び(飛山・飛土)」、などがあります。

 

地すべりの結果生じた地形を表すものに「成(成田・大鳴)」、「平(梨平)」、「窪(水窪・大久保)」、「段(段地・段)」などがあります。

地すべり地の地質を表したものに「岩(岩平)」、「石(大石沢・石原)」、「土(土路沢・」があり、地すべりによる荒廃状況を表すものに「地獄(地獄谷・地獄沢)」があります。また地すべり地の田の状態を表したものに「赤田・青田」地盤が動いて地下水が濁った様子を表すものに「赤池」などがあります。

 

松阪市内の地名とこれらの地すべり地に付く地名と照らし合わせると、町名では『飯高町落方』がこれに当てはまります。「落ち」の付く地名は普通「落合」が使われます。落合は「松阪の地名を訪ねて(4)~川に関係する地名~』で示したように川の合流地点に付く地名でもありますが、地すべり地にも付く地名です。落方も地形的に地すべり地に付く地名と思われます。 

 

石の付く地名としては『大石町』があります。ここは巨石・奇岩が多いことからこの地名が付けられたということです。この大石町に矢下(やおろし)という地名があります。嬉野にも矢下町があります。この地名はもしかすると矢のように下る土石流を表す地名かもしれません。

 

以前の職場にいた時、飯高町森から飯高町粟野にかけての「蓮峡線」の地質調査をしたことがあります。この時「欠け山」という小字名がありました。この周辺の地形を調査したところ飯高町森の深野地区に地すべり跡地と思われる地形がありました。飯高町加波には「大崩谷」という谷があります。ここではかつて地すべりか土石流が発生したことがあると思われます。

 

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